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本物のヒロイン

ゲームが変わった?

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「平民上がりの男爵令嬢が、エドに馴れ馴れしいわ!」


腰に手を当て、指をさして声を張るラフレア。


「私は………何もしていません」


床に転がって涙ぐむピンクブロンドとエメラルドグリーンの目が薔薇を思わせる美少女。


なんだこれ?



昨日からラフレアとは違う男爵令嬢が転入生としてSクラスに現れた。


彼女の名前はマルガリータ·フローレンス男爵令嬢。


自称ヒロインのラフレアは、マルガリータ様を目の敵にしている。


怪我したマルガリータ様を保険室に連れて来ていました。


「すみません。リリアーヌ様のハンカチを汚してしまって」


「気になさらないで。ラフレアの迷惑行為は、今に始まった事では無いの。可愛らしいマルガリータ様の存在に危機感をつのらせて嫉妬しているのよ」


「そんな、可愛らしいなんて」


頬を赤らめるマルガリータ様を複雑な気持ちで見詰めていました。


ラフレアがなりたがったヒロインが、この子なんだと、ひと目でわかる。


自分がヒロインだと信じているラフレアは、焦りを感じているのかも知れません。



「それより擦りむいた脚は大丈夫?」


「リリアーヌ様は、優しいんですね」


「普通ですわ」


セシル様の姿が見えないので、マルガリータ様を椅子に座らせて、私が手当をしていました。


前世の記憶があるから、治療も料理もします。


「手馴れてるんですね?」


「そうかしら?」


「見事な手捌きだよ」


頭の上から、セシル様の声が聞こえて顔を上げると、すぐ側に彼が立っていました。


「公爵令嬢が他の生徒の為に膝を付いて手当するなんて……………リリアーヌにしか、出来ないだろうね」


優しく頭を撫でられると、マルガリータ様の視線がセシル様に釘付けになっている事に気が付いた。


「先生は………リリアーヌ様が、好きなの?」


「なんだい?唐突に??………見ない顔だね」


「あの!転校生のマルガリータです!」


「ふぅ~ん」


反応が薄っ!


目が半分閉じてますよ!セシル様!!


本物?らしきヒロイン??なのに………?


そもそも、本当にゲームの中なのかしら?


「……リアーヌ」


隠れキャラって、ランスロット先生とデズモンド先生だけなのかしら?


「リリアーヌ?」


あれ?もしかして、元婚約者(実はセシル様の影武者)が幼い婚約者(の妹のラフレア)を好き過ぎて襲った事になるのかしら?


それって、事実はともかく、ストーリー通りなのでは?


「リリアーヌ」


それにしてもセシル様声が近い気がする?


「ダメだよ、リリアーヌ。好意を寄せている異性の前で考え事をするなんて」


「え?」


顔を上げるとセシル様のドアップがありました。


慌てて床に座り込んで躱すと、目の前に座っていたマルガリータ様の姿がありませんでした。


「あれ?マルガリータ様は?」


「もう………とっくに教室に帰ったよ。具合悪そうなリリアーヌを残して……….ねぇ?」


「けっ………健康そのものですわ!」


「本当に?」


ニコニコ微笑むセシル様の顔が近寄ってきて、慌てて後ずさるも背中に棚が当たりって進めません。


「エドワード、ゼロ………リリアーヌの唇に触れたのは、2人だけかい?」


「!?」


「困った子だね」


あっジャスパーが中庭から、空き教室が見えるって言っいた。


その前に保険室のすぐ近く………待てよ……私を追ってきていたら?


「捕まえた」


セシル様に腕を捕まれ、抱き上げられ唇を奪われる。


自分の腕をセシル様の胸板に突っ張って抵抗しても、力の差で逃げ出せない。


後ろ頭を引き寄せられて、キスから逃れられない。


「ふっん……やだ………止めて」


「好きだ……リリアーヌ」


「私は、他に好きな人がおりますわ」


「…………ランスロット?」


「…………」


「違うのか?」


今はオースティン様は先生で、私は生徒です。


生徒が思いを寄せているだけなら問題無い、でもセシル様はオースティン様にとって甥なのだから、下手に情報を与えられません。


ここはヒロインのマルガリータ様に頑張って貰いましょう!


でも………オースティン様は、手を出さないで欲しいです。



「はぁ~っまさかキスした男を目の前にして、考え事に没頭するなんて…………自信を失うなぁ」


「あっ………申し訳ございません」


「その上、謝られた」


ガックリ肩を落として落ち込んでしまいました。


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