転生したら魔力ゼロの魔術師に・ロリ系美少女の愛の大冒険旅

第１章：魔物

悲しいドラゴン（２）

　ルークは魔法を試そうとしている私に言いました。
「まさか俺の左腕にトカゲの尻尾が生えてきたりしないよね・・・トカゲの尻尾が生えてくるくらいなら、今のままの方が・・・」
　私は答えました。
「大丈夫だよ・・・ちゃんと練習したんだから・・・人間の手が生えてくるよ・・・でも、骨がないかも・・・嘘だよ・・・冗談だよ・・・ちゃんとルークの左手が生えてくるって・・・それに、もしトカゲのしっぽが生えてきたら、ちぎっちゃえばいいじゃん・・・ちぎって、もう一回チャレンジすれば・・・ちょっと痛いかもしれないけど・・・」

　それでも、まだルークは心配そうに、
「うん、わかった・・・うん・・・でも、もし、足が生えてきたらどうしよう・・・トカゲの足じゃなくて、人間の足が生えてきたら・・・俺の足が・・・俺の太い足が・・・いや、もしかしたら足みたいに太い腕が生えてきたら・・・もし太くするんなら、腕じゃなくて・・・大きく太くしてくれるんだったら、違う場所を・・・」
　私は大きな声で、
「うるさいよ・・・変態！・・・静かにしなさい・・・魔法に集中できないでしょう・・・」
　ようやく彼も大人しくなって・・・

　彼はギャーギャー騒ぎましたが、何のことはありません。
　ちゃんと彼の左手が再生しました・・・でも、その時彼が大声を出したんです。
　彼は驚いたような声で叫んだんです。
「ありがとう・・・でも・・・でも、何か変だよ・・・自由に動かない・・・思った通りに動かない・・・」

　・・・え？！・・・

　私もびっくりしました。
　見た目は左手なのです。間違いなくルークの左手なのです。決して、トカゲの尻尾ではないのです。
　だって、彼の左手をイメージして再生したんですから・・・
　でも、もしかしたら、内部構造が詳細にイメージできていなかったのかも・・・神経組織のイメージが違っていたのかも・・・
　だから、ちゃんと彼の体につながらなくて、彼の思い通りに動かすことができないのかも・・・それでは、彼は戦えません・・・剣を持って戦うことができません・・・

　私は思いました。
　・・・私は失敗しちゃったんだ・・・ルーク、ごめんね・・・
　どうすればいいのでしょう。
　もう一度彼の左手を切り落として再生してみればよいのでしょうか・・・でも、また失敗するかも・・・私の力では人間の体を再生するのは無理なのかもしれません・・・もっと魔法を練習しないと・・・今の私では何度やっても・・・
　私はがっかりしました。

　その時です。
　いきなり、彼の左手が私の胸を掴んだのです。
　それもとてもはげしく、強く・・・しかも私が抵抗しても、絶対に放そうとしないのです・・・
　そんな乱暴なことはこれまで一度もしたことがありませんでした。
　彼は口ではエッチなことを言うけど、それを実行しようとはしないのです。
　だから、私は彼を信用していたのです。
　それなのに、彼の左手は私の胸をはげしく鷲掴みにして・・・

　でも、ルークは小さな声で言いました。
「いや、これは、俺の意志ではなく・・・左手が勝手に・・・どういうことなんでしょうね・・・」
　私はちょっと戸惑っていました。

　・・・どういうこと？・・・・

　しかし、次の瞬間には、彼の右手も・・・私の胸を・・・
　私は彼の頬を思い切り叩きました。

　・・・嘘つき！・・・変態嘘つき！！・・・