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第223話:第二次桶狭間の戦い(2)
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翌5月16日、徐々に罠と柵を破壊しながら上杉軍は前進していた。
直江景綱の的確な指示の下、犠牲を出すこともない。
その光景に木下藤吉郎秀吉も舌を巻くしかなかった。
「上杉の練兵は徹底しておる。」
「まさしく・・・。明日にはこの砦の下まで迫ってくるかもしれませんぬな。」
秀吉と六兵衛が話しているところに1人の忍びがやってきた。
「勝政様・・・」
六兵衛の耳元で何かを囁く。
「そうか・・・ご苦労だった。引き続き頼む。」
「御意!!」
忍びが去って行くと六兵衛は秀吉に言った。
「昨晩、上杉に夜襲をかけた部隊があったらしいですな。」
「なんと・・・まだ時期ではない。こちらの段取りが狂うではないか。」
秀吉は配下の者たちを呼び寄せた。
「どの別働部隊が動いたか調べて参れ!!」
「ははッ!!」
しかし、どの別働部隊も動いてはいなかったのである。
そして彼らも疑心暗鬼に陥っていた。
「この戦況で夜襲をかけて成功できる者などおるか?」
前田利家は首をかしげる。
これでは小原殿以外にも別働隊がいるということが敵にバレるではないか・・・
「あの上杉の右翼付近に夜襲をかけられる部隊があったか?」
森可隆にも信じられるころではなかった。
「確かにあの辺りには我が方の誰もおるわけがございませぬ。」
家臣の言葉に大きくうなずく。
「この戦・・・タダでは終わらんな。」
秀吉の家臣である生駒親正も予期せぬことに疑念を感じていた。
自身が率いる三百の別働隊は一番上杉軍右翼に近い位置ではあったが、まだ誰一人兵が欠けていない。
動いていないのである。
「ふむ・・・確かに動かれていない・・・。どうなっておるのやら・・・」
監査にやってきた木下秀長は考え込む。
そのときだった。
「大変でございまする!!」
1人の兵が息を切らして駆け込んできた。
「どうした?」
親正はそう言うと立ち上がった。
「我が主、毛利良勝が別働隊が上杉の奇襲にあっておりまする。」
「なんだと!!」
「生駒親正様、兵をお退きくだされい。次は・・・グエッ!?」
その兵の背中に矢が突き刺さっていた。
「ウオオオッ!! 織田じゃ、織田の伏兵じゃ!!」
同時に突然周囲に響き渡る雄叫びと共に押し寄せてくる上杉軍。
「敵襲・・・上杉じゃァァァ!!」
「なんということじゃ・・・小一郎様を守りつつ撤退じゃァァ!!」
親正は秀長と共に砦へと撤退していくのであった。
桶狭間の砦には全ての別働隊が撤退していた。
「無念でございます・・・グハッ・・・」
深手を負った毛利良勝はすぐさま清州城へと送られていった。
「参ったな・・・」
秀吉は頭を抱え込む。
「持久戦・・・その前に上杉は一気呵成にこの砦を力ずくで奪いにくるじゃろう。」
武藤舜秀は地図を広げると別働隊の位置に×印を付ける。
「夜襲による神経消耗戦が不可能となれば正面から戦うしかあるまい。」
池田恒興の言葉に大いに高ぶる者たちがいた。
「おお・・・そうすべきじゃろうて。」
籾井教業の声が砦の大広間に響き渡る。
「1人で5人倒せば良いだけじゃろう。それならば楽勝ではないか。」
荒木氏綱も声を上げる。
「そのような理屈が・・・」
武藤舜秀が呆れ顔で言い返そうとするも
「それは確かに大袈裟じゃがそれに近いことをすれば良いだけぞ。」
赤井直正はそう言うとニヤリと笑った。
「上杉は確かに大軍。しかも統率もとれておる。そこが穴だとワシは見るのじゃ。」
赤井直正は剛勇であるが、智謀にも富んでいる。
そのことをわかっている六兵衛も口を開いた。
「ここは直正殿の策に乗ってくれませぬか・・・」
この砦の兵力の大半は山田軍である。
旧信長家臣団も首を横に振ることはできなかった。
その頃、上杉輝虎の本陣。
登坂藤右衛門清長が姿を現していた。
「ようやった、藤右衛門。」
「ははッ・・・ありがたきこと。」
織田の別働隊を奇襲で撤退させたのは清長であった。
本来は予備兵力として五千の兵を率いて待機していたが、夜襲の報を受けるとすぐさま兵を分散させて織田の別働隊の偵察及び撃破を果たしたのであった。
「藤右衛門がこのような手柄をあげるとワシらもそろそろ隠居せねばな。ワハハハ!!」
小島弥太郎が声高らかに笑い出す。
「鬼小島ともあろう者が何を言われるか・・・ワハハハ!!」
上杉家重臣竹俣慶綱もつられて笑い出した。
「そこで更に妙案がございます。桶狭間の砦の北方より迂回して夜襲をかけます。」
「さすがにそれは無謀ではないか?」
清長の言葉に顔をしかめる輝虎。
「いえ・・・これは神経戦でございます。こちらが夜襲の仕掛けを施し、敵兵の心を削り取るのです。しかも北は支城も遠くまさかここまで回り込むとは考えますまい。」
「そうか・・・」
「ご了承されたと捉えまする。では!!」
本陣を去っていく清長の後姿を見つめる輝虎。
「勝資はおるか?」
「はッ・・・ここに・・・」
呼ばれて姿を現したのは上杉家家臣新津勝資である。
「念の為じゃ・・・」
「ははッ!!」
輝虎の意図を汲み取った勝資も続けて本陣を離れるのだった。
2日目は上杉が罠の破壊に尽力する展開。
織田側の大砲の狙い撃ちも、射程外をうまく位置取りするという用兵巧者ぶりを見せつける結果となった。
秀吉は物見櫓から上杉軍をただ眺めていた。
感嘆してばかりはいられまい・・・
その眼光は鋭く輝いていた。
登坂藤右衛門清長は既に二千の兵を砦の北へと移動させていた。
「この二千の兵を後詰に先手で三方から砦に迫る。松明を水増しして脅威を感じさせるのだ。」
その清長の作戦も頓挫することとなる。
この戦のターニングポイントの一つとなる出来事が起こるのである。
「うおおおおッ!!」
突然、清長たちの背後から喚声が響き渡る。
「予想通りじゃ!! 藤吉郎めはやりおるわ!! ただ人使いは荒い」
丹羽長秀率いる二千の兵の急襲である。
「馬鹿な・・・沓掛の城は何をしておる・・・何故にこの方角から織田が来るのだ!?」
桶狭間の北に位置する沓掛城は既に上杉軍によって陥落したはずであった。
しかし、その沓掛城は丹羽長秀の攻撃により再び織田の手に戻り、そのまま休むことなく攻めてきたのである。
「撃て!!」
丹羽長秀率いる二千の兵のうち五百は鉄砲隊である。
しかも山田家の支援により最新式の連発銃が導入されていた。
「なんという・・・なんということだ・・・」
清長は圧倒的な兵器の差に茫然となる。
壊滅的状態の登坂藤右衛門清長の本隊。
「もはやこれまでか・・・」
絶望した清長が槍を手に鉄砲隊へと突撃をかけようとしたときだった。
「登坂藤右衛門清長殿とお見受けする。」
1人の騎馬武者が姿を見せる。
「な・・・なにやつ・・・」
「滝谷六兵衛勝政と申す。」
六兵衛である。そしてその手には清長には見慣れた兜が・・・
「貴様ァァァ!! 新津勝資様をォォォ!!」
憤怒の形相を見せた清長は六兵衛に襲い掛かる。
その荒々しくも鋭い攻撃、手数が尋常ではない。
この者・・・何という手練れ・・・
六兵衛は大刀で清長の攻撃を打ち払いながらもその腕前に感嘆していた。
「滝谷六兵衛・・・おぬしは永禄最強大武道会に山田の代表として選ばれておらんだろう・・・だがなワシは上杉の代表として一騎打ちでは負けておらぬ!!」
清長は六兵衛の反撃を躱しながら、隙を伺っていた。
しかし、全くといって隙がないのである。
噂には聞いていたが・・・このワシが・・・このワシが・・・
ただ攻めさせられているだけではないか・・・
このような男がいるのか・・・山田には何人もおるというのか・・・
そして打ち合うこと五十合。
「グアッ!!」
清長は馬から叩き落されると昏倒するのだった。
「勝政様よォ。この若造はなかなかのようじゃったな。」
そこに赤井直正が一人の武者を引きずりながらやってきた。
その気絶している武者は上杉家家臣新津勝資であった。
「赤鬼も手傷を負う程の苦戦のようですな。」
「まあ正直なところなかなかの剛の者じゃった。新津勝資、敵にしておくのはもったいないぐらいのな。」
「この登坂藤右衛門も殺すには惜しい。数年先ならば勝負もわからん。」
「勝政様にこうも言わせるとは大した若造じゃ・・・」
六兵衛も直正も勝ちはしたものの上杉の将の強さに感嘆せざるを得なかった。
二日目の晩、上杉軍本陣。
「むう・・・」
さすがの上杉輝虎も頭を抱えるしかなかった。
織田軍の丹羽長秀、山田軍の滝谷勝政の攻撃を受けて、登坂藤右衛門敗れるの報を受けてのことである。
藤右衛門どころか勝資までも行方知れずと・・・
これは悠長に構えている場合ではないな。
こうして二日目の戦いが終わったのである。
直江景綱の的確な指示の下、犠牲を出すこともない。
その光景に木下藤吉郎秀吉も舌を巻くしかなかった。
「上杉の練兵は徹底しておる。」
「まさしく・・・。明日にはこの砦の下まで迫ってくるかもしれませんぬな。」
秀吉と六兵衛が話しているところに1人の忍びがやってきた。
「勝政様・・・」
六兵衛の耳元で何かを囁く。
「そうか・・・ご苦労だった。引き続き頼む。」
「御意!!」
忍びが去って行くと六兵衛は秀吉に言った。
「昨晩、上杉に夜襲をかけた部隊があったらしいですな。」
「なんと・・・まだ時期ではない。こちらの段取りが狂うではないか。」
秀吉は配下の者たちを呼び寄せた。
「どの別働部隊が動いたか調べて参れ!!」
「ははッ!!」
しかし、どの別働部隊も動いてはいなかったのである。
そして彼らも疑心暗鬼に陥っていた。
「この戦況で夜襲をかけて成功できる者などおるか?」
前田利家は首をかしげる。
これでは小原殿以外にも別働隊がいるということが敵にバレるではないか・・・
「あの上杉の右翼付近に夜襲をかけられる部隊があったか?」
森可隆にも信じられるころではなかった。
「確かにあの辺りには我が方の誰もおるわけがございませぬ。」
家臣の言葉に大きくうなずく。
「この戦・・・タダでは終わらんな。」
秀吉の家臣である生駒親正も予期せぬことに疑念を感じていた。
自身が率いる三百の別働隊は一番上杉軍右翼に近い位置ではあったが、まだ誰一人兵が欠けていない。
動いていないのである。
「ふむ・・・確かに動かれていない・・・。どうなっておるのやら・・・」
監査にやってきた木下秀長は考え込む。
そのときだった。
「大変でございまする!!」
1人の兵が息を切らして駆け込んできた。
「どうした?」
親正はそう言うと立ち上がった。
「我が主、毛利良勝が別働隊が上杉の奇襲にあっておりまする。」
「なんだと!!」
「生駒親正様、兵をお退きくだされい。次は・・・グエッ!?」
その兵の背中に矢が突き刺さっていた。
「ウオオオッ!! 織田じゃ、織田の伏兵じゃ!!」
同時に突然周囲に響き渡る雄叫びと共に押し寄せてくる上杉軍。
「敵襲・・・上杉じゃァァァ!!」
「なんということじゃ・・・小一郎様を守りつつ撤退じゃァァ!!」
親正は秀長と共に砦へと撤退していくのであった。
桶狭間の砦には全ての別働隊が撤退していた。
「無念でございます・・・グハッ・・・」
深手を負った毛利良勝はすぐさま清州城へと送られていった。
「参ったな・・・」
秀吉は頭を抱え込む。
「持久戦・・・その前に上杉は一気呵成にこの砦を力ずくで奪いにくるじゃろう。」
武藤舜秀は地図を広げると別働隊の位置に×印を付ける。
「夜襲による神経消耗戦が不可能となれば正面から戦うしかあるまい。」
池田恒興の言葉に大いに高ぶる者たちがいた。
「おお・・・そうすべきじゃろうて。」
籾井教業の声が砦の大広間に響き渡る。
「1人で5人倒せば良いだけじゃろう。それならば楽勝ではないか。」
荒木氏綱も声を上げる。
「そのような理屈が・・・」
武藤舜秀が呆れ顔で言い返そうとするも
「それは確かに大袈裟じゃがそれに近いことをすれば良いだけぞ。」
赤井直正はそう言うとニヤリと笑った。
「上杉は確かに大軍。しかも統率もとれておる。そこが穴だとワシは見るのじゃ。」
赤井直正は剛勇であるが、智謀にも富んでいる。
そのことをわかっている六兵衛も口を開いた。
「ここは直正殿の策に乗ってくれませぬか・・・」
この砦の兵力の大半は山田軍である。
旧信長家臣団も首を横に振ることはできなかった。
その頃、上杉輝虎の本陣。
登坂藤右衛門清長が姿を現していた。
「ようやった、藤右衛門。」
「ははッ・・・ありがたきこと。」
織田の別働隊を奇襲で撤退させたのは清長であった。
本来は予備兵力として五千の兵を率いて待機していたが、夜襲の報を受けるとすぐさま兵を分散させて織田の別働隊の偵察及び撃破を果たしたのであった。
「藤右衛門がこのような手柄をあげるとワシらもそろそろ隠居せねばな。ワハハハ!!」
小島弥太郎が声高らかに笑い出す。
「鬼小島ともあろう者が何を言われるか・・・ワハハハ!!」
上杉家重臣竹俣慶綱もつられて笑い出した。
「そこで更に妙案がございます。桶狭間の砦の北方より迂回して夜襲をかけます。」
「さすがにそれは無謀ではないか?」
清長の言葉に顔をしかめる輝虎。
「いえ・・・これは神経戦でございます。こちらが夜襲の仕掛けを施し、敵兵の心を削り取るのです。しかも北は支城も遠くまさかここまで回り込むとは考えますまい。」
「そうか・・・」
「ご了承されたと捉えまする。では!!」
本陣を去っていく清長の後姿を見つめる輝虎。
「勝資はおるか?」
「はッ・・・ここに・・・」
呼ばれて姿を現したのは上杉家家臣新津勝資である。
「念の為じゃ・・・」
「ははッ!!」
輝虎の意図を汲み取った勝資も続けて本陣を離れるのだった。
2日目は上杉が罠の破壊に尽力する展開。
織田側の大砲の狙い撃ちも、射程外をうまく位置取りするという用兵巧者ぶりを見せつける結果となった。
秀吉は物見櫓から上杉軍をただ眺めていた。
感嘆してばかりはいられまい・・・
その眼光は鋭く輝いていた。
登坂藤右衛門清長は既に二千の兵を砦の北へと移動させていた。
「この二千の兵を後詰に先手で三方から砦に迫る。松明を水増しして脅威を感じさせるのだ。」
その清長の作戦も頓挫することとなる。
この戦のターニングポイントの一つとなる出来事が起こるのである。
「うおおおおッ!!」
突然、清長たちの背後から喚声が響き渡る。
「予想通りじゃ!! 藤吉郎めはやりおるわ!! ただ人使いは荒い」
丹羽長秀率いる二千の兵の急襲である。
「馬鹿な・・・沓掛の城は何をしておる・・・何故にこの方角から織田が来るのだ!?」
桶狭間の北に位置する沓掛城は既に上杉軍によって陥落したはずであった。
しかし、その沓掛城は丹羽長秀の攻撃により再び織田の手に戻り、そのまま休むことなく攻めてきたのである。
「撃て!!」
丹羽長秀率いる二千の兵のうち五百は鉄砲隊である。
しかも山田家の支援により最新式の連発銃が導入されていた。
「なんという・・・なんということだ・・・」
清長は圧倒的な兵器の差に茫然となる。
壊滅的状態の登坂藤右衛門清長の本隊。
「もはやこれまでか・・・」
絶望した清長が槍を手に鉄砲隊へと突撃をかけようとしたときだった。
「登坂藤右衛門清長殿とお見受けする。」
1人の騎馬武者が姿を見せる。
「な・・・なにやつ・・・」
「滝谷六兵衛勝政と申す。」
六兵衛である。そしてその手には清長には見慣れた兜が・・・
「貴様ァァァ!! 新津勝資様をォォォ!!」
憤怒の形相を見せた清長は六兵衛に襲い掛かる。
その荒々しくも鋭い攻撃、手数が尋常ではない。
この者・・・何という手練れ・・・
六兵衛は大刀で清長の攻撃を打ち払いながらもその腕前に感嘆していた。
「滝谷六兵衛・・・おぬしは永禄最強大武道会に山田の代表として選ばれておらんだろう・・・だがなワシは上杉の代表として一騎打ちでは負けておらぬ!!」
清長は六兵衛の反撃を躱しながら、隙を伺っていた。
しかし、全くといって隙がないのである。
噂には聞いていたが・・・このワシが・・・このワシが・・・
ただ攻めさせられているだけではないか・・・
このような男がいるのか・・・山田には何人もおるというのか・・・
そして打ち合うこと五十合。
「グアッ!!」
清長は馬から叩き落されると昏倒するのだった。
「勝政様よォ。この若造はなかなかのようじゃったな。」
そこに赤井直正が一人の武者を引きずりながらやってきた。
その気絶している武者は上杉家家臣新津勝資であった。
「赤鬼も手傷を負う程の苦戦のようですな。」
「まあ正直なところなかなかの剛の者じゃった。新津勝資、敵にしておくのはもったいないぐらいのな。」
「この登坂藤右衛門も殺すには惜しい。数年先ならば勝負もわからん。」
「勝政様にこうも言わせるとは大した若造じゃ・・・」
六兵衛も直正も勝ちはしたものの上杉の将の強さに感嘆せざるを得なかった。
二日目の晩、上杉軍本陣。
「むう・・・」
さすがの上杉輝虎も頭を抱えるしかなかった。
織田軍の丹羽長秀、山田軍の滝谷勝政の攻撃を受けて、登坂藤右衛門敗れるの報を受けてのことである。
藤右衛門どころか勝資までも行方知れずと・・・
これは悠長に構えている場合ではないな。
こうして二日目の戦いが終わったのである。
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