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お花畑の自称ヒロイン
余罪と真実
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「結論から言うと、隣国で本物の男爵令嬢を罠にはめて処刑しようと企んでいたが、執行する寸前で濡れ衣が晴れ失敗して、我が国を逃げ込んだ矢先の失態だったらしい」
王都のゴルゴン公爵家の屋敷のサロンで、エドワード殿下より、自称男爵令嬢の詳細を聞いていました。
ソファには家族全員が揃い、私の後ろにはメルビンが立っている。
ちなみに、話を聞く前にロゼッタとステノーお姉様に、首を突っ込んでしまった事やあえて矢面に立つ行為に心配したと小一時間ほど説教された後です。
最後は心配し過ぎた お母様に泣き付かれてしまいました。
「どうして自分から傷付く様なことをするの?優しいメデューサが……あんな非常識な女に好き勝手言われて………悔しくて」
痛いほど抱き締められたけど、嬉しくて暖かくて、私も泣いてしまいました。
ずっと欲しかった家族の暖かさを噛み締めていました。
「本物のポワソン男爵令嬢の名を語って、潜入したのが………あの会場だった」
集落の既婚者から始まり、商人や騎士など、彼女や婚約者がいる男性ばかりを誘惑し落とすとポイッと捨てて、次のターゲットに移していくうちに、集落から中心地に拠点を移し、国を移動するキッカケになった男爵令嬢が最後のターゲットだったそうです。
ありもしない嫌がらせを訴え、自作自演の暗殺未遂をでっち上げ、男爵令嬢を処刑まで追い込んだ。
ところが、今までしてきた略奪行為の報いを受け、被害者達が声を上げる。
美しく優しかった娘である男爵令嬢を処刑する事に疑問を持っていたポワソン男爵により、令嬢の濡れ衣が晴れることになる。
慌てた彼女は、男爵令嬢アリエッティ.ポワゾンとして、この国に逃げ込んだそうです。
ここで気づいた人もいるでしょうか?
本物はアリエッティ.ポワソン
偽物はアリエッティ.ポワゾン
濡れ衣を着せられ処刑されかけた可哀想な令嬢として、国を渡ったのだとか。
「本当に良いのかい?国としては、隣国に恩を売れるから有難いけど、なんの処罰も与えず、隣国………ポワソン男爵に引渡しても?」
「構いませんわ。わたくしは婚約者を奪われておりませんし、ステノーお姉様を無下に扱う彼女に怒りを覚えただけで、特に被害は受けておりませんもの」
「だが…………この国なら死刑も有るが、隣国には無いんだよ?」
「だからですわ。簡単に楽になれるなんて甘い考えは嫌いなんですの。彼女がしてきた事は、キチンと生きて償わせませんと。待っているのは苦痛の生。死んで楽になる事を許さない国で償わせるのです。その方が残酷でしょうし、被害者達も………彼女が苦しみ償う姿を直接、見せてあげないと終われませんでしょう?」
「婚約者を奪われてた被害者達の為か」
なんか部屋が、生暖かい空気に包まれています。
「…………だって、わたくしが……メルビンを奪われてって想像しただけで、泣きそうですもの。きっと、辛いでしょうから」
「結局は惚気なのね」
呆れ顔のロゼッタがケッと吐き捨てる。
「あらあらロゼッタも恋人を作っていいのよ?今から婚約を打診してきている貴族達から選んでも良いわよ?」
嬉嬉としてロゼッタに詰め寄る お母様。
「跡取り問題も無いからな、幸せになるなら好きな人と一緒になるといい」
一見、不機嫌そうな表情のお父様の口角が少し上がっているので、微笑んでいるようです。
「ふふっ可愛いメデューサちゃんが、メルビン付きで公爵家に残ってくれるからって、余裕な顔してもダメよ?娘を嫁にやりたく無い!って毎晩、わたくしに泣き付いて来るくせに………くすっ」
「なーっ!今ここでバラさんでも!?」
「パパと結婚するって言っていたのにって泣くのよ?この人?」
キリッとした顔が、真っ赤に染っている。
暖かい家族に癒されていました。
このやり取りの数日後、ポワゾンは奴隷に身を落としたと教えられました。
王都のゴルゴン公爵家の屋敷のサロンで、エドワード殿下より、自称男爵令嬢の詳細を聞いていました。
ソファには家族全員が揃い、私の後ろにはメルビンが立っている。
ちなみに、話を聞く前にロゼッタとステノーお姉様に、首を突っ込んでしまった事やあえて矢面に立つ行為に心配したと小一時間ほど説教された後です。
最後は心配し過ぎた お母様に泣き付かれてしまいました。
「どうして自分から傷付く様なことをするの?優しいメデューサが……あんな非常識な女に好き勝手言われて………悔しくて」
痛いほど抱き締められたけど、嬉しくて暖かくて、私も泣いてしまいました。
ずっと欲しかった家族の暖かさを噛み締めていました。
「本物のポワソン男爵令嬢の名を語って、潜入したのが………あの会場だった」
集落の既婚者から始まり、商人や騎士など、彼女や婚約者がいる男性ばかりを誘惑し落とすとポイッと捨てて、次のターゲットに移していくうちに、集落から中心地に拠点を移し、国を移動するキッカケになった男爵令嬢が最後のターゲットだったそうです。
ありもしない嫌がらせを訴え、自作自演の暗殺未遂をでっち上げ、男爵令嬢を処刑まで追い込んだ。
ところが、今までしてきた略奪行為の報いを受け、被害者達が声を上げる。
美しく優しかった娘である男爵令嬢を処刑する事に疑問を持っていたポワソン男爵により、令嬢の濡れ衣が晴れることになる。
慌てた彼女は、男爵令嬢アリエッティ.ポワゾンとして、この国に逃げ込んだそうです。
ここで気づいた人もいるでしょうか?
本物はアリエッティ.ポワソン
偽物はアリエッティ.ポワゾン
濡れ衣を着せられ処刑されかけた可哀想な令嬢として、国を渡ったのだとか。
「本当に良いのかい?国としては、隣国に恩を売れるから有難いけど、なんの処罰も与えず、隣国………ポワソン男爵に引渡しても?」
「構いませんわ。わたくしは婚約者を奪われておりませんし、ステノーお姉様を無下に扱う彼女に怒りを覚えただけで、特に被害は受けておりませんもの」
「だが…………この国なら死刑も有るが、隣国には無いんだよ?」
「だからですわ。簡単に楽になれるなんて甘い考えは嫌いなんですの。彼女がしてきた事は、キチンと生きて償わせませんと。待っているのは苦痛の生。死んで楽になる事を許さない国で償わせるのです。その方が残酷でしょうし、被害者達も………彼女が苦しみ償う姿を直接、見せてあげないと終われませんでしょう?」
「婚約者を奪われてた被害者達の為か」
なんか部屋が、生暖かい空気に包まれています。
「…………だって、わたくしが……メルビンを奪われてって想像しただけで、泣きそうですもの。きっと、辛いでしょうから」
「結局は惚気なのね」
呆れ顔のロゼッタがケッと吐き捨てる。
「あらあらロゼッタも恋人を作っていいのよ?今から婚約を打診してきている貴族達から選んでも良いわよ?」
嬉嬉としてロゼッタに詰め寄る お母様。
「跡取り問題も無いからな、幸せになるなら好きな人と一緒になるといい」
一見、不機嫌そうな表情のお父様の口角が少し上がっているので、微笑んでいるようです。
「ふふっ可愛いメデューサちゃんが、メルビン付きで公爵家に残ってくれるからって、余裕な顔してもダメよ?娘を嫁にやりたく無い!って毎晩、わたくしに泣き付いて来るくせに………くすっ」
「なーっ!今ここでバラさんでも!?」
「パパと結婚するって言っていたのにって泣くのよ?この人?」
キリッとした顔が、真っ赤に染っている。
暖かい家族に癒されていました。
このやり取りの数日後、ポワゾンは奴隷に身を落としたと教えられました。
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