婚約破棄された令嬢は海に愛される

序章

婚約破棄

「私はメデューサ·ゴルゴンとの婚約を破棄する」

ここは、わたくし………ゴルゴン公爵家の令嬢メデューサの16歳の誕生日パーティの会場。

婚約者だった第二王子は、国王陛下を含めた会場の人間を見渡せる階段から、私との婚約破棄を宣言した。

ビックリする私とは反対側に居る、嬉しそうに第二王子に寄り添う双子の妹ロゼッタの肩を抱いていた。

「代わりに双子の妹ロゼッタとの婚約を発表します」

お祝いムードが一変、会場が凍り付いた。


それもそのはず、わたくしと双子の妹ロゼッタの16歳の誕生日パーティでは、第二王子との結婚を発表した後、わたくしは中等部を卒業したら高等部には進学せずに、王室に入って本格的なお妃教育が始まる事になっている。


「何を言っているのだ！？」

困惑しながら詰め寄る国王陛下。

「勉強しか能がないメデューサよりも、可愛らしいロゼッタと結婚します」

悪びれもせず宣言する第二王子。

「私が公爵家を訪ねてもメデューサは不在でした。そんな時に、いつも優しい対応してくれたのはロゼッタでした」

有難いお妃教育を受ける為に、お前が住んでる城に行っていたんだけどね。

穏やかな表現で、ロゼッタはわたくしを見ている。

その時、時計の鐘が鳴る。


この世界は日の出から日没までで1日と計算するから、鐘がなった瞬間にわたくしは16歳になりました。


その瞬間、お腹が暖かくなるのを感じると、脳裏には膨大な量の記憶が流れ込んできた。

転生する前の記憶が。