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真面目なオイルマッサージ

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優side

「あの…先生?」
「はい?」
「え、えぇと…」

 撮影部屋に来て、どのくらいだっただろう…この部屋には窓がないし、時計もないから全然わからない。
 いつもと違って、えっちな服じゃなくてお揃いのTシャツ姿のままで、私はうつ伏せでマッサージを受けている。
 撮影部屋では『先生』と呼ぶことになったんだけど。
 

「骨盤がだいぶほぐれましたよ」
「そ、そう、ですか?」

 背中からお尻の間に両掌を置いて、少しだけ圧力をかけてゆさゆさと優しく揺らされている。……気持ちいいけど、ううん?

 

「次はお尻をほぐします」
「はひ」

 わし、とお尻を掴まれてサワサワ皮膚の表面を先生の手が滑る。何周かさすられた後に、ぎゅむっと力が加わって…真面目に揉みほぐされる。


「……んっ」
「痛いですか?」
「き、気持ちいいです……」


 先生の顔が見えないから、真意がわからない…もしかして何もしないの?むぎゅむぎゅ揉まれながら、臀部の刺激が伝わってきて…段々気持ち良くなってしまう。

「……っ、んん」
「声出していいんですよ。ここは防音です」
「だから撮影部屋にしたんですか…?んぅ!」
「そうです。あぁ、ここかなり凝り固まってますね」
「んふ、んっ」
 

 えっちな声が出てしまう…先生は真面目にしてるのに……。
両手で口を押さえて、声を抑える。

 お尻のお肉が持ち上げられて、腰が勝手にびくり、と跳ねた。



「ううん、かなり凝ってます。しばらくマッサージしてなかったですし」
「そうですね、でも仕事もしてないですし、疲れてないですし…」

 いつのまにか抱き起こされて、先生の顔が近づいてくる。
キス?…と思ったら、耳に唇が触れる。…………何だか、何だかモヤモヤする……。

「セックスは筋肉を使いますから。きちんとほぐしましょう。オイルマッサージにしませんか?」 
「はい……」


 ━━━━━━


「いつの間にこんな本格的なマッサージベッドを?」
「もともと僕のマッサージ店にあったものですよ。さ、どうぞ。」


 紙ショーツとパンツに履き替えてお部屋に入ると、足の高いマッサージベッドの上にフカフカのタオルが敷き詰められていて、そこに寝転がるよう言われる。
 間接照明だけつけて、加湿器がシュワシュワ音を立てて…何だかムーディーな感じになっています。

「そんな顔しなくても。マッサージですよ、ただの」
「……はい」



 今日は、正直を言うとエッチなことがしたかった。先生と私の出会いを教えてもらって…私自身はほとんど記憶にないけど、先生が私の事を語る時の目がすごく優しかったし、嬉しかったから。
 こういう日も、あるのかもしれないけど…うーん、うーん。

 悩みながらベッドに横になると、胸からお腹へタオルがかけられる。本当に真面目なマッサージみたい。期待してしまっていた恥ずかしさに悶えながら目を瞑る。



「この前と同じオイルですよ」
「……エッチになるやつです?」
「実はこれ、ただの温感オイルです。妙な成分はありません」
「……えっ!?でも、でも……」

「優さんはプラシーボ効果が高い方なんです。ただの温感でも感覚は向上しますよ。エッチな効果もあながち嘘ではないかもしれません。使う人や、相手の人の関係性によってはね」
「……そ、そうですか」



 ますます顔が熱くなる。あんなに気持ちよかったのは、オイルのせいだと思ってたのに……。うぅ。

「でははじめますよ。眠ってしまってもいいですから」
「あ…はい……」



 懐かしい、施術前に言われていた言葉を言われてこそばゆい気持ちになった。
先生が私に告白してきたのは、そういえばオイルマッサージの時だったかもしれない…。


 あらかじめボトルごと温めていたオイルを体に垂らして、ゆっくりマッサージが始まる。背中のラインや肩甲骨をなぞられて、背中が暖かくなってきた。
 ……エッチな効果がないですと言われた途端に、温かいだけのような気がしてくるから不思議…。
 優しいマッサージに頭がホワホワしてきて、うとうとしてしまう……。


「……っ?」
 
 開かれた足の付け根に先生の手が触れる。オイルをつけているから、かなり滑りがいい。それは、わかってるんだけど。

「……ん、んっ」


 
 際どい部分を触られて、今までの気持ちよさとは違うものが突然漂い始める。
 違う、と思うんだけど…リンパマッサージは際どい箇所をしっかり揉んで、滞りをなくすために触るから。それ、だけのはず……。

「んぅ!」
「すみません、手が滑りました」
「へ…きです」

 滑った親指が隠部のぎりぎりを掠める。ちがう、よね?だって、普段あんなにエッチなことしてるのに、わざわざこんな風に…マッサージ屋さんみたいなことしなくたって良いはずだし。

「ん、んっう…」
「……ついでですからこの辺も流しちゃいましょうね」
「……え?あっ!」


 両親指でアナルギリギリから隠部の側を通り、親指がクリクリと動く。
エッチなこと、してるわけじゃないのに…違うのに……。

「っ!ん…う、んんっ」
「血流が悪いのは良くないですからね。もう少し我慢してください」
 
「ふぁ…っ…っ!あ、あっ」


 オイルに混じって、ぬるぬるの雫が絡め取られる。わたし、濡れてる。


 

「優さん」
「……っ、く…」
「僕は優さんの専属ですので、他の人が触れないところもほぐしませんか?」
「は、はぁ…っ、あっ!」


 くちゅ、と音を立てて掌全体が陰部に押し当てられた。指先がうつ伏せの私のクリトリスまで届いてる。紙ショーツに隔てられた向こう側から触れられて、ふわふわのタオルを握りしめた。

「こ、これエッチなマッサージですか?」
「いいえ、ちゃんとしたマッサージですよ。僕以外にはさせませんけど」
「んあっ…ま、待って、待ってください…あっ、あ!」


 押し当てられた手のひらが圧力を加えてくる。腰を反対の手で押さえて、逃げられないように固定されてしまう。
 え、エッチなマッサージじゃないの?こんなに気持ちいいのに…。

「ん、くぅ…んん」
「我慢しなくていいですよ。声が出ても当然です。エッチなマッサージじゃないんですから」
「そうなんですか?……あっ、気持ちぃ…んふ」


 腰の奥から、ゆるゆると熱が広がってくる。エッチなマッサージじゃないのに、エッチな気持ちになってきてしまった。
 気持ちいい…でも、ショーツ越しなのがもどかしい。

 ぷちゅ、と音を立てて手のひらが離れる。私はすっかり息が上がってしまっている。

 

「今度は仰向けになってください」
「は、い……」


 腰が抜けそうになっているのに気づいて、先生がひっくり返してくれる。
真面目にしてくれてるのに、ごめんなさい……。

「さ、続きです」
「はい…」

 たっぷりと落とされる温かいオイルに体が勝手に跳ねてしまう。私はギュッと目を瞑って先生の手が触れるのを待った。
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