20 / 157
1章 再び動き始めた運命の歯車
1.新たなる不穏分子
しおりを挟む
それはある秋晴れの朝の登校中のことだった。
「なんでお前のような魔族が女子高生に化けている?」
知らない男性にいきなり私の腕を強く掴み嫌な方の壁ドンをされ、ドスの聞いた声で耳元で問われる。
突然の出来ことで何が何だか分からなく言葉の意味を理解する前に、背後の男性の顔をとっさに見つめた。
恐怖よりも今の状況を整理したかった。
ごつくて大柄でぱっと見大学生にも見えるけれど、私と同じ高校の制服で赤いネクタイだからタメ。
タメだったら顔ぐらい見覚えがあっても良い物の、男の顔はまったく見覚えがない。
それでも制服を着ているからトゥーラン人と言う可能性は低いと思うけれど、そしたらどうして私が魔族だって知っているのだろうか?
私が魔族だって知っているのは、パパと龍くんそれから太陽だけ。情報が漏れると言うこともない。
などと考えながら彼を観察していると、穏やかだった空気が殺意ある張り詰めた空気へと変わる。ここでようやく恐怖が産まれるけれど、すでに遅し。
「おい、黙ってないでさっさと答えろ。さもないと殺すぞ?」
「いやー」
彼の苛立ちはすでにマックスで、更に強く掴まれ腕がミシミシと鳴り激痛が走る。悲鳴をあげても効果はない。
ようやく命の危機に直面していることを自覚し、誰かに助けを求めようと辺りを見回すも、さっきまでちらほらいたはずの通勤中の人は誰一人としていなくなっていた。
「わ私は魔族なんかじゃない」
それでも私は魔族じゃないと言い張る。
魔族がそんなにいけない者だとは思いたくないけれど、パパが私は人間として育ててくれたのだから私は人間。
誰がなんと言おうと私は人間なんだ。
「嘘をつくんじゃない。お前からは魔族特有な異臭が漂い、外見もよく見れば人に化けた醜い魔族の姿じゃないか?」
「……私の姿はそんなに醜い?」
「ああ。うまく化けているつもりだが、魔族を知っている人間ならばすぐに分かる」
なのに彼は声を荒げて全否定する上、耳を疑いたくなるような真実を知る。
頭を鈍器で殴られた衝撃を受け信じられず呆然と問い返すも、返ってきた答えは更なるショックする内容だった。
魔族特有の匂いがするのは蛙男が言ってたから知っていたけれど、それが異臭だなんてまったく知らなかった。
そして私の姿は普通だと思っていたのに醜いなんて言われたら、流石にショックでしかない。
唯一の救いは地球だったら魔族の存在を知らな……あれ、太陽はこの前のこと件で魔族を知っているんだっけぇ?
だったら太陽にも私から魔族の異臭に醜い姿だって気づいているけれど、二人は優しいから何も言わないだけ?
脳内には警告のするかのように、言葉に出来ない文字が沸き上がる。
確かにカマイタチを発動させればこの危機から逃れられるけれど、それは最後の最後までとっておきたい。
彼は多分敵ではないから話し合いが出来れば、なんとかなる……と思う。
「あなたは何か誤解をしている。冷静になって話し合おう」
「は、誤解? お前は魔王の器になる魔王の血縁者を探してるんだろう?」
「……だったらどうするの?」
「お前も魔王の血縁者も自分が殺す。トゥーランの平和を護れなかったせめてもの償いだ」
とにかく私が冷静になって話す合おうと言った物の、彼は聞く耳持たずで恐れていた最悪の言葉を恨む辛みを述べられる。
その表情は怒りの中にかすかな苦しみが混ざっていて、私を殺すことなど何も迷いがなく首に手を掛けられ締め付けられる。
一瞬で呼吸が出来なくなり藻掻き苦しむも、彼の力は強く何もダメージが与えられない。
もう生きるためには、カマイタチを発動させるしかない?
そんな時だった。
「俺の娘に手を出すな」
パパの怒り狂った声がしたかと思えば、彼は宙に浮き私から離れ向かいの壁に吹き飛ばされ気を失う。
苦しみから解放され呼吸も出来るようになり呼吸を整えながら、視線を向けるとやっぱりパパとそれから龍くんもいる。
「……パパ、龍くん……」
「星歌、もう大丈夫だから」
私に対してはいつもの優しいパパで、私をギュッと抱きしめられる。
大好きな温もりに安心したら、悲しくて悔しくて大粒の涙があふれ出す。
なんで私がこんな目に合わないといけないの?
私は何も悪いことなんてしてない。
「一体何があったんだ?」
「分からないけど、私が魔族だって知ってた。……魔族特有の異臭がするって。醜い姿だって。それで殺すって」
龍くんも私を心配してくれてこと情を聞かれるけれど、頭の中がごちゃごちゃでうまく説明が出来ない。
私はこれからどうすれば良いの?
「星歌、すまない。これはすべて俺の責任だから、恨むなら父さんだけを恨みなさい。それでも父さんは世界で一番星歌を愛してる。星歌のためならなんだってする」
相変わらずの重すぎる私への愛情。
パパの方が心に闇を抱えていて私に嫌われたらどうなるか分からない癖に、それでも私を第一に考え一人で背負う覚悟がある。
そんなパパの背中は格好いいとは思うけれど、どうせなら一人で背負うじゃなくって一緒に背負うって言って欲しい。
私はもう幼い子供じゃないんだから、無闇に全責任をパパに押しつけたりはしない。
そりゃぁこの真実は怖いけれど、一人じゃなければ大丈夫。
「パパ、ありがとう。でも私はパパが大好きだから恨んだりしないよ」
ゆっくり顔を上げ涙を拭き笑顔を浮かべそう言うと、パパは嬉しそうな表情を浮かべるけれも、すぐに歯を食いしばり悔しそうな表情に変わった。
「なんでお前のような魔族が女子高生に化けている?」
知らない男性にいきなり私の腕を強く掴み嫌な方の壁ドンをされ、ドスの聞いた声で耳元で問われる。
突然の出来ことで何が何だか分からなく言葉の意味を理解する前に、背後の男性の顔をとっさに見つめた。
恐怖よりも今の状況を整理したかった。
ごつくて大柄でぱっと見大学生にも見えるけれど、私と同じ高校の制服で赤いネクタイだからタメ。
タメだったら顔ぐらい見覚えがあっても良い物の、男の顔はまったく見覚えがない。
それでも制服を着ているからトゥーラン人と言う可能性は低いと思うけれど、そしたらどうして私が魔族だって知っているのだろうか?
私が魔族だって知っているのは、パパと龍くんそれから太陽だけ。情報が漏れると言うこともない。
などと考えながら彼を観察していると、穏やかだった空気が殺意ある張り詰めた空気へと変わる。ここでようやく恐怖が産まれるけれど、すでに遅し。
「おい、黙ってないでさっさと答えろ。さもないと殺すぞ?」
「いやー」
彼の苛立ちはすでにマックスで、更に強く掴まれ腕がミシミシと鳴り激痛が走る。悲鳴をあげても効果はない。
ようやく命の危機に直面していることを自覚し、誰かに助けを求めようと辺りを見回すも、さっきまでちらほらいたはずの通勤中の人は誰一人としていなくなっていた。
「わ私は魔族なんかじゃない」
それでも私は魔族じゃないと言い張る。
魔族がそんなにいけない者だとは思いたくないけれど、パパが私は人間として育ててくれたのだから私は人間。
誰がなんと言おうと私は人間なんだ。
「嘘をつくんじゃない。お前からは魔族特有な異臭が漂い、外見もよく見れば人に化けた醜い魔族の姿じゃないか?」
「……私の姿はそんなに醜い?」
「ああ。うまく化けているつもりだが、魔族を知っている人間ならばすぐに分かる」
なのに彼は声を荒げて全否定する上、耳を疑いたくなるような真実を知る。
頭を鈍器で殴られた衝撃を受け信じられず呆然と問い返すも、返ってきた答えは更なるショックする内容だった。
魔族特有の匂いがするのは蛙男が言ってたから知っていたけれど、それが異臭だなんてまったく知らなかった。
そして私の姿は普通だと思っていたのに醜いなんて言われたら、流石にショックでしかない。
唯一の救いは地球だったら魔族の存在を知らな……あれ、太陽はこの前のこと件で魔族を知っているんだっけぇ?
だったら太陽にも私から魔族の異臭に醜い姿だって気づいているけれど、二人は優しいから何も言わないだけ?
脳内には警告のするかのように、言葉に出来ない文字が沸き上がる。
確かにカマイタチを発動させればこの危機から逃れられるけれど、それは最後の最後までとっておきたい。
彼は多分敵ではないから話し合いが出来れば、なんとかなる……と思う。
「あなたは何か誤解をしている。冷静になって話し合おう」
「は、誤解? お前は魔王の器になる魔王の血縁者を探してるんだろう?」
「……だったらどうするの?」
「お前も魔王の血縁者も自分が殺す。トゥーランの平和を護れなかったせめてもの償いだ」
とにかく私が冷静になって話す合おうと言った物の、彼は聞く耳持たずで恐れていた最悪の言葉を恨む辛みを述べられる。
その表情は怒りの中にかすかな苦しみが混ざっていて、私を殺すことなど何も迷いがなく首に手を掛けられ締め付けられる。
一瞬で呼吸が出来なくなり藻掻き苦しむも、彼の力は強く何もダメージが与えられない。
もう生きるためには、カマイタチを発動させるしかない?
そんな時だった。
「俺の娘に手を出すな」
パパの怒り狂った声がしたかと思えば、彼は宙に浮き私から離れ向かいの壁に吹き飛ばされ気を失う。
苦しみから解放され呼吸も出来るようになり呼吸を整えながら、視線を向けるとやっぱりパパとそれから龍くんもいる。
「……パパ、龍くん……」
「星歌、もう大丈夫だから」
私に対してはいつもの優しいパパで、私をギュッと抱きしめられる。
大好きな温もりに安心したら、悲しくて悔しくて大粒の涙があふれ出す。
なんで私がこんな目に合わないといけないの?
私は何も悪いことなんてしてない。
「一体何があったんだ?」
「分からないけど、私が魔族だって知ってた。……魔族特有の異臭がするって。醜い姿だって。それで殺すって」
龍くんも私を心配してくれてこと情を聞かれるけれど、頭の中がごちゃごちゃでうまく説明が出来ない。
私はこれからどうすれば良いの?
「星歌、すまない。これはすべて俺の責任だから、恨むなら父さんだけを恨みなさい。それでも父さんは世界で一番星歌を愛してる。星歌のためならなんだってする」
相変わらずの重すぎる私への愛情。
パパの方が心に闇を抱えていて私に嫌われたらどうなるか分からない癖に、それでも私を第一に考え一人で背負う覚悟がある。
そんなパパの背中は格好いいとは思うけれど、どうせなら一人で背負うじゃなくって一緒に背負うって言って欲しい。
私はもう幼い子供じゃないんだから、無闇に全責任をパパに押しつけたりはしない。
そりゃぁこの真実は怖いけれど、一人じゃなければ大丈夫。
「パパ、ありがとう。でも私はパパが大好きだから恨んだりしないよ」
ゆっくり顔を上げ涙を拭き笑顔を浮かべそう言うと、パパは嬉しそうな表情を浮かべるけれも、すぐに歯を食いしばり悔しそうな表情に変わった。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説


〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる