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5章 私が目指す聖女とは
96.思わぬ事態
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「龍くん、これは一体?」
「結界を無理矢理こじ開けた結果だよ。ルーナス先生からもらった札のおかげで、この程度ですんだ」
「…………」
龍くんは物騒なことを軽々しく言うけれど、息が荒く言葉とは裏腹にかなり辛そうだった。圧倒されてながらも、急いで致命傷と言える血に染まった脇腹に手を当て治療する。
聖女の力である癒やしの力は万能で、傷はたちまち癒えていく。
そう言えばルーナスさんと出逢ってすぐ、絶体絶命を軽減してくれるお札をもらったっけぇ?
それでも致命傷って使わなかったら、死んで……考えたら怖くて泣けてきそう。
太の案内で龍くんと陽が閉じ込められた場所に行くと、家だと思う建物は炎が上がり壊れかけていた。
さすが龍くん。私達の助けはいらないと思っていたら、その龍くんは全身大怪我をおっていて、顔色も真っ青になりひざまついていた。
それなのに隣で横たわっている陽はなんともなさそうに……スヤスヤと気持ち良さげに寝ている?
「リュウノスケがこれほど無茶をするなんて珍しいな? 時間をかければ軽傷で突破できるだろう?」
「ああ、オレ一人であればそうしていたが、今回は陽がいたからな。第二のトラップが発動したら見も蓋もない」
「確かにそうだな。ヒナタは寝ているだけか?」
「そうだ。オレが無茶しようとしたらガミガミ怒って、血を見たら失神する。だから魔術で眠らせた」
他にも大怪我も多々あるのに、すっかりいつもの龍くんに戻っていた。
珍しそうな表情を浮かべるお母さんと坦々と話していて、陽のことを弱冠面倒くさい女と言う割には当たり前のように優しくお姫様抱っこする。
陽は龍くんを心配してるから心を鬼にして怒っているのに、そう言う風に捉えていたんだと思うとガッカリだ。
だったらこれ以上陽に優しくしないでと思う物の、今なお片思いしている陽のことを思うと強くは言えないんだよね?
「所で星夜はどうした?」
「娘の濃厚なラブシーンを見たら再起不能となって溶けたから、男と一緒に置いて」
「濃厚じゃない。頬に軽くキスしただけ!!」
「…………」
パパがいないことに気づいた龍くんの問いに、ママは待ってましたと言わんばかりにニヤッと笑い捏造しようとする。
すかさず声を裏返し訂正するも、それは余計な情報だった。してないとだけ言えば良かった。
太はゆでタコになってしまい、失態に気づいた私はここから逃げてしまいたい。
そんなこと龍くんに知られたら……。
「そうか。二人ともおめでとう。太、星歌を理不尽に泣かせたりしたら、オレも許さないからな。死んだ方がましだと思える生き地獄を味合わせてやる」
からかわれることなく祝福してくれるも、太に対してはドスの聞いた声で警告する。
すっかり父親の顔になっていた。
しかも理不尽に泣かせたらと言うのがいかにも龍くんらしい。経験から得た教訓なんだろうか?
そうだよね?
いくら両想いになったとしても、付き合っていくうちに幻滅されて別れる可能性だってある。それはお互いに。
う、そう考えると付き合ってからが大変なのかも?
「分かってる。星歌を大切にする。だから師匠も陽のことをよろしく頼むぜ?」
私の肩を抱き寄せ清々しく断言してくれるのは嬉しいけれど、後半の台詞は意味不明で太を見つめる。
「は、なんでそうなる?」
「だって師匠は陽のことが好きなんだろう?」
龍くんもこればかりは寝耳に水らしく首をかしげ問い変えすと、やっぱりよく分からない解釈が返ってくる。しかも自信ありげに。
私達三人には初耳で目が点になり顔を見合わせた。
龍くんは陽が好き?
逆じゃないの?
だって龍くんは私の友達には絶対に手を出さないって言っていた。
しかも陽の告白をきっぱり断ったらしい。
なのにどうして?
「は、んなわけないだろう? 陽は星歌と同じ娘見たいな存在でしかない。困っていれば助けてやりたい。落ち込んでいたら励まして元気づけたい。陽には涙は似合わ……星夜と男を回収しに行くぞ。太、陽を頼む」
普段通り軽くあしらうように全否定。なのに話していくうちに、自分でもこれはヤバいと思ったのか無理矢理話題を変える。寝ている陽を太に渡し一人で先にさっさと歩き出す。
その時頬が微かに赤く染まっている。驚きすぎて開いた口が塞がらない。
…………
……マジ……?
「ほらやっぱりな。師匠は陽には特に優しかったからな」
「ほぉ~意外な組み合わせだ。星夜に教えたらまた失神するだろうな」
激怒して猛反対です。
龍くんには聞こえないよう小声で会話する二人に、私は心の底で激しく突っ込みを入れる。
二人とも龍くんの女癖の悪さを知っているはずなのに、何を無責任なことを言い出すんだ?
結婚願望ゼロで、股がけは普通。年老いたら興味がなくなる。プラス教師と生徒。成人と未成年者。
……付き合うだけなら良いのかな?
「私達が高校卒業するまで待てたら、私は二人を祝福する」
「は、それって後二年半だぞ? どうしてだ?」
「そうだ。セイカはヒナタの親友だろう? 親友だったら祝福するべきだ」
「親友だから心配なの。龍くんに一人の女性だけを愛し続けられると思う? そもそも生徒と教師」
『思わない』
私の答えに二人はムッとし容赦なく痛い図星を叩くけれど、私は強気で言い返せば言葉をハモらせた。そしてようやく気づいたのか浮かない難しいこと表情を浮かばせる。
二人とも龍くんを良く知っている癖に、そこまで回転しなかったんだね。
そりゃぁ私だってハッピーエンドにしたいけれど、これは慎重に見極めないとダメだと思う。
もし二年半待てたのなら、きっと信用しても良い。
「……こう言うことは第三者が口出すことじゃないか。温かく見守っておこう」
「それがいいな。おっさんにも黙っておいた方が良いかもな?」
「もちろんだ。セイヤが本気でキレると怖い」
どうやら見なかった(聞かなかった)ことにするらしい。
賢明な判断だと思う。
「結界を無理矢理こじ開けた結果だよ。ルーナス先生からもらった札のおかげで、この程度ですんだ」
「…………」
龍くんは物騒なことを軽々しく言うけれど、息が荒く言葉とは裏腹にかなり辛そうだった。圧倒されてながらも、急いで致命傷と言える血に染まった脇腹に手を当て治療する。
聖女の力である癒やしの力は万能で、傷はたちまち癒えていく。
そう言えばルーナスさんと出逢ってすぐ、絶体絶命を軽減してくれるお札をもらったっけぇ?
それでも致命傷って使わなかったら、死んで……考えたら怖くて泣けてきそう。
太の案内で龍くんと陽が閉じ込められた場所に行くと、家だと思う建物は炎が上がり壊れかけていた。
さすが龍くん。私達の助けはいらないと思っていたら、その龍くんは全身大怪我をおっていて、顔色も真っ青になりひざまついていた。
それなのに隣で横たわっている陽はなんともなさそうに……スヤスヤと気持ち良さげに寝ている?
「リュウノスケがこれほど無茶をするなんて珍しいな? 時間をかければ軽傷で突破できるだろう?」
「ああ、オレ一人であればそうしていたが、今回は陽がいたからな。第二のトラップが発動したら見も蓋もない」
「確かにそうだな。ヒナタは寝ているだけか?」
「そうだ。オレが無茶しようとしたらガミガミ怒って、血を見たら失神する。だから魔術で眠らせた」
他にも大怪我も多々あるのに、すっかりいつもの龍くんに戻っていた。
珍しそうな表情を浮かべるお母さんと坦々と話していて、陽のことを弱冠面倒くさい女と言う割には当たり前のように優しくお姫様抱っこする。
陽は龍くんを心配してるから心を鬼にして怒っているのに、そう言う風に捉えていたんだと思うとガッカリだ。
だったらこれ以上陽に優しくしないでと思う物の、今なお片思いしている陽のことを思うと強くは言えないんだよね?
「所で星夜はどうした?」
「娘の濃厚なラブシーンを見たら再起不能となって溶けたから、男と一緒に置いて」
「濃厚じゃない。頬に軽くキスしただけ!!」
「…………」
パパがいないことに気づいた龍くんの問いに、ママは待ってましたと言わんばかりにニヤッと笑い捏造しようとする。
すかさず声を裏返し訂正するも、それは余計な情報だった。してないとだけ言えば良かった。
太はゆでタコになってしまい、失態に気づいた私はここから逃げてしまいたい。
そんなこと龍くんに知られたら……。
「そうか。二人ともおめでとう。太、星歌を理不尽に泣かせたりしたら、オレも許さないからな。死んだ方がましだと思える生き地獄を味合わせてやる」
からかわれることなく祝福してくれるも、太に対してはドスの聞いた声で警告する。
すっかり父親の顔になっていた。
しかも理不尽に泣かせたらと言うのがいかにも龍くんらしい。経験から得た教訓なんだろうか?
そうだよね?
いくら両想いになったとしても、付き合っていくうちに幻滅されて別れる可能性だってある。それはお互いに。
う、そう考えると付き合ってからが大変なのかも?
「分かってる。星歌を大切にする。だから師匠も陽のことをよろしく頼むぜ?」
私の肩を抱き寄せ清々しく断言してくれるのは嬉しいけれど、後半の台詞は意味不明で太を見つめる。
「は、なんでそうなる?」
「だって師匠は陽のことが好きなんだろう?」
龍くんもこればかりは寝耳に水らしく首をかしげ問い変えすと、やっぱりよく分からない解釈が返ってくる。しかも自信ありげに。
私達三人には初耳で目が点になり顔を見合わせた。
龍くんは陽が好き?
逆じゃないの?
だって龍くんは私の友達には絶対に手を出さないって言っていた。
しかも陽の告白をきっぱり断ったらしい。
なのにどうして?
「は、んなわけないだろう? 陽は星歌と同じ娘見たいな存在でしかない。困っていれば助けてやりたい。落ち込んでいたら励まして元気づけたい。陽には涙は似合わ……星夜と男を回収しに行くぞ。太、陽を頼む」
普段通り軽くあしらうように全否定。なのに話していくうちに、自分でもこれはヤバいと思ったのか無理矢理話題を変える。寝ている陽を太に渡し一人で先にさっさと歩き出す。
その時頬が微かに赤く染まっている。驚きすぎて開いた口が塞がらない。
…………
……マジ……?
「ほらやっぱりな。師匠は陽には特に優しかったからな」
「ほぉ~意外な組み合わせだ。星夜に教えたらまた失神するだろうな」
激怒して猛反対です。
龍くんには聞こえないよう小声で会話する二人に、私は心の底で激しく突っ込みを入れる。
二人とも龍くんの女癖の悪さを知っているはずなのに、何を無責任なことを言い出すんだ?
結婚願望ゼロで、股がけは普通。年老いたら興味がなくなる。プラス教師と生徒。成人と未成年者。
……付き合うだけなら良いのかな?
「私達が高校卒業するまで待てたら、私は二人を祝福する」
「は、それって後二年半だぞ? どうしてだ?」
「そうだ。セイカはヒナタの親友だろう? 親友だったら祝福するべきだ」
「親友だから心配なの。龍くんに一人の女性だけを愛し続けられると思う? そもそも生徒と教師」
『思わない』
私の答えに二人はムッとし容赦なく痛い図星を叩くけれど、私は強気で言い返せば言葉をハモらせた。そしてようやく気づいたのか浮かない難しいこと表情を浮かばせる。
二人とも龍くんを良く知っている癖に、そこまで回転しなかったんだね。
そりゃぁ私だってハッピーエンドにしたいけれど、これは慎重に見極めないとダメだと思う。
もし二年半待てたのなら、きっと信用しても良い。
「……こう言うことは第三者が口出すことじゃないか。温かく見守っておこう」
「それがいいな。おっさんにも黙っておいた方が良いかもな?」
「もちろんだ。セイヤが本気でキレると怖い」
どうやら見なかった(聞かなかった)ことにするらしい。
賢明な判断だと思う。
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