45 / 56
45
しおりを挟む“ヌク、私の声が聞こえる?”
“朋ちゃんとエミリーちゃん。ようやく話せた。早くボクを召喚してよ”
“それなんだけれど、先にやって欲しいことがあるの。花音に私はヘンゼルに拉致られているって伝えてくれる? そしたら花音が対策をしてくれると思うから、そしたらみんなを連れてここに来て”
魔力源が流れ出したようで、すぐにヌクと話ができた。
安心と喜んでいるヌクの声にホッとしながら、落ちついてこれからしてもらいたいことを説明する。
女魔王でもない私がヌクと力を合わせても、ヘンゼルを倒せるはずがない。ゲームではシャーロットが聖女の力で仲間達と倒している。つまり聖女である花音が必要不可。
“うん、分かった。ボク、頑張る。朋ちゃんとエミリーちゃんは気を付けてね”
“分かってます。朋子さんと一緒なので、大丈夫です”
“そうだね? 二人いればなんとかなるでしょ”
物わかりの良いヌクはすぐに了解してくれ、私達の心配までしてくれる。
心配させまいと軽々しく返事する私達だけれど、なんとかなる相手ではことは知っていた。
素性がバレなければ、なんとかなる?
“私達は朋子さん達が作った世界の住人なんですよね? それでこの世界に視察という転生をされてきたんですね”
“え、まぁそうとも言うことになるのかな?”
そう思っていたから、エミリーは今まで特に理由を聞かなかったんだ。聞いてこないから変だとは思っていたけれど、まさか私が天界の住人で転生したって解釈されてたなんてね。
すごいポディシブ思考と言うか超楽天的? さすがもう一人の私だ。
訂正するのもあれだから、そう言うことにしておく。
“すごいんですね私の前世。それではあのヘンゼルは一体何が目的なんですの?”
“多分、私の中に眠っている女魔王の手伝いで世界を滅ぼす?”
“その女魔王の魂は愛するクード神に会えれば、未練がなくなり浄化されるのですよね? でしたらヘンゼルにそう言えば、喜んで協力してくれるのでは?”
“普通ならそうなんだろうけれど、ヘンゼルは魔族なんだよね? 女魔王は世界を滅ぼす条件で、ヘンゼルと契約したんだ。それで女魔王になったわけで”
私のことは適当な解釈なのに、ヘンゼルのことを根掘り葉掘り聞いてくる。正式でもあやふやな設定なので、白どもどろに答える私。
まさか今になって適当に作った設定が生かされるなんて思いもよらなかった。
魔族が世界を滅ぼす条件でグレーテルと契約って、それヘンゼルになんのメリットがあるんだろうか?
なぜ世界征服にしなかった?
私って馬鹿?
あ馬鹿だった……。
“魔族? それは大昔に滅びたはずでは?”
“女魔王も大昔の話だからね。ヘンゼルは最後の生き残りなんだよ”
“世界をどうして滅ぼしたいのでしょうか?”
一番聞いて欲しくなかった問い。
普通そうなりますよね?
“それは、本人に聞かないと分からないと思うよ”
“それもそうですね。では怪しまれないように探りましょう”
適当なことを言えずヘンゼル任せにしてやり過ごそうとするも、エミリーのやる気は一枚上手のようで詮索することになった。
かなり危ない橋だけれど、私もどうなっているか知りたい。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】
ゆうの
ファンタジー
公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。
――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。
これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。
※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ここは乙女ゲームの世界でわたくしは悪役令嬢。卒業式で断罪される予定だけど……何故わたくしがヒロインを待たなきゃいけないの?
ラララキヲ
恋愛
乙女ゲームを始めたヒロイン。その悪役令嬢の立場のわたくし。
学園に入学してからの3年間、ヒロインとわたくしの婚約者の第一王子は愛を育んで卒業式の日にわたくしを断罪する。
でも、ねぇ……?
何故それをわたくしが待たなきゃいけないの?
※細かい描写は一切無いけど一応『R15』指定に。
◇テンプレ乙女ゲームモノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる