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5章 私が目指す聖女とは
83.大きな誤解
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「セイヤには劣るが、ツヨシもかなりのいい男だな? あたしも二人がうまく行くよう応援してよう」
「ありがとう」
パパが知らない太との嬉し恥ずかしい思い出話を中心に話をすれば、お母さんから大絶賛され今まで以上に応援される。さらりとパパより劣ると言っている辺り、やっぱりお母さんは正直物なんだなと思った。
まぁ私もまだパパが世界一だと思っているから、そう言われても気には障らないんだけど。
いつかお母さんとどっちが世界一なのか言い争いになるのかな?
「だったら早くピアスのお返しをしないとな。炎を司る魔剣を贈るのはどうだろうか?」
「うん。それってこの辺に生息しているモンスターからドロップされるの?」
「……は、ドロップ? モンスターが魔剣など持っている訳ないだろう?」
モンスターを倒せばアイテムがドロップされると思っている私の何気ない問いに、お母さんは呆気に取られそうじゃないと教えてくれる。
世間知らずの娘を見る冷たい覚めた眼差しが、痛すぎてとっさに視線をそらす。
モンスターを倒してもドロップされない?
「でもこのピアスは上級モンスターを倒した戦利品だって」
ドロップが出来なければ、ピアスはどこから来たと言うことになる。
戦利品と言うのは嘘? だったらこのピアスはどこから出て来た?
「それはファイレスと言うモンスターの魔石。ピアスに加工したんだろう。それにしてもモンスターが持っている発想はどこから来たんだ? まさかリュウノスケに担がれたんじゃないのか?」
「違う。龍くんは悪くない。地球のTVゲームでモンスターを倒すとアイテムがドロップされるから、そう言う物なんだと勝手に思い込んでたの」
なぜか思い込みの原因が龍くんにされそうだったから、全力で否定しよく考えれば情けないアホな思い込みを恥ずかしながらも白状する。
確かに今までモンスターを倒してもアイテムがドロップされたことが一度もなく、それでも強いモンスターを倒せばドロップ出来るだろうと思っていた。だから今まで誰にも聞かずにいたけんだけれど、もしかしてそう思い込んでいたのは私だけ?
陽は知っていたと言うか、最悪そんなこと夢にも思っていなかったのかも知れない。ゲーマーである私と太だけが誤解してたのかも?
……龍くんに知られたら死ぬほど笑われそうだから、黙っておこう。
「なるほど、そう言うことか」
「誰にも言わないでよ。これはお母さんと私だけの秘密だよ」
「分かった。それじゃ誤解も無事に解けたようだし、ピアスのお返しは炎を司る魔剣でいい?」
「うん。炎を司る魔剣を作るには何が必要なの?」
秘密と言うのは効果抜群で話は再び本題に戻り、私もそれは賛成だから先に進ませる。
炎を司る魔剣は名前からして太好みだから、贈ったらすごく喜んでくれると思う。そしたら私も嬉しいから、何が何でも作りたい。魔剣ってどうやって作るんだろう?。
「材料は鋼、スピリス、炎の魔石の三つ。あそこの洞窟で揃う。鋼とスピリスは採掘で、炎の魔石はファムクロスと言うモンスターを倒さなければいけない。二匹分必要だ」
「そのファムクロスって強いの?」
ほんの少しだけ採取だけで材料が揃えればいいなと期待していたけれど、やっぱり世の名そんなに甘くはない。初めて聞くモンスターの実力を聞く。
「そこそこな。カマイタチなら楽勝だ」
「そうだね。でもカマイタチは無闇に使わないってパパと約束したから、普通の魔術で頑張っ……あっ?」
お互いに物ごとをあまり深く考えず正直に言い合ったのがいけなかった。私の言葉に不意にお母さんの表情が曇るのを見た途端、余計なことを言ってしまったと思い口を両手に塞ぐ。
魔族で魔王一族のお母さんにとっては、カマイタチは誇り高い魔王の力で使うのに抵抗がないはず。私は人間に育てられているから魔王の力には魔術を習うことによって違和感を覚えた。何よりパパが嫌がるし、これ以上魔族の姿にはなりたくない。でも魔族が悪いとか怖いとは思っていない。
「そうだな。セイカはセイヤと同じ人間だったな。変なことを言ってすまない」
「私もごめんなさい。でも自分が魔族で魔王の娘だと知ったのが三ヶ月前だったから、出来ることなら人間でいたい。魔族の自分もちゃんと受け入れてるから、それでいいよね?」
なんでもお見通しのようで悲しげに問うお母さんに、私は本心を隠さずに伝える。
お母さんを傷つけたくないけれど、嘘をつきたくなかったから。嘘をついてもお母さんは喜ばない。
「セイカは優しいんだな。そう思ってくれるだけで充分だから、これ以上気にしなくても良い。母さんはどんなセイカであっても愛して味方でいるからな」
「ありがとう。お母さんならそう言ってくれると思ってた。パパも何があっても私の味方でいてくれるから」
思った通りの答えにわだかまりは消え笑い合い手を繋ぎ、魔剣の材料が揃っている洞窟にいざ出──
あ、あまり帰りが遅くなると特にパパが心配するよね?
「パパに、連絡入れておいた方が良いよね?」
「それなら問題ない。今夜はあたしがセイカを独占するから、今夜はゆっくり休めと言ってきた」
「それなら安心だね」
心配しなくてもすでにお母さんが言ってくれていた。
これで思う存分材料発掘とモンスター倒しに専念出来る。
「ありがとう」
パパが知らない太との嬉し恥ずかしい思い出話を中心に話をすれば、お母さんから大絶賛され今まで以上に応援される。さらりとパパより劣ると言っている辺り、やっぱりお母さんは正直物なんだなと思った。
まぁ私もまだパパが世界一だと思っているから、そう言われても気には障らないんだけど。
いつかお母さんとどっちが世界一なのか言い争いになるのかな?
「だったら早くピアスのお返しをしないとな。炎を司る魔剣を贈るのはどうだろうか?」
「うん。それってこの辺に生息しているモンスターからドロップされるの?」
「……は、ドロップ? モンスターが魔剣など持っている訳ないだろう?」
モンスターを倒せばアイテムがドロップされると思っている私の何気ない問いに、お母さんは呆気に取られそうじゃないと教えてくれる。
世間知らずの娘を見る冷たい覚めた眼差しが、痛すぎてとっさに視線をそらす。
モンスターを倒してもドロップされない?
「でもこのピアスは上級モンスターを倒した戦利品だって」
ドロップが出来なければ、ピアスはどこから来たと言うことになる。
戦利品と言うのは嘘? だったらこのピアスはどこから出て来た?
「それはファイレスと言うモンスターの魔石。ピアスに加工したんだろう。それにしてもモンスターが持っている発想はどこから来たんだ? まさかリュウノスケに担がれたんじゃないのか?」
「違う。龍くんは悪くない。地球のTVゲームでモンスターを倒すとアイテムがドロップされるから、そう言う物なんだと勝手に思い込んでたの」
なぜか思い込みの原因が龍くんにされそうだったから、全力で否定しよく考えれば情けないアホな思い込みを恥ずかしながらも白状する。
確かに今までモンスターを倒してもアイテムがドロップされたことが一度もなく、それでも強いモンスターを倒せばドロップ出来るだろうと思っていた。だから今まで誰にも聞かずにいたけんだけれど、もしかしてそう思い込んでいたのは私だけ?
陽は知っていたと言うか、最悪そんなこと夢にも思っていなかったのかも知れない。ゲーマーである私と太だけが誤解してたのかも?
……龍くんに知られたら死ぬほど笑われそうだから、黙っておこう。
「なるほど、そう言うことか」
「誰にも言わないでよ。これはお母さんと私だけの秘密だよ」
「分かった。それじゃ誤解も無事に解けたようだし、ピアスのお返しは炎を司る魔剣でいい?」
「うん。炎を司る魔剣を作るには何が必要なの?」
秘密と言うのは効果抜群で話は再び本題に戻り、私もそれは賛成だから先に進ませる。
炎を司る魔剣は名前からして太好みだから、贈ったらすごく喜んでくれると思う。そしたら私も嬉しいから、何が何でも作りたい。魔剣ってどうやって作るんだろう?。
「材料は鋼、スピリス、炎の魔石の三つ。あそこの洞窟で揃う。鋼とスピリスは採掘で、炎の魔石はファムクロスと言うモンスターを倒さなければいけない。二匹分必要だ」
「そのファムクロスって強いの?」
ほんの少しだけ採取だけで材料が揃えればいいなと期待していたけれど、やっぱり世の名そんなに甘くはない。初めて聞くモンスターの実力を聞く。
「そこそこな。カマイタチなら楽勝だ」
「そうだね。でもカマイタチは無闇に使わないってパパと約束したから、普通の魔術で頑張っ……あっ?」
お互いに物ごとをあまり深く考えず正直に言い合ったのがいけなかった。私の言葉に不意にお母さんの表情が曇るのを見た途端、余計なことを言ってしまったと思い口を両手に塞ぐ。
魔族で魔王一族のお母さんにとっては、カマイタチは誇り高い魔王の力で使うのに抵抗がないはず。私は人間に育てられているから魔王の力には魔術を習うことによって違和感を覚えた。何よりパパが嫌がるし、これ以上魔族の姿にはなりたくない。でも魔族が悪いとか怖いとは思っていない。
「そうだな。セイカはセイヤと同じ人間だったな。変なことを言ってすまない」
「私もごめんなさい。でも自分が魔族で魔王の娘だと知ったのが三ヶ月前だったから、出来ることなら人間でいたい。魔族の自分もちゃんと受け入れてるから、それでいいよね?」
なんでもお見通しのようで悲しげに問うお母さんに、私は本心を隠さずに伝える。
お母さんを傷つけたくないけれど、嘘をつきたくなかったから。嘘をついてもお母さんは喜ばない。
「セイカは優しいんだな。そう思ってくれるだけで充分だから、これ以上気にしなくても良い。母さんはどんなセイカであっても愛して味方でいるからな」
「ありがとう。お母さんならそう言ってくれると思ってた。パパも何があっても私の味方でいてくれるから」
思った通りの答えにわだかまりは消え笑い合い手を繋ぎ、魔剣の材料が揃っている洞窟にいざ出──
あ、あまり帰りが遅くなると特にパパが心配するよね?
「パパに、連絡入れておいた方が良いよね?」
「それなら問題ない。今夜はあたしがセイカを独占するから、今夜はゆっくり休めと言ってきた」
「それなら安心だね」
心配しなくてもすでにお母さんが言ってくれていた。
これで思う存分材料発掘とモンスター倒しに専念出来る。
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