モブっと異世界転生

月夜の庭

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モブっと巻き戻し

白虎柄の桜姫誕生

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モゾモゾ。


ふかふかで暖かい。


目を閉じたまま頬をスり寄せればフワフワの毛皮が気持ちがいい。


そっと目を開けるとライトグレーの毛並み………デカい?小さいけど5歳の私の膝に蹲っていた毛玉よりも、遥かに大きなモフモフの毛並みに抱き込まれていた。


猫神様が白って言ってた………つまり、薄汚れている筈…………………そこに頬擦り…あはは(乾いた笑い)


あれ?このモミジの手は、私の??


「うにゃーーーーーーーーっ!!」


言葉にならない泣き声が口から出て、やっぱり身体が縮まっているんだと実感しました。


慌てて頭を確認する為に手を伸ばして………届かねぇ。なんで?子供って頭が大きいよね(遠い目)気を取り直して尻尾を確認すると黒いのがある。


黒猫の獣人の子供に戻った!


「あらあら、桜姫ちゃんがオッキしたわね」


この声はお母様?


リリアンお母様に抱っこされて、上から寝ていた場所を見下ろせば、大きなモフモフのライトグレーの猫と小さいカメリアとノエルが一緒に丸まって寝ていた。


すぴょ~っと寝息を立てるカメリア達は、どう見ても3歳くらいです。


「カメリア達は、まだネンネしているから静かにしましょうね?お昼寝の時間だから静かにしましょうね?」


「あぃ」


私の視線に気が付いたライトグレーの猫は、大きな身体を伸ばし………猫じゃねぇ。


まだ子供みたいだけど、カメリアやノエルの倍くらいあるじゃん!


あれだ!虎!!白い虎柄じゃなくて本物の虎!!


しかも尻尾が2本あって、フリフリ揺れている。


なんで汚れてるのかな?


あ!!私って水属性の魔法が使えんじゃん!光属性の魔法と掛け合わせて綺麗に………いやいや、3歳の私には早いわ。


魔力量が足りない。


これは物理的に洗うしかない!と自分の手を見れば小さい!小さ過ぎる!!!


『僕は精霊だから、桜姫様以外には見えないよ』


猫神様も精霊を付けるって言ってたけど、そもそも猫じゃねぇ。


『桜姫様………僕に名前をください』


え?今??


お母様に抱っこされてる状態で?


白猫だと聞いていてたけど、白い虎でした。白虎びゃっこは捻りが無いし、琥白こはくは女の子っぽくて可愛いよね。なら読み方を変えるか。


白虎はくと


「桜姫ちゃん?」


『白虎………僕の名前。これで桜姫様と、ずっと一緒だ』


すると白虎の体が光を放ち、汚れが空中に吹き飛んでしまうと、白い虎が床に座っていた。


「あらあらあらあら!桜姫ちゃんは精霊魔道士として目覚めてしまったわ!!白虎柄の耳と尻尾が似合うわぁ~♡凄く可愛い♡」


なんですと?!!


白虎柄の耳と尻尾とな?


『桜姫様は白が似合う』


少し落ち着いた男の子の声は、耳に心地よく落ち着く気がする。


この声………好きかも。


待てよ。


白が似合う?


恐る恐る尻尾に力を入れて持ち上げると白地に黒の虎柄で先だけが黒くなっている。


あーーーーーーーーーっ!


また黒猫じゃなくなった……ガックリ。


またカメリアとお揃いじゃなくなったショックでお母様の肩に顔を埋めながらしがみついた。


甘えていると勘違いされているのか、優しい頭を撫でながらクスクス笑われています。


『桜姫様の母君、僕は白虎と申します。よろしくお願いします』


「まぁ~っこれはご丁寧に」


『桜姫様は、僕が死ぬまで守ります』


チラッと目だけで見下ろすと、白虎の空色の目が私を真っ直ぐ見詰めている。


『桜姫様が僕の主です』


「よろちく?」


『よろしくお願いします』


すると白虎が光り出して、いつの間にか中学生くらいの男の子になりました。


随分と小さい虎との大きさの違いにビックリしながら見ていると、お母様の手が後頭部を持って肩に埋められた。


「うにゅ?」


まだ鼻も小さいので息が止まりそうなほど埋まってしまい、変な声が出ちゃいました。


「ぷはっ」


とりあえず呼吸する為に、お母様の肩の上に顎を乗せた。


「とりあえず白虎の洋服を用意するわね」


あ………真っ裸だったの?一瞬だったから気が付き……………見てない!見てません!!思い出すな!私!!!!!!


『洋服を着たら桜姫を抱っこできますか?』


「そうね」


『分かりました』


しばらくすると美少女………じゃなくて執事風の美少年が、私を抱っこしていました。


『桜姫様のお世話は、お任せ下さい』


「ふふふっ桜姫ちゃんは可愛いから、精霊が守ってくれるなら安心ね」


『カス野郎共は近寄らせません』


「頼もしいわ♡」


お母様は白虎を気に入ったみたいです。


そんな私も白虎に抱っこされるのは好きだけど。シトラスみたいな爽やかな香りがして安心します。


ギューッと抱き着く。


『僕は精霊なので年齢等は関係ありません。ご希望の大きさになるますので、遠慮なく 仰ってください』


「うぅ~ん?わかった」


『僕と桜姫様は一心同体なので、心の中で呼び掛けてください。何時でも、何処でも駆け付けられますから』


「うん」


その後、帰って来た お父様が半泣きで『なんで契約した精霊が男なんだ!』と白虎の肩を掴んでガクガクと揺らす姿を微笑ましい気持ちで見ていました。
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