42 / 103
リネン室
しおりを挟む
医療関係の仕事をしていた頃の話ですが、
リネン交換をする日がありまして、その日その日で担当が違った。
いわゆるシフト制というもので、毎週土曜日誰かが担当になる。
まぁ時間や仕事次第では日曜にもなったのだが。
その日は私が担当だった。
リネン室は薄暗い真っ直ぐ伸びた通路を10m程進んだ右手。
以前話した『赤いカド』を横切ってのリネン室なので、
気持ち悪さもまぁまぁあった。
リネン交換をする夕方の時間帯は人も歩かず、シンとしている。
カラカラと音を立て、使用済みリネンをのせた台車を押し、
私は少し小走りで直線を進む。
リネン室もそうだが、基本的に利用者様が入ってこれないよう、
開けっ放しも禁止ですが、そもそも開けっ放しに出来ない構造になっている。
台車ごと4畳半くらいのリネン室の中に入ると、ガチャリと
重い音を立ててドアが閉じた。
違和感のある部屋・・・取って付けたような・・・
電気をつけるが、あまり明るくない仕様で、これまた気味が悪い。
使用済みのリネンを回収袋に押し込み、新しいリネンを選ぶ。
回収袋はその部屋に8つほどあったと思うのですが、
どのリネンを持っていくのか在庫ノートに記載していると、
スー・・・スー・・・と音がするのです。
音?・・・いや、神経を耳に集中させると、それは呼吸音だとわかった。
とっさに『利用者が入ったか?』と思い、周囲を見渡すが姿はない。
回収袋を確認するが、人の姿はない。
ただ気持ち悪いのは、回収袋は人が入れる程大きいと言う事。
まさか・・・と思いつつ回収袋を見つめるが変わったところもなく、
動くこともなかった。
気のせいだと思い、在庫の記載を始めるとまた呼吸が聞こえてきた。
スー・・・スー・・・
やはり回収袋の方からするので目をやる・・・
よーく見ると、並んだ袋の中に髪の毛が見えた。
即助け出さなければいけないのだが、恐怖が先だった私は
『ギャ!』と叫び、外へ飛び出してナースステーションへ走った。
主任が居たので説明してリネン室へ来てもらった。
2人で確認するが、誰も居なかった。
『確かに髪の毛が・・・』と言うと主任は『あのね・・・』と切り出した。
どうやらこのリネン室はもともとは利用者の部屋だったらしく、
どういう訳かこの部屋に入ると、昨日まで元気だった利用者様ですら
突然お亡くなりになると言う事が頻繁にあり、おかしいと言う事で
部屋として使うのをやめたとの事だった。
主任はそのせいかもしれないわねと話すと、リネン室の作業が終わるまで、
部屋に一緒に居てくれました。
その後、私の部署の上司にその旨を説明すると、
リネン室へは2人で行く事を義務付けられました。
施設がそういう現象を受け入れ、それ相応の対応をする、
こう言うことは意外と珍しくないのだそうです。
リネン交換をする日がありまして、その日その日で担当が違った。
いわゆるシフト制というもので、毎週土曜日誰かが担当になる。
まぁ時間や仕事次第では日曜にもなったのだが。
その日は私が担当だった。
リネン室は薄暗い真っ直ぐ伸びた通路を10m程進んだ右手。
以前話した『赤いカド』を横切ってのリネン室なので、
気持ち悪さもまぁまぁあった。
リネン交換をする夕方の時間帯は人も歩かず、シンとしている。
カラカラと音を立て、使用済みリネンをのせた台車を押し、
私は少し小走りで直線を進む。
リネン室もそうだが、基本的に利用者様が入ってこれないよう、
開けっ放しも禁止ですが、そもそも開けっ放しに出来ない構造になっている。
台車ごと4畳半くらいのリネン室の中に入ると、ガチャリと
重い音を立ててドアが閉じた。
違和感のある部屋・・・取って付けたような・・・
電気をつけるが、あまり明るくない仕様で、これまた気味が悪い。
使用済みのリネンを回収袋に押し込み、新しいリネンを選ぶ。
回収袋はその部屋に8つほどあったと思うのですが、
どのリネンを持っていくのか在庫ノートに記載していると、
スー・・・スー・・・と音がするのです。
音?・・・いや、神経を耳に集中させると、それは呼吸音だとわかった。
とっさに『利用者が入ったか?』と思い、周囲を見渡すが姿はない。
回収袋を確認するが、人の姿はない。
ただ気持ち悪いのは、回収袋は人が入れる程大きいと言う事。
まさか・・・と思いつつ回収袋を見つめるが変わったところもなく、
動くこともなかった。
気のせいだと思い、在庫の記載を始めるとまた呼吸が聞こえてきた。
スー・・・スー・・・
やはり回収袋の方からするので目をやる・・・
よーく見ると、並んだ袋の中に髪の毛が見えた。
即助け出さなければいけないのだが、恐怖が先だった私は
『ギャ!』と叫び、外へ飛び出してナースステーションへ走った。
主任が居たので説明してリネン室へ来てもらった。
2人で確認するが、誰も居なかった。
『確かに髪の毛が・・・』と言うと主任は『あのね・・・』と切り出した。
どうやらこのリネン室はもともとは利用者の部屋だったらしく、
どういう訳かこの部屋に入ると、昨日まで元気だった利用者様ですら
突然お亡くなりになると言う事が頻繁にあり、おかしいと言う事で
部屋として使うのをやめたとの事だった。
主任はそのせいかもしれないわねと話すと、リネン室の作業が終わるまで、
部屋に一緒に居てくれました。
その後、私の部署の上司にその旨を説明すると、
リネン室へは2人で行く事を義務付けられました。
施設がそういう現象を受け入れ、それ相応の対応をする、
こう言うことは意外と珍しくないのだそうです。
1
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる