転生したら魔力ゼロの魔術師に・ロリ系美少女の愛の大冒険旅

最終章：魔界

崩壊する街（６）

　私とニタは、襲いかかってくる魔物を払いのけながら、前の方へと進もうとしました。
　でも、とても数が多いのです。
　車両いっぱいに魔物が乗り込んでいて、とても前に進めないのです。

　それに、私の魔力が足りないのです。
　だから、ニタどころか、自分の体すら守れないのです。
　十分な防御魔法を使えないのです。

　その時、ニタは私の持っている魔法の杖を自分の胸に押し当てたのです。
　すると、杖の中に・・・そして私の体の中に大量の魔力が流れ込んできて・・・それはニタの魔力でした・・・彼女は私に・・・私のために・・・
　私の体は再び力で満たされ・・・
　私は防御魔法を・・・

　私たちは前の車両へ進み・・・そして、私は炭水車に飛び乗り・・・
　まだ客車にいる彼女を引っ張り上げようとしました。
　でも、ニタの体にはたくさんの魔物が取りついていて、振り払っても振り払っても、彼女の体にしがみつき・・・
　そして、何匹かの魔物が炭水車へと飛び移ろうとして・・・私の体に飛び移ろうとして・・・

　その時です。
　ニタは客車と炭水車の間の連結部に手を入れ、連結器を素手で・・・彼女は客車を機関車から切り離したのです。
　客車と炭水車は次第に距離が・・・
　私が手を伸ばして、ニタを引き上げようとしたのですが・・・彼女は拒んだのです。
　彼女は私の手を取ろうとはしませんでした。
　彼女はたくさんの魔物に囲まれたまま、客車に取り残されて・・・
　彼女は私を見ていました。
　じっと見ていました。
　でも、なぜか彼女の顔は・・・なぜか彼女は満足そうな表情で私を見ていて・・・
　
　彼女は少し手をあげて、・・・まるでそれは、微笑みながら私に手を振っているような・・・
　それが、彼女とのお別れでした。

　彼女は自分の胸の前で両手を合わせ、まるで祈るような姿勢をし・・・
　しばらくすると、客車は爆発して・・・
　それがニタの体の中の魔力による爆発なのか、飛行機械から落ちてきた爆弾によるものなのか、わかりませんでしたが・・・でも、ニタはもう・・・

　＊

　私は炭水車の上を乗り越えて、機関車の中へ・・・
　そこには、必死で石炭を補給しながら、運転しているルークとメティスが・・・

「ニタが・・・ニタが・・・」
　私は何が起きたのかを言葉にすることができませんでした。
　ルークは黙っていました。
　きっと、彼には、さっきの後ろの客車の爆発が見えていたし、それが何を意味するのか理解していたのです。
　私はもう一度言いました。
「ニタが、私のために・・・」