【Ｒ18】初恋を持ったままでいるために妹の悪口を無視していたら、妹と間違われて結婚する羽目になりました。

番外編

家族のその後 1

「な、な、なあああぁぁぁぁああああ！？」

　部屋中に男の声が響き渡ると同時に、ガッシャンという扉の壊される音が響いた。扉の方からは夫人の叫ぶ声が響き渡って、阿鼻叫喚の様子が音だけで伝わってくる。

「『ラグナート公爵家の事実！！～没落貴族、腐敗し切った公爵家の終焉まで後わずか！！～』だと！？こんなの出任せだ！！執事！！………？執事！！」

　彼の声は虚しく響き渡る。彼が呼べば一瞬でやってきていた執事は、来る気配すらなくて、男は自分の背筋につうっと一筋の冷や汗が流れるのを感じた。
　どさっと床に崩れ落ちた。音も全て分からなくなっていくのを感じながら、震えることも忘れて新聞を見つめていると、唐突に耳をつんざくような声が聞こえた。

「きゃあああああぁぁぁぁぁ！！」

　自分の妻の声。そして、漂い始めた死への濃厚な匂い。錆びた鉄のような匂い。

「さあ、死んでください、ご主人さま。そして、私の犯した全ての罪を被ってください」

　目の前に立っているのは、普段と全く変わらない笑みを浮かべている執事。彼の手には小さな漆黒のナイフ。心なしか、そのナイフからは真っ赤なワインがポタポタと落ちてきている気がする。

　ーーーぐさっ、
　ーーーばたっ、

　鈍い音を立てて崩れていく身体を呆然に感じながら、灼熱を感じる場所を押さえて、男は呻き声をあげる。

「敬愛なるご主人さま。私へのご褒美、しかといただきましたよ」

　いつもと変わらないように見えた微笑みの奥底。そこには、狂気を孕んだ残酷さが隠れていることに、男は死ぬ直前になって気づいたのだった。

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渡邊　香梨さまご依頼のざまぁです！！
更新頑張ります！！