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5章 私が目指す聖女とは
84.学ばないパパ
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「セイカ、ファムクロス探しは諦めた方がよさそうだ」
「え、どうして?」
「おそらくこの洞窟にはもうモンスターはいないだろう。このただならぬ驚異的な殺気がわからないのか?」
洞窟に入るなりお母さんはうんざりとばかりにそう言うけれど、私にはまったく分からずキョトンとするだけ。辺りを見回してもとくに何も感じない。
「うん。ひょっとして私の危機感能力ゼロ?」
「その逆だよ。これはあたし達にはまったく脅威ないものだからな」
「? まさか?」
その答えで私にも誰の物か分かる。唖然とするけれど、その人なら全部説明がつく。
でもなんで?
「そうセイヤだ。洞窟にいるモンスターを狩りつくしたせいで、気が荒ぶっているのだろう。強さを追求するの構わんが、今夜は休めと言ったのにあいつはなんで聞かない。説教してやる」
約束を破られたことがとにかく気にくわないようで、心配するよりも滅茶苦茶怒り出す。
瞳の奥がメラメラと燃えていてとにかく怖い。ここでお母さんの怒りを静めないと、いろんな意味でパパが危ない。
「お母さん、落ちついて。パパは私を護るためにやっているんだから、ほどほどにしてよね」
「セイカは本当に優しいね。でも今のセイヤの体調はあんまりよろしくないんだよ。丸二日寝てない上、過剰な肉体労働。夜とはモンスター相手に鍛錬してる。説教するのは当然だ」
パパの加勢は失敗に終わっただけでなくそう言う理由を聞いたら、私もパパの体調が気になってそれ以上加勢が出来なくなる。って言うかそう言うことならば、パパには休息が必要だ。
どうせパパに体調の心配しても大丈夫だよと言うだけで、大人しく休んでくれるはずがない。心を鬼にする。
「そうだね。そう言うことなら二人で説教しよう。それからパパの大丈夫は絶対信じたらいけないよ」
「ああ、分かってる。あたしもそれで何度も騙されたんだ」
母娘の団結力はさらに強くなりパパの駄目な部分を教える。お母さんも同じく被害にあっていたことが発覚。悲しい怒りが沸々と燃え上がっているのを感じ取り、私以上に相当苦労している。
「愛娘と最愛の妻が泣いて説教すればどうにかなるのかな?」
「一時的になら効果抜群だと思うが、二三日したら元の鍛錬馬鹿に戻るだろうな。でも例え一日でも休んでくれれば良いか」
そこでとっさに思いついた姑息な手段を提案して見るも、やっぱりそうですよねと思う答えが返ってくる。とは言え言葉に出されると幻滅して、ため息をついてうんざりしてしまう。
鍛錬馬鹿で、脳筋馬鹿。
パパを知らない第三者が聞いたら、ろくでもない父親だと思われるよね? パパは本来温厚で物静かな性格なのに、なんでこんなことになってるんだろう?
どっちが本来のパパなんだろうと時々考えちゃうし、お母さんが戻ってきてからはちょっと不安だ。
「お母さんはパパが温厚で物静かな今とは真逆の性格でも好きでいられる?」
「好きでいられると言うより、セイヤは本来そう言う性格なんだろう? 最強の格闘家なのに本当は争いごとを嫌ってる。でもあいつは心優しいから困っていたら手を差し伸べるし、誰かが傷つくぐらいなら頑丈な自分が傷ついて倒す。本当に困った奴だよ」
これも余計な心配だったようで、お母さんはパパのすべてを知っていて愛してくれている。むしろそっちのパパの方が好きなのかも知れない。
あ、だから今こんなに怒っているんだね。
これなら地球に帰っても、何も心配はなさそうだ。
「わぁ~きれい」
「本当だな。今夜は二つのメレが重なる日だから一段ときれいだ」
パパを捜してお母さんが私には分からない気を辿っている途中、薄暗いどんよりのした景色がいきなりパッと明るくなる。キラキラ反射したドラゴンブルー色の泉が目の前に広がり中心には光柱が空高く立っていた。
あまりにも神秘的な光景に私の目は一瞬で奪われ、喚声を上げながら見惚れる。お母さんも同じ。
聖女の泉も幻想的だったけれど、ここも負けてはいない。マイナスイオンをバシバシ感る……気がする。
【セイカ、この泉には聖域ではないけれど、神秘的な力が宿っていて聖女の力を強化してくれる。だからみそぎをしよう】
「それ本当? お母さん、この泉でみそぎをすると聖女の力が強化するんだって。パパと合流したら、みそぎをして良い?」
バッグの中で気持ちよさそうにまどろんでいたチョピが、いつの間にか完全復活していて私のためになることを教えてくれる。
そしてバッグから飛び出すチョピをギュッと抱きしめ、お母さん元気よく通訳。
「もちろんだ。それでセイヤに見張りをしてもらえば完璧だ」
「うん。ねぇチョピ神秘的な泉って他にもあるの?」
【それはボクにも分からない。この泉だってメレが重なり合って出来た光柱を見られるのは今夜だけ。メレが重なり合うのは珍しいことでもないんだけど、ここまでの光柱は数十年に一度ぐらい】
一瞬でも神秘的な泉を巡りパワーアップしまくろうと考えた私が愚か者でした。
神秘的な光景は滅多に見ることが出来ないのですね?
そんな瞬間に立ち会えただけでも感謝しないといけない。
「お母さん、こここまで神秘的な光景なのは数十年に一度らしいよ」
「ほぉー。それはありがたい。だったらさっさとセイヤを捜してこよう」
【捜さなくてもそのペアリングに強く念じれば、セイカのパパが瞬間移動で来るんじゃないの?】
「!? そうだった。すっかり忘れてたけど、パパをここに呼べるんだった」
再びパパ捜しを再開しようとしたけれど、チョピに言われて大切なことを思い出し叫ぶ。
ルーナスさんに防犯用としてもらったペアリングは、命の危険じゃなくても念じれば何度だって呼び寄せられる優れ物。使わな過ぎて忘れていた。
さっそくパパを思い浮かべリングに強く念じると、リングの文字が赤く光り始める。
「え、どうして?」
「おそらくこの洞窟にはもうモンスターはいないだろう。このただならぬ驚異的な殺気がわからないのか?」
洞窟に入るなりお母さんはうんざりとばかりにそう言うけれど、私にはまったく分からずキョトンとするだけ。辺りを見回してもとくに何も感じない。
「うん。ひょっとして私の危機感能力ゼロ?」
「その逆だよ。これはあたし達にはまったく脅威ないものだからな」
「? まさか?」
その答えで私にも誰の物か分かる。唖然とするけれど、その人なら全部説明がつく。
でもなんで?
「そうセイヤだ。洞窟にいるモンスターを狩りつくしたせいで、気が荒ぶっているのだろう。強さを追求するの構わんが、今夜は休めと言ったのにあいつはなんで聞かない。説教してやる」
約束を破られたことがとにかく気にくわないようで、心配するよりも滅茶苦茶怒り出す。
瞳の奥がメラメラと燃えていてとにかく怖い。ここでお母さんの怒りを静めないと、いろんな意味でパパが危ない。
「お母さん、落ちついて。パパは私を護るためにやっているんだから、ほどほどにしてよね」
「セイカは本当に優しいね。でも今のセイヤの体調はあんまりよろしくないんだよ。丸二日寝てない上、過剰な肉体労働。夜とはモンスター相手に鍛錬してる。説教するのは当然だ」
パパの加勢は失敗に終わっただけでなくそう言う理由を聞いたら、私もパパの体調が気になってそれ以上加勢が出来なくなる。って言うかそう言うことならば、パパには休息が必要だ。
どうせパパに体調の心配しても大丈夫だよと言うだけで、大人しく休んでくれるはずがない。心を鬼にする。
「そうだね。そう言うことなら二人で説教しよう。それからパパの大丈夫は絶対信じたらいけないよ」
「ああ、分かってる。あたしもそれで何度も騙されたんだ」
母娘の団結力はさらに強くなりパパの駄目な部分を教える。お母さんも同じく被害にあっていたことが発覚。悲しい怒りが沸々と燃え上がっているのを感じ取り、私以上に相当苦労している。
「愛娘と最愛の妻が泣いて説教すればどうにかなるのかな?」
「一時的になら効果抜群だと思うが、二三日したら元の鍛錬馬鹿に戻るだろうな。でも例え一日でも休んでくれれば良いか」
そこでとっさに思いついた姑息な手段を提案して見るも、やっぱりそうですよねと思う答えが返ってくる。とは言え言葉に出されると幻滅して、ため息をついてうんざりしてしまう。
鍛錬馬鹿で、脳筋馬鹿。
パパを知らない第三者が聞いたら、ろくでもない父親だと思われるよね? パパは本来温厚で物静かな性格なのに、なんでこんなことになってるんだろう?
どっちが本来のパパなんだろうと時々考えちゃうし、お母さんが戻ってきてからはちょっと不安だ。
「お母さんはパパが温厚で物静かな今とは真逆の性格でも好きでいられる?」
「好きでいられると言うより、セイヤは本来そう言う性格なんだろう? 最強の格闘家なのに本当は争いごとを嫌ってる。でもあいつは心優しいから困っていたら手を差し伸べるし、誰かが傷つくぐらいなら頑丈な自分が傷ついて倒す。本当に困った奴だよ」
これも余計な心配だったようで、お母さんはパパのすべてを知っていて愛してくれている。むしろそっちのパパの方が好きなのかも知れない。
あ、だから今こんなに怒っているんだね。
これなら地球に帰っても、何も心配はなさそうだ。
「わぁ~きれい」
「本当だな。今夜は二つのメレが重なる日だから一段ときれいだ」
パパを捜してお母さんが私には分からない気を辿っている途中、薄暗いどんよりのした景色がいきなりパッと明るくなる。キラキラ反射したドラゴンブルー色の泉が目の前に広がり中心には光柱が空高く立っていた。
あまりにも神秘的な光景に私の目は一瞬で奪われ、喚声を上げながら見惚れる。お母さんも同じ。
聖女の泉も幻想的だったけれど、ここも負けてはいない。マイナスイオンをバシバシ感る……気がする。
【セイカ、この泉には聖域ではないけれど、神秘的な力が宿っていて聖女の力を強化してくれる。だからみそぎをしよう】
「それ本当? お母さん、この泉でみそぎをすると聖女の力が強化するんだって。パパと合流したら、みそぎをして良い?」
バッグの中で気持ちよさそうにまどろんでいたチョピが、いつの間にか完全復活していて私のためになることを教えてくれる。
そしてバッグから飛び出すチョピをギュッと抱きしめ、お母さん元気よく通訳。
「もちろんだ。それでセイヤに見張りをしてもらえば完璧だ」
「うん。ねぇチョピ神秘的な泉って他にもあるの?」
【それはボクにも分からない。この泉だってメレが重なり合って出来た光柱を見られるのは今夜だけ。メレが重なり合うのは珍しいことでもないんだけど、ここまでの光柱は数十年に一度ぐらい】
一瞬でも神秘的な泉を巡りパワーアップしまくろうと考えた私が愚か者でした。
神秘的な光景は滅多に見ることが出来ないのですね?
そんな瞬間に立ち会えただけでも感謝しないといけない。
「お母さん、こここまで神秘的な光景なのは数十年に一度らしいよ」
「ほぉー。それはありがたい。だったらさっさとセイヤを捜してこよう」
【捜さなくてもそのペアリングに強く念じれば、セイカのパパが瞬間移動で来るんじゃないの?】
「!? そうだった。すっかり忘れてたけど、パパをここに呼べるんだった」
再びパパ捜しを再開しようとしたけれど、チョピに言われて大切なことを思い出し叫ぶ。
ルーナスさんに防犯用としてもらったペアリングは、命の危険じゃなくても念じれば何度だって呼び寄せられる優れ物。使わな過ぎて忘れていた。
さっそくパパを思い浮かべリングに強く念じると、リングの文字が赤く光り始める。
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