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夢じゃなかった3
しおりを挟む「わかった。引き上げたブツは?」
「……」
「処分してくれ。そんな物金にならん。動画に関しては、担当部門に投げろ。…ライブ配信?」
「……」
「それは使えるな…。サンプルはこちらに手配してくれ」
「……」
「そうだな、最近小金しか稼げてない奴らを締めておけ。たまにはでかい案件もって来いとな」
「……」
「ああ。明日は出る。」
ぴっ、と終話の音。険しい顔の先生がこちらに振り向く。
ね、寝てますよー。起きてませんよー。
お仕事だと怖い口調なのかな…それにしても先生の本業ってなんのお仕事なんだろうか…?
お昼寝から目覚めたら、とっぷりくれた夜になり、体が軽くなっていた。
怖い顔で電話してる先生を薄目で眺めていたものの、バツが悪くて寝たふりをしようと決めた所。
「狸寝入りはバレてますよ」
「?!ひゃ…っ!」
ギシリ、とベッドが撓む音。
私の首を触り、おでこの冷えピタが剥がされる。
あっという間にパジャマのボタンを3つ外されて、脇の下に体温計が差し込まれた。
びっくりして目を開くと、悪い笑顔がドアップで映り、顔が熱くなる。
かっこいいです…ってそうじゃなくて!
「あわわ…はわわ…」
「おっぱいが少し見えました」
「なっ!?そこは嘘でも見てないって言って下さい!」
「僕の好きな人が目の前で据え膳なのに、見ないわけありませんよ。…体の具合は?」
気遣わしげな目線が、パジャマを掻き合わせた私に降り注ぐ。
「な、治りました!多分」
「どこも痛くないですか?」
「ハイ」
「…それはよかった」
頬に触れたまま、じっと見つめられて…なんか、こう…先生が何かを醸し出してくる。雰囲気的な、ムード的な何かを。
「ねぇ…優さん。僕の事、好きになれそうですか?」
「へっ?」
「今更手放してあげられるかはわかりませんが、僕はあなたに想われたいです」
「あの、ええと、私はまだ彼氏にちゃんと別れを告げてないと言うか…」
「この状況で、それを言いますか?あなたは連絡もされず、寒空の下で放置されて死にかけた。僕が来なければ本当に死んでいたんですよ。わかってます?」
先生…怖い顔してる。初めて見た険しい顔。眉がぎゅっと眉間に皺を寄せて、目が潤んでる。
「あなたが〝自分を大切にしなければいけない〟と言うことを、僕が思い知らせてあげます。
……あなたが好きだ。ずっとずっと、あなただけを見てきた。
アイツと喧嘩して、夜中に家から追い出された時も、優さんのお誕生日だと言うのに…帰ってこなかった人でなしを思って泣きながらケーキの蝋燭を一人で消していた時も、風俗に行って言い訳すらまともにしなかった奴に『私のせいだよね、ごめんね』と言った時も…ずっと我慢してたんですよ。」
「………」
うるうるキラキラしてるけど、完全に私の行動を把握し切っている…監視カメラとかつけてたのだろうか。
堂々とストーカー行為を暴露されて、どうしたらいいのかわからないです。
「もっと早くに元カレから奪うべきでした。死ぬような目に遭わせる前に、あなたが苦しむ前に…寂しさに慣れて何も考えられなくなる前に。本当にすみません」
「先生が謝る事じゃないです。私がはっきりできなくて、勝手に苦しんでいただけですし」
「それでもです。今は好きじゃなくてもいい。もう、苦しまないでください。僕に愛されて、ただ幸せになればいい。僕のためにそうなって下さい」
「…っ」
唇が唇に触れて、形を確かめるように啄まれる。熱がこもったキスを受けて、何も言えなくなってしまう。
私はまだ何もかもを整理しきれていない。
先生が私のこと好きだからって、こんな風に甘やかされていいはずがないのに…。
「好きです…優さん…」
「ん…ふ…だめ…んっ」
深く重なった唇から、厚い舌が差し込まれる。私の舌を掬い上げて、絡ませて…先生の熱さを染み込ませる。
息がうまくできない…心臓が、久しぶりに感じる速さで脈打ち始めた。
脇の下から、電子音が聞こえる。
すっと離れた先生は、体温計を引き抜いて放り投げた。
「平熱ですね。…僕はあなたが大切なんです。本当に嫌なら、抵抗して下さい。
言い訳を言って誤魔化すなら、手ひどく犯しますよ」
「む、むむ矛盾してます!大切ならそう言うのはあの…」
「僕にそんな事させたくないでしょう?」
「そんなの狡い…どうしたらいいの…」
「今はただ、受け入れて下さい。」
両手をベッドに押さえつけられて、重なった唇を開かされ、乱暴に口内を侵される。熱い…熱い…。
もたらされる熱に翻弄されて、何も考えられない。
「優さん…かわいいです」
ようやく唇が解放されると、首に移動した先生がチクチク痛みを与えてくる。
キスマーク、つけてる…こんなこと初めてされた。
頬を撫で、そのまま手のひらがパジャマの隙間から差し込まれて…キスが胸元に落ちる。びっくりして彼の腕を掴んでも、びくともしない…。
「なんで…ひゃんっ!」
「言い訳もないので、僕は据え膳をいただきますよ」
「え…あの…ぁ…あっ…」
大きな手が胸の膨らみを下から包み、ふるふると揺らす。
服に擦れた胸の中心から痺れが広がって、勝手に声が出てしまう。
何もかもを受け止められないまま、両手で口を抑えて強く目を瞑った。
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