108 / 157
5章 私が目指す聖女とは
89.昨夜の大失態
しおりを挟む
目が覚めるとカーテンの隙間から太陽の日差しがこもれ、朝だと言うことが分かる。でももまだ起きたくなくって、布団の中でまどろんでいた。隣ではチョピが幸せそうにスヤスヤと寝ている。
この瞬間が幸せ。
だが、
だんだん意識がハッキリして行く中、昨夜の出来事を思い出しガバッと飛び起きる。
私眠いからってパパにおんぶを催促しておんぶされて………眠りについた?
家に帰った記憶がまったくないと言うことは、パパがここまで連れて来てくれ寝かしてくれた。
みんなにおんぶされた所を見られた?
嫌な予感がさっと過り身なりを確認すれば、私はパジャマ姿。
またパパに? いやお母さん? それとも陽?
ここにはどんなにやらかしても冷やかす人はいないけれど、それでも見られたことが恥ずかしい。
【セイカ、おはよう。どうしたの?】
「あ、チョピ、おはよう。私昨夜どうやって家に帰ってきて、寝たの?」
チョピも目を覚まし声をかけられ不思議そうに聞かれるから、恐る恐る真相を確かめる。
【セイカのパパにおぶわれて帰ってきたよ。起こしても起きないから、セイカのお母さんがここでパジャマに着替えさせて寝かせてたよ】
予想通りの回答をチョピは明るく言って、私に飛び付きキスをする。
別に良いけれど、なぜいきなり?
【昨日のセイカはすごく甘えん坊さんで可愛かったんだよ。だから今日のボクは甘えん坊さんなの】
「!?」
聞きたくなかった真実に絶句する私に、よく分からない理屈をこねるチョピはすり寄り尻尾も絡める。
まったく記憶にございません。
信じたくもないです。
でも私にはどうやら昔から赤ちゃん返りし、パパと龍くんに甘えまくる時があるらしい。
初めて聞かされた時は冗談だと思って信じなられなかったけれど、動画に撮られ見せられて泣きながら納得したと言う苦い記憶がある。
グー
お腹の音が大きく鳴り響く。
いつものことなんだけれど、なんで私のお腹の虫は空気が読めないんだろうか?
こんな所で普通は鳴……そう言えば夕飯食べてないんだった。
私の身体は精神的ショックよりも、空腹の危機を優先した……。
【セイカ、お腹空いたんだね。ボクもだからキッチンに行こう】
「そうだね」
空腹には勝てるはずもなくチョピの提案に乗り、身なりを軽く整え憂鬱な気持ちのまま部屋を出る。同じタイミングで隣の部屋からお母さんが出て来て、私の顔を見るなり満悦の笑顔を漏らし私の元にやって来てギュッと抱きしめる。
???????????????
「セイちゃん、おはよう。よく眠れた?」
「おはよう。うん、よく眠れたよ」
最大級のイヤな予感がする物の払いのけるのは可哀想で、とにかくお母さんと話を合わせる。
星ちゃんって、何?
「それは良かった。昨日はあたしの知っているセイカが戻ってくれて嬉しかった。これからもたまにで良いから、昨夜のようなセイちゃんに戻って欲しいんだ」
「お母さんが知ってる私って……二歳児の私?」
「正確には一歳児だがな」
滅茶苦茶ご機嫌のお母さんのありえない台詞を聞いた途端、多分私の顔から血の気がサッと引き真っ青になる。信じたくなく拒否反応を起こす。
「……陽にその姿見られた?」
「いいや。あたしの知っているセイカに戻ったのはセイカの自室でのことだから、ヒナタとヨハンは知らないよ。それにセイヤにこのことは他言無用とキツく口止めされている」
そんな娘の姿を見てようやく事態に気づいたお母さんは、驚きながらも最悪事態までにはなってないと教てくれる。
そうであっても失態は失態で恥じるべきことなんだろうけれど、取り敢えず両親の前だけだったらギリセーフだと思いたい。そしてパパのナイスアシストには感謝だ。
「うん、昨夜のことは家族の秘密だよ。知られたら恥ずかしいから」
「分かってるよ。あたしにもこれでようやく家族の秘密を持てた」
私からもちゃんとお願いするとお母さんは満足そうに頷いてくれたので、これで本当に昨夜の件は闇に葬ることが出来た。
ホッとしたら余計にお腹が空いてきて、早くなんでも良いから食べたい。
「お母さん、夕食の残りってある?」
「ハンバーグと言う物があるはずだから、焼いてあげよう」
「え、ハンバーグ? パパのハンバーグは絶品だから楽しみ」
聞いただけでよだれが出て来そうなメニューだった。
パパの料理はなんでも絶品だけれど、中でもハンバーグは五本の指に入るほど。
トゥーランには挽肉と言う物がなかったので、ハンバーグは本当に久しぶり。確か挽肉の料理はラザニアが最後だったような?
「セイカもハンバーグが好きなのか? ヒナタもすごく喜んでいて、感動してたよ。ツヨシにも残してくれと頼んでた」
「うん。多分みんな大好きだと思うよ」
ハンバーグが嫌いと言う人も中にはいるとは思うけれど、少なくても私の知る限りではみんなが好き。太だけじゃなく龍くんも黒崎だって食べたいはず。
待てよ。ハンバーグが作れるなら餃子や春巻きそれから麻婆豆腐も作れるのかな? あ、ハンバーガーも食べたい。
「確かにハンバーグは絶品だったな。と言うよりセイヤが作るものは、すべてお世辞抜きでおいしい」
「そうだね。だけどハンバーグのお肉はどこで手に入れたんだろうね?」
「一昨日セイヤが狩ったモンスターを昨日さばいていたから、その時に作ったようだ。ソーセージと言う物も作ってた。あれはお酒のつまみだな」
まさかまさかの手作りとソーセージまでとは驚きだった。
パパの料理スキルは計り知れない。
「三人ともおはよう」
「あ、パパ。おはよう」
「チュピ」
下に降りるとパパに声を掛けられ視線を合わせると、パンパンのエコバッグを肩掛けかごを持ったパパの姿があった。ワイルドパパには似合わない組み合わせ。
「おはよう。一体朝からどこに行ってたんだ?」
「卵とチーズとミルクの調達だよ。星歌にとびっきり美味しい朝食を作ろうと思ってな」
「君は朝から元気だな。だったらあたしのも頼むよ」
【ボクも食べる】
私も思ったお母さんの素朴な問いに、何気ないでも張り切ってるパパらしい答え。
パパのとびっきり美味しいと言ったら間違えがないので、私達の心は完全に奪われたのは言うまでもないだろう。四人仲良くキッチンへ向かう。
この瞬間が幸せ。
だが、
だんだん意識がハッキリして行く中、昨夜の出来事を思い出しガバッと飛び起きる。
私眠いからってパパにおんぶを催促しておんぶされて………眠りについた?
家に帰った記憶がまったくないと言うことは、パパがここまで連れて来てくれ寝かしてくれた。
みんなにおんぶされた所を見られた?
嫌な予感がさっと過り身なりを確認すれば、私はパジャマ姿。
またパパに? いやお母さん? それとも陽?
ここにはどんなにやらかしても冷やかす人はいないけれど、それでも見られたことが恥ずかしい。
【セイカ、おはよう。どうしたの?】
「あ、チョピ、おはよう。私昨夜どうやって家に帰ってきて、寝たの?」
チョピも目を覚まし声をかけられ不思議そうに聞かれるから、恐る恐る真相を確かめる。
【セイカのパパにおぶわれて帰ってきたよ。起こしても起きないから、セイカのお母さんがここでパジャマに着替えさせて寝かせてたよ】
予想通りの回答をチョピは明るく言って、私に飛び付きキスをする。
別に良いけれど、なぜいきなり?
【昨日のセイカはすごく甘えん坊さんで可愛かったんだよ。だから今日のボクは甘えん坊さんなの】
「!?」
聞きたくなかった真実に絶句する私に、よく分からない理屈をこねるチョピはすり寄り尻尾も絡める。
まったく記憶にございません。
信じたくもないです。
でも私にはどうやら昔から赤ちゃん返りし、パパと龍くんに甘えまくる時があるらしい。
初めて聞かされた時は冗談だと思って信じなられなかったけれど、動画に撮られ見せられて泣きながら納得したと言う苦い記憶がある。
グー
お腹の音が大きく鳴り響く。
いつものことなんだけれど、なんで私のお腹の虫は空気が読めないんだろうか?
こんな所で普通は鳴……そう言えば夕飯食べてないんだった。
私の身体は精神的ショックよりも、空腹の危機を優先した……。
【セイカ、お腹空いたんだね。ボクもだからキッチンに行こう】
「そうだね」
空腹には勝てるはずもなくチョピの提案に乗り、身なりを軽く整え憂鬱な気持ちのまま部屋を出る。同じタイミングで隣の部屋からお母さんが出て来て、私の顔を見るなり満悦の笑顔を漏らし私の元にやって来てギュッと抱きしめる。
???????????????
「セイちゃん、おはよう。よく眠れた?」
「おはよう。うん、よく眠れたよ」
最大級のイヤな予感がする物の払いのけるのは可哀想で、とにかくお母さんと話を合わせる。
星ちゃんって、何?
「それは良かった。昨日はあたしの知っているセイカが戻ってくれて嬉しかった。これからもたまにで良いから、昨夜のようなセイちゃんに戻って欲しいんだ」
「お母さんが知ってる私って……二歳児の私?」
「正確には一歳児だがな」
滅茶苦茶ご機嫌のお母さんのありえない台詞を聞いた途端、多分私の顔から血の気がサッと引き真っ青になる。信じたくなく拒否反応を起こす。
「……陽にその姿見られた?」
「いいや。あたしの知っているセイカに戻ったのはセイカの自室でのことだから、ヒナタとヨハンは知らないよ。それにセイヤにこのことは他言無用とキツく口止めされている」
そんな娘の姿を見てようやく事態に気づいたお母さんは、驚きながらも最悪事態までにはなってないと教てくれる。
そうであっても失態は失態で恥じるべきことなんだろうけれど、取り敢えず両親の前だけだったらギリセーフだと思いたい。そしてパパのナイスアシストには感謝だ。
「うん、昨夜のことは家族の秘密だよ。知られたら恥ずかしいから」
「分かってるよ。あたしにもこれでようやく家族の秘密を持てた」
私からもちゃんとお願いするとお母さんは満足そうに頷いてくれたので、これで本当に昨夜の件は闇に葬ることが出来た。
ホッとしたら余計にお腹が空いてきて、早くなんでも良いから食べたい。
「お母さん、夕食の残りってある?」
「ハンバーグと言う物があるはずだから、焼いてあげよう」
「え、ハンバーグ? パパのハンバーグは絶品だから楽しみ」
聞いただけでよだれが出て来そうなメニューだった。
パパの料理はなんでも絶品だけれど、中でもハンバーグは五本の指に入るほど。
トゥーランには挽肉と言う物がなかったので、ハンバーグは本当に久しぶり。確か挽肉の料理はラザニアが最後だったような?
「セイカもハンバーグが好きなのか? ヒナタもすごく喜んでいて、感動してたよ。ツヨシにも残してくれと頼んでた」
「うん。多分みんな大好きだと思うよ」
ハンバーグが嫌いと言う人も中にはいるとは思うけれど、少なくても私の知る限りではみんなが好き。太だけじゃなく龍くんも黒崎だって食べたいはず。
待てよ。ハンバーグが作れるなら餃子や春巻きそれから麻婆豆腐も作れるのかな? あ、ハンバーガーも食べたい。
「確かにハンバーグは絶品だったな。と言うよりセイヤが作るものは、すべてお世辞抜きでおいしい」
「そうだね。だけどハンバーグのお肉はどこで手に入れたんだろうね?」
「一昨日セイヤが狩ったモンスターを昨日さばいていたから、その時に作ったようだ。ソーセージと言う物も作ってた。あれはお酒のつまみだな」
まさかまさかの手作りとソーセージまでとは驚きだった。
パパの料理スキルは計り知れない。
「三人ともおはよう」
「あ、パパ。おはよう」
「チュピ」
下に降りるとパパに声を掛けられ視線を合わせると、パンパンのエコバッグを肩掛けかごを持ったパパの姿があった。ワイルドパパには似合わない組み合わせ。
「おはよう。一体朝からどこに行ってたんだ?」
「卵とチーズとミルクの調達だよ。星歌にとびっきり美味しい朝食を作ろうと思ってな」
「君は朝から元気だな。だったらあたしのも頼むよ」
【ボクも食べる】
私も思ったお母さんの素朴な問いに、何気ないでも張り切ってるパパらしい答え。
パパのとびっきり美味しいと言ったら間違えがないので、私達の心は完全に奪われたのは言うまでもないだろう。四人仲良くキッチンへ向かう。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説


〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる