上 下
11 / 56

11

しおりを挟む

「フランダー教授、サウザンドです。友人二人を連れてきました」
「おお、そうか。入ってきなさい」

 放課後になり約束通り教授室に、ヌクと双子を連れ訪れた。

 双子には
 フランダー教授の『人と神の禁断の恋について』の研究に興味がある。手伝いたいから協力して欲しい。
 とお願いしたら、取り敢えず話だけと言うことになった。
 妥当な判断だと思った。

 言われた通り私はドアを明け中に入ると、意外にも研究室は整理整頓されていた。
 アロマのいい匂いまでして、フランダー教授のいい意味でイメージ変わる。

「失礼します」
「来てくれたと言うことは、協力してもらえると思っていいのだろうか?」

 どこか嬉しそうな笑みを浮かべるフランダー教授。
 これも私が思い描いていたキャラと違って、いろんな意味で目が離せなくなる。

「ええ、私は協力させていただきます。ですがこの二人は話の内容次第です」
「はい。本来ならば私達はお嬢様の侍女なので拒否権がないのですが、危険が伴うと言うことならば話は別です」
「内容次第では私達では力不足なので、本家から戦闘に優れている執事を手配します」
「え、そう言う理由だったの?」

 思いもよらない真相を聞き素で驚く。
 てっきり命を懸けるのは嫌だから保留にされたと思っていたのに、そうじゃなく役不足だから適任者に変わろうとしていた。双子は当然とばかりに話していて、しかもどこか辛そうに聞こえる。
 双子の役割は侍女だけではなく、護衛も兼ねているようだ。
 初めて知った。

「? はい。それしか理由はないですよ」
「出来ることなら、私達も同行したいです」
「さすがスタンフィール一族。覚悟は主より出来てるな。しかし今の所、命を狙われることはない。自然とジャングルに潜むモンスターが驚異になるぐらいだ」

 フランダー教授は双子の素性を知ってるようで、二人の揺るぎのない覚悟に称賛する。

 私は彼に見くびられてる?

「失礼ですね。私だって覚悟は出来てます。なんとしてもクード神に会わないといけないのです」

 胸を張り強気に言い返す。

 こちらは命を懸けたデスゲーム。
 それ相応の覚悟はある。

「ほう。それはつまり自分の体内に女魔王の魂が眠っている自覚があるようだな?」

 途端に私への興味が沸いたのか、私に近づき視線を合わし驚愕発言。
 もちろんフランダー教授が知っている設定はなく、驚いてしまう。

「なっ? フランダー教授も知ってるのですか?」
「ああ。だから君に声をかけた。クード神の牢獄場所を突き止めるには、女魔王の魂が必要だからな。安心しろ生け贄ではないから、死にはしない」

 第三者が聞けば、立派な悪役の台詞。しかも不気味に見える笑顔が余計恐怖に見える。

 生け贄じゃないと言われても、まったく安心できないのはなぜ?
 人選間違えた?

「あの話がまったく読めないんですが?」
「お嬢様は女魔王の生まれ変わりなのですか?」

 何も話してない双子は戸惑っていた。

「いいや。彼女の母方の先祖が代々女魔王の魂を体内に封印してるだけだ。これは今や本人達も知らないと思っていたんだが、実は語られていたりするのか?」
「いいえ。私がたまたま気づいただけです」

 そんな設定になってたのか。
 シナリオでは特に触れてなかっただけに、ファン達には生まれ変わり説が濃厚だったんだよね?
 確かにそれなら筋が通っている。

「なるほど。勘が鋭いんだな。改めてよろしく頼む」
「こちらこそ。それじゃぁ二人も協力してくれるのね」
『はい、もちろんです!!』

 人選間違えているかもだけど、フランダー教授以上の適任者がいない。だからしばらくは様子見ってことにして、私達は共同関係を結ぶ。
 双子も快くOKしてくれる。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

めんどくさいが口ぐせになった令嬢らしからぬわたくしを、いいかげん婚約破棄してくださいませ。

hoo
恋愛
 ほぅ……(溜息)  前世で夢中になってプレイしておりました乙ゲーの中で、わたくしは男爵の娘に婚約者である皇太子さまを奪われそうになって、あらゆる手を使って彼女を虐め抜く悪役令嬢でございました。     ですのに、どういうことでございましょう。  現実の世…と申していいのかわかりませぬが、この世におきましては、皇太子さまにそのような恋人は未だに全く存在していないのでございます。    皇太子さまも乙ゲーの彼と違って、わたくしに大変にお優しいですし、第一わたくし、皇太子さまに恋人ができましても、その方を虐め抜いたりするような下品な品性など持ち合わせてはおりませんの。潔く身を引かせていただくだけでございますわ。    ですけど、もし本当にあの乙ゲーのようなエンディングがあるのでしたら、わたくしそれを切に望んでしまうのです。婚約破棄されてしまえば、わたくしは晴れて自由の身なのですもの。もうこれまで辿ってきた帝王教育三昧の辛いイバラの道ともおさらばになるのですわ。ああなんて素晴らしき第二の人生となりますことでしょう。    ですから、わたくし決めました。あの乙ゲーをこの世界で実現すると。    そうです。いまヒロインが不在なら、わたくしが用意してしまえばよろしいのですわ。そして皇太子さまと恋仲になっていただいて、わたくしは彼女にお茶などをちょっとひっかけて差し上げたりすればいいのですよね。    さあ始めますわよ。    婚約破棄をめざして、人生最後のイバラの道行きを。       ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆     ヒロインサイドストーリー始めました  『めんどくさいが口ぐせになった公爵令嬢とお友達になりたいんですが。』  ↑ 統合しました

転生悪役令嬢は婚約破棄で逆ハーに?!

アイリス
恋愛
公爵令嬢ブリジットは、ある日突然王太子に婚約破棄を言い渡された。 その瞬間、ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界で、自分が火あぶりになる運命の悪役令嬢だと気付く。 絶対火あぶりは回避します! そのためには地味に田舎に引きこもって……って、どうして攻略対象が次々に求婚しに来るの?!

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

公爵令嬢は薬師を目指す~悪役令嬢ってなんですの?~【短編版】

ゆうの
ファンタジー
 公爵令嬢、ミネルヴァ・メディシスは時折夢に見る。「治癒の神力を授かることができなかった落ちこぼれのミネルヴァ・メディシス」が、婚約者である第一王子殿下と恋に落ちた男爵令嬢に毒を盛り、断罪される夢を。  ――しかし、夢から覚めたミネルヴァは、そのたびに、思うのだ。「医者の家系《メディシス》に生まれた自分がよりによって誰かに毒を盛るなんて真似をするはずがないのに」と。  これは、「治癒の神力」を授かれなかったミネルヴァが、それでもメディシスの人間たろうと努力した、その先の話。 ※ 様子見で(一応)短編として投稿します。反響次第では長編化しようかと(「その後」を含めて書きたいエピソードは山ほどある)。

処理中です...