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★第八十一話 蜜月2 R-18
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蒼side
バニラの…甘い匂いがする。
これは、3日目になりましたね。もう時間も日にちの感覚も全くなくなってる。怖い。私ちゃんとした生活に戻れるのかな。
相変わらず私は服を着てない。
宣言通り服を着られない三日間になってしまった…。
「ぐすっ…ひっく…」
「?!」
震える腕に抱きしめられてる。
今漂ってるのは千尋の匂いだし、間違いなく千尋だと思うんだけど、泣いてる?
「蒼…好きだ…ぐすっ」
「ち、千尋?どしたの?」
「蒼……」
ぐしぐし涙を拭うから、慌てて枕元にあるティッシュを取って涙を吸い取る。
「ダメだよ、こすったら傷がついちゃうでしょう。どうしたの?こんなに泣いて」
千尋が灰色の瞳をゆらめかせて、涙の粒を落とす。
「蒼のこと、こんなふうに閉じ込めて…俺たちは…最低だ…」
「えぇ?そんな事ないよ。私もびっくりはしたけど…その。嫌じゃないし、はじめてだけど、こういうのいいなって思っちゃった」
瞬いた瞳がポロポロ滴をこぼし続けて、じっと見つめて来る。
「俺達がどれだけ凶暴なのか蒼は分かってない。こんな風に閉じ込めて喜んでるんだぞ」
「私だって喜んでるもん。ずっとはやだけど。蜜月ってこういうものなんだな、って思った」
「…嫌じゃないのか?」
「うん。なんか、その…惚れ直すと言うか。24時間ずっと甘やかされるなんて初めてだから。くすぐったい気持ち。またしたい」
「そっか。じゃぁ、またしてもいいのかな…俺の誕生日にでもしてもらおうかな。」
千尋がようやく微笑んでくれる。あったかい、いつもの笑顔にホッとする。
「ふふ、プレゼントじゃなくていいの?」
「プレゼントに蒼が欲しい。俺が欲しいのは蒼だけだから。蒼の羽は俺が預かって、誰もいないところで二人っきりで過ごすんだ。海辺でもいいし、森の中でもいいし…冬だから雪の中の宿でもいいな…」
千尋が甘い声で囁いてくる。相変わらず言ってることがすごい。
なんだか…すごく母性本能をくすぐられるんだけど。今日の千尋はかわいい。
「千尋は2月、慧は7月、昴が5月でしょ?それぞれの季節が楽しめるのはいいなぁ」
「そうだな。蒼がまさか大晦日生まれとは思わなかったけどさ。その日はどうしようか」
「ヤキモチ妬かない?」
「はっ、宗介か?」
「違うよ。ファクトリーに行きたい。もし…30になった時のことを考えて対策しておかないとでしょ?」
「そうか、たしかにそうだな。その話はみんなでしよう。」
「うん。約束ね」
千尋と指を絡めて、きゅっと握る。
そのまま千尋が小指にキスして来る。だんだん下がってきて、手首にキスマークを残された。
「ここは誰もつけてないな、キスマーク」
「鏡見てないからわかんないけど…首あたりがすごいことになってそう。」
「筆舌に尽くし難い色になってるよ。正直明日も外に出れるか怪しい」
「えぇ…困っちゃうな…みんなお仕事は大丈夫なの?」
「うん。明日は俺たちがいないから宗介がくる。」
「えっ!?」
「監視カメラ、寝室以外には着けてるからな。あとちゃんと四人で話し合った」
な、なに?いつの間にそんなことに?
何を話したの…。
「蒼に許可されるまでは手出ししないって約束したから」
「き、許可って。私の旦那さんは三人だけだよ?」
「いや、蒼のここに、宗介がいるのはわかってる」
とんとん、と人差し指で胸を叩かれる。
うっ。それを言われてしまうと…。
「俺たちは三人とも納得してる。蒼の思うがままにしていい。あと…これは相談なんだけどさ」
真面目な顔だ。ちょっと怖い気もする。
「全員緑川姓にしようかって話してるんだ」
「へ?宗介の?でも…」
「今は俺と慧が一緒だけど、全員同じ方がいいんだ。保育園、学校とかも」
「私も?」
「もちろんそう。年齢的にもおかしくないだろ?宗介が父親、長男が慧、次男が俺、三男が昴で妻が蒼。蒼の戸籍も元々宗介の所に入ってたから、そうすれば全員同じ戸籍になる。今回の病院でちょっと困ったりしたからな。看護師さんも混乱してた。」
「ほぁー、なるほどねー…」
「どう?俺はその方がいい気がしてる。宗介、100歳まで生きそうだろ?俺たちの方が先に死にそうだ」
「もう、縁起でもないこと言わないで。…でも、そうだね。そうしようか…子供のことを考えてもその方が良さそう」
「うん。じゃあ明日宗介と手続きだな。キスマークは…ハイネック着よう。しばらく外に出さないつもりだったけど…仕方ない」
「ふふ、うん。三人ともお仕事なの?」
「そう。俺は警察とのコネクション書類の調印、昴と慧はファクトリーの整備と色んな法的手続きだ」
「私だけおサボりなの?」
「産休は休むものだ。ファクトリーにならいつでも連れていく。茜にも会いたいだろ?」
「うん…」
「じゃ、そう言うことで。話はここまでだな」
「ん…」
千尋な目の色が変わっていく。
灰色のままだけど、みんな本当に目に感情が現れやすい。
目の奥に揺らぐ熱を感じて、瞳を閉じる。
唇が重なってきて、深く深く…千尋が入ってくる。
「蒼…好きだ…」
「んふ、んっ」
私も言いたいのに…千尋が言わせてくれない。
「ふぁ。千尋…なんだか意地悪?」
「ふふ。いつもされてるからな。キスしながら言うの練習した」
「んなっ。だ、誰と!?」
「1人でに決まってるだろ?」
頬が赤くなる。
宗介のこともそのまま受け止めさせて私一人でやきもち焼いて…。
「私の方が最低…」
「別にいいだろ。あんなことがあって文句なんか言えるわけない」
「千尋達だって守ってくれたじゃない…」
「んー。まぁ、そう、だけど。」
胸元に千尋の顔が降りて来る。
頭ごと抱きしめて、長い前髪が胸をくすぐるのを感じた。
「今度は甘えん坊?」
「うん…甘えたい…蒼に慰めて欲しいんだ俺」
「落ち込んでるの?」
「そう。独占したのもそうだけど、蒼を守るのが俺でありたかった。」
うーん、なるほど。千尋ってこういうところが結構細かいんだな…。突出した武器を欲しがっていたのもそうだし、頭がいいから考えすぎちゃうのかも。
「私は千尋が生きていてくれて良かったよ。怪我もしたのに、そんな風に思わないで欲しいな」
「うん…」
むむ、もじもじしてる。よし。
「今日は私がしてあげます」
「えっ?蒼?」
おふとんのなかにもぐって、横を向いたままの千尋のシャツを捲る。
お腹に齧り付いて、キスマークをつける。
「うぁ…ま、待って」
「うまくつかないな…」
何度も何度も吸い付いてみるけど、跡がなかなかつかない。
むう。
唇で皮膚をはむ、と挟みながら舌を立てて筋肉の形に沿って這わせていく。
私の口からぴちゃぴちゃ、音がしてる。
「う、あっ。蒼…ちょ…んっ」
「千尋かわいい…」
シャツの中に頭を突っ込んで、胸の突起に齧り付きながら、千尋の下半身に手を伸ばす。
熱い…脈打つ芯が熱を持って主張してる。
触って欲しい?
「う…あ…」
触って欲しいのね。よしよし。
胸を刺激しながらボクサーパンツの中に手を突っ込む。
滴を滴らせた先っぽを指先で撫でる。くちゅくちゅ…いやらしい音がしてる。
「はぁ…はぁ…ん、蒼…気持ちいい…」
つい口の端が上がってしまう。
私、Mなのかな。Sなのかな。
どっちもなんてことあるの?
千尋の可愛い声を聞いて、私も興奮してる。
シャツからスポット頭を抜いて、ズボンを下ろしながらじーっと見つめる。
千尋のはすごく長くて、先っぽが大きい。
昴のはすごく太くて長い。
慧は太くて長くてまがってる。
ここもちゃんと個性があるんだね。
「そ、そんなに見ないでくれよ…」
「どうして?千尋のここ、好き。…ちょっとだけ…喉に入れたいな」
「だ、ダメだろ?刺激が強いって…」
「ちょっとだけ。先っぽだけでいいから」
「女の子のセリフじゃないよ…どうしてもしたいのか?」
布団を持ち上げて、千尋が上からのぞいてくる。
真剣な気持ちで、深く頷く。
「うー。ちょっとだけだぞ?無理しちゃダメだからな」
「うん!」
許可が出た!!
ウキウキしながら、先端からゆっくり口に含む。
千尋の、長いから…ドキドキしながら口の中で弄んで、頬の内側から擦って、ギリギリまで千尋を膨らませる。
「っあ!…く…」
「ん…ふ…」
息を吐きながら喉に押し当てて、ゴリゴリ喉に入れる。
気持ちいい…凄い。ここまで来るの?
奥に押し込んで、ぐりぐり押し当てる。
喉の粘膜に熱が伝わって、私の腰が震えて来る。
「んっ、んふ…んんっ」
「あ、ダメだよ…そんなに奥までっ…うぅ…」
千尋も感じてる。喉の中で痙攣するそれを感じながら、気持ちよくなっていく体の熱を素直に迎える。
気持ちいい…お腹の中に入れてるみたい。
一度引き抜いて、息を吸ってもう一度喉にはめ込む。
千尋が喘いで、体が震えてる。
「待って…う、はぁっ…蒼、本当に…」
ゆっくり喉の奥で扱き上げながら、熱が放たれるのを待つ。
もう、パンパンだから限界のはず。早く出して…喉の奥に叩きつけて…。
「あ、あぁっ…ぐぅ…」
待ち望んでいた熱が喉に放たれる。
その熱を受け止めながら、私自身も腰の奥が痙攣する。
イってる。私…のどの奥に出されて本当に気持ちいいの。
「ん、うっん…んー…」
「蒼!?もう出たから…くっ!」
もうちょっと欲しい…。息が長くとめられる訓練してて良かった。
「はぁ…はぁっ…っ、う」
喉の奥の熱がすぐにまた高くなる。
夢中になって、擦り付ける。
「蒼…ストップ…時間だよ」
「ぷあ…むむ…」
にょきっと顔を布団から出して、千尋が真っ赤な顔で口を拭いてくれる。
「ダメだろ?先っぽだけって言ったのに」
「むー。だって、千尋のが一番長いから喉が気持ちいいんだもん…」
びっくりした顔が更に赤くなる。
「長い?俺の?」
「うん。みんな個性あるよね」
「ま、マジか…えっ、これは喜ぶところ?でも危ないよな…」
「千尋は中の一番深いところにくるし、先っぽが大きくて気持ちいいところに引っ掛かるの。喉もそうだし…そのままでいてね」
「複雑なんだが…でも、そうか。俺だけが届く場所があるのか…わぁ…」
ニコニコしながら千尋がキスして来る。
「…嬉しいの?」
「すっごく嬉しい。俺だけの場所が蒼の中にあるんだろ?」
「ふふ。もう。千尋かわいい…こう言うところも好き。」
「むむ…慧は髪ゴムしてただろ?昴はヤンデレでなんでも知ってるし。俺だけなんか…何もなくて寂しかった」
ちょっとお待ちください。何を言ってるの!
「千尋?数々のロマンティックな発言は千尋だけでしょ?」
「えっ?そんなことないだろ?みんな言ってる」
「違うよ。千尋の表現はちょっと…本当にすごいんだから。私ずっと言われたら気絶しちゃうよ」
「そんなにか?…手加減した方がいいのかな…」
「ううん。しなくていい。私の中で…全部大切な言葉になってるから。
一人でいる時に思い出すと…心があったかくなるの…」
千尋の手を取って、私の胸に当てる。
千尋も、慧も、昴もそれぞれちゃんと個性があって、違う愛し方をしてくれる。
慧が心配してたけど、飽きるわけなんかないのに。
いつまでも、どこまでも欲しくなっちゃうんだから。
「俺にもして欲しいな…」
お互い胸に手を当てて、瞳を閉じる。
手のひらがお互いの心を伝えて来るみたい。
「あったかいな…蒼の心が熱になって伝わって来るみたいだ。命の奥底まで染み込んで、…全部が満たされる。蒼しか満たせない俺の器がいっぱいになって、溢れて身体中が幸せで満ちて来る。」
耐えられない!もう!
手を当てたまましがみついて、熱くなった顔を押し付ける。
「もう!もう!なんで言えばいいかわかんない…私だって幸せなのに!うう!」
「まだあるんだが」
「も、もうだめ!言葉はダメ。溶けちゃう…」
頬を包まれて、優しく持ち上げられる。
どこまでも柔らかい光を宿した灰色の瞳が私を見つめてる。
「言葉じゃないなら、いいんだよな?」
「…うん…」
腰を撫でられて、体が震えてくる。
始まりの予感にまたもや私は目を閉じた。
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