美少女リリアの宇宙探査・1000光年の愛の旅

ヤクモ ミノル

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究極の楽園(3)

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 彼の説明によると、そのウイルスは、この惑星の人類の細胞内に寄生しているのだと。
 生殖細胞の中にも・・・だから、私に感染したのだと。
 私の体内に入り込んだ彼の細胞から、そのウイルスが私に感染したのだと。
 このウイルスは複雑な分子構造を持っており、単細胞生物に近く、正確には地球の菌類に匹敵するのだと。
 そして、それはミトコンドリアのように、この惑星の人間の全ての細胞内に寄生し、宿主の肉体と共存しているのだと。

 レッドは私に言いました。
「このウイルスは、宿主の人体の性欲を異常に増幅する作用があります。・・・
 そうすることで、宿主に子どもを産ませるのです。・・・
 当然その子どもたちにも感染していて、宿主が増殖することで、自らも増殖できるのです。・・・
 ウイルスがどうやって地球の生物であるあなたの体に作用して、過剰なホルモン分泌を促しているのかはわかりません。・・・
 でも、このウイルスは非常に危険です。・・・
 このウイルスは、あなたの思考を制御し、あなたに過剰な快感を感じさせ、あなたに性的な行為を促します。
 しかし、それと同時に、妊娠や出産に不要な機能を壊して行くのです。・・・
 つまり、このままでは、あなたの脳の組織の大部分は、次第に死滅していくでしょう。・・・
 あなたは単なる子どもを産むための機械になってしまうのです。・・・
 このウイルスを除去するためのマイクロマシンを合成していますが、まだ時間が必要です。・・・
 それまで、ここで待っていてください。・・・」

 しかし、そんな説明を聞いている私の精神は、やはり異常な状態でした。
 もちろん、レッドの言っていることを私は理解していました。
 自分の脳がウイルスによって壊されていくということ。
 このままではダメだということ。

 でも、その恐怖は、すぐに快感で打ち消されてしまいました。
 脳を破壊されるという恐怖よりも、さらに強い欲求が湧き起こり・・・私はまた求め始め・・・

 私はじっとしていることができず、医療室から抜け出し、惑星上に降りました。
 そして、また・・・私は、あの生物を探し始め・・・この惑星の人類を探し始め・・・もう一度はげしい快感を感じるために・・・
 もっと気持ちよくなるために・・・

 しかし、私が降りた場所には、この惑星の人間はいませんでした。
 降りた場所が悪かったようなのです。
 それでも私はしばらくの間、狂ったように歩き回りました。

 そして、見つけたのです。
 でも、それは・・・それは墓場でした。
 この惑星の人間たちの墓場・・・

 いえ、違います。
 ここは墓場ではありません。
 なぜなら、彼らは死んではいないからです。
 生きているのです。みんな生きているのです。
 だから、墓場という表現は適切ではありません。
 でも、・・・でも、みんなまるで死んだように横たわり、・・・。

 そこには、ウイルスによって脳を破壊されてしまい、思考力を失った人間たちがたくさん横たわっていました。・・・

 この惑星には豊富な植物があります。
 おそらく、この人間たちに必要な食料・・・彼らが生きていくために必要な食べ物は、十分に、そして簡単に手に入るのでしょう。
 だから彼らは、脳をほとんど失ったままで生きていくことができるのです。

 脳を破壊されて、思考を失い、考えることができない人間。
 それでも生きていくことができる豊かな環境。
 そして、ウイルスの作用で、彼らの精神は快感で満たされているのです。
 はげしい悦楽・・・信じられないほどの幸福感・・・

 そこにはたくさんの人間が横たわっていました。
 彼らは死んでいるわけではありません。
 でも、少しも動きません。
 立ち上がることもなく、歩き回ることもなく、地面の上に寝たまま・・・
 目を開けていても眼球を動かそうともしません。
 口を開いても、何も話そうとはしません。
 彼らが互いを見つめ合ったり、一緒に話し合ったりすることはありません。
 ただ、じっとしているだけなのです。
 じっとしたまま、呼吸をしているだけなのです。
 そんな人間たちが無数に横たわっていました。見渡す限り・・・
 数えきれないほどの人間たちが・・・無数の人間たちが・・・

 ここはある意味では楽園なのかもしれません。
 苦痛も悩みも迷いも何もない世界・・・
 人々がただ、快感を感じ続けている世界・・・
 楽園・・・天国・・・理想郷・・・
 それをはからずもウイルスが提供してくれているのです。

 私の思考は、次第に正常に戻っていきました。
 おそらく、この惑星のウイルスは、地球のタンパク質と共存できなかったのでしょう。
 だから、私の体内のウイルスは自然に死滅し始めたのです。
 ウイルスが死滅したことで、脳内の異常なホルモンの分泌が止まり、私の精神状態は正常な状態に・・・

 いえ、もしかすると、この恐ろしい光景を見たからかもしれません。
 この異常な現実を目の当たりにして、私は正気に戻ったのかもしれません。

 私は激しい恐怖と恥ずかしさを感じながら、船に戻りました。
 レッドは私の体を調べました。
 まだ体内に残っているウイルスを完全に除去するために、彼はマイクロマシンを投与してくれました。
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