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「ケイト、カイリ。お誕生日おめでとう。はい。これ私からのプレゼント」
『ありがとうございます。一生大切にします』
双子の誕生日。
エミリーが常に用意していたプレゼントを持って、隣の双子の部屋に行き盛大にお祝い。
すると双子は声をハモらせ、感激のあまり泣き出す。
ヌク曰プレゼントは毎年用意するも渡せられず、この数年は実家のクローゼットに保管されてるらしい。
実家に帰った時一気に渡したら、双子はどうなっちゃうんだろう?
「ボクもエミリーちゃんと一緒に選んだんだよ」
「そうなんですか? ますます大切にしないといけないね。部屋に飾っておく?」
「ヌクもありがとう。そうだね。使うのは難しそう」
「えーと、使っていただけると嬉しいのですが」
家宝になりそうな勢いだったため、苦笑しながら辞めるよう促す。
エミリーが選んだプレゼントは腕時計だから、飾っておかないでちゃんと普段使いして欲しい。
そしたらエミリーが閉じこもっているクリスタルの溶けるスピードが、更に速まると思うんだ。
「使う? なんですか? ──腕時計」
「お嬢様、気づいてくれてたんですね? 先月私達がこの腕時計を眺めて話題にしてたことに」
「あうんそうよ」
包みをほどき腕時計を見るとやや興奮気味で、ご丁寧にきっかけとなる出来事を教えてくれる。
だから腕時計なのか。腕時計にしたのはなんでかなと思ってたけれど、そう言う理由なら妙に納得。リサーチをちゃんとしてたんだね?
「そう言うことなら、使わないといけませんね」
「大切に大切に使います」
って言い双子は嬉しそうに、同時に腕時計を身に付けてくれる。
心の奥が暖かくなった。
そしてまた去年の誕生日前日の記憶が蘇る。
今年こそは素直になってお祝いをしようと意気込んでいたのに、前日お兄様がやって来てきつく釘刺してくるから、反射的に“渡すなんてありえない”っていつも通り豪語しまった。
私にとってカイリとケイトはかけがえのない友人だと言いたいのに、なんで素直になれないんだろう。こんなことばかりしてたら、二人にもそのうち嫌われてしまう。
来年こそは絶対に渡そう。
そんなことを強く思ったんだよね?
──渡せて良かった。
最近の私は朋子でもあるから、すごく素直でいられる。
「そう言ってもらえると嬉しいわ。カイリ、デート楽しんできてね? ケイト、私達はどうします」
「お嬢様すみません、私もこ婚約者とデートです」
「は?」
ケイトの口から予想してなかった答えが返ってくる。
婚約者って何?
恋愛には無縁だと思っていたのに、そんなのいたの?
ただまったく嬉しくない反応。
「両親が決めた人です。私一応スタンフィール家の跡継ぎなので」
「ケイト、本当に良かったの?」
「それはきちんと話し合ったでしょ? カイリには恋人がいて、私にはいない。それでいて相手は私好みなんだから、良かったの」
「そうだね。ケイトありがとう」
すごい深刻で重い内容でスルーしたかったけれど、聞いてしまったから仕方がない。それが友人なのだから。
でも私も家のためレオと婚約しているんだから、気の利いたアドバイスはできないかも?
嫌だったら嫌われる行動をすれば婚約破棄されるなんて助言しても、もれなく勘当と言う地獄が付いてくるからね。
相手を見つけてから、嫌われれば問題ない?
「ケイトは会ったことあるの?」
「はい。数回。実はお嬢様の護衛として付かれる人です」
「そうなの? いい人だといいわね?」
「これが彼の経歴です」
私の護衛役なら良く知っている。
渡された経歴書に目を通してみると、思った通りの人物だった。
ビル・ブルガリア
父様の騎士の三男坊。長男は兄様の騎士で、次男は放浪の旅に出ている。先祖代々のサウザウンド王家に仕える騎士家系。
それでいてビルは、昔ながらの脳筋馬鹿で憎めない青年。年齢は十九歳。
私のシナリオにはケイトと婚約している設定はない。ちなみにカイリとオーランドの恋人設定もなかった。
乙女系なのに侍女達と攻略対象キャラが恋人関係だったら、ゲームとして成立しない。それとも略奪する新感覚の乙女系?
そんなの需要あるんだろうか? タワレバだけど。
「経歴を見る限り問題ないと思うわ。一度付き合って様子を見なさい。もしどうしようもない奴だったら、私が破談にさせます」
「そう言ってもらえると助かります。でも本当に彼は私のタイプなので、よほどのことがない限り大丈夫だと思います」
そう言っている割には乗り気じゃなく、どこか浮かない表情を浮かべる。
?
もしかしてすでに好きな人がいるとか?
そう言えばそんな素振り見せてたっけぇ?
あの時はいるんだろうなって終わったけれど、一体誰なんだろう?
「ケイトがそれでいいのなら、私は全力で応援するわ」
カイリもいることもありここでは深くは追求せず、しばらく温かく見守って行くことにした。
ビルは大雑把で鈍感なんだけれど、心優しい良い奴であることは私が保証する。ケイトのことを彼なりに大切にしてくれるはず。
『ありがとうございます。一生大切にします』
双子の誕生日。
エミリーが常に用意していたプレゼントを持って、隣の双子の部屋に行き盛大にお祝い。
すると双子は声をハモらせ、感激のあまり泣き出す。
ヌク曰プレゼントは毎年用意するも渡せられず、この数年は実家のクローゼットに保管されてるらしい。
実家に帰った時一気に渡したら、双子はどうなっちゃうんだろう?
「ボクもエミリーちゃんと一緒に選んだんだよ」
「そうなんですか? ますます大切にしないといけないね。部屋に飾っておく?」
「ヌクもありがとう。そうだね。使うのは難しそう」
「えーと、使っていただけると嬉しいのですが」
家宝になりそうな勢いだったため、苦笑しながら辞めるよう促す。
エミリーが選んだプレゼントは腕時計だから、飾っておかないでちゃんと普段使いして欲しい。
そしたらエミリーが閉じこもっているクリスタルの溶けるスピードが、更に速まると思うんだ。
「使う? なんですか? ──腕時計」
「お嬢様、気づいてくれてたんですね? 先月私達がこの腕時計を眺めて話題にしてたことに」
「あうんそうよ」
包みをほどき腕時計を見るとやや興奮気味で、ご丁寧にきっかけとなる出来事を教えてくれる。
だから腕時計なのか。腕時計にしたのはなんでかなと思ってたけれど、そう言う理由なら妙に納得。リサーチをちゃんとしてたんだね?
「そう言うことなら、使わないといけませんね」
「大切に大切に使います」
って言い双子は嬉しそうに、同時に腕時計を身に付けてくれる。
心の奥が暖かくなった。
そしてまた去年の誕生日前日の記憶が蘇る。
今年こそは素直になってお祝いをしようと意気込んでいたのに、前日お兄様がやって来てきつく釘刺してくるから、反射的に“渡すなんてありえない”っていつも通り豪語しまった。
私にとってカイリとケイトはかけがえのない友人だと言いたいのに、なんで素直になれないんだろう。こんなことばかりしてたら、二人にもそのうち嫌われてしまう。
来年こそは絶対に渡そう。
そんなことを強く思ったんだよね?
──渡せて良かった。
最近の私は朋子でもあるから、すごく素直でいられる。
「そう言ってもらえると嬉しいわ。カイリ、デート楽しんできてね? ケイト、私達はどうします」
「お嬢様すみません、私もこ婚約者とデートです」
「は?」
ケイトの口から予想してなかった答えが返ってくる。
婚約者って何?
恋愛には無縁だと思っていたのに、そんなのいたの?
ただまったく嬉しくない反応。
「両親が決めた人です。私一応スタンフィール家の跡継ぎなので」
「ケイト、本当に良かったの?」
「それはきちんと話し合ったでしょ? カイリには恋人がいて、私にはいない。それでいて相手は私好みなんだから、良かったの」
「そうだね。ケイトありがとう」
すごい深刻で重い内容でスルーしたかったけれど、聞いてしまったから仕方がない。それが友人なのだから。
でも私も家のためレオと婚約しているんだから、気の利いたアドバイスはできないかも?
嫌だったら嫌われる行動をすれば婚約破棄されるなんて助言しても、もれなく勘当と言う地獄が付いてくるからね。
相手を見つけてから、嫌われれば問題ない?
「ケイトは会ったことあるの?」
「はい。数回。実はお嬢様の護衛として付かれる人です」
「そうなの? いい人だといいわね?」
「これが彼の経歴です」
私の護衛役なら良く知っている。
渡された経歴書に目を通してみると、思った通りの人物だった。
ビル・ブルガリア
父様の騎士の三男坊。長男は兄様の騎士で、次男は放浪の旅に出ている。先祖代々のサウザウンド王家に仕える騎士家系。
それでいてビルは、昔ながらの脳筋馬鹿で憎めない青年。年齢は十九歳。
私のシナリオにはケイトと婚約している設定はない。ちなみにカイリとオーランドの恋人設定もなかった。
乙女系なのに侍女達と攻略対象キャラが恋人関係だったら、ゲームとして成立しない。それとも略奪する新感覚の乙女系?
そんなの需要あるんだろうか? タワレバだけど。
「経歴を見る限り問題ないと思うわ。一度付き合って様子を見なさい。もしどうしようもない奴だったら、私が破談にさせます」
「そう言ってもらえると助かります。でも本当に彼は私のタイプなので、よほどのことがない限り大丈夫だと思います」
そう言っている割には乗り気じゃなく、どこか浮かない表情を浮かべる。
?
もしかしてすでに好きな人がいるとか?
そう言えばそんな素振り見せてたっけぇ?
あの時はいるんだろうなって終わったけれど、一体誰なんだろう?
「ケイトがそれでいいのなら、私は全力で応援するわ」
カイリもいることもありここでは深くは追求せず、しばらく温かく見守って行くことにした。
ビルは大雑把で鈍感なんだけれど、心優しい良い奴であることは私が保証する。ケイトのことを彼なりに大切にしてくれるはず。
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