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第2章:魔道

魔界へつながる道(2)

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 城壁をくぐり、クルドークのテリクという街に入りましたが、一見普通の都市でした。
 平和そうな街なのです。
 魔物が溢れているわけでもなく、残酷な事件が起きているようでもありません。
 本当にルークのいうような恐ろしいことが毎日起きているのでしょうか。

 私たちは宿をとりました。
 私はとてもうれしくなりました。
 久しぶりに野宿から解放されて、柔らかいベッドで眠ることができるのです。
 でも・・・
 
 私たちは、それほどたくさんのお金を持っていません。
 だから、一番安そうな宿を探しました。街で一番安い宿を・・・何とか見つけました。
 そこは派手な看板も出しておらず、建物の中にも装飾がなく、質素な宿でした。
 でも、仕方ありません。私たちにはお金がないのですから・・・



 ドラゴンを追い払った時に、少々くすねた金貨など、とっくになくなっていました。
 村に着くたびに、どこかの食堂に入って、チョコパフェをたくさん食べるからです。
 どうしても甘いものが食べたいのです。
 どうしてもチョコレートが食べたいのです。
 それが、今の私にとっての唯一の癒しなのです。
 だから、いつも一番ビッグサイズのチョコパフェを注文します。
 するとなぜか・・・ルークもその超ビッグサイズのチョコパフェを注文するのです。
 ・・・男のくせに・・・甘いものが好きなんです・・・変態のくせに・・・いや、変態だからでしょうか・・・
 いずれにしても、何枚かあったはずの金貨は、勢いよく二人の胃の中に入っていき、ついには消滅してしまったのです・・・
 何という恐ろしいことでしょう・・・いや、恐ろしくはないですね・・・お金を使ったからなくなったというだけのことです・・・
 私たちには、金銭を節約するという能力が欠けているようです。

 いずれにしても、お金がない・・・安い宿に泊まるしかない・・・
 だから、とても古くて汚い宿へと・・・
 しかし、私たちを出迎えてくれたのは、若くて優しそうなかわいい女性でした。
 まだ子供なのでしょうか。
 彼女はクティカという少女でした。

 彼女は自分の名前を名乗ってから、不思議そうな表情で見ている二人に説明しました。
 この宿は母親と二人でやっているのだと・・・
 でも、最近母親が行方不明になってしまったのだと・・・
 それで、今は一人で宿を続けているのだと・・・
 母親が帰ってきてくれるのを待っているのだと・・・

 私は少し心配になりました。
 彼女の母親に何があったのでしょうか・・・もしかして、どこかで事件に巻き込まれたのでしょうか・・・それは魔人のしわざ・・・以前ルークが言っていた、この街で起きている恐ろしい出来事・・・
 でも、いきなり詳しいことを尋ねるのは変かと思い、私は黙っていました。
 いえ、私が黙っていたのには別の理由もありました。
 違うことが気になり始めていたのです。
 横に立っているルークが、興奮しているようなのです。

 ・・・え? 何に? 何に興奮してるの?・・・
 ・・・もしかして、この少女に? こんな幼い子供に! この変態、守備範囲が広すぎ・・・
 ・・・大丈夫かな、こいつ・・・夜中に彼女を襲ったりしないかな・・・

 私には他にも気になることがありました。
 それは漠然とした疑問でした。

 ・・・確かにこの宿は古くて小さな宿だけど・・・でも、誰も泊まっていないのはどうして?・・・私たち以外に宿泊客がいないのはどうして?・・・

 私はいろいろなことが気になりながらも、宿泊の手続きを・・・
 ところが・・・実は、私たちは、こんなまともな宿に泊まるのは初めてなのです。
 すぐにいろいろな問題が起きました。
 私が二部屋お願いしようとすると・・・つまり、ルークと別の部屋に泊まろうとすると・・・彼がダメだというのです。
 つまりお金がないと・・・二部屋借りるのはお金がもったいないと・・・
 お金がないのは確かだけど・・・でも、この変態が考えていることはお金のことではないのです・・・絶対そうです・・・

 私たちは宿屋のかわいい女の子の前で、はずかしい口論をしたあげく、結局、二人で一つの部屋を借りることになりました・・・
 二部屋も借りたら、この街で超巨大スーパービッグサイズのチョコパフェが食べられなくなるかもしれない・・・そう思うと仕方なく・・・
 でも、部屋に入るとベッドは一つしか・・・
 そうすると、もう当たり前の喧嘩が始まるわけですね・・・

 私が、どっちがベッドで寝て、どっちが床で寝るかを決めようと言うと・・・
 ルークは違うというのです。
 決めるべきことが違うと・・・
 彼は、私はベッドに寝るべきだと言うのです。
 そして、議論すべき課題は、彼も一緒にベッドに寝るかどうかなのだと・・・つまり、二人で一緒にベッドで寝るかどうかを決めなければならないのだと・・・

 ・・・一緒に? ありえないんですけど・・・マジ、無理・・・

 結局、私はベッドで、ルークは床の上で寝ることになって・・・当然の結論・・・

 でも、決して危険が去ったわけではありません。
 床の上で寝ているルークの手足が、いつベッドの中に入り込んでくるかわからないのです・・・偶然を装いながら、彼の指がベッドの上の私の毛布の中に入り込んできて、私の体を・・・
 もう、私は夜安心して眠ることもできませんでした・・・一つの部屋という密閉された空間がより興奮を・・・いや、より緊張を高めるのです・・・
 私は不安で不安で仕方なく・・・これなら、野宿してた方がよかったのかも・・・とか思ったりもしましたが・・・

 でも、夜になると、ルークはなぜか毎晩いなくなるんです。
 どこかの居酒屋に行って、酒を飲んでいるようなのです。
 かなり酔って帰ってきて、部屋に戻ると、すぐに床の上に倒れてぐーぐー寝てしまうんですね。
 毎晩、居酒屋へ?・・・
 いや、もしかしたら、それだけではないのかも・・・
 きれいな女性がたくさんいるお店とかに行って・・・それで、その美人と仲良くなったりして・・・きっと、自分は戦士だなどと言って、あることないこと自慢してるんでしょう・・・ドラゴンを倒したとかうそぶいているのかもしれません・・・それで英雄気取りで・・・女性にモテて・・・しかも、夜の英雄にもなってたりして・・・彼の大きな魔剣を・・・

 ・・・ちょっと、つまんない・・・
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