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5章 私が目指す聖女とは
90.いい加減にして下さい
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『いただき──』
「今帰った」
ようやく朝食が出来上がりみんなで食べようとしたら、ドアがバーンと開き龍くんが入って来る。予定では昼過ぎと言われていたため、私達は驚き龍くんを注目。隣には黒崎とヨハンさんもいた。
「早かったな」
「ああ。リュウと太・黒崎の三交代で飛ばして来たからな」
「ならすぐお前達の朝食も準備をするな」
「あたしも手伝う」
せっかくの朝食がお預けになってしまい、パパとお母さんは当然のようにキッチンに戻り料理を再開。私と言えば食べる気満々だったので、お預けされて落ち込み度が半端ない。
目玉焼きのせハンバーグのいい匂いに、気を引き締めてないとお腹の虫が大きく鳴ってしまいそう。
「そうしてくれると助かる。大地、太を二階に連れて行ってくれ。ヨハンはアリアとステーフのことをお願いしていいか?」
「了解」
「分かりました」
「あ、黒崎くん待って。私も行く」
そんな私をよそにみんなはテキパキと動き始め、あっという間にリビングには私とチョピだけが残される。
私も何かしたいけれど、動く元気さえない。
【セイカ、食べちゃダメ?】
以前だったら勝手に食べてたのに、今ではちゃんと聞いてから食べるようになった。
チョピも私と同じぐらいお腹を空かしているのか、瞳をウルウルさせ私を見上げる。
「みんなで食べた方がおいしいよ。でも……ウインナー一本ぐらいだけならいいか」
【本当に? やった!!】
チョピの愛らしさと自分の空腹そして匂いに負け、そう言いながらフォークでウインナーを差し豪快にかぶりつく。
パリッ
CMさながらの美味しい音がする。
外はパリッと香ばしく、中から肉汁がジュワッと口の中に広がりジュウシー。あまりの美味しさにほっぺたが落っこちて、あっと言う間に一本食べきってしまう。無意識に二本目突入しかけるも、ハッとなり慌てて手を止める。
食べていいのは一本だけ。
「チュピ!!」
チョピにも大満足のようで幸せいっぱいの表情を浮かべ、一本だけと言ったのに三本あったソーセージをすべて間食。それでも物足りないのか今度はハンバーグに狙いを定めている。
「チョピ、ストープ」
【あ、そうだった。でもボク余計にお腹空いた……】
「それは私もだけど……」
「星歌はチョピと先に食べてていいんだよ。夕食食べてないんだから」
間一髪で止めに入りチョピも我に返り食べるのを辞めてくれるも、パパがやって来てにっこり笑い私の決意を揺るがす。
きっとパパのことだから私のために言ってくれているとは思うんだけど、ここまで待ったんだからみんなと一緒に食べたいんだよね?
…………?
「え、チョピも夕飯食べてなかったの?」
【うん。セイカと一緒に食べたいから我慢した。だからボクのお腹すごく減ってるんだ】
食いしん坊のチョピがそんな理由で食事抜きしたなんて驚きで、だったらこれ以上待たせるのは残酷なんだと思う。かと言って一人で先食べてと言ったら、せっかく私を待ってくれてたのに可哀想だよね?
「だったら先に食べちゃおう」
私が折れてチョピと二人で食べることにした。
「お、星歌。美味しそうなの食べてんな」
「うん。ソーセージもハンバーグも絶品だよ。あ~んして」
美味しい美味しい朝食にすっかり気が緩んでいたと言った。
戻って来た龍くんの言葉に深く状況を考えずに残っていたソーセージを龍くんの口元まで持って行く。一瞬驚く龍くんたったけど、すぐに元に戻り口を大きく開き残りをパクッと食べる。
そして手のひらを合わせてご馳走様して席を立つ。ショックする黒崎とほほ笑むリュウさんの姿も目に入る。
だからさっき龍くんは一瞬ばつが悪いと思って驚いたんだ。ちょっと気が緩みすぎてやっちゃったなと思いつつ、まぁそのぐらい見られてもどうってことないだろう。
ただ龍くんが物欲しそうな顔をしていたから、食べさせてあげただけ。
それにしても黒崎はどうしてショックを受けた表情をしてるんだろうか?
私が龍くんに片想いしていると思われ……それはないか。黒崎は私の好きな人を知ってるもんね。
それとも私とはまったく関係がない所でショックを受けただけ?
「黒崎、なんかあった? 私で良ければ相談に乗るけど?」
「なんでもないから気にしなくてもいい」
「そう?」
余計な詮索だったのか素っ気なく突っぱねられ、空いてる席に座った。リュウさんも黒崎の向かいの席に座る。
心 配もあったけれどちょっと気になっただけだからショックはなく、これは深入りしたら駄目なんだろうと素直に受け止め別の話題に変えることにした。
「龍くん、後でちょっと付き合って欲しい所があるんだけれど、いいかな?」
「それってリリアンの工房か?」
「うん、そう」
「オレも剣のメンテに行くつもりだったから、ちょうどいいぜ」
快く龍くんは頷いてくれるも、不気味な笑顔がちょっと怖い。
何もかもを見抜かされた眼差しで見つめられて、顔が近づいてくる。
「聖剣の性能を試したいんだろう?」
「え、うん」
もちろんキスではなく耳打ちをされるだけ。紛らわしい。
ガタン
「ダイチ、大丈夫か?」
大きな鈍い音がしたかと思えばリュウさんの声もするので慌てて横に視線を変えると、黒崎が椅子からずり落ちていておでこをさすっていた。見るから痛そうで何かあったのか聞こうとしたけれど、すぐに真相に気付き龍くんを見上げればいたずらな笑みを浮かべている。
つまり龍くんが紛らわしい行動をしたのは、よく分からないけれど明らかに黒崎をからかうため。教師だしからぬ行為以前に、人間としてもどうかと思う。
「龍くん、やり過ぎだよ」
「良いんだ。黒埼は星夜同様少し生真面目過ぎるから、こうやってたまには息抜きさせないとな」
「…………」
心底から呆れて何も言えない。
言いたいことは何となく分かるけれど、なんでそれで私が捲き込まれないといけないの?
「黒崎、大丈夫? 今のは耳打ちされただけだから、絶対に変な誤解しないで」
「そうなのか?」
「うん。例え龍くんにキスされたとしても、私と龍くんは親子の関係でしかないから」
一応黒崎の心配はした上で誤解のないよう強く訂正すると、やっぱり誤解していたようできょとんとしてしまう。更に釘を打ち、食器をキッチンへ持っていく。
「今帰った」
ようやく朝食が出来上がりみんなで食べようとしたら、ドアがバーンと開き龍くんが入って来る。予定では昼過ぎと言われていたため、私達は驚き龍くんを注目。隣には黒崎とヨハンさんもいた。
「早かったな」
「ああ。リュウと太・黒崎の三交代で飛ばして来たからな」
「ならすぐお前達の朝食も準備をするな」
「あたしも手伝う」
せっかくの朝食がお預けになってしまい、パパとお母さんは当然のようにキッチンに戻り料理を再開。私と言えば食べる気満々だったので、お預けされて落ち込み度が半端ない。
目玉焼きのせハンバーグのいい匂いに、気を引き締めてないとお腹の虫が大きく鳴ってしまいそう。
「そうしてくれると助かる。大地、太を二階に連れて行ってくれ。ヨハンはアリアとステーフのことをお願いしていいか?」
「了解」
「分かりました」
「あ、黒崎くん待って。私も行く」
そんな私をよそにみんなはテキパキと動き始め、あっという間にリビングには私とチョピだけが残される。
私も何かしたいけれど、動く元気さえない。
【セイカ、食べちゃダメ?】
以前だったら勝手に食べてたのに、今ではちゃんと聞いてから食べるようになった。
チョピも私と同じぐらいお腹を空かしているのか、瞳をウルウルさせ私を見上げる。
「みんなで食べた方がおいしいよ。でも……ウインナー一本ぐらいだけならいいか」
【本当に? やった!!】
チョピの愛らしさと自分の空腹そして匂いに負け、そう言いながらフォークでウインナーを差し豪快にかぶりつく。
パリッ
CMさながらの美味しい音がする。
外はパリッと香ばしく、中から肉汁がジュワッと口の中に広がりジュウシー。あまりの美味しさにほっぺたが落っこちて、あっと言う間に一本食べきってしまう。無意識に二本目突入しかけるも、ハッとなり慌てて手を止める。
食べていいのは一本だけ。
「チュピ!!」
チョピにも大満足のようで幸せいっぱいの表情を浮かべ、一本だけと言ったのに三本あったソーセージをすべて間食。それでも物足りないのか今度はハンバーグに狙いを定めている。
「チョピ、ストープ」
【あ、そうだった。でもボク余計にお腹空いた……】
「それは私もだけど……」
「星歌はチョピと先に食べてていいんだよ。夕食食べてないんだから」
間一髪で止めに入りチョピも我に返り食べるのを辞めてくれるも、パパがやって来てにっこり笑い私の決意を揺るがす。
きっとパパのことだから私のために言ってくれているとは思うんだけど、ここまで待ったんだからみんなと一緒に食べたいんだよね?
…………?
「え、チョピも夕飯食べてなかったの?」
【うん。セイカと一緒に食べたいから我慢した。だからボクのお腹すごく減ってるんだ】
食いしん坊のチョピがそんな理由で食事抜きしたなんて驚きで、だったらこれ以上待たせるのは残酷なんだと思う。かと言って一人で先食べてと言ったら、せっかく私を待ってくれてたのに可哀想だよね?
「だったら先に食べちゃおう」
私が折れてチョピと二人で食べることにした。
「お、星歌。美味しそうなの食べてんな」
「うん。ソーセージもハンバーグも絶品だよ。あ~んして」
美味しい美味しい朝食にすっかり気が緩んでいたと言った。
戻って来た龍くんの言葉に深く状況を考えずに残っていたソーセージを龍くんの口元まで持って行く。一瞬驚く龍くんたったけど、すぐに元に戻り口を大きく開き残りをパクッと食べる。
そして手のひらを合わせてご馳走様して席を立つ。ショックする黒崎とほほ笑むリュウさんの姿も目に入る。
だからさっき龍くんは一瞬ばつが悪いと思って驚いたんだ。ちょっと気が緩みすぎてやっちゃったなと思いつつ、まぁそのぐらい見られてもどうってことないだろう。
ただ龍くんが物欲しそうな顔をしていたから、食べさせてあげただけ。
それにしても黒崎はどうしてショックを受けた表情をしてるんだろうか?
私が龍くんに片想いしていると思われ……それはないか。黒崎は私の好きな人を知ってるもんね。
それとも私とはまったく関係がない所でショックを受けただけ?
「黒崎、なんかあった? 私で良ければ相談に乗るけど?」
「なんでもないから気にしなくてもいい」
「そう?」
余計な詮索だったのか素っ気なく突っぱねられ、空いてる席に座った。リュウさんも黒崎の向かいの席に座る。
心 配もあったけれどちょっと気になっただけだからショックはなく、これは深入りしたら駄目なんだろうと素直に受け止め別の話題に変えることにした。
「龍くん、後でちょっと付き合って欲しい所があるんだけれど、いいかな?」
「それってリリアンの工房か?」
「うん、そう」
「オレも剣のメンテに行くつもりだったから、ちょうどいいぜ」
快く龍くんは頷いてくれるも、不気味な笑顔がちょっと怖い。
何もかもを見抜かされた眼差しで見つめられて、顔が近づいてくる。
「聖剣の性能を試したいんだろう?」
「え、うん」
もちろんキスではなく耳打ちをされるだけ。紛らわしい。
ガタン
「ダイチ、大丈夫か?」
大きな鈍い音がしたかと思えばリュウさんの声もするので慌てて横に視線を変えると、黒崎が椅子からずり落ちていておでこをさすっていた。見るから痛そうで何かあったのか聞こうとしたけれど、すぐに真相に気付き龍くんを見上げればいたずらな笑みを浮かべている。
つまり龍くんが紛らわしい行動をしたのは、よく分からないけれど明らかに黒崎をからかうため。教師だしからぬ行為以前に、人間としてもどうかと思う。
「龍くん、やり過ぎだよ」
「良いんだ。黒埼は星夜同様少し生真面目過ぎるから、こうやってたまには息抜きさせないとな」
「…………」
心底から呆れて何も言えない。
言いたいことは何となく分かるけれど、なんでそれで私が捲き込まれないといけないの?
「黒崎、大丈夫? 今のは耳打ちされただけだから、絶対に変な誤解しないで」
「そうなのか?」
「うん。例え龍くんにキスされたとしても、私と龍くんは親子の関係でしかないから」
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