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第84話:骨折の治療アゲイン
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――――――――――学院高等部教室にて。スイフト男爵子息マイク視点。
「おい、平民」
学年末試験が終わった翌日、いつものようにカークとビートを引き連れたダドリーが横柄に話しかけてきた。
今日は若干躊躇気味だな?
「どーしたダドリー君。そんなに試験の出来が悪かったか」
「違う!」
「それは聖女のあたしでもどーにもならん。諦めなさい」
「違うと言ってるんだ!」
ケラケラ笑った後、急に真顔になる聖女パルフェ。
「で、何の用なん? お腹減ってるから早くお弁当が食べたいんだけど?」
学院の昼休憩の時間は比較的長い。
しかし聖女パルフェは速攻で弁当を食べるタイプだ。
「一つ、大変ためになることを教えてやろう。お腹が減ってる時のあたしは、すごく機嫌が悪くなるんだぞ?」
「ああ、すまん。手短に話す。カーク」
ダドリーじゃなくてカークの用なのか。
何だろう?
「実はうちの婆ちゃんが足の骨を折ってしまったんだ。魔法医に診てもらったんだけど、どうにもうまく歩けなくて」
「あっ、真面目な案件だったか。ばっちゃんがケガしたのはいつ?」
「ちょうど一〇日前だ」
「うまく歩けないってのはどういうこと?」
「力が入らないらしくて、立てないんだ」
「ふーん? ばっちゃんを診た魔法医は何て言ってるのかな?」
「ケガ自体は治ってるって。筋力か精神的なものじゃないかって」
「……一〇日なら筋力は大丈夫だと思うがなあ?」
聖女パルフェが首をかしげている。
ダドリーが意を決したように言う。
「どうだろう? カークの祖母を診てやってはもらえまいか?」
「そーだな。診ないとわからん」
「君が貴族を嫌って癒しを行わないことは知ってるが……えっ?」
「診てくれるのか?」
「うん、診るよ。でも治せるとは限らないぞ?」
「い、いいのか? 貴族は診ない主義なんじゃないのか?」
何故か聖女パルフェが貴族嫌いという噂があることは知っている。
実際には貴族と普通に付き合っているし、学院でそんな様子を見せたこともないんだが。
「何だその主義は。あたしは聖女だぞ? 貴族とか平民とか関係なく癒すわ。ただ貴族に呼びつけられても出張はしないよ。そーゆーのは魔法医の仕事だってだけ」
「そ、そうだったのか」
「魔法医が診て治らない、歩けないから礼拝堂にも来られないっていうなら出向くよ。ま、でもこの話はあんまり広めないでおいてくれる?」
「何故だ?」
「あたしの魔力は国防結界の維持のため、国にお買い上げされているのだ。あたしんところに患者押しかけて治療に大量の魔力を使わなきゃいけなくなったら、よろしくないだろーが」
この辺聖女パルフェの姿勢は一貫しているなあ。
貴族を診ないと誤解されている原因の一つではあるんだろうが。
「そ、そういうことか」
「魔法医の仕事取っちゃうのもまずいんだよね。聖教会の行う癒しの施しのせいもあって、あんまり魔法医連の関係がいいとも言えないんだ」
「難しいんだな?」
「まあね。幸い昼休憩の時間あるから、今から行こうか。気になってお弁当どころじゃないわ」
「今からって……」
「飛んできゃすぐだよ。いくぞー」
飛行魔法か。
そして当然のようにオレもお供だ。
◇
「お年寄りの特に女性に多いんだけど、例えば骨が弱っちゃってることがあってさ」
飛行魔法でカークの家に移動中だ。
「ケガ自体は治っても、骨が体重を支えられなくてダメなんだ。話聞く限りそのケースかもしれないし、他にも回復魔法じゃ治療不可能なやつがある。ごめんよ。治せるとは限らないってのはそーゆーこと」
「いや、聖女様に診てもらえるだけで婆ちゃんは喜ぶと思うから」
「そう言われると嬉しいなあ。全力を尽くすよ」
「あっ、そこの家だ」
フワリと着地する。
「あっ、若様!」
「聖女パルフェを連れて来た。婆ちゃんの治療に」
「わかりました。大奥様の寝室の方へ」
すぐカークの祖母のところへ通される。
顔を見ると血色もいいし、元気は良さそうだ。
「こんにちはー」
「あれあれ、いらっしゃい。どちら様でしたかね?」
「婆ちゃん、聖女パルフェだ。婆ちゃんのケガを診てくれる」
「評判の新聖女様? 貴族嫌いじゃなかったのかい?」
「そんな噂があるみたいだけど、別にあたしは貴族嫌いじゃないよ。貴族だからって贔屓はしないぞってだけだよ」
「そうかいそうかい」
「早速診させてね」
起こしていた身体をそのまま倒し、仰向けにする。
……オレもヒールを使えるようになったけど、正直身体を見てどこが悪いなんて全然わからない。
しかし聖女パルフェにはわかるんだな。
「ははーん?」
「どうなんだ?」
「大丈夫。治せる」
「そうか、よかった!」
「ばっちゃん。魔法かけるから、治るまで寝ててね。スリープ! あーんどパラライズ!」
睡眠と麻痺の魔法だ。
状態異常系の魔法は習得が難しい。
また悪用もされやすいため、スリープやパラライズは名前は知られていても、詳しい構文は本に載っていない。
自分で組み立てなきゃいけない類の魔法だ。
でも当たり前みたいに聖女パルフェは使えるんだな。
ダドリーが疑問に思ったようだ。
「何故治療に睡眠と麻痺が必要なんだ?」
「ここ見て。折れた足くっつける時に曲がっちゃって、しかも左右のバランスが取れてないんだ。整復がよくなかったんだろうな。こーゆーのはもう一度折ってくっつけ直さないといけないの」
「「「「えっ?」」」」
まさかの再骨折法。
ダドリーを脅しただけじゃなくて、本当にそんな治療法があるんだな。
トラウマを抉ったのか、ダドリーが震えてるんだが。
「麻痺させときゃ痛くないし、眠ってりゃ意識ない内に治せるから」
「そそそそういうことだったか」
「せーの」
鈍い音がして足が折れる。
身体強化魔法を使ってるんだろうか?
躊躇なく折るなあ。
うわー、見てられない。
「で、正しい位置に持ってきてヒール!」
「……これで治ったということか?」
「骨折部分はね。ばっちゃんの悪い部分はそこだけじゃないんだ。折れた側左足の付け根の関節と筋も痛めてる。立てないのはそっちが原因だと思う」
「どうして見ただけでそんなことがわかるんだ?」
「感知魔法に慣れてくると、身体の中の魔力の流れまで見えてくるんだよ。悪い部分ってのは魔力の流れも悪いんだ」
「感知魔法か……」
「ダドリー君は雷属性持ちじゃん。感知魔法覚えるのはお勧めだぞ? メッチャ使えるからね」
教科書に書いてないことが多い。
魔法って本当に万能なんだなあ。
聖女パルフェが立て続けにヒールをかける。
「よーし、こんなもんだろ。キュア!」
治癒魔法で睡眠と麻痺を解除、お婆さんが目を覚ます。
「ばっちゃん、おはよー。身体どうかな? 立ってみてくれる?」
「はいはい。よいしょっと」
普通に立てる、歩ける。
バッチリだ!
お婆さんもカークも大喜びだ。
「聖女様、ありがとうねえ」
「いいってことよ」
「おい平民。礼をしたいが、謝礼はどれくらい必要だ?」
「いらないよ。治療してお金をもらうのは魔法医の領分なんだ。聖女のお仕事の範疇にない」
「ふむう」
ダドリー一派も考えるところがあるようだ。
聖女パルフェが貴族嫌いというのは、魔法医連がそう吹聴してるからなんじゃないかと疑っている。
オレも最初誤解していなかったとは言えない。
貴族派の修道士修道女は今でも聖女パルフェと壁があるしな。
もう少し聖女らしさの実態をアピールした方が、聖女パルフェ自身のためにも聖教会のためにもなると思う。
でも聖女パルフェはそういうことに全く興味ないみたいなんだよなあ。
「焼いたばかりのお菓子があるはずですよ。お昼に食べていきなさいな」
「やたっ! ばっちゃんありがとう!」
「おい、平民」
学年末試験が終わった翌日、いつものようにカークとビートを引き連れたダドリーが横柄に話しかけてきた。
今日は若干躊躇気味だな?
「どーしたダドリー君。そんなに試験の出来が悪かったか」
「違う!」
「それは聖女のあたしでもどーにもならん。諦めなさい」
「違うと言ってるんだ!」
ケラケラ笑った後、急に真顔になる聖女パルフェ。
「で、何の用なん? お腹減ってるから早くお弁当が食べたいんだけど?」
学院の昼休憩の時間は比較的長い。
しかし聖女パルフェは速攻で弁当を食べるタイプだ。
「一つ、大変ためになることを教えてやろう。お腹が減ってる時のあたしは、すごく機嫌が悪くなるんだぞ?」
「ああ、すまん。手短に話す。カーク」
ダドリーじゃなくてカークの用なのか。
何だろう?
「実はうちの婆ちゃんが足の骨を折ってしまったんだ。魔法医に診てもらったんだけど、どうにもうまく歩けなくて」
「あっ、真面目な案件だったか。ばっちゃんがケガしたのはいつ?」
「ちょうど一〇日前だ」
「うまく歩けないってのはどういうこと?」
「力が入らないらしくて、立てないんだ」
「ふーん? ばっちゃんを診た魔法医は何て言ってるのかな?」
「ケガ自体は治ってるって。筋力か精神的なものじゃないかって」
「……一〇日なら筋力は大丈夫だと思うがなあ?」
聖女パルフェが首をかしげている。
ダドリーが意を決したように言う。
「どうだろう? カークの祖母を診てやってはもらえまいか?」
「そーだな。診ないとわからん」
「君が貴族を嫌って癒しを行わないことは知ってるが……えっ?」
「診てくれるのか?」
「うん、診るよ。でも治せるとは限らないぞ?」
「い、いいのか? 貴族は診ない主義なんじゃないのか?」
何故か聖女パルフェが貴族嫌いという噂があることは知っている。
実際には貴族と普通に付き合っているし、学院でそんな様子を見せたこともないんだが。
「何だその主義は。あたしは聖女だぞ? 貴族とか平民とか関係なく癒すわ。ただ貴族に呼びつけられても出張はしないよ。そーゆーのは魔法医の仕事だってだけ」
「そ、そうだったのか」
「魔法医が診て治らない、歩けないから礼拝堂にも来られないっていうなら出向くよ。ま、でもこの話はあんまり広めないでおいてくれる?」
「何故だ?」
「あたしの魔力は国防結界の維持のため、国にお買い上げされているのだ。あたしんところに患者押しかけて治療に大量の魔力を使わなきゃいけなくなったら、よろしくないだろーが」
この辺聖女パルフェの姿勢は一貫しているなあ。
貴族を診ないと誤解されている原因の一つではあるんだろうが。
「そ、そういうことか」
「魔法医の仕事取っちゃうのもまずいんだよね。聖教会の行う癒しの施しのせいもあって、あんまり魔法医連の関係がいいとも言えないんだ」
「難しいんだな?」
「まあね。幸い昼休憩の時間あるから、今から行こうか。気になってお弁当どころじゃないわ」
「今からって……」
「飛んできゃすぐだよ。いくぞー」
飛行魔法か。
そして当然のようにオレもお供だ。
◇
「お年寄りの特に女性に多いんだけど、例えば骨が弱っちゃってることがあってさ」
飛行魔法でカークの家に移動中だ。
「ケガ自体は治っても、骨が体重を支えられなくてダメなんだ。話聞く限りそのケースかもしれないし、他にも回復魔法じゃ治療不可能なやつがある。ごめんよ。治せるとは限らないってのはそーゆーこと」
「いや、聖女様に診てもらえるだけで婆ちゃんは喜ぶと思うから」
「そう言われると嬉しいなあ。全力を尽くすよ」
「あっ、そこの家だ」
フワリと着地する。
「あっ、若様!」
「聖女パルフェを連れて来た。婆ちゃんの治療に」
「わかりました。大奥様の寝室の方へ」
すぐカークの祖母のところへ通される。
顔を見ると血色もいいし、元気は良さそうだ。
「こんにちはー」
「あれあれ、いらっしゃい。どちら様でしたかね?」
「婆ちゃん、聖女パルフェだ。婆ちゃんのケガを診てくれる」
「評判の新聖女様? 貴族嫌いじゃなかったのかい?」
「そんな噂があるみたいだけど、別にあたしは貴族嫌いじゃないよ。貴族だからって贔屓はしないぞってだけだよ」
「そうかいそうかい」
「早速診させてね」
起こしていた身体をそのまま倒し、仰向けにする。
……オレもヒールを使えるようになったけど、正直身体を見てどこが悪いなんて全然わからない。
しかし聖女パルフェにはわかるんだな。
「ははーん?」
「どうなんだ?」
「大丈夫。治せる」
「そうか、よかった!」
「ばっちゃん。魔法かけるから、治るまで寝ててね。スリープ! あーんどパラライズ!」
睡眠と麻痺の魔法だ。
状態異常系の魔法は習得が難しい。
また悪用もされやすいため、スリープやパラライズは名前は知られていても、詳しい構文は本に載っていない。
自分で組み立てなきゃいけない類の魔法だ。
でも当たり前みたいに聖女パルフェは使えるんだな。
ダドリーが疑問に思ったようだ。
「何故治療に睡眠と麻痺が必要なんだ?」
「ここ見て。折れた足くっつける時に曲がっちゃって、しかも左右のバランスが取れてないんだ。整復がよくなかったんだろうな。こーゆーのはもう一度折ってくっつけ直さないといけないの」
「「「「えっ?」」」」
まさかの再骨折法。
ダドリーを脅しただけじゃなくて、本当にそんな治療法があるんだな。
トラウマを抉ったのか、ダドリーが震えてるんだが。
「麻痺させときゃ痛くないし、眠ってりゃ意識ない内に治せるから」
「そそそそういうことだったか」
「せーの」
鈍い音がして足が折れる。
身体強化魔法を使ってるんだろうか?
躊躇なく折るなあ。
うわー、見てられない。
「で、正しい位置に持ってきてヒール!」
「……これで治ったということか?」
「骨折部分はね。ばっちゃんの悪い部分はそこだけじゃないんだ。折れた側左足の付け根の関節と筋も痛めてる。立てないのはそっちが原因だと思う」
「どうして見ただけでそんなことがわかるんだ?」
「感知魔法に慣れてくると、身体の中の魔力の流れまで見えてくるんだよ。悪い部分ってのは魔力の流れも悪いんだ」
「感知魔法か……」
「ダドリー君は雷属性持ちじゃん。感知魔法覚えるのはお勧めだぞ? メッチャ使えるからね」
教科書に書いてないことが多い。
魔法って本当に万能なんだなあ。
聖女パルフェが立て続けにヒールをかける。
「よーし、こんなもんだろ。キュア!」
治癒魔法で睡眠と麻痺を解除、お婆さんが目を覚ます。
「ばっちゃん、おはよー。身体どうかな? 立ってみてくれる?」
「はいはい。よいしょっと」
普通に立てる、歩ける。
バッチリだ!
お婆さんもカークも大喜びだ。
「聖女様、ありがとうねえ」
「いいってことよ」
「おい平民。礼をしたいが、謝礼はどれくらい必要だ?」
「いらないよ。治療してお金をもらうのは魔法医の領分なんだ。聖女のお仕事の範疇にない」
「ふむう」
ダドリー一派も考えるところがあるようだ。
聖女パルフェが貴族嫌いというのは、魔法医連がそう吹聴してるからなんじゃないかと疑っている。
オレも最初誤解していなかったとは言えない。
貴族派の修道士修道女は今でも聖女パルフェと壁があるしな。
もう少し聖女らしさの実態をアピールした方が、聖女パルフェ自身のためにも聖教会のためにもなると思う。
でも聖女パルフェはそういうことに全く興味ないみたいなんだよなあ。
「焼いたばかりのお菓子があるはずですよ。お昼に食べていきなさいな」
「やたっ! ばっちゃんありがとう!」
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