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MMORPGのNPCもモブデリ

和の国のモビッチ①

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飛行艇から降りれば、そこは大きな紅い鳥居と巨大な仏像が睨み合う様に向かい合って立っている江戸時代のような平屋の木造建築が建ち並ぶ海に囲まれた国だった。


このフィールドには四季が春は桜に菜の花、夏は青々とした杉にひまわ、秋は紅葉やイチョウに百合、冬になれば松と椿に植物が変化する。


そしてモンスターではなく幽霊や妖怪を退治してレベルを上げていく。


「漁師の褌から除く 締まったケツも捨て難いが、寺の陰に隠れて坊主を掘るのも良さそうだな。緋袴の巫女もいいな」


舌なめずりする帝王くんの欲望が口から溢れだしている。


「教会が女人禁制だから街も男性しかいなかったけど、それが特殊なのだと改めて思うよ」


町にはプレイヤーだけでなく多くの女性NPCが闊歩しています。


「ビキニアーマーって見た目は防御力0ゼロなのに、一定の人気があるのが不思議だよ」


「まぁバーチャルだからできる格好ではあるからな」


リアルで着たら公然わいせつ罪の可能性が高いもんね。


「ビキニアーマー付けてる人はパイパン必須だよね」


「お前がビキニアーマーで気になるのはソコかよ」


「だって、あの小ささでモジャっと毛が出ないとなるとツルツルにしないと無理でしょう?」


vioの脱毛済み確定だよね。


「剃るよりもレーザーだね」


「そういえばモビッチも生えてねぇな」


「僕は元々が薄かったんだけど、社長がお金出してくれる言うから脱毛処理済みだよ」


「社長の趣味かよ。知りたくなかった」


「女装した可愛い下着からヒジキ出てたらモブでもアウトでしょう!」


なぜか急にテンションが下がった帝王君を引き連れて歩きながら、神社に行くか寺に行くか迷っていました。


「BL要素を隠すなら寺?」


「神社でも漁師でも隠せるだろうが」


神社の神主さん………いや神様もありうるし、逞しい漁師さんが船の上で………お寺の生臭坊主に襲われる幼気な小坊主。


「ねぇ。何人だと思う?」


「知らん」


場所によっては1人も隠されていない可能性もある。


「とりあえずプレイヤーが少ない漁村に行こうか」


「そうだな。昼間から神社仏閣でSEXしてたら捕まるからな」


「え?昼間は観光するだけじゃないの?」


「お前は~。BLキャラ巡りできるって事は、腐女子が隠したキャラがそれだけ多いってこった」


実は腐女子様が巧妙に隠したキャラは「プレイヤーにバレなきゃ問題無し」と心のおもむくままに設置されておりました。


発動するのはゲームの外。


プレイヤーが見ることはありませんでした。


「もしかしてプレイヤーが入れない場所?」


「関係者以外立ち入り禁止の建物が怪しいな」


「このまま開けずに帰ろうか?観光だけして。楽したいからモブなのに観光は楽しいけど、疲れるのは嫌だなぁ。面倒くさいし」


カタッ


このまま何もせずに帰ろうかと思った時、長屋の障子が少しだけ開いている家があり通り過ぎようとした時に中で物音がしまいました。


普段なら気にもしない小さな物音が気になって仕方ない。


足を止めて中を覗くと激しいキスを交わす男達。


入り口の木戸に手を掛けてもビクともせず開きません。


「まさか覗き専用のBL障子窓?」


襖に押し付けられた髷を結った男性の口に夢中で喰わっつくハッキリとした黒い模様の火消の法被はっぴを着た男性。


「これはどこまで見れるのかな?」


振り返れば帝王くんの姿はありませんでした。


「ちょっとぉ~!僕の護衛なんじゃないのぉ~?」


キョロキョロと見回しても、僕1人しか居ません。


障子の奥を確認しても、もう男性達も居いので、どうやら男性同士のキスを覗けるだけみたいです。


「司祭の僕を置いて居なくなるなんて、護衛騎士としては失格だよ。聖騎士としてどうなの?」


でも、このまま何もしないで帰れるかも。


覗き障子は確認したし、観光だけで帰っていいよね?


ウキウキしながら町を歩けば屋台が並ぶ道に出てきました。


木の椅子を設置して本格的で立派な屋台から、お祭りの縁日みたいな簡素な屋台までバラエティー豊かな店が並んでいました。


「お買い物されますか?」


聞き覚えのある声がして振り返れば、白い聖騎士の甲冑を着た黒騎士さんが立っていました。


「ふふっ、実は帝王と代わってもらいました。彼は王子のメイド達が気になるとかで、そちらに向かいましたよ」


「エドワードのお気に入り設定のメイドさん?」


「えぇ、オリジナルキャラが投入されるそうなので見に行かれましたよ」


「顔有り?」


「えぇ、巨乳と貧乳だと聞き及んでおります」


僕も貧乳なのかな?そっと胸を見てたら、黒騎士さんの手が制服の上から撫でている。


「司祭様の美しさには敵いませんよ」


優しく手を取られて歩き出すと、恋人繋ぎの手が恥ずかしくて胸の奥がムズムズする。


「ここです」


しばらく歩いていると二階建ての旅籠みたいな建物の前に来ていました。


「ここは冒険者宿になります」


「プレイヤーしか使えないんじゃないの?」


「いえ、プレイヤーが使うのは受け付けのみで二階は関係者以外立ち入り禁止区域になります」


受け付けを済ませると和室の部屋にワープするらしい。


「二階は逢い引き宿で夜になると覗き障子のカップルが抱き合う設定になっております」


「火消しの」


「おや、ご存知でしたか」


表玄関を素通りすると裏手に少し暗い木の階段があり、登ると建物の二階の木の廊下に出ました。


手前の畳の部屋には真ん中に大きな赤い布団が敷かれており、枕が2つ並んで置いてあるだけでした。


「ここが夜になると光に照らされた抱き合う男性カップルの影が映り、外から見えるのです」


奥にもう1つ同じ作りの部屋がありました。


「祭司様、お手を」


繋いでない方の手を出すと、ポケットから出した赤い布で繋いでいた右手も一緒に蝶々結びで縛られた。


「お美しい司祭様には赤がお似合いです」


もう1枚出した柔らかい肌触りの赤い布で目隠しされたのでした。







背中に感じるのは布団の柔らかさで、縛られた腕は頭の上に固定され、足も自由がきかので膝を曲げた状態で紐かなにかて縛られているのだと感じる。


もしかしたら首の後ろや胸の下にも紐の様な物が触っているので全体的に縛り上げられていそうです。


ズボンはとっくに脱がられ、上も袖だけは着ているけど胸やお腹はヒンヤリとした空気に晒されている感じがします。


「黒騎士さん?」


「はい。私しかおりません」


「これは一体?」


「申し訳ございません。実は腐女子様のお仕事で男遊郭を題材にされるそうで、司祭様を赤い布団の上で菊甲縛りにせよと」


どうやら違う作品のモデルにされている様です。


「はぁ~っ司祭様はどんな姿でも美しい」


生暖かい空気が胸を掠め、柔らかい物が肌を優しく滑り始めた。


前の仕事で金色の鬼にされた記憶が頭を掠めていた。


目隠しもされてないし、縛られてもないけど、布団の上で優しく甘やかすみたいに僕に触れて胸の奥がポカポカする感じが忘れられていないだけだ。


ガターン!ガタガタ!


凄い物音の後に舐められていた感じがなくなり、急に静かになって不安が込み上げてくる。


「やっと見つけた」


聞き覚えがある低い声。


静かに取られた目隠しが無くなった目に映ったのは長い金色の髪の白い角を2本生やした鬼の顔でした。
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