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聖女様
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ある日から姉さん様は変わった。
多分あの時から、僕は半分冗談で一緒に朝ごはんを食べたいと言った時からだ。
まさか、良いと言ってくれるとは思いもしなかった。
朝食が来るまで何やら考え込んでいたし、いつも僕に向ける嫉妬と憎しみのこもった目は当時の僕でもわかってた。
朝食を食べ終わるとお姉様は優しく僕の傷を手当し「今まで辛かったね、もうこれからは大丈夫よ。お姉ちゃんがずっと守ってあげる。」と、泣きながら優しく抱きしめてくれた。
そこからというもの、少しうざいと思うくらい付きまとわれた。
でも、それが嬉しくて1人じゃないと思えた。どんなに辛い訓練でも寝床に行けばお姉様が手当てしてくれた。
甘いチョコレートも食べさせてくれた。
死んでも守るって決めてたのに!
なんだこの様は!!!
人より少し才能があるからなんだ。
姉すら守れないやつになんの意味がある!
「聖女はいるか!!!!!頼む!助けてくれ!!!」
神殿の扉を開け祈りを捧げてる人たちを無視し聖女の元へ走った。
「な、祈りの最中だぞ!!立ち去れ!!」
止めに入った神官たちは、毒が全身に回る姉を見て諦めろという顔した。
「もう手遅れだ。」
神官の1人がお姉様触ろうとしたのだ。
「触るなっ!!!!」
あまりの殺気に神官のは小さく悲鳴をあげ後ずさった。
「こちらに。」
「聖女様!このものはもう助かりませぬ!!!貴重なお力を使ってはここにいる信徒達に示しがつきませぬ!!」
「...お黙りなさい!!!!!目の前に救える命があるというのに救わぬ阿呆がどこにいますか!命を金で買っているようなお前達と一緒にしないで頂きたい!」
「なッ!!この事は神官長に報告させて頂きますからな!」
聖女は神官達の話を無視しお姉様を神の像の真下に寝かせた。
「頼む....助けてくれ...うっ、俺のおれのせいだ!」
「泣くのはやめなさい。」
聖女の治癒が終わるまでひたすら神に祈った。
神などこの世にいるはずがないと思っていたのに今は神頼みしかできないとは...。
「峠は越えましたが、このまま目を覚ますかどうかは彼女の生命力次第ですわ。」
「そうか...無理を言ってすまない...。金はいくらだ?」
「....お金は必要ありません。」
「!?しかし...」
「良いのですよ。さぁ、お姉様が起きた時にそのような格好では笑われてしまいますよ。部屋を用意しました。ご案内致します。」
「感謝...いたしますッ!」
私が目を覚ましたのは2日後の事だった。
左手に温かい感触がある。
視線だけ動かすと神殿の白い服を着たカイエンが座ったまま寝ていた。
夢で誰か私のことを呼んでた気がする。
きっとこカイエンね...。
優しく頭を撫でると
「ん...ねーさま?...っ!!!!!お姉様!!!!!!」
「ね?死なないって言ったでしょ」
泣き続けるカイエンを宥め、聖女様を呼んできてもらうことにした。
「聖女様、この度はこの命救っていただき感謝致します。この御恩は一生忘れませんわ。いつか必ず、お返し致します。」
「そんな、気にしないでください!でも、もう彼を悲しませてはいけませんよ。」
聖女様がきてもお構い無し泣くカイエンはまるで子供に戻ったみたいだ。
....ん?
!!!!!!!
カイエンと聖女が出会ってしまった。
私が引き合わせたんだ...。
でも、特に2人に何かあった雰囲気はないし、私が倒れたからかしら?
まてよ、ここは聖女様と仲良くなった方が得策なのでは?いや...
考え込んでいると、聖女様は何か思いついたように手を叩き
「そうですわ!私達、年齢も近いと思いますの...その、えーっと宜しければ、お、お友達になってくださらないかしら...小さい頃から神殿で暮らしてるから友達があまりいないんです。」
栗毛の神に深緑のぱっちりとした目で上目遣いでお友達になってくださいと言われたらそりゃー、了承するに決まってますよー!!
か、可愛いっ!!!
「もちろん!!ミアよ!これから、よろしくね!」
「オリビアですわ!よろしくお願い致します!!」
笑顔の破壊力ッ!
この時カイエンの表情が曇ったのは知る由もなかった。
多分あの時から、僕は半分冗談で一緒に朝ごはんを食べたいと言った時からだ。
まさか、良いと言ってくれるとは思いもしなかった。
朝食が来るまで何やら考え込んでいたし、いつも僕に向ける嫉妬と憎しみのこもった目は当時の僕でもわかってた。
朝食を食べ終わるとお姉様は優しく僕の傷を手当し「今まで辛かったね、もうこれからは大丈夫よ。お姉ちゃんがずっと守ってあげる。」と、泣きながら優しく抱きしめてくれた。
そこからというもの、少しうざいと思うくらい付きまとわれた。
でも、それが嬉しくて1人じゃないと思えた。どんなに辛い訓練でも寝床に行けばお姉様が手当てしてくれた。
甘いチョコレートも食べさせてくれた。
死んでも守るって決めてたのに!
なんだこの様は!!!
人より少し才能があるからなんだ。
姉すら守れないやつになんの意味がある!
「聖女はいるか!!!!!頼む!助けてくれ!!!」
神殿の扉を開け祈りを捧げてる人たちを無視し聖女の元へ走った。
「な、祈りの最中だぞ!!立ち去れ!!」
止めに入った神官たちは、毒が全身に回る姉を見て諦めろという顔した。
「もう手遅れだ。」
神官の1人がお姉様触ろうとしたのだ。
「触るなっ!!!!」
あまりの殺気に神官のは小さく悲鳴をあげ後ずさった。
「こちらに。」
「聖女様!このものはもう助かりませぬ!!!貴重なお力を使ってはここにいる信徒達に示しがつきませぬ!!」
「...お黙りなさい!!!!!目の前に救える命があるというのに救わぬ阿呆がどこにいますか!命を金で買っているようなお前達と一緒にしないで頂きたい!」
「なッ!!この事は神官長に報告させて頂きますからな!」
聖女は神官達の話を無視しお姉様を神の像の真下に寝かせた。
「頼む....助けてくれ...うっ、俺のおれのせいだ!」
「泣くのはやめなさい。」
聖女の治癒が終わるまでひたすら神に祈った。
神などこの世にいるはずがないと思っていたのに今は神頼みしかできないとは...。
「峠は越えましたが、このまま目を覚ますかどうかは彼女の生命力次第ですわ。」
「そうか...無理を言ってすまない...。金はいくらだ?」
「....お金は必要ありません。」
「!?しかし...」
「良いのですよ。さぁ、お姉様が起きた時にそのような格好では笑われてしまいますよ。部屋を用意しました。ご案内致します。」
「感謝...いたしますッ!」
私が目を覚ましたのは2日後の事だった。
左手に温かい感触がある。
視線だけ動かすと神殿の白い服を着たカイエンが座ったまま寝ていた。
夢で誰か私のことを呼んでた気がする。
きっとこカイエンね...。
優しく頭を撫でると
「ん...ねーさま?...っ!!!!!お姉様!!!!!!」
「ね?死なないって言ったでしょ」
泣き続けるカイエンを宥め、聖女様を呼んできてもらうことにした。
「聖女様、この度はこの命救っていただき感謝致します。この御恩は一生忘れませんわ。いつか必ず、お返し致します。」
「そんな、気にしないでください!でも、もう彼を悲しませてはいけませんよ。」
聖女様がきてもお構い無し泣くカイエンはまるで子供に戻ったみたいだ。
....ん?
!!!!!!!
カイエンと聖女が出会ってしまった。
私が引き合わせたんだ...。
でも、特に2人に何かあった雰囲気はないし、私が倒れたからかしら?
まてよ、ここは聖女様と仲良くなった方が得策なのでは?いや...
考え込んでいると、聖女様は何か思いついたように手を叩き
「そうですわ!私達、年齢も近いと思いますの...その、えーっと宜しければ、お、お友達になってくださらないかしら...小さい頃から神殿で暮らしてるから友達があまりいないんです。」
栗毛の神に深緑のぱっちりとした目で上目遣いでお友達になってくださいと言われたらそりゃー、了承するに決まってますよー!!
か、可愛いっ!!!
「もちろん!!ミアよ!これから、よろしくね!」
「オリビアですわ!よろしくお願い致します!!」
笑顔の破壊力ッ!
この時カイエンの表情が曇ったのは知る由もなかった。
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