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第182話:疑惑
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1569年11月、美濃国稲葉山城。
「だから私は畿内には戻らないと言っているだろうが!!」
大広間では岳人の怒声が響き渡る。
「若君・・・美濃国の守護になるにしてもひとまずは都に戻らねば・・・」
景兼が諭すように声をかけるも全く聞き入れない。
「・・・」
岳人の家臣となっている赤龍たちを睨みつける五右衛門。
そんなに睨むな・・・今は味方同士だろ・・・石川五右衛門。
緑霊は五右衛門を見ると笑顔で頭を下げる。
こいつ・・・何を企んでいるというのだ・・・どうやって若君をたぶらかした?
さすがの五右衛門も平静を装うのが限界に近かった。
その勝手な行動を諫めるために、私は景兼と五右衛門を使者として送り込んだ。
しかし、岳人は全く取り合ってくれなかったのである。
京の都の二条御所。
「なんと申されました?」
私はただ落胆するばかりであった。
「良いではないか・・・岳人殿は知勇兼備の逸材。美濃国を任せるのに相応しいだろう。」
割と顔色が良さそうな足利義栄の言葉である。
「もう齢も十八、十九ならば立派なものじゃ。大輔殿、御子を信じられよ。追って使いを美濃へと送っておきますぞ。」
近衛前久にも言われたので引き下がるしかなかった。
「左馬・・・待たせたね。」
「殿、いかがでございましたか?」
御所から出た私を待っていたのは、護衛の兵たちを引き連れた明智左馬之助秀満。私は左馬と呼んでいる。
「どうにもこうにも岳人の名声が高まり過ぎて、私ではどうすることもできないぞ。」
「左様でございますか。私の考えでは今は静観するのが得策でしょう。」
「だが・・・美濃を攻められたら・・・」
「殿、違いますぞ!!」
私の言葉を遮った秀満は首を横に振った。
「心配すべきは美濃が他国に攻め入ることでございます。大和の国人衆ならともかく、芳野殿や平尾殿を畿内に送り帰す・・・長き付き合いにある者を遠ざけるは・・・」
「頼む・・・それ以上言わないでくれ。」
一難去ってまた一難・・・しかも身内となればまた悩みも深くなるのだ。
子育て・・・間違えていたのかな・・・私は・・・
具教殿も亡くなられてしまったしな・・・なんだかなあ・・・
少し肌寒い都の風が私の背中に重くのしかかってくる・・・そんな錯覚さえ覚えてしまうのだった。
播磨国姫路城では赤松政範を降伏させた清興が帰還していた。
「源之進済まなかった。しかし、赤松七千の兵を五百で堪え切るとは俺以上だぞ・・・ワハハハ。」
清興の褒め言葉に嬉しそうな源之進。
「それにしても・・・」
何より清興が気になるのは源之進の側にいるもみじの姿だった。
「源之進・・・もしや・・・オマエ?」
「はい・・・私も齢で二十二となります。慎之介も伴侶を得たということで・・・」
「もみじを娶るというのだな・・・もみじは幾つになった?」
「はい、十七でございます。」
「可愛いのう・・・源之進とは美男美女だな。お似合いだ。」
そんな清興の言葉に恥じらいを見せるもみじ。
「俺は官兵衛やその一族郎党を連れて畿内へ戻る。小四郎を任せるぞ。小四郎、源之進の家臣となれ。」
「え?」
突然の清興の言葉に若き島家家臣櫟原小四郎は驚きを隠せない。
「あと姫路の城主にオマエを強く推しておく。あと娶るならばそれらしく改名せねばな。一応は朝臣である俺から将軍様に掛け合っておこう。そうだな・・・慎之介もそれらしくしないとな・・・ワハハハ。」
強引な清興の姿に一同ただ呆気に取られるだけであった。
同じ頃、播磨国利神城。
「おかしいな・・・半兵衛殿。」
「何を考えているのでしょうか、宇喜多直家は・・・」
義成と重治は、国境に展開していた美作の宇喜多軍が、撤退したことが信じられなかった。
まるで攻めて来るのを待ち受けているかのような展開が二人には理解できない。
「埒が明かない・・・疋田様の言われる通り、我らは一度畿内に戻ることにしよう。」
義成と重治は三千の兵を利神城に残して畿内へと帰還することとなる。
この三千の兵を任された山田軍の将がいた。
本多三弥左衛門正重。景兼の命を受けてやってきたこの男は本多正信の実弟である。
「正重殿なら安心でございます。」
義成が尊敬の念を寄せる程の槍の名手であり、徳川家時代は本多平八郎と互角と謳われた実力者。
武芸一辺倒だったが故に、兄正信の命で景兼の弟子として兵法などを学んでいたのだ。
「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず・・・忘れるでないぞ・・・正重。」
「ははッ!!」
景兼から学んだ孫子の教えを胸に正重は、これから宇喜多直家と互角に渡り合っていく。
正史上ではあまり表に出ない、家康とウマが合わずに重用されなかったこの傑物は、歴史の改変により大きく名を残すことになるのであった。
勝竜寺城に戻った私は茶室に籠った。
何を考えているのだ・・・岳人。
私は鳥兜の源次から稲葉山城天守閣での一部始終を聞いていた。
「おのれ・・・赤龍、青彪、緑霊。山田岳人と謀っておったな!!」
信長は眼を見開くと怒りを露わにする。
しかし既に体の自由は奪われており、成す術はなかった。
「何も謀っておらぬ。全てはあなたの思うがままに進んでおるだけ・・・」
赤龍は憐みの目を信長に向ける。
「そうだよ、果心居士。あなたの思い通りにに僕が動いてしまったんだ。それに過ぎない。でも、僕の本当の心の内は読めなかったようだね。」
岳人はそう言うと緑霊から刀を受け取った。
「待て・・・ワシの中にはお前の義兄である信長がおるのだぞ。」
信長の言葉に岳人の手が止まった。
しょうもねえな・・・果心居士。この期に及んで命乞いか。
どこからともなく聞こえてくる声と共に信長の顔が果心居士へと変化した。
その様子を隠れて見ていた鳥兜の源次は動揺を隠せない。
青彪は源次の気配を察していたが、何故か気付かぬふりをする。
「信長・・・貴様・・・楽しんでおったのか!?」
果心居士は憤怒の形相で叫ぶ。
そうじゃな!!ワシに成り代わったはいいが、あまりの無能ぶりが滑稽でならなかったわ!!
「ぬうう!!」
まず最初に猿と犬を手離したのが愚の骨頂であったぞ。
「義兄上の言われる通りだ。秀吉さんと利家さんはこの日ノ本をいずれはまとめ上げる存在になる。織田信長を名乗るならば有能な人材を重用しないとね。」
岳人はその信長の声に同調した。
あまりの役不足ぶりにワシも嫌気がさしていたところじゃ。岳人、ワシを引き継いでくれるか?
「そのつもりになっていたところですよ、義兄上。ただ・・・それ以上も狙いますけど・・・いいですか?」
フハハハ・・・好きにしろ。ただ大輔殿・・・オマエの父上は大切にするのだ。ワシは大輔殿が好きでたまらんのじゃ。乱世に最も相応しくない男だからな。
「大丈夫です。僕は父さんが好きですから・・・」
そこはワシと違うな・・・
「はい♪ では・・・果心居士。これからこの日ノ本がどうなっていくかを楽しみにしておいてください。」
岳人は刀を振りかぶった。
「そうか・・・そういうことか・・・この小童ァァァッ!!いずれお前には天罰が・・・!?」
次の瞬間、果心居士の首と胴が離れていった。
床に転がったその首だが、まるで生きているかのように最後の声を上げた。
「いずれ貴様らには天罰が下る・・・ワシは地獄で先に待っておるぞ・・・」
そして果心居士の顔は再び信長の顔へと変化したのだった。
おいおい・・・若君・・・どうした? イカれちまったのかよ・・・それともこの光景は夢か・・・俺がイカれちまったのか・・・
源次は何とか状況を理解しようとしたが、ただ混乱するばかりであった。
とりあえずは殿に報告しねえといけねえぜ・・・
これが源次から聞いた話の一部始終であった。
茶室では、いつの間にか回想していた私の隣で、慶次と金蔵、源次、権蔵が酒宴を始めている。
「辛いな・・・殿様よ。」
慶次が声をかけてくれるが、昼間から酒を飲むのはやめて欲しい。とりあえず茶室は私の憩いの場なんだけどね・・・
「俺たちは若君が好きだ。だが、殿様の考え方でいけばいずれはぶつかるぞ。」
毒蝮の金蔵の言葉は重い。
「ただ勝秀様の仇をも簡単に仲間にする気は知れんがな・・・・」
啄木鳥の権蔵は鋭い視線を私に向けた。
そこに更なる悪い知らせを持って一人のくのいちが姿を現す。
「殿、姫路より八滝源之進様の使いで参りました。」
「おお・・・もみじちゃん♪」
もみじは慶次たちに一礼すると私の前に座った。
「これは内密にお願いいたします・・・」
もみじから、姫路城防衛戦での一部始終を聞かされた私は固まってしまった。
慶次たちも言葉を失っている。
「このことを確認するために・・・殿、複数名の手練れの方々を播磨へ・・・」
もみじはそう言うと金蔵と源次、権蔵を見た。
「もみじもしっかりと受け答えができるようになったな。」
源次が優しく声をかけるともみじは笑顔でうなずく。
「丹波様と長門守様にも声をかけよう。あとそこいらの名のある連中にも協力させるぞ。殿様、少し金を拝借する。」
金蔵はそう言うと立ち上がった。
「要は浦上や三村、そして宇喜多と若君が繋がっているかを調べるってことか・・・悪い予感もするがな・・・」
権蔵はそう言うも顔つきは強面ながらやる気に満ちている。
「俺も行くぞ、いいだろ?やりようによっては宇喜多直家の首でも手土産にしてくるぜ!!」
「頼みます・・・。」
私の言葉と共に一斉に茶室を出ていく慶次たち。
ここから慶次や忍びたちの長い諜報活動が始まるのである。
「だから私は畿内には戻らないと言っているだろうが!!」
大広間では岳人の怒声が響き渡る。
「若君・・・美濃国の守護になるにしてもひとまずは都に戻らねば・・・」
景兼が諭すように声をかけるも全く聞き入れない。
「・・・」
岳人の家臣となっている赤龍たちを睨みつける五右衛門。
そんなに睨むな・・・今は味方同士だろ・・・石川五右衛門。
緑霊は五右衛門を見ると笑顔で頭を下げる。
こいつ・・・何を企んでいるというのだ・・・どうやって若君をたぶらかした?
さすがの五右衛門も平静を装うのが限界に近かった。
その勝手な行動を諫めるために、私は景兼と五右衛門を使者として送り込んだ。
しかし、岳人は全く取り合ってくれなかったのである。
京の都の二条御所。
「なんと申されました?」
私はただ落胆するばかりであった。
「良いではないか・・・岳人殿は知勇兼備の逸材。美濃国を任せるのに相応しいだろう。」
割と顔色が良さそうな足利義栄の言葉である。
「もう齢も十八、十九ならば立派なものじゃ。大輔殿、御子を信じられよ。追って使いを美濃へと送っておきますぞ。」
近衛前久にも言われたので引き下がるしかなかった。
「左馬・・・待たせたね。」
「殿、いかがでございましたか?」
御所から出た私を待っていたのは、護衛の兵たちを引き連れた明智左馬之助秀満。私は左馬と呼んでいる。
「どうにもこうにも岳人の名声が高まり過ぎて、私ではどうすることもできないぞ。」
「左様でございますか。私の考えでは今は静観するのが得策でしょう。」
「だが・・・美濃を攻められたら・・・」
「殿、違いますぞ!!」
私の言葉を遮った秀満は首を横に振った。
「心配すべきは美濃が他国に攻め入ることでございます。大和の国人衆ならともかく、芳野殿や平尾殿を畿内に送り帰す・・・長き付き合いにある者を遠ざけるは・・・」
「頼む・・・それ以上言わないでくれ。」
一難去ってまた一難・・・しかも身内となればまた悩みも深くなるのだ。
子育て・・・間違えていたのかな・・・私は・・・
具教殿も亡くなられてしまったしな・・・なんだかなあ・・・
少し肌寒い都の風が私の背中に重くのしかかってくる・・・そんな錯覚さえ覚えてしまうのだった。
播磨国姫路城では赤松政範を降伏させた清興が帰還していた。
「源之進済まなかった。しかし、赤松七千の兵を五百で堪え切るとは俺以上だぞ・・・ワハハハ。」
清興の褒め言葉に嬉しそうな源之進。
「それにしても・・・」
何より清興が気になるのは源之進の側にいるもみじの姿だった。
「源之進・・・もしや・・・オマエ?」
「はい・・・私も齢で二十二となります。慎之介も伴侶を得たということで・・・」
「もみじを娶るというのだな・・・もみじは幾つになった?」
「はい、十七でございます。」
「可愛いのう・・・源之進とは美男美女だな。お似合いだ。」
そんな清興の言葉に恥じらいを見せるもみじ。
「俺は官兵衛やその一族郎党を連れて畿内へ戻る。小四郎を任せるぞ。小四郎、源之進の家臣となれ。」
「え?」
突然の清興の言葉に若き島家家臣櫟原小四郎は驚きを隠せない。
「あと姫路の城主にオマエを強く推しておく。あと娶るならばそれらしく改名せねばな。一応は朝臣である俺から将軍様に掛け合っておこう。そうだな・・・慎之介もそれらしくしないとな・・・ワハハハ。」
強引な清興の姿に一同ただ呆気に取られるだけであった。
同じ頃、播磨国利神城。
「おかしいな・・・半兵衛殿。」
「何を考えているのでしょうか、宇喜多直家は・・・」
義成と重治は、国境に展開していた美作の宇喜多軍が、撤退したことが信じられなかった。
まるで攻めて来るのを待ち受けているかのような展開が二人には理解できない。
「埒が明かない・・・疋田様の言われる通り、我らは一度畿内に戻ることにしよう。」
義成と重治は三千の兵を利神城に残して畿内へと帰還することとなる。
この三千の兵を任された山田軍の将がいた。
本多三弥左衛門正重。景兼の命を受けてやってきたこの男は本多正信の実弟である。
「正重殿なら安心でございます。」
義成が尊敬の念を寄せる程の槍の名手であり、徳川家時代は本多平八郎と互角と謳われた実力者。
武芸一辺倒だったが故に、兄正信の命で景兼の弟子として兵法などを学んでいたのだ。
「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず・・・忘れるでないぞ・・・正重。」
「ははッ!!」
景兼から学んだ孫子の教えを胸に正重は、これから宇喜多直家と互角に渡り合っていく。
正史上ではあまり表に出ない、家康とウマが合わずに重用されなかったこの傑物は、歴史の改変により大きく名を残すことになるのであった。
勝竜寺城に戻った私は茶室に籠った。
何を考えているのだ・・・岳人。
私は鳥兜の源次から稲葉山城天守閣での一部始終を聞いていた。
「おのれ・・・赤龍、青彪、緑霊。山田岳人と謀っておったな!!」
信長は眼を見開くと怒りを露わにする。
しかし既に体の自由は奪われており、成す術はなかった。
「何も謀っておらぬ。全てはあなたの思うがままに進んでおるだけ・・・」
赤龍は憐みの目を信長に向ける。
「そうだよ、果心居士。あなたの思い通りにに僕が動いてしまったんだ。それに過ぎない。でも、僕の本当の心の内は読めなかったようだね。」
岳人はそう言うと緑霊から刀を受け取った。
「待て・・・ワシの中にはお前の義兄である信長がおるのだぞ。」
信長の言葉に岳人の手が止まった。
しょうもねえな・・・果心居士。この期に及んで命乞いか。
どこからともなく聞こえてくる声と共に信長の顔が果心居士へと変化した。
その様子を隠れて見ていた鳥兜の源次は動揺を隠せない。
青彪は源次の気配を察していたが、何故か気付かぬふりをする。
「信長・・・貴様・・・楽しんでおったのか!?」
果心居士は憤怒の形相で叫ぶ。
そうじゃな!!ワシに成り代わったはいいが、あまりの無能ぶりが滑稽でならなかったわ!!
「ぬうう!!」
まず最初に猿と犬を手離したのが愚の骨頂であったぞ。
「義兄上の言われる通りだ。秀吉さんと利家さんはこの日ノ本をいずれはまとめ上げる存在になる。織田信長を名乗るならば有能な人材を重用しないとね。」
岳人はその信長の声に同調した。
あまりの役不足ぶりにワシも嫌気がさしていたところじゃ。岳人、ワシを引き継いでくれるか?
「そのつもりになっていたところですよ、義兄上。ただ・・・それ以上も狙いますけど・・・いいですか?」
フハハハ・・・好きにしろ。ただ大輔殿・・・オマエの父上は大切にするのだ。ワシは大輔殿が好きでたまらんのじゃ。乱世に最も相応しくない男だからな。
「大丈夫です。僕は父さんが好きですから・・・」
そこはワシと違うな・・・
「はい♪ では・・・果心居士。これからこの日ノ本がどうなっていくかを楽しみにしておいてください。」
岳人は刀を振りかぶった。
「そうか・・・そういうことか・・・この小童ァァァッ!!いずれお前には天罰が・・・!?」
次の瞬間、果心居士の首と胴が離れていった。
床に転がったその首だが、まるで生きているかのように最後の声を上げた。
「いずれ貴様らには天罰が下る・・・ワシは地獄で先に待っておるぞ・・・」
そして果心居士の顔は再び信長の顔へと変化したのだった。
おいおい・・・若君・・・どうした? イカれちまったのかよ・・・それともこの光景は夢か・・・俺がイカれちまったのか・・・
源次は何とか状況を理解しようとしたが、ただ混乱するばかりであった。
とりあえずは殿に報告しねえといけねえぜ・・・
これが源次から聞いた話の一部始終であった。
茶室では、いつの間にか回想していた私の隣で、慶次と金蔵、源次、権蔵が酒宴を始めている。
「辛いな・・・殿様よ。」
慶次が声をかけてくれるが、昼間から酒を飲むのはやめて欲しい。とりあえず茶室は私の憩いの場なんだけどね・・・
「俺たちは若君が好きだ。だが、殿様の考え方でいけばいずれはぶつかるぞ。」
毒蝮の金蔵の言葉は重い。
「ただ勝秀様の仇をも簡単に仲間にする気は知れんがな・・・・」
啄木鳥の権蔵は鋭い視線を私に向けた。
そこに更なる悪い知らせを持って一人のくのいちが姿を現す。
「殿、姫路より八滝源之進様の使いで参りました。」
「おお・・・もみじちゃん♪」
もみじは慶次たちに一礼すると私の前に座った。
「これは内密にお願いいたします・・・」
もみじから、姫路城防衛戦での一部始終を聞かされた私は固まってしまった。
慶次たちも言葉を失っている。
「このことを確認するために・・・殿、複数名の手練れの方々を播磨へ・・・」
もみじはそう言うと金蔵と源次、権蔵を見た。
「もみじもしっかりと受け答えができるようになったな。」
源次が優しく声をかけるともみじは笑顔でうなずく。
「丹波様と長門守様にも声をかけよう。あとそこいらの名のある連中にも協力させるぞ。殿様、少し金を拝借する。」
金蔵はそう言うと立ち上がった。
「要は浦上や三村、そして宇喜多と若君が繋がっているかを調べるってことか・・・悪い予感もするがな・・・」
権蔵はそう言うも顔つきは強面ながらやる気に満ちている。
「俺も行くぞ、いいだろ?やりようによっては宇喜多直家の首でも手土産にしてくるぜ!!」
「頼みます・・・。」
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