27 / 157
1章 再び動き始めた運命の歯車
8.私が聖女?
しおりを挟む
「星ちゃん、ちょっと待ってて」
日が暮れカーテンも閉めていたため真っ暗な部屋が少し不気味だなと思っていると、陽がそう言ってすぐにスマホのライトが小さな明かりを灯す。
「チョピ、大丈夫?」
「うん、ボクは大丈夫だよ?」
「!?」
チョピを頭上から下ろし確認すると、なんと言葉をしゃべる。愛らしい舌っ足らずなしゃべり方。
いきなりのことに驚きすぎて開いた口がふさがらない。
ついさっきまでチュピチュピって鳴いていたはずなのに、いきなり話せるようになるの?
まさかさっきの呪文が話せるように……なんで今?
「セイカ、やっぱりボクの言葉が分かるんだね?」
「え、やっぱりって? ねぇ陽もチョピの言葉が分かるよね?」
「ごめん私にはチュピしか聞こえない。星ちゃんはわかるの?」
チョピの言葉に違和感を覚え陽に確認すると、申し訳なさそうに首を横に振って逆に問われてしまう。
何かが終わった気がした。
【うん、そうだよ。ボクの言葉が分かるのは聖女のセイカだけだもん!!】
「!!」
衝撃的な信じたくはない真実を聞かされ、私の脳みそがキャパオーバーを起こす。
…………。
…………。
黒崎は確かトゥーランを平和に導ける者って言っていたよね?
私と 太はそれを聞いてかってに救世主だと思っていたけれど、蓋を開けてみれば聖女(候補)?
聖女って今ラノベや漫画で流行のあれだよね?
特別な聖なる巨大な力を持つ乙女……。
それが私?
なんで?
確かに私には魔王の力と言う特別な力があるけれど、それは聖女とは真逆の力だよね?
そもそも私聖女になるつもりないし。
「星ちゃん、大丈……あ、電気がついた」
頭の中がジャットコースターになっている私を心配してくれる陽の声と同時に、電気が復旧したらしく部屋全体がパッと明るくなった。
私を心配そうに見つめる陽の表情がはっきり分かると、なんだか落ち着くけて我に返り安心する。
私には助けを求め手を差し伸べれば、その手を握り返し受け止めてくれる親友がいる。すぐには良い方法を答えてくれなくても、一緒に悩んで考えてくれる。
「どうやら私が聖女だからチョピの言葉が分かるらしい」
「星ちゃんが聖女?」
【そうだよ。だからボクはセイカをトゥーランに連れてきたんだよ】
驚く陽にお構えなしにチョピは当然とばかりに胸を張って、更なる爆弾を容赦なく投下してくる。
とぅーらんにつれてきた。
今確かにそう言ったよね?
私はまだ聖女になるなんて言ってないのに、なぜいきなりそう言う展開になるんだろうか?
確かに物語はいきなり転移が主流だけど、これは現実なんだから選ぶ権利だってあるはず。
「星ちゃん、チョピちゃんは今なんて言ったの?」
「それがチョピ曰く、ここが……」
どうしても信じたくない私は、立ち上がりカーテンを勢いよく開ける。
外の景色は見慣れた町並みではなく街灯もない、真っ暗闇で遠くの方がかすかに明るい。
綺麗に輝く満天星空には二つの月に似た衛生? が浮かんでいる。
明らかにここは私が住んでいる街……地球でもない。
ここがトゥーラン?
「ねぇ星ちゃん、ここはどこ?」
【トゥーランだよ!!】
「……トゥーラン……」
放心状態のまま、もう一度言うチョピの言葉を代弁する。
受け入れたくない状況なのに、こんな物見せられたら信じざるおえない。
それは陽も同じようで、言葉も表情もなくし呆然と外を見ているだけ。
何をどう言っていいのか分からずただ沈黙が続いていると、部屋の外が騒がしくなり階段をすごい勢いで駆け上がってくる音が聞こえた。
警戒する前にドアが乱暴に開く。
「星歌、陽ちゃん、無事か?」
尋常じゃないパパだった。
私の顔を見た途端、少し安心したようではあった。
パパも一緒だと言うことはまさか家ごと転移した?
だとしたら 太も一緒ってこと?
二人がいればなんとかなるかも?
……龍くんがいないは残念だけど……。
「無事なんだけど、どうしよう? どうやらチョピがトゥーランに転移させたみたい」
「やっぱりそうか。チョピ、なんてことをしてくれたんだ」
「チュピ!!」
パパにはなぜか今の状況が理解出来ているようで現状には驚かず、怒りの矛先はチョピに向けられ怒鳴り散らす。
迫力満点のパパにチョピは生命の危機を感じたのか、さっと私の背後に隠れて恐怖に脅え私の足下にしがみつく。
今まであんなに自信たっぷりにやりたい放題したんだから、少しはパパの逆鱗に触れて痛い目見ろ。
と思うものの、脅えたチョピを見ていたら助けてあげたいと思ってしまう。
チョピはずるい。
「ねぇパパ、落ち着いて話そうよ」
「……わかった。それならリビングで話し合おう」
私の頼みなのだからなのか、何か言いたそうにもすぐに落ち着いてくれる。
しかし私が聖女なんて知られたら、怒りはすぐに再発しそうだ。
「あのおじさん、 太は大丈夫ですか?」
「おそらく家ごと転移されているようだから、今龍ノ介が呼びにいっている」
「え、龍ノ介さんもいるんですか?」
「ああ。ちょうど来た所、転移させたようだ」
まさかまさかの龍くんがいることにちょっと都合が良すぎるなと思うも、嬉しそうな笑顔を見せる陽を見てたらこれで良かったんだと思う。
それに私もきっとパパにとっても心強い。
日が暮れカーテンも閉めていたため真っ暗な部屋が少し不気味だなと思っていると、陽がそう言ってすぐにスマホのライトが小さな明かりを灯す。
「チョピ、大丈夫?」
「うん、ボクは大丈夫だよ?」
「!?」
チョピを頭上から下ろし確認すると、なんと言葉をしゃべる。愛らしい舌っ足らずなしゃべり方。
いきなりのことに驚きすぎて開いた口がふさがらない。
ついさっきまでチュピチュピって鳴いていたはずなのに、いきなり話せるようになるの?
まさかさっきの呪文が話せるように……なんで今?
「セイカ、やっぱりボクの言葉が分かるんだね?」
「え、やっぱりって? ねぇ陽もチョピの言葉が分かるよね?」
「ごめん私にはチュピしか聞こえない。星ちゃんはわかるの?」
チョピの言葉に違和感を覚え陽に確認すると、申し訳なさそうに首を横に振って逆に問われてしまう。
何かが終わった気がした。
【うん、そうだよ。ボクの言葉が分かるのは聖女のセイカだけだもん!!】
「!!」
衝撃的な信じたくはない真実を聞かされ、私の脳みそがキャパオーバーを起こす。
…………。
…………。
黒崎は確かトゥーランを平和に導ける者って言っていたよね?
私と 太はそれを聞いてかってに救世主だと思っていたけれど、蓋を開けてみれば聖女(候補)?
聖女って今ラノベや漫画で流行のあれだよね?
特別な聖なる巨大な力を持つ乙女……。
それが私?
なんで?
確かに私には魔王の力と言う特別な力があるけれど、それは聖女とは真逆の力だよね?
そもそも私聖女になるつもりないし。
「星ちゃん、大丈……あ、電気がついた」
頭の中がジャットコースターになっている私を心配してくれる陽の声と同時に、電気が復旧したらしく部屋全体がパッと明るくなった。
私を心配そうに見つめる陽の表情がはっきり分かると、なんだか落ち着くけて我に返り安心する。
私には助けを求め手を差し伸べれば、その手を握り返し受け止めてくれる親友がいる。すぐには良い方法を答えてくれなくても、一緒に悩んで考えてくれる。
「どうやら私が聖女だからチョピの言葉が分かるらしい」
「星ちゃんが聖女?」
【そうだよ。だからボクはセイカをトゥーランに連れてきたんだよ】
驚く陽にお構えなしにチョピは当然とばかりに胸を張って、更なる爆弾を容赦なく投下してくる。
とぅーらんにつれてきた。
今確かにそう言ったよね?
私はまだ聖女になるなんて言ってないのに、なぜいきなりそう言う展開になるんだろうか?
確かに物語はいきなり転移が主流だけど、これは現実なんだから選ぶ権利だってあるはず。
「星ちゃん、チョピちゃんは今なんて言ったの?」
「それがチョピ曰く、ここが……」
どうしても信じたくない私は、立ち上がりカーテンを勢いよく開ける。
外の景色は見慣れた町並みではなく街灯もない、真っ暗闇で遠くの方がかすかに明るい。
綺麗に輝く満天星空には二つの月に似た衛生? が浮かんでいる。
明らかにここは私が住んでいる街……地球でもない。
ここがトゥーラン?
「ねぇ星ちゃん、ここはどこ?」
【トゥーランだよ!!】
「……トゥーラン……」
放心状態のまま、もう一度言うチョピの言葉を代弁する。
受け入れたくない状況なのに、こんな物見せられたら信じざるおえない。
それは陽も同じようで、言葉も表情もなくし呆然と外を見ているだけ。
何をどう言っていいのか分からずただ沈黙が続いていると、部屋の外が騒がしくなり階段をすごい勢いで駆け上がってくる音が聞こえた。
警戒する前にドアが乱暴に開く。
「星歌、陽ちゃん、無事か?」
尋常じゃないパパだった。
私の顔を見た途端、少し安心したようではあった。
パパも一緒だと言うことはまさか家ごと転移した?
だとしたら 太も一緒ってこと?
二人がいればなんとかなるかも?
……龍くんがいないは残念だけど……。
「無事なんだけど、どうしよう? どうやらチョピがトゥーランに転移させたみたい」
「やっぱりそうか。チョピ、なんてことをしてくれたんだ」
「チュピ!!」
パパにはなぜか今の状況が理解出来ているようで現状には驚かず、怒りの矛先はチョピに向けられ怒鳴り散らす。
迫力満点のパパにチョピは生命の危機を感じたのか、さっと私の背後に隠れて恐怖に脅え私の足下にしがみつく。
今まであんなに自信たっぷりにやりたい放題したんだから、少しはパパの逆鱗に触れて痛い目見ろ。
と思うものの、脅えたチョピを見ていたら助けてあげたいと思ってしまう。
チョピはずるい。
「ねぇパパ、落ち着いて話そうよ」
「……わかった。それならリビングで話し合おう」
私の頼みなのだからなのか、何か言いたそうにもすぐに落ち着いてくれる。
しかし私が聖女なんて知られたら、怒りはすぐに再発しそうだ。
「あのおじさん、 太は大丈夫ですか?」
「おそらく家ごと転移されているようだから、今龍ノ介が呼びにいっている」
「え、龍ノ介さんもいるんですか?」
「ああ。ちょうど来た所、転移させたようだ」
まさかまさかの龍くんがいることにちょっと都合が良すぎるなと思うも、嬉しそうな笑顔を見せる陽を見てたらこれで良かったんだと思う。
それに私もきっとパパにとっても心強い。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説


〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる