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「あ、本当だ……」
緊急事態なので魔法で眠りにつき、エミリーの手引きもあって心の奥底に行く。
そしたら本当にグレーテルがいた。
金髪で編み込みヘアー。小麦肌でそばかす。美人とは言えないけれど、可愛らしい女魔王になる前の少女の姿。
目覚めたばかりのようで、首を傾げ私達を見つめてる。
「あなた達は、誰? ここはどこ?」
「私はエミリーでこちらは朋子。あなたは私達の中にいるのだけれど、言っている意味が分かります?」
「……そう言えば私世界を滅ぼそうとして、聖女と勇者に倒されて……」
私が答える前にエミリーが丁寧に答えると、グレーテルは嫌なことを思い出し口をつぐむ。
これはまずい状況なのでは?
「え~と私達は今とっても幸せなので、世界を滅ぼさないでくれませんか?」
「え、幸せなの? だったらどうして私は目覚めたんだろう?」
『はい?』
グレーテルは凶悪で速攻世界を滅ぼすと言うと思ってたのに、なぜかキョトンと聞き直され戸惑っている。思ってもいない反応に私達は、不思議に思い間抜けな声を出す。
それどういう意味?
世界を滅ぼすのは?
「私は確かに二回世界に絶望しました。世界を滅ぼして女魔王になったのも事実ですが、最後は聖女様に救われ封印されることを受け入れました。だから私は決めたんです。聖女様の子孫がもし絶望し闇に堕ちた時は、私が目覚め再び世界を滅ぼすと」
『…………』
聖女によって改心されてはいるものの、根は変わってないらしく余計な恩返し込み。恐怖のあまり開いた口が塞がらず。
でもそう言うことだから、今目覚めたことに戸惑っていたんだ。そして台詞からして私達が幸せな今脅威がない。
「驚かせてごめんなさいね。あなた達? が幸せなら、何もしないわ」
「それなら良かった。ひょっとしてヘンゼルが接触してきたから、目覚めたりしたのかな?」
「ヘンゼルともう接触したの? 私が呼び寄せるまでまっててと約束したのに、どうして?」
寝耳に水って感じだった。
「すでに覚醒したと思い込んでるみたい。今の私には仲間がいると言ったら、騙されてるって断言してね」
「私達に絶望を味合わせると言ってましたわ」
やれやれとばかりに状況を二人で教える。
「どうして?」
「知らないよ。ただ人と何かあって怒りが更に増してるようだった」
どうして私に理由を聞いてくる? 私だって聞きたい。
そう思い薄情に即答しながらも、あくまでも可能性を話す。
だったらその時合流するのではと聞かれれば、そうなんだよねとしか言うしかない。
「私達がクード神の所に行こうとしたから、勘違いしたのでは?」
「あ、それだ!!」
エミリーが問題解決してくれる。
「クード様の居場所を知ってるんですか?」
「うん。グレーテルはクード神に再会すれば成仏できると思って、仲間達と行くはずがヘンゼルに拉致されてわけ」
「それは本当に申し訳ありません。私が何とかします。あの子は根は良い子なんです」
すっかりグレーテルに気を許したのもありすべてを教えると、深々と謝罪されるもヘンゼルの肩を持つ。
家臣以上の何かを感じる。この二人の過去はまだ決めてなかったから興味がある。
「グレーテルにとってヘンゼルは家臣なんだよね?」
「最終的にはそうなってしまったけど、ヘンゼルは弟よ。私は家族を十歳の時に戦争で亡くしたの。絶望して死のうとした時、同じく両親を亡くしたヘンゼルと出会った。それから二人で支え合いながら貧しくても幸せに暮らしていたのに、ある時ヘンゼルが魔族だと分かった途端私達は地獄をみることになった。今までよくしてくれた人々も見る目が変わり、悪いことなんてしてないのに聖都からは指名犯にされてね。その時前世の記憶が蘇って、ヘンゼルと悪魔の契約を交わし私は女魔王となった」
私の問いに坦々と過去を話してくれた。 衝撃的な重い内容に、思わず息を飲み手に汗を握る。
よくあるネタではあるけれど、だからと言ってふーんとはならない。
エミリーは私以上にショッキングだったようで、悲しげで同情の眼差しグレーテルに向けている。
だからグレーテルは女魔王となり、世界を滅ぼすことになった。ヘンゼルの言う通り、人間は平気で他人を裏切る。
こんな話を告白されたら、同情するしかないよね?
「そうなんだね? ヘンゼルは一体どうしたら報われるのかな?」
「信頼出来る仲間の存在だと思います」
「そうだとは思う。でもあそこまで人間不信になっていると、そこに持っていくまでが一苦労なんだよね?」
ヘンゼルさえなんとかすれば、私は生き延びられる。そう思った私はエミリーと打開策を考えるも、それは難題なのでどうすればいいか考え込んでしまう。
フランダー教授ならヘンゼルを歓迎してくれるとは思うけれど、当の本人が受け入れてくれないと身も蓋もない。
「だったら一度私が話してみます。いろいろ確認したいことがあるから」
「そう? じゃぁお願いするね。くれぐれも逆なでしないでね」
ここはグレーテルに任せることにした。
緊急事態なので魔法で眠りにつき、エミリーの手引きもあって心の奥底に行く。
そしたら本当にグレーテルがいた。
金髪で編み込みヘアー。小麦肌でそばかす。美人とは言えないけれど、可愛らしい女魔王になる前の少女の姿。
目覚めたばかりのようで、首を傾げ私達を見つめてる。
「あなた達は、誰? ここはどこ?」
「私はエミリーでこちらは朋子。あなたは私達の中にいるのだけれど、言っている意味が分かります?」
「……そう言えば私世界を滅ぼそうとして、聖女と勇者に倒されて……」
私が答える前にエミリーが丁寧に答えると、グレーテルは嫌なことを思い出し口をつぐむ。
これはまずい状況なのでは?
「え~と私達は今とっても幸せなので、世界を滅ぼさないでくれませんか?」
「え、幸せなの? だったらどうして私は目覚めたんだろう?」
『はい?』
グレーテルは凶悪で速攻世界を滅ぼすと言うと思ってたのに、なぜかキョトンと聞き直され戸惑っている。思ってもいない反応に私達は、不思議に思い間抜けな声を出す。
それどういう意味?
世界を滅ぼすのは?
「私は確かに二回世界に絶望しました。世界を滅ぼして女魔王になったのも事実ですが、最後は聖女様に救われ封印されることを受け入れました。だから私は決めたんです。聖女様の子孫がもし絶望し闇に堕ちた時は、私が目覚め再び世界を滅ぼすと」
『…………』
聖女によって改心されてはいるものの、根は変わってないらしく余計な恩返し込み。恐怖のあまり開いた口が塞がらず。
でもそう言うことだから、今目覚めたことに戸惑っていたんだ。そして台詞からして私達が幸せな今脅威がない。
「驚かせてごめんなさいね。あなた達? が幸せなら、何もしないわ」
「それなら良かった。ひょっとしてヘンゼルが接触してきたから、目覚めたりしたのかな?」
「ヘンゼルともう接触したの? 私が呼び寄せるまでまっててと約束したのに、どうして?」
寝耳に水って感じだった。
「すでに覚醒したと思い込んでるみたい。今の私には仲間がいると言ったら、騙されてるって断言してね」
「私達に絶望を味合わせると言ってましたわ」
やれやれとばかりに状況を二人で教える。
「どうして?」
「知らないよ。ただ人と何かあって怒りが更に増してるようだった」
どうして私に理由を聞いてくる? 私だって聞きたい。
そう思い薄情に即答しながらも、あくまでも可能性を話す。
だったらその時合流するのではと聞かれれば、そうなんだよねとしか言うしかない。
「私達がクード神の所に行こうとしたから、勘違いしたのでは?」
「あ、それだ!!」
エミリーが問題解決してくれる。
「クード様の居場所を知ってるんですか?」
「うん。グレーテルはクード神に再会すれば成仏できると思って、仲間達と行くはずがヘンゼルに拉致されてわけ」
「それは本当に申し訳ありません。私が何とかします。あの子は根は良い子なんです」
すっかりグレーテルに気を許したのもありすべてを教えると、深々と謝罪されるもヘンゼルの肩を持つ。
家臣以上の何かを感じる。この二人の過去はまだ決めてなかったから興味がある。
「グレーテルにとってヘンゼルは家臣なんだよね?」
「最終的にはそうなってしまったけど、ヘンゼルは弟よ。私は家族を十歳の時に戦争で亡くしたの。絶望して死のうとした時、同じく両親を亡くしたヘンゼルと出会った。それから二人で支え合いながら貧しくても幸せに暮らしていたのに、ある時ヘンゼルが魔族だと分かった途端私達は地獄をみることになった。今までよくしてくれた人々も見る目が変わり、悪いことなんてしてないのに聖都からは指名犯にされてね。その時前世の記憶が蘇って、ヘンゼルと悪魔の契約を交わし私は女魔王となった」
私の問いに坦々と過去を話してくれた。 衝撃的な重い内容に、思わず息を飲み手に汗を握る。
よくあるネタではあるけれど、だからと言ってふーんとはならない。
エミリーは私以上にショッキングだったようで、悲しげで同情の眼差しグレーテルに向けている。
だからグレーテルは女魔王となり、世界を滅ぼすことになった。ヘンゼルの言う通り、人間は平気で他人を裏切る。
こんな話を告白されたら、同情するしかないよね?
「そうなんだね? ヘンゼルは一体どうしたら報われるのかな?」
「信頼出来る仲間の存在だと思います」
「そうだとは思う。でもあそこまで人間不信になっていると、そこに持っていくまでが一苦労なんだよね?」
ヘンゼルさえなんとかすれば、私は生き延びられる。そう思った私はエミリーと打開策を考えるも、それは難題なのでどうすればいいか考え込んでしまう。
フランダー教授ならヘンゼルを歓迎してくれるとは思うけれど、当の本人が受け入れてくれないと身も蓋もない。
「だったら一度私が話してみます。いろいろ確認したいことがあるから」
「そう? じゃぁお願いするね。くれぐれも逆なでしないでね」
ここはグレーテルに任せることにした。
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