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十四話

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エイミーをマムと呼んだ声に、グッドナイトとユキは「えっ!?」と二人を見た。

「ごめんなさい、ユキちゃん。うちの娘、行儀が良くなくて。部屋に閉じこもりっきりで電子機器ばっかりいじってるから、人に接するのが下手なのよ」


深々と頭を下げるエイミーを横目に、ラビは叩かれた手をフーフーと口で冷やしている。


「な、エイミー、娘?」


驚いて言葉が出ない様子のグッドナイトに、エイミーはケラケラと声をたてて笑った。


「血の繋がりは無いけどね。赤ん坊の頃から育ててるの。もう16になるのよ」

エイミーが人差し指をくいっと曲げると、ラビは狭い部屋をぴょこぴょこと歩いて彼女の後ろへまわる。

そして後ろからギュッと抱きしめた。

「ゴメンなさいマム、つい抑えられなくて」


その甘えた声に、もう!とエイミーはラビを振り払う。


「ラビ」


ふいに、メロウが名前を呼ぶ。
呼ばれたラビはそうだそうだ、とパーカーのポケットから二枚の半透明なカードを出しテーブルに置いた。


「アタシね、ちょっといけないことしていろんな人のコンピュータにお邪魔する事が得意なの!メロウともそれで知り合ったんだケド。これ、メロウに頼まれてたヤツ!」


まったく的を射ない話に、メロウはコホンと軽く咳払いをして彼女に続けた。


「ラビはこう見えて、天才的なハッカーなんです。彼女に突破出来ない壁は無いくらい、素晴らしい腕を持っています。そんな彼女に運良く接触出来たわたしは、協力者になってもらう事にしました」

メロウの説明に、ハッカーは褒められる事では無いだろう、とグッドナイトが呟く。



「まあ、そうなんですが・・・この先、政府の網を掻い潜って逃げるには、そういった人物の協力は必要不可欠だと判断しました。幸い、その天才ハッカーはミスターグッドナイトに近い人物でしたし」


へえ、とラビは目を丸くした。

「アタシがマムの娘ってコトも、マムがここのマスターと知り合いってコトも、知ってて掲示板で接触してきたの?」

問いかけに、メロウは少し目を泳がせつつ軽く頷く。

「メロウこそ天才じゃん!アタシのプライベートな情報なんて出回ってないデショ?」


自分より凄いのでは、とラビはメロウへにじり寄る。
そんなラビを避けるように顔を手で押し返すと、メロウはさらに話を続けた。

「そこは探偵ですからね。とにかく、一人で全て準備するには時間が無かったのです。そこでラビに協力を仰ぎ、出入管理カードを作ってもらいました」

そう言うと、テーブルに無造作に置かれたカードを指さした。

「これを使い、ユキさんはひとまず、わたしと南へ逃げていただきます」
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