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私のやりたいこと
しおりを挟む「私の元カレは、動画に参加する才能はなかったかもしれませんが…企画して、複数人の女の子を使っていたのは知ってます。
アカウントが分かれていましたが、副業として確定申告を免れない程の収支がありました。私を含めた皆んながどの程度稼いでいたのかはわかりませんけど」
「……そのようですね」
「これもご存知でしたか…彼は勤めてる会社を辞めて、将来自分が社長になると言ってました」
「はい、それも知ってます。あなたの動画配給を止めましたから、大した金銭は発生しなくなった筈です。
奴の収益で90%はあなたの自慰動画でしたから。全部圧力消してやりました」
き、驚愕の事実…。そんなにお金になっていたのは知らなかった。でも、私は一円ももらってなかった。
お洋服も下着も、先生が用意してくれたようなちゃんとした物を買ったこともない。…下着の形は異議申し立てをしたいとしても、着古してヨレヨレのものしか持ってなかったのは確かだ。
私が勤めていた会社は、零細企業で残業代は出なかった。それでも生活費を納めてくれない元彼氏と暮らすには、辞められなかったから…結構苦労していた。
なんだかちょっと…流石にムカムカしてきた。私が知らないうちに彼氏は小金持ちくらいにはなっていたのでは??
私を蔑ろにしてたのに。ご飯代だって貰ったことないし、家賃だっていつも払うって言いながらくれた試しはなかったし。
……あれ?元カレは所謂、ヒモさん?
「色々思い出しました。おかしいですよね、私一人で生活苦でした…」
「はい、間違いなくそうです。アレはヒモと言っても過言ではないでしょう。あなたとの縁切りを約束させた際も、しつこくて苦労はしました。」
「えっ、そんな事してたんですか?」
「はい。正式な書面ですし、弁護士が立ち会ってますから問題はありませんよ。二度と近づかないと言う念書を書かせました。DVの証拠は山ほどありますし、住民票ブロックも済ませています。あなたの行方は二度と追えません」
「私のことが好きじゃないのに、行方を追うんですか?」
「口にしたくありませんが、もう何年もあなたの…お金が目当てで一緒にいたのだと思います」
「……………そっか、そうですよね」
「すみません。嫌な言い方をしました。あなたに価値がないなんて、言わせませんよ。僕にはかけがえのない人なんですからね」
気遣わしげに頬を撫でられるけど、私は若干血圧が上がってきた気がする。
そういう事ならこう、痛い目を見てもらわないといけない気がするの。
「なんだか、ギャフンと言わせたいです。動画でテッペン取って、むしろアレです。おもちゃを開発して大人のおもちゃを売ればいいです!
そもそも大人のおもちゃは正体がよくわからないまま売られてますし、売ってるお店も怪しいですし、使い方の説明もないんです。
私のように寂しい思いしてる方も癒されますし、性欲が発散できない方でも使えますし。悪いものじゃないと思います。
男性のおもちゃは世の中に溢れていますが…女性専用でわかりやすくて可愛いサイトで通販できて、使用方法も動画で配信して…話題作りで他社のものを使ってレポートを出してお金をもらってもいいかもしれませんね。
むしろ会社を作っちゃえばいいのではありませんか?!」
「…………」
「……すみません、興奮しすぎました。お金もないのに偉そうに言って…」
「わかりました。そうしましょう」
「へ?」
暴走してしまった私の言葉を受けて、先生が目の前でどこかに電話をし出した。
「私だ。経営企画室に回してくれ。」
(経営企画室…ほほー、大きい会社はそんな部署があるんですね…)
「急ぎだ。新規事業の計画書を作れ。アダルトグッズ、動画販売企画で。販路に詳しい者、動画系の業態に詳しいものを集めろ。詳しくは夜資料を送る」
相手の返事を待たずにスマホの通話と電源を切って、無造作に机に置かれる。先生が私の頬を両手で挟み、ほっぺのお肉がむにむにされている…。
「優さんの言うとおり、他に取られないように…いっそうちで会社を立ち上げます。元彼の動画チャンネルを潰しましょう。下剋上ですよ」
「へ、へんへ…ふぁ…」
「どうしてこう、あなたは一人で立とうとしてしまうんでしょうね。足の一本くらい行っておきますか?」
「ほれはひょっと…ほまりまひゅ」
「かわいい…憎たらしいですが可愛いです。」
「ほぁ」
「優さんには専属でお手伝いをお願いします。契約書は書き直しですね。…僕はこう考えることにしました。
優さんの裸をあまり見せたくないのですが、イチャイチャして僕がどれだけ優さんのことを愛しているのかを…世界中にわからせてやりますから。それを見せつけるために動画撮影をします。誰にも手出しされないように」
「…………」
「僕がいない時に撮影は禁止です。僕以外とも撮影したらダメですよ。…約束してください。」
先生の必死な様子に思わず頷き、彼がはホッとした表情に変わる。
私としては、お仕事させてくれるならありがたいし、とてもいい提案だからお話はうまくまとまったと言える。
でも、ちょっと疲れた顔してる先生を癒してあげたい…。
「先生、あの。提案があります」
「何ですか?」
「……お疲れみたいですし、原因は私みたいですし…」
「確かに疲れましたね…優さんのせいではありませんが。…はっ…もしかして」
先生は、頬を赤く染めて期待の眼差しを向けてくる。私はこくりと生唾を飲み込み頷いた。
「お、おっぱい…揉みますか?」
「はい!!!」
今日一番の輝くような笑顔を受け止めつつ…先生が枕元に置いた『彼氏を癒す方法10選』にあった言葉の効力を思い知った。
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