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ダメ出し
しおりを挟む「まず、見た目があまりにもキラキラしすぎています。女性向けのアダルトグッズではそう言ったサイトが散見されますが、買う目的の方はメニュー表示されるまで毎回この動画を見てイライラすると思います。
お昼休みや電車内でこっそり見るOLさんには…いかにもな感じがちょっと厳しいです」
『……社長、すみませんがここだけユウさんのご意見を直接聞かせていただけますか。すごくわかりやすくて、我々が欲しかった意見です。他意はありませんから、お願いします』
「……」
「先生、その方がいいです。すみませんけど、沢山伝えることがあります」
「……わかりました」
私は画面に向かって直接お話しする事になった。それはいい事なんだけど、私は文句を言わなきゃならないから…ごめんね、萩原さん…。
「メニュー表示までのわずかな時間で購買意欲が薄れます。エッチな動画を見たい方にも同じかなと思います。
えと、ライブ配信はPHONE HUBを使うのですか?」
「その予定です。限定公開アーカイブをこのサイトだけに時限付きで載せます」
『だとしたら見逃してしまった方はキラキラに興味がないかと。可愛くて素敵だと思いますけど、あの…時間がない方もいらっしゃると思います。
あとは、おもちゃについてですが会社種別ではなく〝実際にどんな効果があった〟か、〝使用者が何を求めて使うべきもの〟なのかと表示された方がいいかなと思います。』
「確かにそうですね。お客様が求めているのは会社名ではありませんから」
さっきから先生しか返事しないけど、萩原さんに言ってるんですが。
チラッと画面を見ると、萩原さんは真剣な顔でメモを取ってくれている。
先生の顔が怖いです。
『コンセプトなどは画面下部スクロールで見せるようにして、メニューをさくっと見られるようにして、動画については訴求的な項目に変える、でよろしいですか?』
「あ、はい。その方がいいと思います」
『凄いです!めちゃくちゃ的確なご指摘でした!ありがとうございます!!』
「い、いえいえ。私なんかが生意気にすみません…」
萩原さんとのやり取りで先生の口がとんがってしまった…でも、時間をかけるよりいいのでは?
「先生、会議は短くしないといけません。皆さんの貴重なお時間をいただいてるんですから。収益に繋げるにはASAPですよね?」
「くっ…おっしゃる通りです」
「じゃあいいですよね?」
「……………………わかりました」
社員さんも、私もほっと息を吐く。先生はしょんぼりしてしまったけど仕方ない。
『商品開発については独身女性向け、パートナーがいる方向けと分けた方がよろしいですか?』
「あっ、そうですね…女性は男性が思われているよりもかなり現実的ですので…ファンシーよりも見やすい、わかりやすい、買いやすい方がいいです。ペアの方向けには可愛くしてもいいかもしれません。」
『かしこまりました!すぐに作り直します!』
萩原さんは元気に答えて別のノートパソコンを取り出し、カシャカシャすごい勢いで叩き出した。もしかして今すぐやるんですか…?
『では修正中に話を進めます。販売価格に関しても書類に記載がありますが、これに関しましては定額ではなく変動性を提案します。
わかりやすく言えば《視聴者が多かった、投げ銭が多かった動画は【高く】そこまで出なかったものは【それなりに】》という設定では如何でしょうか』
「いいな。各社提供のグッズ使用例の動画については、金を取るのか?」
『すでに結果を叩き出していますからね。あの動画で使われていたローターは似たような商品が山ほど発注され、当社にお礼状が届きました。今後も商品提供をしたいと打診があります。
各社から提供品があるものにつきましては売り上げ額に対する歩合%で変化する形にしたいと思っています』
「それでいい。…いいですか?優さん」
「あっ、はい!あの、お金に関してはよくわかりませんので、お任せします」
「わかりました」
そのあとは先生と社員の皆さんで着々といろんなものが決まっていき、私は次々に更新されて行くサイトを楽しく見守っていた。
『できました!!』
萩原さんが大きく叫び、私はずっと見守っていたから感情移入してしまって、達成感でドキドキしてる。
すごく見やすくて、可愛いサイトになった。軽いし見やすいし、とってもいいと思う。
「素晴らしいです!これならいいと思います!背景のドーナツが可愛いですね」
『は…はい。136回目のライブの時に…チョコのドーナツがお好きだとおっしゃってましたので』
「!?」
『ココナツが乗っている丸いのと、黄色い粒々がついているやつでしたよね…』
「そ、そうです!…よく覚えてますね…」
ライブ中継を見ていたって、もう数年前のものだと思うんだけど…正直私の方があまり覚えてないのに。
萩原さんは本当に私のファンでいてくださった方なんだ…。胸がジーンとしてくる。
「私の動画を見てくださって、ありがとうございます」
『は…あ…あぁっ!!』
椅子から立ち上がって、椅子が倒れるガターン!という派手な音が聞こえた。
萩原さんが画面から消えてる…ど、どこ行ったの?
「だから言ったのに…」
「えっ?萩原さん…?どこ行ったんですか?」
「うおおお!!俺の!!名前を!!!あのユウちゃんが口にしている!!!!いつか死ぬなら今死にたい!!!!!!!!!!!」
「…………わぁ」
『すみません、萩原が床にうずくまって泣いてますので今日はここまでにしましょう。動画はライブでも録画でもいいですが、開始前にご連絡くださいね、社長』
「わかった。萩原に二度目はないと伝えておけ」
『ハイ』
「あ!あの!!!」
回線を切ろうとする先生を止めて、画面の皆さんのお顔をしっかり見る。
一緒に働く人たちの顔なんだから、ちゃんと覚えたい。
「私みたいな子娘にお仕事をさせて下さって、お手伝いくださってありがとうございます。よろしくお願いします」
『うぉおおおおおお!!!!!』
萩原さんの慟哭と共に、画面がぶつりと切れて暗くなる。
先生…何も電源ごと行かなくても。
「今後は声かけ禁止です」
「は、はい…わかりました」
頬をパンパンに膨らませた先生は私を抱きしめ、不満げにキスしてくる。
「優さんは僕のですから!」
「ふふ…わかりました。おもちゃが届いたら、使いますか…?」
ハッとした先生はゆるゆると笑顔になり、今度は優しく抱きしめてくる。
「……楽しみです」
甘やかな囁きに目を閉じて、私は先生の腕の中でため息を落とした。
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