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女神転生の目的

愛する人の温もり

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温室の中には、なぜかソファベッドが設置されていた。


「すまない。アイツに会わずに済めば、その方が良いと判断して、わざと話さなかったんだ。メデューサに怖い思いをさせたくなかった」


ソファに座りながら、メルビンの厚い胸に抱き締められていた。


「わたくしは、てっきりアンジェリーナ様はメルビンを好きなのだと………だから、わたくしを」



「アイツにとって大事だったのは、温室の薔薇ではなく、薔薇の世話をする可愛いメデューサの方だった。だが怒りの意味を勘違いして、メデューサを処刑した後………アイツはおかしくなった」


ゆっくり説明された内容によると、アンジェリーナ様は、わたくしの処刑を見た後、手当り次第に物に当り散らし、兄であるメルビンとの結婚を強引に進めたそうです。


その矢先に、メデューサの死を悲しんだメルビンにより、薬品が掛けられて初めて、メデューサの純血を奪われた事に対して怒っていた事に気が付いたらしい。


そこから、あの女の行動は早かった。


有りもしない罪までも、でっち上げ薬品のプールに実の兄を突き落とした。


彼女は天寿をまっとうするまで、独身を貫きメデューサの生まれ変わりを探して回っていたらしい。


そして新たに生まれ変わって見たのは、メデューサだけがいない世界だった。


メデューサじゃない女性達を殺しまくった。


そして今度は自分が処刑される。


そこで、彼女は悪い意味で神の目に止まる。


彼女を調べたら、水の精霊王に保護され、海の精霊王になった兄のメルビンに辿り着き、メデューサの存在を知る事となる。


震える身体を擦り寄せ、メルビンに縋り付く。


「ずっとメルビンは、アンジェリーナ様に苦しめられていたのね」


「まだ、アイツをアンジェリーナ様と呼ぶんだな」


「………つい……メルビン様って呼ぶ?」



目を見開いてわたくしを見詰めている。


「出会った時には戻ったみたいだ……でも、メデューサを遠くに感じて寂しいな」


ゆっくりメルビンの顔が近寄ってくる。


「ゴッホン………私の存在を無視しないで」


慌てて離れようとしても、メルビンの腕が拒み、強引にキスされる。


「…チュッ………見せてやればいい」


「なっ!!?」


「今度さぁ~、夕日に染まる放課後の教室とかで、やって欲しいんだけど」


「なんのリクエストよ!?」


「誰もいない更衣室や図書館でも可」


あっ……二人のおかげで震えが止まっている。


「…………ありがとう」


「「………」」


走り去って行ったアンジェリーナ様の姿を思い出し、とても不安になった。


でも、わたくしには愛する海の精霊王と、大好きな双子の妹である女神が一緒に居てくれる。

自分から、メルビンの胸に抱き着き、体の力を抜き、身を任せる。


愛してやまない人の温もりを感じていた。


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