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7章 すべてを終わらせる
119.作戦会議?
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「ここに主様曰くシノブとマヒナ様がいます」
玉座に辿りついた私達にニシキは重々しく言う。
ついにここまでやって来たんだ。この扉を開けたらあの時と同じ激しい戦闘になる。
あの時は足手まといで最後の最後で美味しいとこだけ持っていったって感じだったけれど、今度は違うちゃんと役に立てる。
「──星歌、なんかあったらおっさんよりオレを頼れよ」
「え、太?」
耳元で太が小声でらしくないことを呟く。
彼氏に昇格したからやっぱりパパと仲良くするのは面白くないのかな?
これが嫉妬?
そう言ってくれるのは嬉しいから、手を強く握り笑顔になって頷く。
「おっさんと師匠にはシノブのことにだけ集中できるようにな」
「あ、なんだ。そう言うことか」
「は?」
しかし私が思っていたのとは別の思惑だった。むしろパパと龍くんに気遣っている。
私の喜びを返せと思い呆れるけれど、よく考えてみれば私の方がどうかしていた。
勘違いした傲慢な私が馬鹿で恥ずかしい。
そうだよね。
今の状況を考えれば、少しでもパパと龍くんの負担を減らすのは当然。
太考えは正しい。
申し訳ない気持ちでパパに視線を向けると、いつものパパと違っている。
荒々しい気を纏っていて、鋭い眼光は血に飢えた獣の……あの時の戦闘モードのパパ。
前回は二時間気を整えが必要だったのに、今はいきなり変わったよね? それはつまり以前とは比較にならない程の強さを秘めているってこと。
結局チートのパパが一番強くなった。
龍くんもいつもと違う雰囲気で、私達と格の違いを感じる。
「ニシキ、シノブの他に何人いる?」
「マヒナ様と夫のニケル様です。後は主様の腹心シャニーとニケル様愛弟子のモーメント。ゾンビ兵になるかと思われます」
「マヒナは結婚してたのか?」
「はい。学生の娘と息子がいます」
ここに来てあのマヒナが既婚者で、しかも二人の子持ちと言うことが発覚。
意外に思ったのは私だけではなく太陽と龍くんもで、真顔から拍子抜けの表情に変わった。
マヒナのことだから、子供に魔族が一番で人間は敵だって絶対教えてそう。
「お母さんは知ってたの?」
「まぁな。何度か会ったよ。ただ心を持たないホムンクルスだと思われていたから、特に紹介されることはなかったが」
当然そうなお母さんが不思議に思い聞けば、歯切れの悪い答えが返って来る。
いくらマヒナを見限ったとしても、完全には縁が切れないんだろうな。
それが親だから。出来ることなら仲良くしたいんだと思う。
「そうなんだ。……お母さんは陽と一緒に後方援護に回る?」
「いいや。シノブはあたしとセイヤに任せてくれ。たとえどんな事情があったとしても、これは親の責任だ。そして最後はセイカに任せる。……望みは捨てたくないんだ」
「うん、任せて」
今のお母さんはきっと世界で一番きれいで凛々しい母親なんだと思う。パパも同じ気持ちなのか、私を強い眼差しで見つめられ頷く。
そんな二人の願いを叶えたいと思った。
だからと言って弟を助けるために、私が命を落とすようなことはしない。弟が元に戻ったとしても、私が死んだら両親は余計悲しむ。
だから何か良い方法が、──あっ!?
「ここで私がカマイタチを撃ったら、戦いは私達の優勢になるよね?」
「そうだな。試しにやってみろ」
すごくいいアイデアをフッと思い出し提案しすると、龍くんはかなり乗り気で即答で賛成してくれる。
が、
突如軽蔑するような冷たい視線を背後から感じた。
誰の視線かと思い辺り見回せば、黒崎が私を見てドン引している。
きっと横暴な私に幻滅したんだろうけれど、一体私を美化されているんだろうか?
本当の私を知っていたら、告白されなかった?
別に黒崎に幻滅されても毛嫌いされても構わないけれど、勝手に美化して理想を押し付けるのは迷惑だ。
……なんかそれってすごくムカつく!!
そう思えば思うほど無性に腹が立っていく。
この怒りをカマイタチに乗せるべく一歩前に踏み出し、脳内に浮かぶ読めないも……いつもと違って文字がどす黒い?
本能が使ってはいけないと警告する。
「星歌、どうした? 使わないのか?」
「うん。文字がどす黒くて嫌な感じがしたんだ」
「それは使わなくて大正解だ。魔王の力は繊細だから、黒いと言うことは穢れている証。セイカがカマイタチで不意打ちをしようとするから」
不思議そうに問う龍くんに隠す必要がないから正直に話すと、お母さんから思わぬ答えが返って来てしまう。
卑怯な人達に卑怯なことをしたらいけないの?
正々堂々戦ったっても痛い目を見るって分かっているのに、それでもいけないこと?
なんで?
「よく分からないけど、魔王の力って清きものなんだね」
「そうだな。本来魔王の力は、民衆を正しき道に導かなければいけないからな。父様も穢れた魔王の力を使い続けた結果、闇に心を支配され正気を失い地上最悪の魔王となった」
「……黒い文字の時は絶対に使わないと誓います」
そこまで言われたら、納得がいかなくても怖くて使えない。
いくら私が魔王の力を使えるとしても、民衆のためを思えば女魔王にならない方が良い。これは魔族の未来のためでもある。
やっぱり新たなる魔王は、民衆の選挙で決めるべきだと改めて強く思う。
「星歌は無理しなくて良い。ここは父さんと母さん任せておけば良い」
「うん、そうだね。任せるよ」
そう言うのは今言って欲しくないなと思いながらも、こんな所で揉めたくないから私が大人になった。
──そして扉が開かれる。
玉座に辿りついた私達にニシキは重々しく言う。
ついにここまでやって来たんだ。この扉を開けたらあの時と同じ激しい戦闘になる。
あの時は足手まといで最後の最後で美味しいとこだけ持っていったって感じだったけれど、今度は違うちゃんと役に立てる。
「──星歌、なんかあったらおっさんよりオレを頼れよ」
「え、太?」
耳元で太が小声でらしくないことを呟く。
彼氏に昇格したからやっぱりパパと仲良くするのは面白くないのかな?
これが嫉妬?
そう言ってくれるのは嬉しいから、手を強く握り笑顔になって頷く。
「おっさんと師匠にはシノブのことにだけ集中できるようにな」
「あ、なんだ。そう言うことか」
「は?」
しかし私が思っていたのとは別の思惑だった。むしろパパと龍くんに気遣っている。
私の喜びを返せと思い呆れるけれど、よく考えてみれば私の方がどうかしていた。
勘違いした傲慢な私が馬鹿で恥ずかしい。
そうだよね。
今の状況を考えれば、少しでもパパと龍くんの負担を減らすのは当然。
太考えは正しい。
申し訳ない気持ちでパパに視線を向けると、いつものパパと違っている。
荒々しい気を纏っていて、鋭い眼光は血に飢えた獣の……あの時の戦闘モードのパパ。
前回は二時間気を整えが必要だったのに、今はいきなり変わったよね? それはつまり以前とは比較にならない程の強さを秘めているってこと。
結局チートのパパが一番強くなった。
龍くんもいつもと違う雰囲気で、私達と格の違いを感じる。
「ニシキ、シノブの他に何人いる?」
「マヒナ様と夫のニケル様です。後は主様の腹心シャニーとニケル様愛弟子のモーメント。ゾンビ兵になるかと思われます」
「マヒナは結婚してたのか?」
「はい。学生の娘と息子がいます」
ここに来てあのマヒナが既婚者で、しかも二人の子持ちと言うことが発覚。
意外に思ったのは私だけではなく太陽と龍くんもで、真顔から拍子抜けの表情に変わった。
マヒナのことだから、子供に魔族が一番で人間は敵だって絶対教えてそう。
「お母さんは知ってたの?」
「まぁな。何度か会ったよ。ただ心を持たないホムンクルスだと思われていたから、特に紹介されることはなかったが」
当然そうなお母さんが不思議に思い聞けば、歯切れの悪い答えが返って来る。
いくらマヒナを見限ったとしても、完全には縁が切れないんだろうな。
それが親だから。出来ることなら仲良くしたいんだと思う。
「そうなんだ。……お母さんは陽と一緒に後方援護に回る?」
「いいや。シノブはあたしとセイヤに任せてくれ。たとえどんな事情があったとしても、これは親の責任だ。そして最後はセイカに任せる。……望みは捨てたくないんだ」
「うん、任せて」
今のお母さんはきっと世界で一番きれいで凛々しい母親なんだと思う。パパも同じ気持ちなのか、私を強い眼差しで見つめられ頷く。
そんな二人の願いを叶えたいと思った。
だからと言って弟を助けるために、私が命を落とすようなことはしない。弟が元に戻ったとしても、私が死んだら両親は余計悲しむ。
だから何か良い方法が、──あっ!?
「ここで私がカマイタチを撃ったら、戦いは私達の優勢になるよね?」
「そうだな。試しにやってみろ」
すごくいいアイデアをフッと思い出し提案しすると、龍くんはかなり乗り気で即答で賛成してくれる。
が、
突如軽蔑するような冷たい視線を背後から感じた。
誰の視線かと思い辺り見回せば、黒崎が私を見てドン引している。
きっと横暴な私に幻滅したんだろうけれど、一体私を美化されているんだろうか?
本当の私を知っていたら、告白されなかった?
別に黒崎に幻滅されても毛嫌いされても構わないけれど、勝手に美化して理想を押し付けるのは迷惑だ。
……なんかそれってすごくムカつく!!
そう思えば思うほど無性に腹が立っていく。
この怒りをカマイタチに乗せるべく一歩前に踏み出し、脳内に浮かぶ読めないも……いつもと違って文字がどす黒い?
本能が使ってはいけないと警告する。
「星歌、どうした? 使わないのか?」
「うん。文字がどす黒くて嫌な感じがしたんだ」
「それは使わなくて大正解だ。魔王の力は繊細だから、黒いと言うことは穢れている証。セイカがカマイタチで不意打ちをしようとするから」
不思議そうに問う龍くんに隠す必要がないから正直に話すと、お母さんから思わぬ答えが返って来てしまう。
卑怯な人達に卑怯なことをしたらいけないの?
正々堂々戦ったっても痛い目を見るって分かっているのに、それでもいけないこと?
なんで?
「よく分からないけど、魔王の力って清きものなんだね」
「そうだな。本来魔王の力は、民衆を正しき道に導かなければいけないからな。父様も穢れた魔王の力を使い続けた結果、闇に心を支配され正気を失い地上最悪の魔王となった」
「……黒い文字の時は絶対に使わないと誓います」
そこまで言われたら、納得がいかなくても怖くて使えない。
いくら私が魔王の力を使えるとしても、民衆のためを思えば女魔王にならない方が良い。これは魔族の未来のためでもある。
やっぱり新たなる魔王は、民衆の選挙で決めるべきだと改めて強く思う。
「星歌は無理しなくて良い。ここは父さんと母さん任せておけば良い」
「うん、そうだね。任せるよ」
そう言うのは今言って欲しくないなと思いながらも、こんな所で揉めたくないから私が大人になった。
──そして扉が開かれる。
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