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2章 私が生まれた世界“トゥーラン”
20.洗脳を解く鍵
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「それが二十八年前の真実なんですね? 辛い話しをさせてしまい申し訳ありませんでした」
「いいえ。分かってくれるのであれば俺は何度だって話します」
二十八年前の真実が知りたい。
セレス姫の真剣なお願いに、パパと龍くんはゆっくり悲しい過去を語りだす。
それは私が聞いた話よりもさらに詳しく残酷な真実だった。
パパはお母さんが殺される瞬間を目撃してしまい、さらにはパパが信頼していた村人達は私も殺そうとしていた。パパが身を挺して村人達の攻撃を気絶してまですべて受け止めてくれたから、すぐに龍くんが助けに駆けつけてくれたから、私とそしてパパは九死に一生をえた。
私は二人に護られてばかりなんだね?
一生頭が上がらないや。
聞き終わるとセレス姫は悲しそうに謝るけれど、パパは首を横に振り強く言葉を返す。
でも瞳の奥は泣いていて辛そうな所を見ると、相当無理しているんだと思う。
お母さんの冤罪を晴らせれば、自分の心はどうなってもいいとでも思っているんだろうか?
……思ってるよね。
本当にそう言うとことが駄目なんだよね?
「セイヤ様は芯の強い方なのですね? ですがこの真実は主犯が特定するまではここだけの話にして下さい。もちろんセイヤ様が生きていることも、伏せておきましょう」
「そんなことをしなくても、オレ達が民衆に向けた演説をすれば解決するんじゃないか?」
「残念ながら民衆は魔族がすべて敵だという洗脳を何者かにされています。なのでいくら英雄の言葉だとしても、信じてもらえないどころか敵だとみなされるでしょう」
誰もが思う簡単だと思う解決策を龍くんが提案するも、呆気なくセレス姫に否定され最早詰んでるだろう現状を知る。
本当に洗脳はあって、しかもそれは世界中に広がっている。誰が裏で糸を引いている分からないから、今の所打つ手がない。
だから聖女に頼ることにした?
「でもそしたらどうしてあんたら二人は洗脳を逃れている? 矛盾してるだろう?」
「あ、確かにそうだ」
太のふとした疑問にハッと、勢いよく同意してしまう。
もしこれがリュウさんだけなら、龍くんの息子だから洗脳されていないのかもだけど。
「そうですね。私も恥ずかしながら一年前までは、魔族がすべて敵だと信じて疑いませんでした。しかしお母様に譲り受けたこのネックレスのおかげで正気を取り戻しました」
ってセレス姫は言いながらネックレスを外し私達に見せてくれる。
アメジストのような水晶の中にはパールピンク? が綴じ込められていて、神秘的なオーラを解き放している。
「それは俺と龍ノ介がアリア姫の誕生日に贈った品?」
「やっぱりセレス姫はアリアの娘だったんだな? アリアは元気か?」
「ええ、とっても。しかし死んだと言うことにしているので、このことは他言無用でお願いします」
『なぜ?』
驚くべき発言をさらりとお茶目に言うセレス姫に、私達は不思議に思い声をハモらせ問う。
「その方が動きやすいからだそうです。今お母様はレジストという村に身を潜めて、極秘で動いております。敵を欺くには味方からと言って、私にも詳細を教えてくれないんですよ」
「さすがアリア。元気そうで何よりだ」
「だな?」
いかにも憧れたくなるような出来る女の答えに、パパと龍くんはホッとしたのか昔を懐かしむように微笑み合う。
アリア姫(今は女王?)とパパと龍くん。
誕生日祝いを渡す間柄だから普通の関係以上の物がありそう……まさか三角関係?
パパはお母さんに一目惚れをしたと聞いているけれど、お母さんに出会う前だったら充分にありえる。
若かりしパパと龍くんが姫を巡り激しい恋愛バトルを繰り広げて……
「星歌、お前何を考えてる? 言っておくがオレ達三人の間には恋愛感情など一切なかった」
「ああ。そもそも俺はスピカに出会うまでは、強くなることしか考えられなかった」
「なんだつまんないの」
私の考えなど龍くんには筒抜けで冷ややかに何もないと断言され、パパには真面目過ぎる回答をされる。
ちょっと残念な真相ではあったけれど、龍くんはともかくパパらしい。そして本当にお母さんの存在はすごかったんだと思う。
恋することって素敵なんだな。
「そうだったのですね。私も残念でした」
「つまんなくても残念でもないからな。……それにしてもこれが正気に戻るきっかけね」
私と同じく親の恋愛を疑っていたセレス姫はいたずらな笑みで言うのを、龍くんはうんざりげ言い返し話題を戻しネックレスを手に取り眺める。
「だったらそれをみんなに渡せば、正気に戻せるんじゃねぇか?」
「そんな簡単に言うなよな。これは魔王城へ続く洞窟で見つけた貴重な魔石なんだぞ」
太の提案はむずかしらしく龍くんから呆気なく却下される。
「俺も龍ノ介も十四年のブランクがある以上、今そこを攻略するのは難しいだろう。一刻も早く当時の強さを取り戻す必要がある」
「そんなに難関……ラスボス前のダンジョンだから当たり前か。オレも頑張って早く強くなる」
相変わらず真面目過ぎるパパはやる気満々になり、太も唾を飲み込み屈することなく前向きに意気込む。
意気込んで張り切るのは良いことだけど、無理し過ぎて欲しくはないな。それは太よりもパパの方が心配なんだよね? 一体現役の強さと今ではどのぐらいの差があるのかは知らないけれど、ここまでやる気で真面目なパパを見ていると嫌な予感しかしない。
龍くんと言えばそんな二人の姿を弱冠引き気味で見ているから、がむしゃらに鍛錬をつむ感じではなさそう。
「私達も全力でサポートします。それではセイカ様を聖女の泉までご案内しますね」
「その前に陽の様子を見に言っても良いですか?」
「もちろんです」
「チョピ、陽と少し話してくるから、ここでみんなで待っててね」
【うん、分かった。ボクみんなと待ってる】
話はこれで終わりいよいよ聖女の泉にとなるのだけれど、陽のことが気になりそう言って、不気味なほど聞き分けの良いチョピを残し陽がいる客間へと急ぐ。
「いいえ。分かってくれるのであれば俺は何度だって話します」
二十八年前の真実が知りたい。
セレス姫の真剣なお願いに、パパと龍くんはゆっくり悲しい過去を語りだす。
それは私が聞いた話よりもさらに詳しく残酷な真実だった。
パパはお母さんが殺される瞬間を目撃してしまい、さらにはパパが信頼していた村人達は私も殺そうとしていた。パパが身を挺して村人達の攻撃を気絶してまですべて受け止めてくれたから、すぐに龍くんが助けに駆けつけてくれたから、私とそしてパパは九死に一生をえた。
私は二人に護られてばかりなんだね?
一生頭が上がらないや。
聞き終わるとセレス姫は悲しそうに謝るけれど、パパは首を横に振り強く言葉を返す。
でも瞳の奥は泣いていて辛そうな所を見ると、相当無理しているんだと思う。
お母さんの冤罪を晴らせれば、自分の心はどうなってもいいとでも思っているんだろうか?
……思ってるよね。
本当にそう言うとことが駄目なんだよね?
「セイヤ様は芯の強い方なのですね? ですがこの真実は主犯が特定するまではここだけの話にして下さい。もちろんセイヤ様が生きていることも、伏せておきましょう」
「そんなことをしなくても、オレ達が民衆に向けた演説をすれば解決するんじゃないか?」
「残念ながら民衆は魔族がすべて敵だという洗脳を何者かにされています。なのでいくら英雄の言葉だとしても、信じてもらえないどころか敵だとみなされるでしょう」
誰もが思う簡単だと思う解決策を龍くんが提案するも、呆気なくセレス姫に否定され最早詰んでるだろう現状を知る。
本当に洗脳はあって、しかもそれは世界中に広がっている。誰が裏で糸を引いている分からないから、今の所打つ手がない。
だから聖女に頼ることにした?
「でもそしたらどうしてあんたら二人は洗脳を逃れている? 矛盾してるだろう?」
「あ、確かにそうだ」
太のふとした疑問にハッと、勢いよく同意してしまう。
もしこれがリュウさんだけなら、龍くんの息子だから洗脳されていないのかもだけど。
「そうですね。私も恥ずかしながら一年前までは、魔族がすべて敵だと信じて疑いませんでした。しかしお母様に譲り受けたこのネックレスのおかげで正気を取り戻しました」
ってセレス姫は言いながらネックレスを外し私達に見せてくれる。
アメジストのような水晶の中にはパールピンク? が綴じ込められていて、神秘的なオーラを解き放している。
「それは俺と龍ノ介がアリア姫の誕生日に贈った品?」
「やっぱりセレス姫はアリアの娘だったんだな? アリアは元気か?」
「ええ、とっても。しかし死んだと言うことにしているので、このことは他言無用でお願いします」
『なぜ?』
驚くべき発言をさらりとお茶目に言うセレス姫に、私達は不思議に思い声をハモらせ問う。
「その方が動きやすいからだそうです。今お母様はレジストという村に身を潜めて、極秘で動いております。敵を欺くには味方からと言って、私にも詳細を教えてくれないんですよ」
「さすがアリア。元気そうで何よりだ」
「だな?」
いかにも憧れたくなるような出来る女の答えに、パパと龍くんはホッとしたのか昔を懐かしむように微笑み合う。
アリア姫(今は女王?)とパパと龍くん。
誕生日祝いを渡す間柄だから普通の関係以上の物がありそう……まさか三角関係?
パパはお母さんに一目惚れをしたと聞いているけれど、お母さんに出会う前だったら充分にありえる。
若かりしパパと龍くんが姫を巡り激しい恋愛バトルを繰り広げて……
「星歌、お前何を考えてる? 言っておくがオレ達三人の間には恋愛感情など一切なかった」
「ああ。そもそも俺はスピカに出会うまでは、強くなることしか考えられなかった」
「なんだつまんないの」
私の考えなど龍くんには筒抜けで冷ややかに何もないと断言され、パパには真面目過ぎる回答をされる。
ちょっと残念な真相ではあったけれど、龍くんはともかくパパらしい。そして本当にお母さんの存在はすごかったんだと思う。
恋することって素敵なんだな。
「そうだったのですね。私も残念でした」
「つまんなくても残念でもないからな。……それにしてもこれが正気に戻るきっかけね」
私と同じく親の恋愛を疑っていたセレス姫はいたずらな笑みで言うのを、龍くんはうんざりげ言い返し話題を戻しネックレスを手に取り眺める。
「だったらそれをみんなに渡せば、正気に戻せるんじゃねぇか?」
「そんな簡単に言うなよな。これは魔王城へ続く洞窟で見つけた貴重な魔石なんだぞ」
太の提案はむずかしらしく龍くんから呆気なく却下される。
「俺も龍ノ介も十四年のブランクがある以上、今そこを攻略するのは難しいだろう。一刻も早く当時の強さを取り戻す必要がある」
「そんなに難関……ラスボス前のダンジョンだから当たり前か。オレも頑張って早く強くなる」
相変わらず真面目過ぎるパパはやる気満々になり、太も唾を飲み込み屈することなく前向きに意気込む。
意気込んで張り切るのは良いことだけど、無理し過ぎて欲しくはないな。それは太よりもパパの方が心配なんだよね? 一体現役の強さと今ではどのぐらいの差があるのかは知らないけれど、ここまでやる気で真面目なパパを見ていると嫌な予感しかしない。
龍くんと言えばそんな二人の姿を弱冠引き気味で見ているから、がむしゃらに鍛錬をつむ感じではなさそう。
「私達も全力でサポートします。それではセイカ様を聖女の泉までご案内しますね」
「その前に陽の様子を見に言っても良いですか?」
「もちろんです」
「チョピ、陽と少し話してくるから、ここでみんなで待っててね」
【うん、分かった。ボクみんなと待ってる】
話はこれで終わりいよいよ聖女の泉にとなるのだけれど、陽のことが気になりそう言って、不気味なほど聞き分けの良いチョピを残し陽がいる客間へと急ぐ。
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