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3章 一難去ってまた一難 魔王の孫娘は不幸?
40.助けを待つ姫
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【セイカ!!】
「チョピ? 助けに……まさか一人で来たの?」
【うん!! セイカのパパが必ず助けに行くから、心配するなって言ってたよ】
「なら安心だね」
一人になってしまった牢屋で恐怖を感じながらも逃げ出す方法を考えていると、独特な足音がして来て視線を向けるとチョピだった。嬉しそうに私の名を呼び牢屋の隙間から簡単に入ってくる。
パパの伝言を聞くと恐怖はすっとなくなり、嬉しくってチョピをギュッと抱きしめた。
やっぱりパパは私のヒーローだ。どんな時でも私を救ってくれる。
きっとパパのことだから何も考えずに助けに行こうとして、龍くん達にブレーキを掛けられてるんだろうね?
早く助けに来て欲しいとは思う物の、あまり無茶なことをしないで欲しいな。
でも無茶しないとここは助けに行けない場所なんだろうか?
【うん。星歌、怖くないの?】
「さっきまでは怖かったけれど、もう大丈夫。チョピの方こそ良く一人でここまでこれたね?」
【だってボクはセイカ達以外の人には気配を消せるんだもん。だから簡単だよ】
「へぇ~、そうなんだ」
初めて聞く隠し要素を、自信満々でチョピが言う。だけどチョピは聖霊だからそのくらい簡単なんだろう。
聖霊は強いのか?
【所でセイカは一人なの?】
「え、そうだけど、どうして?」
【タイヨウと一緒に誘拐されてないの?】
取り敢えずニシキの存在を隠しつつ理由を聞いてみると、思わぬ答えが返ってきてすぐには理解が出来ずキョトンとなってしまう。チョピも不思議そうに頭を傾げ私を見つめる。
二人の間に沈黙が走る。
え、太陽も誘拐?
私は納得は出来ないけれど、魔王の孫娘だから誘拐される理由がある。
魔王の血族者は皆殺しだもんね。
でも太陽には理由はない。
「なんで太陽が誘拐されるの? ってかどこにいるの?」
【知らない。ボクが分かるのは聖女であるセイカだけだもん】
薄情な答えだったけれど、正直なチョピらしい答えだった。
でもそれだと手がかりがないから困るんだよね?
パパは……私優先だから、龍くんが太陽を捜してくれている?
太がいるから多分大丈夫だとは思うけど。
「ねぇチョピ、見張りは上に何人いる?」
【四人だよ!!】
「うっ……、意外に多い……」
太陽のことが心配で脱走して捜しに行こうと思いそう聞けば、予想以上の多さに表情が固まり自分の考えが浅はかだと身をもって知る。
四人って何?
いても二人ぐらいだと思っていたのに、四人を相手にするなんて無理。
ちょっとした中級攻撃魔術か使いこなせない。相手は戦闘に優れている兵士なのだから、一回限りの目くらましにしかならないだろう。
カマイタチならなんとかなるかもだけど、魔王の力なんて使ったら騒ぎになって援軍が押し寄せたら一環の終わり。
ここはパパが助けに来るのを大人しく待っているべき?
【セイカ、どうするの?】
「う~ん、どうしよう?」
とても難しい選択だ。
カツカツ
階段の上からこちらにやってくる二種類の足音が聞こえてくる。
確実にパパ達の足音ではないから、再び私の恐怖が目を覚ます。反射的にチョピを背後に隠すけれど、すぐにそれは無意味だと気づく。
「ようやく目を覚ましたのか」
階段から若い二人の兵士がやって来て牢屋に近づき、ニヤリ不気味に笑い鉄格子をガタガタと強く揺らす。嫌な好奇の視線を私に向ける。
恐怖のあまり血の気がサッと引き涙があふれ、身体が震え出して止まらない。
この人達は私に何をするの?
嫌なことをされない?
「これが魔王の孫娘ね? 見た目普通の娘じゃないか?」
「魔族は変化の魔術が使えるらしいからな。化けているだけだろう?」
「へぇ~。ならこうすれば、化けの皮が剥がれるんじゃねぇか?」
「え、ちょっとやめ──ッツ」
兵の一人が持っている槍で、二の腕をブスッと刺す。
我慢できる痛みではあるものの、血は結構流れた。その血を兵士達が見て、目を丸くする。
「おい魔族の癖に赤い血なんか流してるぜ? しかもこの脅えようには笑えるよな? 本当にこいつは魔王の孫娘なのか?」
「あ、それオレも思った。オレ本物の魔族って言う物を初めて見たけれど、たいしたことがなさそうだな。」
「…………」
二人はそう侮辱するだけ侮辱して、大声であざ笑う。まるで人ではなく奇妙な物を見て、楽しんでいる会話。
これ以上聞いていられなくて、とっさに耳を塞いでしまう。
とにかく惨めだった。
このままここにいたら、気が狂っておかしくなりそう。
早くここから逃げ出したい。
でも私一人ではどうすることも出来なくって……。
【ボクがセイカのパパが来るまで、セイカを護る】
「え、チョピ?」
もう少しで心が壊れそうな私にチョピは力強く言って、男達に近づいていく。
耳を塞いでいるのにどうして聞こえるのだろうって思ったけれど、ひょっとしたらチョピの声は特別なのかも知れない。
当たり前のように兵士達にはチョピが見えなくて、
「チュピ~」
大きく息を吸ったチョピは耳を塞いだままでも騒音レベルの大声。兵士達にはそれは災害のようで、藻掻き苦しむ前に白目を向き泡を吹いてその場に倒れ込む。
【えへん。これでセイカはもう傷つかないよね?】
「あ、あうん。ありがとう……」
チョピの凄すぎる能力に涙はピッタリと止まり、呆気に取られながらもお礼をする。
【どういたしまして。そしてこれが最後の仕上げ】
「え、あくすぐったい」
と言ってチョピは二の腕の傷口をペロペロとなめると、痛みも傷もすっと消えてしまう。
どうやらチョピは可愛いだけではなく、能力も高いさすが聖霊様だった。
これからは何があっても一緒に行動した方が、私にとってプラスαでしかない。
「チョピ? 助けに……まさか一人で来たの?」
【うん!! セイカのパパが必ず助けに行くから、心配するなって言ってたよ】
「なら安心だね」
一人になってしまった牢屋で恐怖を感じながらも逃げ出す方法を考えていると、独特な足音がして来て視線を向けるとチョピだった。嬉しそうに私の名を呼び牢屋の隙間から簡単に入ってくる。
パパの伝言を聞くと恐怖はすっとなくなり、嬉しくってチョピをギュッと抱きしめた。
やっぱりパパは私のヒーローだ。どんな時でも私を救ってくれる。
きっとパパのことだから何も考えずに助けに行こうとして、龍くん達にブレーキを掛けられてるんだろうね?
早く助けに来て欲しいとは思う物の、あまり無茶なことをしないで欲しいな。
でも無茶しないとここは助けに行けない場所なんだろうか?
【うん。星歌、怖くないの?】
「さっきまでは怖かったけれど、もう大丈夫。チョピの方こそ良く一人でここまでこれたね?」
【だってボクはセイカ達以外の人には気配を消せるんだもん。だから簡単だよ】
「へぇ~、そうなんだ」
初めて聞く隠し要素を、自信満々でチョピが言う。だけどチョピは聖霊だからそのくらい簡単なんだろう。
聖霊は強いのか?
【所でセイカは一人なの?】
「え、そうだけど、どうして?」
【タイヨウと一緒に誘拐されてないの?】
取り敢えずニシキの存在を隠しつつ理由を聞いてみると、思わぬ答えが返ってきてすぐには理解が出来ずキョトンとなってしまう。チョピも不思議そうに頭を傾げ私を見つめる。
二人の間に沈黙が走る。
え、太陽も誘拐?
私は納得は出来ないけれど、魔王の孫娘だから誘拐される理由がある。
魔王の血族者は皆殺しだもんね。
でも太陽には理由はない。
「なんで太陽が誘拐されるの? ってかどこにいるの?」
【知らない。ボクが分かるのは聖女であるセイカだけだもん】
薄情な答えだったけれど、正直なチョピらしい答えだった。
でもそれだと手がかりがないから困るんだよね?
パパは……私優先だから、龍くんが太陽を捜してくれている?
太がいるから多分大丈夫だとは思うけど。
「ねぇチョピ、見張りは上に何人いる?」
【四人だよ!!】
「うっ……、意外に多い……」
太陽のことが心配で脱走して捜しに行こうと思いそう聞けば、予想以上の多さに表情が固まり自分の考えが浅はかだと身をもって知る。
四人って何?
いても二人ぐらいだと思っていたのに、四人を相手にするなんて無理。
ちょっとした中級攻撃魔術か使いこなせない。相手は戦闘に優れている兵士なのだから、一回限りの目くらましにしかならないだろう。
カマイタチならなんとかなるかもだけど、魔王の力なんて使ったら騒ぎになって援軍が押し寄せたら一環の終わり。
ここはパパが助けに来るのを大人しく待っているべき?
【セイカ、どうするの?】
「う~ん、どうしよう?」
とても難しい選択だ。
カツカツ
階段の上からこちらにやってくる二種類の足音が聞こえてくる。
確実にパパ達の足音ではないから、再び私の恐怖が目を覚ます。反射的にチョピを背後に隠すけれど、すぐにそれは無意味だと気づく。
「ようやく目を覚ましたのか」
階段から若い二人の兵士がやって来て牢屋に近づき、ニヤリ不気味に笑い鉄格子をガタガタと強く揺らす。嫌な好奇の視線を私に向ける。
恐怖のあまり血の気がサッと引き涙があふれ、身体が震え出して止まらない。
この人達は私に何をするの?
嫌なことをされない?
「これが魔王の孫娘ね? 見た目普通の娘じゃないか?」
「魔族は変化の魔術が使えるらしいからな。化けているだけだろう?」
「へぇ~。ならこうすれば、化けの皮が剥がれるんじゃねぇか?」
「え、ちょっとやめ──ッツ」
兵の一人が持っている槍で、二の腕をブスッと刺す。
我慢できる痛みではあるものの、血は結構流れた。その血を兵士達が見て、目を丸くする。
「おい魔族の癖に赤い血なんか流してるぜ? しかもこの脅えようには笑えるよな? 本当にこいつは魔王の孫娘なのか?」
「あ、それオレも思った。オレ本物の魔族って言う物を初めて見たけれど、たいしたことがなさそうだな。」
「…………」
二人はそう侮辱するだけ侮辱して、大声であざ笑う。まるで人ではなく奇妙な物を見て、楽しんでいる会話。
これ以上聞いていられなくて、とっさに耳を塞いでしまう。
とにかく惨めだった。
このままここにいたら、気が狂っておかしくなりそう。
早くここから逃げ出したい。
でも私一人ではどうすることも出来なくって……。
【ボクがセイカのパパが来るまで、セイカを護る】
「え、チョピ?」
もう少しで心が壊れそうな私にチョピは力強く言って、男達に近づいていく。
耳を塞いでいるのにどうして聞こえるのだろうって思ったけれど、ひょっとしたらチョピの声は特別なのかも知れない。
当たり前のように兵士達にはチョピが見えなくて、
「チュピ~」
大きく息を吸ったチョピは耳を塞いだままでも騒音レベルの大声。兵士達にはそれは災害のようで、藻掻き苦しむ前に白目を向き泡を吹いてその場に倒れ込む。
【えへん。これでセイカはもう傷つかないよね?】
「あ、あうん。ありがとう……」
チョピの凄すぎる能力に涙はピッタリと止まり、呆気に取られながらもお礼をする。
【どういたしまして。そしてこれが最後の仕上げ】
「え、あくすぐったい」
と言ってチョピは二の腕の傷口をペロペロとなめると、痛みも傷もすっと消えてしまう。
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