黒虎の番

月夜の庭

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聖獣と美魔女

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こんにちは。


出歯亀隊の隊長のビアンカです♡


只今、隣の国に入ってすぐの森の中で、途中合流予定の勇者御一行を待っているところです。


大きくなったパパンに包まれるように、あたしとアンちゃんが休んでいたんだけど、疲れていたのか爆睡しちゃったアンちゃんを残して、ラファエルと一緒に水を汲みに離れていたんだけど、戻って来たらパパンとアンちゃんが怪しい雰囲気になっていたので、ラファエルと木陰からヒョッ………気配を隠して覗き見中です。


「こんな深く眠ったのは久しぶりだわ」


『無理し過ぎだ』


寝起きで、あたしに置いて行かれた事実にボンヤリしているアンちゃんの頬をパパンが優しく舐めた。


『なんか甘々な雰囲気だね(小声)』


「まるで不本意に別れた恋人達が再開した様な雰囲気ですね(やっぱり小声)」


ラファエルの妄想力がハンパない。


流石、ポエマー。


「わたくしが防波堤にならなければ、ビアンカは産まれなかったし………貴方と一緒に居られなかった」


おぉ~っ?!アンちゃんが王妃として頑張っていたのは、パパンの為なの?!!


『あてがわれた人の女達には手を出していない』


「でも、虎のメスと」


『あれは怒りに任せてしまったからな。美しい虎を連れて来いと言ったら、お前がアレを連れてきたんじゃないか。裏切られたと思い、手加減無しで交尾してしまったんだ。まさか、その1回でビアンカを身篭るとは思っていなかった』


「でも、他の子供達は?」


『奴等に我の血は流れておらん』


「え?」


『檻の中でストレスが溜まり暴れそうだったので、秘密裏に外へと連れ出したんだ。父親は、ただの野生の虎だ』


「えぇ?!」


『アン以外を抱いたのは、後にも先にもビアンカが生まれた1回だけだ』


ビックリした顔のアンちゃんの顔を、再び優しく舐め始めました。


まさかのラファエルの妄想が当たるとは思わなかったよ。


『ラファエル………ここは出直そうか(あくまで小声)』


「ですね。アンダルシア様と白虎様が、ラブラブだったとは知りませんでした。折角の逢瀬ですから、邪魔してはいけませんね(執拗い様だけど小声)」


そーっと、その場から離れて森を散策する事にしました。


ラファエルに縦抱きにされながら、静かな森を歩き始める。


『まさかのカミングアウトにビックリだね』


「ビアンカ様はショックでは無いのですか?」


『うぅ~ん?良くも悪くもママンは野性的だったからね。夫婦仲が良いようには見えなかったんだよね………パパンが会話ができんのは、あたしだけだったんだよね』


愛し愛されているようには見えなかった。


『アンちゃんが、あたしを見て苦しまなければ良いかなって思う』


「ビアンカ様は、小虎なのに大人ですね。そう言えば、少し大きなくなられましたね」


『重い?』


「まだまだ軽いですよ」


森の入り口まで来ると、日が傾き始めていました。


『ジュブナイル達、遅いね?』


「勇者の旅立ちですからね。色々と………セレモニー的な何かで大変なのでしょう」


『パレード的な?』


「どちらかと言うと”素敵♡勇者様達、頑張ってくださいね”的な、お見送りや野次馬に揉みくちゃだと思いますよ」


『お触りされまくり?』


「おそらく」


『うわぁ~っ、ラファエルはパパンに乗せてもらえて良かったね』


「有難い限りです」


「しらっとした顔でビアンカ様に嘘を教えるな!」


息を切らして駆け寄ってきたジュブナイルのツッコミが決まった。


相変わらず汗臭いです。


『遅かったね』


「徒歩と飛行を比べないでください」


揉みくちゃのセレモニー的な お見送りはなかった模様です。
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