美少女リリアの宇宙探査・１０００光年の愛の旅

擬態化する生物（２）

　その状態が数分間続きました。そして、彼らは去っていきました。
　私は急いで船に戻りました。

　レッドは私の体の傷跡を治療してくれました。
　傷はそれほどひどくないとレッドは言いました。
　大丈夫だと・・・すぐに完治すると・・・

　レッドはわかっていることを説明してくれました。
　私を襲ったのは、アクリスの・・・おそらく遺伝子量の多いタイプだろうと・・・。

　そして、彼らは私の体からあらゆる情報を吸い出そうとしたのだと・・・・
　脳の中にある全ての情報を・・・記憶や思考を・・・
　そして、私の体の細胞の情報を・・・細胞内の遺伝子の情報を・・・

　なぜ彼らが私の体内を調べたのか、それはレッドにもわからないようでした。
　おそらく卵細胞を採取しようとしたのだろうと彼は言いました。
　しかし、彼らはなぜ私の卵細胞を手に入れようとしたのでしょう。

　遺伝子情報を取得するだけなら、私の皮膚の細胞で十分です。
　その理由はレッドにもわからないようでした。

　他にもわからないことがありました。
　・・・しかし、その答えはすぐに明らかになりました。

　私はまた惑星に降り、探査を続けました。
　すると、私は恐ろしいものに出会ったのです。
　恐ろしいもの・・・とても恐ろしいもの・・・そこにあるはずのないもの・・・
　人間・・・私は見たのです。・・・それは、地球の人間でした。

　いえ、そんなはずがありません。
　人間がこの惑星にいるはずがありません。
　それは、人間の形をした何かなのです。
　きっと、人間とそっくり同じ形をした異星の生物・・・。

　でも、それは本当に人間に似ていました。
　それには二本の足があり、二本の手があり、頭があり・・・
　見た目は人間とまったく同じでした。

　いえ、見た目だけではありません。
　行動も人間と同じなのです。
　二つの目でまわりを見回して、二本の足で歩いて・・・

　そして、それは私に近づいてきました。
　しかも、私の前に来ると、私に片手を差し出すのです。
　私と握手をしようとしているのです。

　彼らは人間の行動を真似しようとしているのです。
　人間の習慣を真似しようと・・・きっと、私の脳から吸い出した情報を元にして・・・

　目の前にはたくさんの人間が立っていました。
　それは、みんな同じでした。
　みんな同じ人間でした。・・・それは私・・・それはみんな私でした。
　私と同じ姿をした人間が、私の目の前にたくさんいるのです。

　彼らは・・・いや、彼女たちは、私に何か言いました。
　私に話しかけようとしました。
　彼女たちは、声を出しました。
　それは間違いなく人間の声でした。
　でも、何を言っているのかわかりませんでした。
　言語としては支離滅裂でした。・・・

　状況を整理するために、私は一度船に戻りました。

　彼女たちは何なのでしょうか・・・
　私は、この前私を襲った時に採取した私の細胞から、私のクローン人間を生成したのだと思っていました。
　何らかの方法で細胞を加速成長させて・・・

　でも、レッドは違うと言いました。
　それは擬態なのだと。
　アクリスの中に非常に遺伝子量の多い個体がいたのは・・・それは実はアクリスの一種ではなかったのだと。
　アクリスの姿を真似た擬態生物だったのだと。

　彼らの遺伝子の情報が多かったのは、これまでに様々な生物に擬態化し、その時に吸収した情報を全て記憶しているせいなのだと。
　その謎の生物は、この惑星で最も最強な生物アクリスに擬態化し、協調し、共存してきた・・・
　でも、そこに私という人間が現れた・・・アクリスよりももっと強力な存在・・・
　だから、その擬態化生物は、人間に擬態化しようとしたのだと。・・・つまり私に擬態化しようとしたのだと。

　レッドは彼らに敵意はないと考えていました。
　これまで、彼らがアクリスと共存してきたように、今彼らは人間と協調しようとしているのだと。
　そのために、私の脳にアクセスし、私の脳の情報を取得しようとしたのだと。

　それは事実でした。
　私そっくりの擬態たちは、やがて私とコミュニケーションをとろうとしました。
　最初は何を話しているのかわかりませんでしたが、やがて挨拶ができるようになり、簡単な会話さえできるようになったのです。
　私そっくりの彼女たちが、本当にその言葉を理解しているのかどうか、わかりません。
　彼らがどこまで正確に私の肉体を擬態化しているのかもわかりません。

　彼女らは脳の構造まで模倣しているのか・・・彼女らは私と同じ記憶を持ち、私と同じように思考しているのか・・・
　それとも、表面的に私そっくりに見えるだけなのか・・・

　ただ、レッドが言ったように、擬態たちは決して私に敵意を持っているわけではないようでした。
　もう私を襲って、私の脳に直接アクセスしようとはしませんでした。

　ところが、ある日のことです。
　その時から、とんでもないことが起き始めたのです。
　その日、地表に降りてみると、私に擬態化した個体がたくさん・・・
　そして、その中に男がいたのです。一人の男が・・・・