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おもちゃの意味
しおりを挟む「僕がおもちゃと言ったのは、あなたが『お金も出さないのにご飯食べてる、お布団つかってる、お風呂入ってる、お洋服着てる』とか無駄な遠慮をするからと思ってです。
契約書にも書いたでしょう?あなたが大切だって」
「は、はい…」
「あなたが僕を思って下さるかどうかはわかりませんが、好きになったところで『仕事をしたい・何か役に立たなければ自分の存在意義云々』というでしょう。だからそれを乱暴にねじ伏せました」
「……はい」
「美味しいご飯を食べて、あったかい布団で寝て、一日中遊んでいたっていいんです。今まで散々ひどい目に遭ってたんですから。手持ち無沙汰と言うかな、と思ってアレを用意しました。…仕事の関連で大量に手に入ったので。
お察しの通り、僕は優さんがえっちなアイドルをしていたのを知ってます」
「い、いや、アイドルかどうかは…それに私がやりたくてやっていた訳じゃないですが」
背中側にゆったり座っていた先生がバシャッ!と音を立てて体を起こす。
乳白色のお湯が波を立てて湯船の中に波紋が広がった。
「そうなんですか!?」
「そうですけど…」
「まさか…あんなに可愛い声が出てたので好きでやっていたのかと思っていました。
すみません、僕とした事が。監視歴が長いからと慢心していました」
「…ストーカー歴七年ですもんね、長いですよね、うん」
湯船に浸かりながら背後から抱きしめられて…なぜ一緒にお風呂に入っているのかはわかりません。気がついたらこうなってました。
先生は私のことを必要としてくれている、ってことだとは思う。好きって言うのがいまいちこう…普通じゃないから正直どうしたらいいのかわからないけど。
必要とされるなら、私はここに居てもいいんじゃないかと思えるし、先生も飽きるまでは手放さないと思う。
彼氏も、最初は優しかったし愛してくれてた。それでもあんな風に…先生が言うように、モラハラしてしまう原因がどこか私にあるのだと思う。それがわからない限りは好きとかそう言うのは言えないかな…おもちゃとしての仕事が口実だとしても。
おもちゃじゃなくて、私が好きになってしまったら…そしてその時先生が好きじゃなくなっていたらと思うと、怖い。
ぼーっと考え込んで無言になった私の髪を先生の指が掬い、耳にかけてくれる。可愛がられてるうちは、幸せな事には違いないけど…私はまだ一歩を踏み出すのに時間がかかりそう……。
「嫌ならしなくていいです。撮影したものを拝見した時に…その、声がですね」
「そうですよねー、知ってますよねー。うん…公開されてたのは後で知りましたけど…今はどうなってるのかわかりません。その、セックス動画に関しては通報が相次いでアカウント凍結したらしいけど…」
「なるほど。それは調べておきます。…暴力があったんですか?」
お腹に回った手が体を引き寄せて、抱きしめられる。昨日と今日で私は数年分先生に抱きしめられているのではないでしょーか。
…すごく、悪くないと…思ってしまうけど。
「暴力というよりも言葉だったらしいです。本人曰く言葉責めらしいですが…アップロードしていたサイト利用者は、長年楽しんでいる方が多いらしくて『こんなの言葉責めじゃない』『愛がない』『ただの暴言』『ていうかヘタクソ』と書かれて炎上したらしいですよ」
「……納得しました。同じサイトで名義が同じならすぐにわかります。自慰動画がどうなったのかも調べておきますから。すみません、嫌なことを思い出させて」
しょんぼりした声色が頭上で発せられて、なんとも言えない気持ちになる。
私としては喜んでもらえるなら別に構わないし…大人のおもちゃ自体は嫌いじゃないし、知らない人でも動画を見て大袈裟に喜んでくれるのは嫌じゃなかった。
それに、お仕事をしなくなって社会的地位がなくなるなら、私は何かをやりたいし…動画を見るのは先生だけなら、別にいいと思っている。
「あの、先生がそういうご趣味ならいいですよ。私自身がおもちゃと言うのはその、パワーワードではありますけど、やるべき事があると安心します。」
「趣味と言われると微妙なところですが。私はあなたの声が好きなので。残念ながら正攻法では出ませんでしたからねあの声が」
「………………うぅ」
「もう一度試してもいいですか?」
「そ、そんなに…いい声じゃなかったですよね!?私の、その…」
「いえ、いい声でした。僕はあの声が聞きたいんです。普段の声も好きですし、昨日の声も可愛かったですが。」
「うう…うー…」
「推測するに、セックス自体は早々にする事自体をやめてしまって…寂しい気持ちがあったのでしょう。おもちゃを使って自慰をして、それをアップロードするのに元カレが見ますからね。
…少しでも、見て欲しかったとかそう言う気持ちがありましたか?
コメントを見て大絶賛の嵐でしたから…それも慰めにはなっていたのでしょう?」
「……おっしゃる通りです」
「本当に可愛い人ですね…僕もそこまで想われたいです。悔しいですよ」
「そんなの…別に可愛くなんか。浅ましいと言うか、なんと言うか…先生が言う声っていうのも正直自分では好きじゃありません」
「そうですか?本気で感じてないと出ない声なんだと思いますけど。
僕はすごく好きですよ。本来ならあなたを組み敷いて一つになった時に聞きたいですが、キャパオーバーになってしまったみたいですし」
「その節は大変申し訳なく…っ!?」
お湯の中でお尻の下にゴリゴリ硬いものがあたってくる。…な、何故!?興奮する会話でしたか!??
「気絶しないように、少しずつ慣らしましょう。もしかしたら、撮影してるとか…そう言ったものが引き金なのかもしれません。試してもいいですか?」
「試すって…何を?」
「撮影しながらしてみましょう」
「あっ…待って…んぅ」
先生の手のひらが胸の膨らみを下から抱えて包み込んでくる。
あっという間に固くなった先端を避けて指先が柔らかさを弄ぶように動いた。
「綺麗な体を誰かに晒したくはありません。これは…僕のものだ」
「……っ、ふ…んん…」
「…優さん。好きです。かわいい…」
わざと気持ちいいところを外して触られながら、背中にキスマークをつけられる。チュッと音を立てて唇が離れるたびに『もっと触れて欲しい』とわたしの中の欲望が、口から出してしまいそうになる。
優しい囁きと緩やかな刺激、お湯の温かさで頭の中がいっぱいになった。
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