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獣耳イケメン王子達とドキドキ学園ライフ
ひとつの過去が終わる時
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保健室に向かった小百合ちゃんの背中を7人で見送ると、お昼ご飯食べる為に食堂に来ていました。
「なるほどのぉ。番かえ」
席に着いて私が日替わりランチのエビチリを差し出し、舞冬がミックスフライ定食のホタテフライをお皿に乗せていると、カツカレーをかき混ぜながら翡翠が複雑そうな顔で呟いた。
さっさとカメリアはうどんを、エーナーが蕎麦を食べ終わり寝る体勢に入っており、話しているのは私と舞冬とサラとディエリの4人です。
もちろん話題はジャスパーお兄様と小百合ちゃんです。
「異世界の人間が番って、出逢えただけでも奇跡ね」
ステーキ丼を食べるソフィアが手を止めて無意識に保健室の方角を見詰めた。
「少し寂しいけど、小百合ちゃん幸せそうだから見守るしか無いよね」
そう言うとキノコのパスタを大盛りにしてもらったディエリが、嬉しそうに頬だった。
「サクラは寂しゅうないのかぇ?」
「ジャスパーお兄様が好きなのは黒髪の私だったんだなぁ~って分かっちゃったからね。やっと妹離れしたんだなとしか思って無いかな」
「黒髪って?」
舞冬が眉間に皺を寄せている。
「今思えば、ラベンダー色に変わってからジャスパーお兄様が距離を置き始めたんだよね。手紙の枚数も回数も減り、実家に帰って来ることも減ったし。家族だって認識したんだと思う」
「怪我したサクラに遠慮したとかじゃないよ」
「カメリア、起きてたの?」
「まぁ。実はさサクラに執着し過ぎてキモイって言った時に、アイツが生まれて初めて好きになった女の子に似ているって言ってたんだよね。暗い過去の一筋の光で、動かなくなっても手放せなかった大事な子だとか訳わかんない事を言ってた」
暗い過去?手放せなかった??しかも動かなくなってもって、先に女の子が死んだのかな?
「どうやら前世の記憶らしいよ」
前世の記憶の中に、黒髪の私に似た人が居たんだ。
「よもや信じられぬが、夢から覚めたんじゃな」
「そうだと思う。つうかジャスパーなんて、どうでもいいから寝る」
すぐにカメリアが寝息を立て始めた。
そして、その日の夜に不思議な夢を見ました。
私は何故か小さな人間の女の子で、真夜中の公園で誰かと話している。よく見ると相手は少し年上に見える男の子で、黒いハイネックと長ズボンで肌が ほぼ見えないのに頬が晴れて口の端から血が出ており、目元も泣いたのか腫れていた。
綺麗な顔立ちの男の子は、私が持って来た食べ物を食べ私を抱き締めると、暫くは動かなくなったけど、何やら話をしてるみたいだった。
それから大人が迎えに来るけど、何故か私に興味を持ったらしい その男性から庇うように、私に暴言を吐き突き飛ばした。
ショックだったけど、私は庇ってくれたんだと理解しており、次の日も一緒に公園で過ごしていた。
場面が昼間になり、1人で公園にいる私に男の子を迎えに来た男性が声を掛けてきた。男の子の父親だと名乗った男性にマンションの部屋に連れ込まれると、ベッドの上でグッたり横たわる男の子が慌てて私に駆け寄る。
男の子は私を守る為に台所から包丁を持ち出すと男性を刺していまうが、血塗れの男の子が興奮したように私に手を伸ばし身体を弄られた。後から帰ってきた派手な女性も男の子に殺される。
怖いのに、子供の私の身体では苦しい行為を強いられても、表情が剥がれ落ちた男の子が心配で傍にいた。この男の子は両親から与えられ続けたモノを、渡し続ける事しか出来たかった。それしか知らなんだと思う。
そして衰弱し始めた私を見て、慌てて部屋を出た男の子の帰りを見ることなく意識を手放した。
どうか彼が悲しみませんように。穏やかな気持ちで短い生涯を終えた。
できることなら死んでもなお、彼を縛り付ける両親の呪縛から解き放ってあげたかった。
慌てて起き上がった私は、汗だくだったけど、妙に頭が冴えていた。
「あの男の子は……………ジャスパーお兄様だ」
私に向けられた悲しそうな目は黒髪にじゃ無い。私を通して過去を見ていたんだ。
「お兄様が殺人を犯した前世」
幼い私も死んだみたいだけど、不快感はありませんでした。私よりも痛そうで泣きそうな男の子を、ひたすら心配していました。
日が昇る前の薄暗い部屋で、二度寝せず汗を流してセーラー服を着て、鞄をもって部屋を出た。
彼の重い荷物を消し去る為に。
「なるほどのぉ。番かえ」
席に着いて私が日替わりランチのエビチリを差し出し、舞冬がミックスフライ定食のホタテフライをお皿に乗せていると、カツカレーをかき混ぜながら翡翠が複雑そうな顔で呟いた。
さっさとカメリアはうどんを、エーナーが蕎麦を食べ終わり寝る体勢に入っており、話しているのは私と舞冬とサラとディエリの4人です。
もちろん話題はジャスパーお兄様と小百合ちゃんです。
「異世界の人間が番って、出逢えただけでも奇跡ね」
ステーキ丼を食べるソフィアが手を止めて無意識に保健室の方角を見詰めた。
「少し寂しいけど、小百合ちゃん幸せそうだから見守るしか無いよね」
そう言うとキノコのパスタを大盛りにしてもらったディエリが、嬉しそうに頬だった。
「サクラは寂しゅうないのかぇ?」
「ジャスパーお兄様が好きなのは黒髪の私だったんだなぁ~って分かっちゃったからね。やっと妹離れしたんだなとしか思って無いかな」
「黒髪って?」
舞冬が眉間に皺を寄せている。
「今思えば、ラベンダー色に変わってからジャスパーお兄様が距離を置き始めたんだよね。手紙の枚数も回数も減り、実家に帰って来ることも減ったし。家族だって認識したんだと思う」
「怪我したサクラに遠慮したとかじゃないよ」
「カメリア、起きてたの?」
「まぁ。実はさサクラに執着し過ぎてキモイって言った時に、アイツが生まれて初めて好きになった女の子に似ているって言ってたんだよね。暗い過去の一筋の光で、動かなくなっても手放せなかった大事な子だとか訳わかんない事を言ってた」
暗い過去?手放せなかった??しかも動かなくなってもって、先に女の子が死んだのかな?
「どうやら前世の記憶らしいよ」
前世の記憶の中に、黒髪の私に似た人が居たんだ。
「よもや信じられぬが、夢から覚めたんじゃな」
「そうだと思う。つうかジャスパーなんて、どうでもいいから寝る」
すぐにカメリアが寝息を立て始めた。
そして、その日の夜に不思議な夢を見ました。
私は何故か小さな人間の女の子で、真夜中の公園で誰かと話している。よく見ると相手は少し年上に見える男の子で、黒いハイネックと長ズボンで肌が ほぼ見えないのに頬が晴れて口の端から血が出ており、目元も泣いたのか腫れていた。
綺麗な顔立ちの男の子は、私が持って来た食べ物を食べ私を抱き締めると、暫くは動かなくなったけど、何やら話をしてるみたいだった。
それから大人が迎えに来るけど、何故か私に興味を持ったらしい その男性から庇うように、私に暴言を吐き突き飛ばした。
ショックだったけど、私は庇ってくれたんだと理解しており、次の日も一緒に公園で過ごしていた。
場面が昼間になり、1人で公園にいる私に男の子を迎えに来た男性が声を掛けてきた。男の子の父親だと名乗った男性にマンションの部屋に連れ込まれると、ベッドの上でグッたり横たわる男の子が慌てて私に駆け寄る。
男の子は私を守る為に台所から包丁を持ち出すと男性を刺していまうが、血塗れの男の子が興奮したように私に手を伸ばし身体を弄られた。後から帰ってきた派手な女性も男の子に殺される。
怖いのに、子供の私の身体では苦しい行為を強いられても、表情が剥がれ落ちた男の子が心配で傍にいた。この男の子は両親から与えられ続けたモノを、渡し続ける事しか出来たかった。それしか知らなんだと思う。
そして衰弱し始めた私を見て、慌てて部屋を出た男の子の帰りを見ることなく意識を手放した。
どうか彼が悲しみませんように。穏やかな気持ちで短い生涯を終えた。
できることなら死んでもなお、彼を縛り付ける両親の呪縛から解き放ってあげたかった。
慌てて起き上がった私は、汗だくだったけど、妙に頭が冴えていた。
「あの男の子は……………ジャスパーお兄様だ」
私に向けられた悲しそうな目は黒髪にじゃ無い。私を通して過去を見ていたんだ。
「お兄様が殺人を犯した前世」
幼い私も死んだみたいだけど、不快感はありませんでした。私よりも痛そうで泣きそうな男の子を、ひたすら心配していました。
日が昇る前の薄暗い部屋で、二度寝せず汗を流してセーラー服を着て、鞄をもって部屋を出た。
彼の重い荷物を消し去る為に。
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