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第1話 星型ピアス
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「カスタードたい焼きと、チョコレートたい焼きとー…」
今日のおやつはたい焼き!
スーパーの中にたまに屋台みたいにして入っているんだけど、1個100円で焼きたてが食べられるって理由わけで、ここらへんの女子高生には人気なの。
「まりー。早くしないと置いてくよー?」
「あ、ちょっと待ってよ怜奈!私たい焼き買ってるんだから!!」
私がたい焼きを買っているのは見えているはずなのに、わざと置いていこうとするあの冷たい女子高生は鍋倉怜奈。私の幼馴染で親友。怜奈は成績優秀でスポーツはバレー部でチームを全国大会まで引っ張るようなエース!おまけに見た目だって私には到底かなわないレベルの美人さんだ。
それに比べて―
学年でトップのビリで、体育が1番嫌いな教科。さっきも言ったように見た目だって化粧してもノーメイクの怜奈に勝てない程のブサイク。よく食べるから体型だってかなりやばいし…
なんだろう、私なんかがこの人の隣を歩いていいのだろうかレベルの人。
私が唯一、怜奈に勝っているのは元気があること!かな。怜奈は常に落ち着いているが故に、嬉しそうにはしゃいだところはまだ1度も見たことがない。
ちなみに私の名前は川嶺茉莉。特に何も考えないではしゃぎたいだけはしゃいで、高校生活楽しんでますよーみたいな感じのピチピチの高校1年生!
「はい、毎度ありがとうねー!」
「ありがとうおじちゃん!」
チョコレートたい焼きが入った紙袋を持ってカスタードたい焼きを口にくわえ、怜奈の元まで駆け寄る。
そんな私を見た怜奈は―
「まるでどら猫ね」
なんて酷いことを言う。まぁこれも親友だから言えてる…んだよね?
「酷いこと言わないでよ!怜奈が急がせるからでしょ!?」
「そんな食べたらもっとブクブクどら猫になるよー」
「もっとって何よ!そりゃ怜奈からしたらもうブクブクかもしれないけど、これでも結構頑張って毎日ダイエットしてるんですー!」
「へぇー、ダイエットとかしてるんだー」
「うるさいな!もー…」
そんなこんなで店を出て自転車に跨またがり、近くのゲーセンに向かう。もちろんゲーセンに行こうって言ったのは私で、怜奈は暇だしついて行ってもいいかなって言ってついてきてくれただけ。
にしても今日は雲ひとつない夏空で、爽やかな風、そして女子の雄叫び!
…ん?雄叫び?
なんでそんなのが聞こえるの?
声のする方をじーっと見つめる。私の目に飛び込んできたのは、プリクラ機の前に群がる女!女!!女!!!
どんだけいるんだよこの量!ってくらいの女性の数。
うちの高校の生徒もいれば他校の生徒もいるし、かと思えば大人っぽい私服の人、OLっぽい服装の人もいる。
そしてその中心にいたのは1人の男子高校生だった。
高身長でスタイルがよく、顔はかなりのイケメンって感じ。黒髪に黒の星型をしたピアスが耳でキラリと光っている。マンガに出てきたら絶対に笑わないタイプの人間だ。そして案の定、女性に囲まれているのにニヤける事もせず、ずっとスマホばっかり弄っている。
ちらりと見えた制服は…うちの高校の!?!?
え、でもあんなイケメンいなかったよ!?
「ライくーん!私とプリ撮ろうよー!!」
「ちょっと!私が一緒に撮るのよ!」
ライくん…そんな名前聞いたこともない。
「ね、ねぇ怜奈!あんな人うちの高校に…あ、あれ?」
相変わらずの怜奈はイケメンに目もくれず騒ぎが起こっている反対側の入口からゲーセンの中に入っていく。私を置いてけぼりにして。
「ち、ちょっと待ってよ怜奈!」
私は後を追いかけるように走ってゲーセンに入った。
バカみたいに大音量のゲーム機の音がいくつも混ざり合い、耳がおかしくなるのではないかといつも思う。ここに来る度に絶対聴力が低下している。
怜奈に追いつく事はできたが、走った為か…すごくお手洗いに…
「怜奈…ちょっとトイレ…」
「あ、うん。そこのイスに座って本読んで待ってるから行っといで。」
怜奈にバックを預かってもらい、一目散にトイレへ走る。
神様とはイタズラが大好きなようで、こんな時に限って最悪の出来事が起きる。女子トイレには長蛇の列ができていたのだ。
元々大したゲーセンではないので、トイレは3つ程しか設置されていない。今日は運の悪い事にイケメン見たさに女子が集まり、その中の数人がトイレに行きたくなり、ここに流れてきたのだろう。
これも全部あの無愛想なイケメンのせいだ!!
モゾモゾしている私は仕方なく多目的トイレに直行した。このゲーセンには少し離れたところに多目的トイレがある。しかし女子という生き物には常にプライドがあるようで、多目的トイレに入るのは女性全員のプライドが許さなかったのだろう。
私は女性なので女性用のトイレに行きますのよ。おほほほほ。
と言わんばかりに誰一人多目的トイレまで動こうとはしなかった。プライドではなく面倒なだけかもしれないが…
しかし今の私にはそんなくだらないプライドよりも漏らさない方が大事だった。
トイレの扉を勢いよく開け、中に突入した。しかし本当に神様はイタズラがお好きなようで、またしてもとんでもない光景を目撃する事になる。
グスングスン…怖かったよ…
そこにはうずくまりながら涙を流す黒髪の青年がいた。
顔は見えないが制服はうちの高校。
耳には…黒い星型のピアスが光っている。
私は今、とんでもない状況を目撃しているのかもしれない…
今日のおやつはたい焼き!
スーパーの中にたまに屋台みたいにして入っているんだけど、1個100円で焼きたてが食べられるって理由わけで、ここらへんの女子高生には人気なの。
「まりー。早くしないと置いてくよー?」
「あ、ちょっと待ってよ怜奈!私たい焼き買ってるんだから!!」
私がたい焼きを買っているのは見えているはずなのに、わざと置いていこうとするあの冷たい女子高生は鍋倉怜奈。私の幼馴染で親友。怜奈は成績優秀でスポーツはバレー部でチームを全国大会まで引っ張るようなエース!おまけに見た目だって私には到底かなわないレベルの美人さんだ。
それに比べて―
学年でトップのビリで、体育が1番嫌いな教科。さっきも言ったように見た目だって化粧してもノーメイクの怜奈に勝てない程のブサイク。よく食べるから体型だってかなりやばいし…
なんだろう、私なんかがこの人の隣を歩いていいのだろうかレベルの人。
私が唯一、怜奈に勝っているのは元気があること!かな。怜奈は常に落ち着いているが故に、嬉しそうにはしゃいだところはまだ1度も見たことがない。
ちなみに私の名前は川嶺茉莉。特に何も考えないではしゃぎたいだけはしゃいで、高校生活楽しんでますよーみたいな感じのピチピチの高校1年生!
「はい、毎度ありがとうねー!」
「ありがとうおじちゃん!」
チョコレートたい焼きが入った紙袋を持ってカスタードたい焼きを口にくわえ、怜奈の元まで駆け寄る。
そんな私を見た怜奈は―
「まるでどら猫ね」
なんて酷いことを言う。まぁこれも親友だから言えてる…んだよね?
「酷いこと言わないでよ!怜奈が急がせるからでしょ!?」
「そんな食べたらもっとブクブクどら猫になるよー」
「もっとって何よ!そりゃ怜奈からしたらもうブクブクかもしれないけど、これでも結構頑張って毎日ダイエットしてるんですー!」
「へぇー、ダイエットとかしてるんだー」
「うるさいな!もー…」
そんなこんなで店を出て自転車に跨またがり、近くのゲーセンに向かう。もちろんゲーセンに行こうって言ったのは私で、怜奈は暇だしついて行ってもいいかなって言ってついてきてくれただけ。
にしても今日は雲ひとつない夏空で、爽やかな風、そして女子の雄叫び!
…ん?雄叫び?
なんでそんなのが聞こえるの?
声のする方をじーっと見つめる。私の目に飛び込んできたのは、プリクラ機の前に群がる女!女!!女!!!
どんだけいるんだよこの量!ってくらいの女性の数。
うちの高校の生徒もいれば他校の生徒もいるし、かと思えば大人っぽい私服の人、OLっぽい服装の人もいる。
そしてその中心にいたのは1人の男子高校生だった。
高身長でスタイルがよく、顔はかなりのイケメンって感じ。黒髪に黒の星型をしたピアスが耳でキラリと光っている。マンガに出てきたら絶対に笑わないタイプの人間だ。そして案の定、女性に囲まれているのにニヤける事もせず、ずっとスマホばっかり弄っている。
ちらりと見えた制服は…うちの高校の!?!?
え、でもあんなイケメンいなかったよ!?
「ライくーん!私とプリ撮ろうよー!!」
「ちょっと!私が一緒に撮るのよ!」
ライくん…そんな名前聞いたこともない。
「ね、ねぇ怜奈!あんな人うちの高校に…あ、あれ?」
相変わらずの怜奈はイケメンに目もくれず騒ぎが起こっている反対側の入口からゲーセンの中に入っていく。私を置いてけぼりにして。
「ち、ちょっと待ってよ怜奈!」
私は後を追いかけるように走ってゲーセンに入った。
バカみたいに大音量のゲーム機の音がいくつも混ざり合い、耳がおかしくなるのではないかといつも思う。ここに来る度に絶対聴力が低下している。
怜奈に追いつく事はできたが、走った為か…すごくお手洗いに…
「怜奈…ちょっとトイレ…」
「あ、うん。そこのイスに座って本読んで待ってるから行っといで。」
怜奈にバックを預かってもらい、一目散にトイレへ走る。
神様とはイタズラが大好きなようで、こんな時に限って最悪の出来事が起きる。女子トイレには長蛇の列ができていたのだ。
元々大したゲーセンではないので、トイレは3つ程しか設置されていない。今日は運の悪い事にイケメン見たさに女子が集まり、その中の数人がトイレに行きたくなり、ここに流れてきたのだろう。
これも全部あの無愛想なイケメンのせいだ!!
モゾモゾしている私は仕方なく多目的トイレに直行した。このゲーセンには少し離れたところに多目的トイレがある。しかし女子という生き物には常にプライドがあるようで、多目的トイレに入るのは女性全員のプライドが許さなかったのだろう。
私は女性なので女性用のトイレに行きますのよ。おほほほほ。
と言わんばかりに誰一人多目的トイレまで動こうとはしなかった。プライドではなく面倒なだけかもしれないが…
しかし今の私にはそんなくだらないプライドよりも漏らさない方が大事だった。
トイレの扉を勢いよく開け、中に突入した。しかし本当に神様はイタズラがお好きなようで、またしてもとんでもない光景を目撃する事になる。
グスングスン…怖かったよ…
そこにはうずくまりながら涙を流す黒髪の青年がいた。
顔は見えないが制服はうちの高校。
耳には…黒い星型のピアスが光っている。
私は今、とんでもない状況を目撃しているのかもしれない…
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