モブっと異世界転生

月夜の庭

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獣耳イケメン王子達とドキドキ学園ライフ

学園側からの打開策

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「飛び級ですか?!」


朝一番で学園長室に呼ばれて訪れると、大きな木製の学園長席と思われる机ではなく、手前に置かれたソファに、深夜の韓国ドラマに出てきそうな黒いパチチョゴリ風の服を着た30代前半と思われる男性と、白衣を着たジャスパーお兄様が座っていました。


単刀直入に言えば、アンジェと同じ学年にならないように、私とカメリアを飛び級させようという提案がされました。


「幸いな事に、サクラさんとカメリアさんは事前テストの成績も優秀だし、何より翡翠姫と仲がいいと聞く。それに2人なら2年生の寮のに転移も可能だよ」


サラっと翡翠先輩を”姫”って呼びましたね。まぁ話し方も独特だし、やんごとなき雰囲気で寧ろ違和感が無さ過ぎるけどね。


「なら、なぜアンジェを2年生に編入させないんですか?」


私は率直に感じた疑問を口にしました。


ゲーム通りなら、16歳のアンジェが2年生として編入してくる筈だし、私達2人で飛び級するよりも遥かに簡単です。


「1年生から教育し直して欲しいと、猫族の神官たちから強く要望されたんだが、養護教諭のジャスパー先生からサクラさんとカメリアさんに対する暴力事件を初めて聞かされて慌てて策を講じたんだ」


「担任じゃないから、最近までアンジェが編入してくる事を知らなかったんだけど、昨日の朝礼で初めて聞かされてビックリしたよ。だから慌ててサクラ達を守ってくれるように掛け合ったんだ」


「すまない。神殿からの報告には一般人への暴行は書いてあったが、ブリリアン男爵家との件は知らなかったんだ」


「でも、いきなり2年生からだなんて不安です」


隣に座っているカメリアを見れば、既に夢の中へと旅立っていた。


「実はサクラさんの”無”とカメリアさんの”闇”は、”聖”以上に使用出来る者が少ないんだよ。猫族では”聖”が珍しいだろうけど、龍族から言わせれば、そこまで珍しくは無いんだよ。寧ろ”無”や”闇”は教えられる教師が限られるんだ。だから2年生に編入させるなら2人以外に適任は居ないんだよ」


「因みに、わらわも”聖”属性なのじゃ」


マジっすか!


翡翠先輩がハイスペック過ぎて、どこを驚いていいのか分かりません。


「龍族の王族には”聖”が多いんだよ」


もしかして学園長も、テンプレなら王族だったりするのかな?きちんと切りそろえられた黒髪に、金色の爬虫類を思わせる瞳が印象的なイケメンです。


中性的な感じのイケメンのジャスパーお兄様と並ぶと複眼です。


「本来なら2人には6年生の授業に参加して欲しいのだが、それは流石に酷だと分かっているからね。とりあえず1年生をすっ飛ばして貰いたいんだよ」


あれ?もしかして私達って、ヒロインの立場を乗っ取った形になってる?よく思い出したらヒロインが義理の家族と折り合いが悪くて神殿に保護されるなんて回想シーンがあった気がする。

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!酒をチビチビ飲みながらプレイしていたから記憶が曖昧でハッキリと思い出せん!!!


酔ってたよ!ほろ酔いだよ!!覚えてないよ!真面目に攻略なんかしてないよ!!!


掛け金もしてないから追加キャラなんて知らないし!


誰だよゲームをネットに繋げるようにして、オンラインショップなんて開設したの!家庭用ゲーム機にオンラインなんて付けて、どんだけ金を使わす気だよ!!必要以上にゲームの世界を広げんな!


それよりもヒロインの癖に義理の妹に暴力を振るうなよ!寧ろイジメに耐えるのがヒロインだろうが!!少なくとも私とは関係が良好だったんだから、そのままの方がまだマシじゃんか!!!血の繋がらない義理の妹に優しいヒロインの方が良いだろうが!


でも待てよ。


翡翠先輩とクラスメイトは良いなぁ。カメリアも含めて3人が集まれば、レア属性の無·闇·聖が揃うし、保険で私は光も使える事になる。


アンジェが暴走しても、この3人で協力したら大抵の事は防げる気がします。


「わらわからも、サクラ達に2年生になって欲しいのじゃ。わらわは他の種族の、特に小型の動物の種族に恐がられる事が多いのじゃが、猫族で仲良くなってくれたのはサクラが初めてなのじゃ。同級生になってたも?」


打算的な考えをした自分が恥ずかしいです。


アンジェを回避する手段の1つとして、翡翠先輩を利用しようと考えた自分に腹が立ちました。


ごめんなさい、翡翠先輩。


心を入れ替えて仲良し3人組を目指すと誓います。


「分かりました。よろしく お願い致します」


「………まとまった?」


「私は飛び級するけど、カメリアはどうする?」


「サクラと一緒なら2年生やる」


「カメリア♡」


部屋の引っ越しはジャスパーお兄様が、今日中にしてくれるそうなので、このまま翡翠先輩に案内されて2年生の担任と合流してから教室に向かう事になりました。
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