FLY ME TO THE MOON

Kisaragi Mutsuki

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OXIDIZE

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『ライブってどうやって?』



突拍子もない如月の発言に女子高生2人とジジィ1人が驚く。



『ざっくり言うと、大音量でここから音楽をバーン、音に引き付けられたゾンキーを集めて、巨大スピーカーからデスボイスドーン!そしたら脳みそババババーンって感じで一網魔人!』

『なるほど!魔人じゃなくて打尽で、申し訳ございません。』

『パイロンさん今のでわかったんすか!』

『要するにゾンキーをぶっ殺すで、申し訳ございません。』

『パイロンさん雑!』

『ワシもなんとなくわかったぞ』

『なんとなくはわかったとは言わないから!』

『よし!じゃぁ音楽システムの電源とか確認しよ!』

『あ、待って、ライヴっすよね?どうせならちゃんとやりたくないっすか?何か楽器できますか2人は』

『私、ちっちゃい頃から三味線習ってたからできるよ!ベンベンベベン!スースーするけどちゃんとチョコ~♪だけどたっぷりチョコミント~♪クゥ~!さわやかぁ~!!!ス~ス~ゥミントっ♪ベベンッ!』

『睦月は三味線の腕前が師範なんだよね』

『高校生で三味線が師範の腕前って!!!!どんなじゃ!』

虎徹がひっくり返ったふりをして女性陣のパンツを狙うが、全員瞬時に警戒体勢を取る。

『えへへ、凝り性なもので・・・』

照れる如月に続きパイロンは・・・

『私は鼓笛隊の経験があるので、スネアドラムならできますいえ、超絶できてしまって申し訳ございません。』

『如月さんは三味線で・・・パイロンさんはスネアドラム…ってそれって!!!!!!!!!!!!』

『ZEROじゃん!!!!!』

3人が声を合わせて、大人気のバンド【ZERO】の名を叫び、同時にライブのステージを見つめた・・・。

『あぁああわわわ・・・シドの三味線・・・・いいのかなぁ・・・いいのかなぁ・・・・』嬉しさと緊張でオドオドしながら右往左往する如月。

『私はP.Oのスネアドラムに?うわわわわ・・・』嬉しさと恐れ多さであわあわしながら前後左右するパイロン。不思議なことに如月の右往左往とは綺麗に交差しぶつかることはなかった。

『じゃぁ私はデスボ?これってそのままZEROっすね!』

『折角だし名前付けようよ、ガールズバンドの・・・・』

如月が名前を絞りだそうとしている・・・

他の2人も空を見上げて考える・・・。

こういう時はたいてい『出ない』

人にものを訪ねて『うーん・・・』と考えながら、右上の空間を見る人は考えているフリをしていると何かの書物で読んだ気がする如月は、2人が右上を見上げているのを見て『こいつら…』と思うのだった。

もちろん右上を見る情報は不確かだ。

『太陽の光に照らされてキラキラ輝く白髪、金髪・・・そして黒髪・・・混ぜたら燻した銀になりそうじゃの・・そういうのはどうじゃ?チームいぶし銀』

と、虎徹が提案する。

『いぶし銀って!!!!女子高生ですけど!!!!』

3人に突っ込まれる虎徹。



如月がパイロンにいぶし銀を英語でなんというか聞いた。パイロンは『oxidized silver (オキシダイズド・シルバー)だと思う・・・』と答えた、流石成績優秀のパイロン。

如月はそれを縮めて『oxidize(オキシダイズ)はどう?』と虎徹を交えて3人に聞いてみた。パイロンは『3人の髪の毛の色を混ぜて燻したような銀…それで燻し銀…おもしろいかも!』と笑顔で1つ飛び跳ねた。

羽鐘も本当に燻し銀になるのかは別として、オキシダイズと言うゴロが気に入った様子で首を2つ縦に振った。

『ありがとう虎徹さん!』

さっきは猛烈な『ツッコミ』を受けたのに今度はお礼。

若いっていいなと感じる虎徹だった。


お礼を言うと如月は早速電力の供給などを調べる為に、改めて4人で会議をすることにした。『このスタジアムだけで大音量でやっても、遠くのゾンキーまでは集められないと思うのよね、どう思う?ねぇどう思う?ねぇねぇ、言っちゃいなよ、思ってることを口に出して言っちゃいなよ!』如月が質問を始めた。

3人は右上を見上げることもなく、如月を見てしばし考える。

『ライヴで並ぶと外にあるスピーカーから、

呼び出しや音楽が聴こえるよね?あれのボリューム上げるとか?』

『それだ!羽鐘!それいいじゃん!』

『集めなくても町中のスピーカーからデスボ流したら、あちこちでゾンキーが吹き飛ばないかなと思ってしまい、申し訳ございません。』

『うんパイロン、私もそれ考えたんだけど、本当にゾンキーを倒したのか確認できないって言うか、確認しにいかなくちゃって感じじゃないかな、ここに集めると、また一気に燃やして止め刺せるかなって思うの、どぉ?どぉ?』

『そうね、睦月の言う通り、集めて倒せば目に見えて倒したことが確認できるもんね』

『集めることで行動可能になる生存者もいるやもしれんな。』

『そうっすね、集めるのが得策って感じっすね』

『よし!じゃぁ外のスピーカーのスイッチとかなんとか、そのぉ・・・機械見つけてガーッつって。』

『はいはい、操作室みたいの探して試すのね』

如月の擬音交じりの簡素な説明をパイロンが通訳する。

『一度に4人が同じ行動をするのは危険だから、私とパイロンが操作室を探す、スティールと虎徹さんは不審者やゾンキーとかの侵入に備えて見張りでいい?いいよね?イイしかないよね!ハイ行動!』

パチンと手を1度叩くと、小走りで如月は館内に向かい、パイロンはその後ろに付いた。

『じゃぁ虎徹、私たちは出入り口を見てから、その他の入口なんかも確認してまわろっか。』

『うむ、そうしよう。』

虎徹は腰の虎徹に手を触れて存在を確認すると、焼かれたゾンキーの山の左側入口へと向かった。拡声器を手にして、二度カチカチと電源の確認をし、羽鐘も虎徹の後につくのだった。



バンッ!!!!!!



突然の事だった、スタジアム全体の電気が落ちたのだ。昼間ではあるが、付きっぱなしだったすべてのライトが一気に消えるとスタジアムと言えども途端に薄暗い。館内は非常灯まで消えているので、真っ暗と言っても良い。

『うそ!』

パイロンが驚き、如月の脇腹を掴む。

『硬っ!』

如月の身体は筋肉全開なので、引き締まっていて、言い方は悪いが女性らしからぬガッチガチの肉体をしていた。

『パイロン!人の身体に触れてカタッ!ってなんやねん!鍛えとるんよ、鍛えとったんよ!だから今戦えるんじゃ!鎧じゃ鎧!オーケイ?オーケイだよね?オーにケーだよね?』

『わかってるって、だって絶対プニっとしてて安心感あるって思ってたんだもの・・・まさか摘まむことも出来ないほど引き締まってるって思わないじゃん・・・で・・・申し訳ございません・・・。』

『あー…せやな、女の子って柔らかいもんな・・・でも私、病気した時に心から丈夫になりたいって思ったんだぁ。だから筋肉の鎧がないと不安になるのよね、ショージキな話。』

『うん、わかる、わかった、わかります、申し訳ございません。』

『何段活用だよ!あははははは』

真っ暗になったと言うのに、館内に笑い声が響いた。



『あ、ちょっと待って・・・』



『どうしたの睦月とつぜん。』



『電気落ちたって事はゼウスが本気出すってこと?いあ・・・まだ早いか・・・だとしたら第二段階かな・・・』

『ライフラインの遮断・・・?』

『そうかもね・・・私たちみたいに戦っている人がいて、それを監視カメラみたいなもので観てるとしたら・・・考えられるよね・・・悪いけど余興としては盛り上がるわ、檻に選手2名入れて、一定時間戦わせた後にその折に虎を放り込む・・・みたいな・・・観客の熱はヒートアップってか。クー!!!私なら1分で対戦相手倒して虎にも勝てる気がする!』

『え?そこ?そこなの?』

『ちょっとまってよ!スピーカー使えないじゃん!』

『それでしょ!!!!!』

『まずはスタジアムに出て4人合流しましょ、あの2人も焦ってると思うから、こういう時は1度集合!八時だよっ!』

『うん、そうだね』

『全員集合!!!やろがい!』

『うん、そうそう』

パイロンが如月を4秒で2回軽く流した。
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