美少女リリアの宇宙探査・1000光年の愛の旅

ヤクモ ミノル

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謎の植物ネットワーク(4)

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 私はレッドの言葉を思い出しました。
 この未知の植物のネットワークに取り込まれた生物は、永遠に生き続けることができるのだと・・・そして、その脳は永遠に思考し続ける・・・

 もしかすると、私はこの記憶のループをいつまでも体験し続けなければならないのでしょうか。
 彼との幸福な記憶と、その悲劇的な終わりを何度も何度も・・・無限に・・・

 私は叫びました・・・私は大声で叫びました・・・ここから出してほしいと・・・この記憶のループを終わりにしてほしいと・・・もう十分だと・・・
 もうこれ以上は耐えられないと・・・

 しかし、何も起きません。
 やはり、私は記憶の中にいるのです。
 ここでは何も起きないのです。
 この世界に変化はないのです。

 何度も何度も繰り返される幸福と悲劇・・・

 いえ・・・変化が・・・・
 その時、変化が・・・
 ・・・私はまだ記憶の中にいました。・・・
 過去の宇宙船・・・訓練用の宇宙船・・・でも、そこには・・・そこには、レッドが立っていたのです。

 私は思いました。
 きっと、船の量子コンピューターとこの謎の植物ネットワークの接続が成功したのだと。
 そして、何らかの方法で、彼はこの仮想空間に入って来たのだと。
 私を助けるために・・・。
 私をこの地獄のループから助け出すために・・・。

 私はレッドの手を握りました。金属でできた手を・・・ごつごつした手を・・・しっかりと、・・・
 それはレッドの手・・・間違いなくレッドの手・・・ポンコツロボットだけど、優しいレッドの手・・・

 すると次第に記憶は消えていき・・・私は現実の世界に戻ることができたのです。

 私は船に帰りました。
 レッドは量子コンピューターを操作していました。
 私はレッドに言いました。泣きながら・・・
 ・・・助けてくれて、ありがとう・・・

 でも、レッドは返事をしません。
 しばらくしてからレッドは奇妙なことを言いました。
 結局、船の量子コンピューターと、この植物ネットワークを接続することはできなかったと・・・
 実験は失敗したのだと・・・

 ・・・じゃあ、誰が私を助けに来てくれたのですか?・・・
 ・・・あの時、私の記憶の中に現れたレッドは何?・・・

 レッドは私に言いました。
「それはあなたの意志でしょう。・・・
 あなたが、この世界に戻りたいと願う意志が、私を呼び出し・・・
 そこにいたのは、あなたの記憶の中の私なのですよ。・・・」

 そうなのでしょうか。・・・そうなのかもしれません。
 確かに、あの時の私は、レッドに助けを求めていました・・・
 だから、それが夢の中で実体化され・・・そして、あの世界から抜け出すことができたのです・・・

 ・・・だから・・・やっぱりレッドが助けてくれたんです・・・私を助けてくれたのはレッドなんです・・・ポンコツだけど・・・ちょっと頭がおかしいのかもしれないけど・・・やさしいレッド・・・私のことを大切に思ってくれるレッド・・・
 私はレッドを抱きしめて・・・

 彼は言いました。この惑星には古い遺跡があると・・・
 ・・・それは古い文明の遺跡・・・数万年前の遺跡・・・
 私たちは一緒に、その遺跡の調査を始めました。
 そして、発見しました。
 遺跡を・・・・古代の遺跡を・・・さらに・・・
 私たちは見つけたのです。・・・その遺跡の付近で・・・たくさんの人間を・・・この惑星の人間を・・・この古代文明を築いた人間たちを・・・

 この惑星でも、人間のような高等生物が進化していたのです。
 しかし、彼らは滅びて・・・
 いえ、違います。彼らは滅びてなどいません。彼らは・・・・まだ生きていました。
 この謎の白い繊維に包まれて・・・謎の植物ネットワークに包まれて・・・

 彼らは数万年もの間、生き続けているのです・・・
 彼らの脳は数万年もの間思考し続けているのです・・・

 彼らが今、何を考え、何を感じているのか私にはわかりません。
 彼らが感じ続けているのが激しい快感なのか・・・
 それとも、耐えられないような悲しみなのか・・・

 ここは永遠の天国なのでしょうか。それとも、終わることのない地獄なのでしょうか。

 私はちょっと恐ろしい気分になりました。
 もし、あの時、あの記憶から抜け出せなかったら、私も永遠にあの悲劇を・・・

 *

 私は次の恒星系に向かうために、冬眠の準備を始めました。
 レッドは私に言いました。
「この惑星の植物ネットワークに接続することはできませんでしたが・・・あなたの脳に接続することはできますよ・・・
 だから、あなたの夢の中に入り込むことはできます・・・
 冬眠中に悪夢にうなされるようなことがあったら、すぐにを呼んでください。・・・」

 私には、眠っている私がどうやってレッドを呼び出せばよいのか、よくわかりませんでした・・・きっとまた、彼の下手なジョークなのでしょう・・・

 ふと、私は再び地球での訓練中の事故のことを思い出していました。
 何となく、今までよりも、記憶を生々しく思い出せるような気がするのです。
 彼との記憶も・・・彼の体の感触も・・・そして、その時の私の気持ちも・・・
 心地よい気分も・・・まるで現実の感覚のように・・・
 きっと、この惑星で同じ記憶を何度も繰り返して呼び起こし、それを経験したせいなのでしょう。
 私はとても幸せな気分になり、しかし、また泣きそうになり・・・

 レッドは私に言いました。
「悪夢に苦しんでいるあなたを助けるために、あなたの夢の中に入り込むのなら、その時は、こんなロボットの体ではなく、人間の体で行くことにしましょう。
 あなたの脳の中に入り込むなら、わざわざこんな機械の体である必要はないので・・・人間の体なら、あなたを優しく・・・」

 私は彼の言葉を遮って言いました。
「夢の中にまで助けに来なくてもいいよ・・・私、大丈夫だよ・・・
 ・・・でも、もし、来てくれるのなら・・・もし、私の夢の中に入ってきてくれるのなら・・・その時は・・・その時も、そのままの体で・・・今のままの姿で・・・」

 ・・・だって、今のままのレッドが好きだから・・・・
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