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3章 一難去ってまた一難 魔王の孫娘は不幸?
51.魔王の過去
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「お母さんとヨハンさんが親友ってことは、お母さんと言うか魔族って長寿命だったりするの?」
パパにお母さんの話をしてもらっている中、フッと思った疑問をぶつけてみる。
もしエルフのように長寿命(ヨハンさん曰く純エルフなら千年以上生きるとか)だったら、私のこれからの生き方に関わってくると思う。私はハーフ魔族だから人間と違うんだよね? イヤだけれど、受け入れないといけない。
「そうだな平均寿命百五十歳ぐらいと聞かされている。何より肉体的衰えを感じるのは死ぬ直前らしい」
「そうなんだ。つまりお母さんはいくつだったの?」
「初めて出会ったのが四十歳だった」
思っていたより少ない寿命だと分かりホッとするも、肉体的衰えがほぼないと言うのは問題である。
お母さんはアラフォー女。
確かに結婚式の写真を見た限りでは、パパと同世代にしか見えなかった。女性にとって死ぬまで美貌を保つことは理想だと思うけれど、私はおばあちゃんになれないってこと?
「パパ。私を人間として育てようとしていたけれど、この問題はどうするつもりだったの?」
「魔力と魔王の力を限界まで龍ノ介に封印してもらっていたし、人間とのハーフというのもありさほど問題はなかった。だけどそうだよな? これからはちゃんと考えないといけないか。魔族について、一緒に勉強して行こう」
「うん、そうだね」
私が心配しなくてもちゃんと対策をされていて、忍さえ現れなければ私は何も知らずに生きていた。それはきっと幸せなことだとは思うんだけれど、今は知ることが出来て良かったと思う。
だって本当のパパはワイルドイケメンで、頼りがいのある理想の父親だって分かったんだもん。
何も知らなかったら冴えない父親だと誤解してたままだし、大好きだけど世間の目を気にして距離を取り続けた。何よりお母さんのことを知る機会がなかった。
魔族について知るのは怖いけれど、パパと一緒だったらやっぱり怖くない。
出来れば太陽にも知って……太が知ったら友達のままで彼女には昇格できない?
「太に退かれないかな?」
「太くんなら大丈夫だよ。あの子は星歌が思っているより、ずーとしっかりしていてよく物事を考えてるから」
「そうなの? 太のこと過剰評価してない?」
「そんなことないさ。そのうち星歌にも分かるよ」
自信を持って力説するパパに圧倒されて何も言えなくなるけれど、そんな太をよく言うのはパパしかいない。
外見はイケメンで大人でも中身はおだてるとすぐ調子に乗るお子様。
パパ以外の人達は口を揃えてそう言う。
双子の片割れである陽だって、
いざとなったら頼りにはなるけど、お調子者であるのは確か。
だと言っている。私も陽の意見と同意見。太は頼れるけれど、調子に乗ったらとんでもない。
それなのになぜパパは昔っから太には甘いんだろうか?
「分かるのかな? でもちゃんと太陽に話してみるよ」
「陽ちゃんの心配はないのか?」
「うん。陽は親友として受け止めてくれる。太だって友達としてなら受け止めてはくれると思うけれど、彼氏としてだったら話は別でしょ? ……太は私の彼氏じゃないけど」
「そうだな。仲間と恋人。ましては夫婦となると受け止め方が違うからな」
体験者は語るじゃないけれど、パパの言葉には重荷がある。
パパはお母さんどこまで知って、受け入れたのだろうか?
「パパは魔族について、お母さんの過去も知ってるの?」
「魔族については先生に習ったからな。母さんの過去は実はあまり知らないんだ。昔の話をするのを嫌がってたからな」
「それって恋愛関係なんじゃないの? 特に忍とのこととか」
「それなら知っている。母さんも最初は忍との婚約に異論はなく付き逢ってたそうだが、弱者を虫けら扱いする傲慢な性格についていけなくて別れたと言っている。その頃父親の魔王に対しても、護るべき民さえ自分の駒にしているのに嫌気がさし、家も飛び出し父さん達の魔王討伐に参加したそうだ」
お母さんと忍が恋愛関係にあったのはショックだったけれど、性格不一致ですぐ別れたんだからまだいい。
そしてパパと出会って恋に落ち結ばれた。だから忍はパパをあそこまで恨んでいる。
エリート気質で、ねちっこい。
うわぁ、思ってた以上の最悪な性格。
そして魔王も最悪……私魔王のことも何も知らない。
「魔王はどうして世界征服をしたんだろう?」
「それは父さんにも分からないが、母さんが言うには元々民達を愛し民達から慕われる立派な魔王だったそうだ。人間とも友好的な関係を築いていたが、ある日魔族否定派である人間達に妻と数人の子供を残虐に殺されてしまった。人間に裏切られたと思った魔王は悪魔に魂を売り復讐の鬼となり、人間狩りを始めいつしか大戦争へと発展。父さんの知っている魔王は、良心のかけらもなく人間だけではなく魔族も苦しめていた残忍な魔王だった」
すみません。魔王は最悪ではありませんでした。
これからは知らない人だったら、信用出来る人の話をちゃんと聞いてから判断しようと思います。
だけど魔王も愛妻家で本当はいい人だったんだね?
魔王の力は巨大すぎて怖ろしい物だと言うのは変わらないけれど、悪の力ではなく民達を護る優しい力。魔王の孫娘であっても恐れることはないんだ。
「なんかそれを聞いたら優しかった頃の魔王に会いたくなったかも?」
「父さんもだよ。じゃぁそろそろ帰ろうか?」
「うん、帰ろう」
優しい気持ちになってそう言えば、パパは立ち上がり私に手を差し伸べられる。その手を握り立ち上がる。
いつの間にか太陽は地平線に沈んでいて、空は徐々に暗くなり始めていた。
パパにお母さんの話をしてもらっている中、フッと思った疑問をぶつけてみる。
もしエルフのように長寿命(ヨハンさん曰く純エルフなら千年以上生きるとか)だったら、私のこれからの生き方に関わってくると思う。私はハーフ魔族だから人間と違うんだよね? イヤだけれど、受け入れないといけない。
「そうだな平均寿命百五十歳ぐらいと聞かされている。何より肉体的衰えを感じるのは死ぬ直前らしい」
「そうなんだ。つまりお母さんはいくつだったの?」
「初めて出会ったのが四十歳だった」
思っていたより少ない寿命だと分かりホッとするも、肉体的衰えがほぼないと言うのは問題である。
お母さんはアラフォー女。
確かに結婚式の写真を見た限りでは、パパと同世代にしか見えなかった。女性にとって死ぬまで美貌を保つことは理想だと思うけれど、私はおばあちゃんになれないってこと?
「パパ。私を人間として育てようとしていたけれど、この問題はどうするつもりだったの?」
「魔力と魔王の力を限界まで龍ノ介に封印してもらっていたし、人間とのハーフというのもありさほど問題はなかった。だけどそうだよな? これからはちゃんと考えないといけないか。魔族について、一緒に勉強して行こう」
「うん、そうだね」
私が心配しなくてもちゃんと対策をされていて、忍さえ現れなければ私は何も知らずに生きていた。それはきっと幸せなことだとは思うんだけれど、今は知ることが出来て良かったと思う。
だって本当のパパはワイルドイケメンで、頼りがいのある理想の父親だって分かったんだもん。
何も知らなかったら冴えない父親だと誤解してたままだし、大好きだけど世間の目を気にして距離を取り続けた。何よりお母さんのことを知る機会がなかった。
魔族について知るのは怖いけれど、パパと一緒だったらやっぱり怖くない。
出来れば太陽にも知って……太が知ったら友達のままで彼女には昇格できない?
「太に退かれないかな?」
「太くんなら大丈夫だよ。あの子は星歌が思っているより、ずーとしっかりしていてよく物事を考えてるから」
「そうなの? 太のこと過剰評価してない?」
「そんなことないさ。そのうち星歌にも分かるよ」
自信を持って力説するパパに圧倒されて何も言えなくなるけれど、そんな太をよく言うのはパパしかいない。
外見はイケメンで大人でも中身はおだてるとすぐ調子に乗るお子様。
パパ以外の人達は口を揃えてそう言う。
双子の片割れである陽だって、
いざとなったら頼りにはなるけど、お調子者であるのは確か。
だと言っている。私も陽の意見と同意見。太は頼れるけれど、調子に乗ったらとんでもない。
それなのになぜパパは昔っから太には甘いんだろうか?
「分かるのかな? でもちゃんと太陽に話してみるよ」
「陽ちゃんの心配はないのか?」
「うん。陽は親友として受け止めてくれる。太だって友達としてなら受け止めてはくれると思うけれど、彼氏としてだったら話は別でしょ? ……太は私の彼氏じゃないけど」
「そうだな。仲間と恋人。ましては夫婦となると受け止め方が違うからな」
体験者は語るじゃないけれど、パパの言葉には重荷がある。
パパはお母さんどこまで知って、受け入れたのだろうか?
「パパは魔族について、お母さんの過去も知ってるの?」
「魔族については先生に習ったからな。母さんの過去は実はあまり知らないんだ。昔の話をするのを嫌がってたからな」
「それって恋愛関係なんじゃないの? 特に忍とのこととか」
「それなら知っている。母さんも最初は忍との婚約に異論はなく付き逢ってたそうだが、弱者を虫けら扱いする傲慢な性格についていけなくて別れたと言っている。その頃父親の魔王に対しても、護るべき民さえ自分の駒にしているのに嫌気がさし、家も飛び出し父さん達の魔王討伐に参加したそうだ」
お母さんと忍が恋愛関係にあったのはショックだったけれど、性格不一致ですぐ別れたんだからまだいい。
そしてパパと出会って恋に落ち結ばれた。だから忍はパパをあそこまで恨んでいる。
エリート気質で、ねちっこい。
うわぁ、思ってた以上の最悪な性格。
そして魔王も最悪……私魔王のことも何も知らない。
「魔王はどうして世界征服をしたんだろう?」
「それは父さんにも分からないが、母さんが言うには元々民達を愛し民達から慕われる立派な魔王だったそうだ。人間とも友好的な関係を築いていたが、ある日魔族否定派である人間達に妻と数人の子供を残虐に殺されてしまった。人間に裏切られたと思った魔王は悪魔に魂を売り復讐の鬼となり、人間狩りを始めいつしか大戦争へと発展。父さんの知っている魔王は、良心のかけらもなく人間だけではなく魔族も苦しめていた残忍な魔王だった」
すみません。魔王は最悪ではありませんでした。
これからは知らない人だったら、信用出来る人の話をちゃんと聞いてから判断しようと思います。
だけど魔王も愛妻家で本当はいい人だったんだね?
魔王の力は巨大すぎて怖ろしい物だと言うのは変わらないけれど、悪の力ではなく民達を護る優しい力。魔王の孫娘であっても恐れることはないんだ。
「なんかそれを聞いたら優しかった頃の魔王に会いたくなったかも?」
「父さんもだよ。じゃぁそろそろ帰ろうか?」
「うん、帰ろう」
優しい気持ちになってそう言えば、パパは立ち上がり私に手を差し伸べられる。その手を握り立ち上がる。
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