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第214話:戦国時代に食の革命 パート1
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「わんわんわん♪」
雪で白く染まった多聞山城本丸庭園を駆け回るサスケ。
「サスケも楽しそうね、朋大。」
「バーブゥー♪」
その光景を笑顔で眺めている朋美と朋大。
1571年も2月に入っていた。
急ピッチで整備が進む古の都。
そこの片隅で寒空の下に行列が出来ていた。
『切り蕎麦 大ちゃん』のオープンである。
私は開店初日ということで厨房で腕を振るっている。
※現代で食べられている麺としての蕎麦を切り蕎麦と言えばわかっていただけると思います。
蕎麦自体の歴史は古いもので奈良時代以前からと伝えられており、蕎麦がきや粥などにして食されていました。
味噌を作る過程で出来た”たまり醤油”。薩摩の島津家から贈られてきた焼酎と大和の名水から醸造された白酒をベースにした”味醂”。そして楠木正虎に依頼して調達している紀伊の鰹節。
それを絶妙な配合で合わせて出来上がっためんつゆが至高の逸品。
私プロデュースによる先取り料理店第2弾、これは自信があった。
「身体が温まる・・・なんというコシのある・・・蕎麦をこうするとここまで美味しいのか・・・」
「何杯でも食べれそうじゃ!!」
お客さんたちの笑顔が嬉しい。
「大輔殿。満たされた気分になるものですな・・・」
厨房の私の横で目に涙を浮かべている男が店主、かつて私と宇陀の覇権をかけて争った秋山直国である。
宇陀の山奥で隠遁生活を送っていたところをスカウトしてきた。
宇陀の国人、大和の国人の中でも大物だった男、このままではもったいないと思ったからだ。
実は1年以上前から修業させていた。
「これも戦いなんですよ、直国さん。自分の人生をまっとうに生きることこそ一番の戦い。戦場で殺し合うことだけが戦いではないのです。刀がない元侍でも農民でも異国の者でも胸を張って生きていける。それぞれが人生という戦いに勝利できる世の中を私は目指しております。」
そんな私の言葉に笑顔を見せる秋山直国。
「大輔殿・・・。」
「食というものは人の命に密接に関わります。食なくば人は死んでしまいます。人の命に関わるとても大事な仕事であるということを忘れないでください。」
そう・・・私のいた現代でも少し前までは飲食店の衛生管理などモラルの破綻が酷いものだった。
戦国時代に飛ばされる数年前ぐらいから良くなってきたかな・・・などと思い出したりする。
だからこそ・・・だからこそこの歴史の改変の中で新しく築き上げねばならない。
『始まりから変えてしまえばいい』
味だけではない・・・安心というものをこの時代から築き上げるのだ。
「直国さんも宇陀の民を守る為に戦われていたはず。今度は食で民の喜びと民の健康を守る為に戦うのですよ。」
そしてこの切り蕎麦大ちゃんも茶処いまいのように、畿内を中心に全国規模でチェーン展開していくこととなる。
この書き換えられた歴史の中で、私は蕎麦(麺料理)の創始者、食の革命家としても名を残してしまうのだ。
城に戻ると私は計画書を見直す。
キャバクラよりも先にせねばならないことがある。
もう少し飲食店を増やすべきか・・・やはり中華が欲しいよな。
そんな私の側では相変わらず重治たちは日々評定を繰り返していた。
「毛利との戦は避けたい。小早川殿も吉川殿も敵であるべき方々ではない・・・」
「しかし慶次郎殿があそこまで推してくる宇喜多直家殿も・・・」
重治と秀満は互いに思いをぶつけ合う。
「仲直りさせるのが・・・まあ・・・最初から仲が悪いがな。共通の仮想敵国でもあれば話は別だが・・・あの明の色装束の連中・・・最適なのだがな。宇喜多直家は手を組んでいた訳だから難しい。」
清興がボソッと呟いた時だった。
「それだ・・・それだ!!」
私は閃いたことで、思わず大声を上げてしまう。
しかし重治たちはスルーしまくり。死んだ目で私を一斉に見つめると再び評定に入っていた。
自室に戻った私は黒漆剣を手にする。
「出でよ・・・私の友達”天狗”!!」
剣を頭上にかざすと空間が割れて天狗が姿を現した。
「大輔殿、どうされたん?」
アレ・・・ノリが軽いぞ・・・・!?
よく見ると天狗の下っ腹が膨らんでいる。中年太りのようになっているぞ。
「いやあねえ・・・最近は特に目立ったこともないワケよ。多分、大嶽丸が完全に消滅したから負の力がほとんど感じられないってね。だから食うか寝るかばかりでねえ・・・人間に戻りてえよ、マジで。」
「そんなんどうでもいいからさ・・・。鞍馬にいる黒炎さんを呼んできてくれない?」
「明日でいいか?」
ニート気味にやさくれた天狗は、私の頼みに対し鼻くそをほじりながら返してきた。
「今日やれや!!」
「ああ~ん?」
ムカついた私はガラにもなく語気を強めたが、天狗は意に介さない様子だ。
マジでムカついたぞ・・・
「出でよ・・・私の友達”玉藻前”!!」
マジか・・・玉藻前様だとォ・・・
私の声に天狗の顔色が一変した。
黒漆剣が斬り裂いた空間から飛び出してきた美女は、私に抱きついてくる。
「大輔様、御無沙汰ね。それに友達止まりって何?もっと深くわかり合いたいよぉ・・・」
「わかった。キミを呼んだのは他でもない、この天狗野郎が私の言う事を聞かないのだよ。言う事聞かせてくれたら今度一緒に生駒山の夜景を観に行こう。」
「やった!! マジ嬉しい♪」
私の言葉を受けた玉藻前は、笑顔で天狗のもとに歩み寄るとその胸倉を掴んだ。
「ひいッ・・・ガタガタ・・・プルプル・・・」
「大輔様の言う事を聞かねえとな、その鼻をもぎ取ってテメエの●●の穴にぶっ刺す・・・」
「言ってきま~す!!」
そう言うと天狗は物凄い速さで飛び去っていった。
それを見送ると玉藻前は私を押し倒してきた。
「大輔様・・・いや・・・大ちゃん・・・寂しかったよぉ・・・」
私はどうしていいかわかりません。個人的にはもう好きにしてくださっても結構ですけど。
な・・・何が・・・妖怪・・・何なんだよぉ・・・
その光景を戸の陰で見ていた小姓の蒲生鶴千代が震えながら立ち尽くしていた。
それに気づいた私は慌てて身体を起こす。
「あ、鶴千代。紹介するぞ、玉藻前ちゃん。妖怪の中でも一番の別嬪さん。」
「やだぁ・・・照れるじゃん。よろしくね、イケメン坊ちゃん。」
そんなこんなで待つこと数刻。
「何の用だ? 山田大輔。」
相変わらずの黒い装束を身に纏った黒炎がやって来た。
その背後で疲労困憊の天狗がへたり込んでいた。
「あのさ、大陸のことなんだけどね・・・」
「俺は明で育ってはいたが、あくまで日ノ本の生まれだぞ。」
「わかってますってば。だから明国の料理をいわゆる中華料理を日ノ本で広めたいのよね。」
「ほう・・・」
私と黒炎のやり取りを怯えた目で見つめる鶴千代と敵意の眼差しを黒炎に向ける玉藻前。
「だからさあ・・・」
「山田大輔ェ!! 貴様は俺様に明に戻ってその食材やら調理道具やらを揃えて来いと・・・」
「そ・・・そういうわけなんだけどね・・・」
「貴様ァァァ!!」
大声を張り上げた黒炎。
その声は大広間まで届いていた。
「・・・殿ォ!?」
「何があった!!」
清興や重治たちは慌てて私の部屋に向かってくる。
「・・・貴様の願いなら・・・仕方があるまい。何とかしてやろう。感謝しろ!!」
先程の剣幕と裏腹の黒炎の態度。
「おい天狗。次は俺を筑前の博多の港まで連れていけ!!」
「ち・・・筑前ンンン!? 遠過ぎィ!? ご無体な・・・」
天狗は黒炎の言葉に泣きそうな顔を見せるも、
「い・・・行きますよ・・・行きます、黒炎殿ォ!!」
玉藻前の負のオーラを感じ取った天狗は、黒炎を背中に乗せると、物凄い速さで飛び去っていった。
「ねえ、大ちゃん。あの黒い男嫌い。男のツンデレってキモイ。」
「・・・」
玉藻前の言葉に返す言葉がありません。
「殿ォ!! 無事か!!」
そこに部屋の戸を蹴り飛ばして入ってくる清興たち。
「あら、大ちゃんの手下たち。お久しぶりね。」
それを見た玉藻前は笑顔で手を振るが、
「た・・・玉藻前・・・」「ひい・・・!?」
清興と重治は恐怖のあまり腰が抜けてしまった。秀満は失神している。
父上・・・私はここで不条理な日々を繰り返して元服するのでしょうか・・・
蒲生鶴千代は涙を流しながら天を仰ぐ。
父である蒲生賢秀、母のおきりの姿を思い浮かべながら。
「ああ~・・・玉藻前ちゃんってば・・・やめてェェェ!?」
その背後で私が玉藻前に襲われている声が本丸内に響き渡るのだった。
雪で白く染まった多聞山城本丸庭園を駆け回るサスケ。
「サスケも楽しそうね、朋大。」
「バーブゥー♪」
その光景を笑顔で眺めている朋美と朋大。
1571年も2月に入っていた。
急ピッチで整備が進む古の都。
そこの片隅で寒空の下に行列が出来ていた。
『切り蕎麦 大ちゃん』のオープンである。
私は開店初日ということで厨房で腕を振るっている。
※現代で食べられている麺としての蕎麦を切り蕎麦と言えばわかっていただけると思います。
蕎麦自体の歴史は古いもので奈良時代以前からと伝えられており、蕎麦がきや粥などにして食されていました。
味噌を作る過程で出来た”たまり醤油”。薩摩の島津家から贈られてきた焼酎と大和の名水から醸造された白酒をベースにした”味醂”。そして楠木正虎に依頼して調達している紀伊の鰹節。
それを絶妙な配合で合わせて出来上がっためんつゆが至高の逸品。
私プロデュースによる先取り料理店第2弾、これは自信があった。
「身体が温まる・・・なんというコシのある・・・蕎麦をこうするとここまで美味しいのか・・・」
「何杯でも食べれそうじゃ!!」
お客さんたちの笑顔が嬉しい。
「大輔殿。満たされた気分になるものですな・・・」
厨房の私の横で目に涙を浮かべている男が店主、かつて私と宇陀の覇権をかけて争った秋山直国である。
宇陀の山奥で隠遁生活を送っていたところをスカウトしてきた。
宇陀の国人、大和の国人の中でも大物だった男、このままではもったいないと思ったからだ。
実は1年以上前から修業させていた。
「これも戦いなんですよ、直国さん。自分の人生をまっとうに生きることこそ一番の戦い。戦場で殺し合うことだけが戦いではないのです。刀がない元侍でも農民でも異国の者でも胸を張って生きていける。それぞれが人生という戦いに勝利できる世の中を私は目指しております。」
そんな私の言葉に笑顔を見せる秋山直国。
「大輔殿・・・。」
「食というものは人の命に密接に関わります。食なくば人は死んでしまいます。人の命に関わるとても大事な仕事であるということを忘れないでください。」
そう・・・私のいた現代でも少し前までは飲食店の衛生管理などモラルの破綻が酷いものだった。
戦国時代に飛ばされる数年前ぐらいから良くなってきたかな・・・などと思い出したりする。
だからこそ・・・だからこそこの歴史の改変の中で新しく築き上げねばならない。
『始まりから変えてしまえばいい』
味だけではない・・・安心というものをこの時代から築き上げるのだ。
「直国さんも宇陀の民を守る為に戦われていたはず。今度は食で民の喜びと民の健康を守る為に戦うのですよ。」
そしてこの切り蕎麦大ちゃんも茶処いまいのように、畿内を中心に全国規模でチェーン展開していくこととなる。
この書き換えられた歴史の中で、私は蕎麦(麺料理)の創始者、食の革命家としても名を残してしまうのだ。
城に戻ると私は計画書を見直す。
キャバクラよりも先にせねばならないことがある。
もう少し飲食店を増やすべきか・・・やはり中華が欲しいよな。
そんな私の側では相変わらず重治たちは日々評定を繰り返していた。
「毛利との戦は避けたい。小早川殿も吉川殿も敵であるべき方々ではない・・・」
「しかし慶次郎殿があそこまで推してくる宇喜多直家殿も・・・」
重治と秀満は互いに思いをぶつけ合う。
「仲直りさせるのが・・・まあ・・・最初から仲が悪いがな。共通の仮想敵国でもあれば話は別だが・・・あの明の色装束の連中・・・最適なのだがな。宇喜多直家は手を組んでいた訳だから難しい。」
清興がボソッと呟いた時だった。
「それだ・・・それだ!!」
私は閃いたことで、思わず大声を上げてしまう。
しかし重治たちはスルーしまくり。死んだ目で私を一斉に見つめると再び評定に入っていた。
自室に戻った私は黒漆剣を手にする。
「出でよ・・・私の友達”天狗”!!」
剣を頭上にかざすと空間が割れて天狗が姿を現した。
「大輔殿、どうされたん?」
アレ・・・ノリが軽いぞ・・・・!?
よく見ると天狗の下っ腹が膨らんでいる。中年太りのようになっているぞ。
「いやあねえ・・・最近は特に目立ったこともないワケよ。多分、大嶽丸が完全に消滅したから負の力がほとんど感じられないってね。だから食うか寝るかばかりでねえ・・・人間に戻りてえよ、マジで。」
「そんなんどうでもいいからさ・・・。鞍馬にいる黒炎さんを呼んできてくれない?」
「明日でいいか?」
ニート気味にやさくれた天狗は、私の頼みに対し鼻くそをほじりながら返してきた。
「今日やれや!!」
「ああ~ん?」
ムカついた私はガラにもなく語気を強めたが、天狗は意に介さない様子だ。
マジでムカついたぞ・・・
「出でよ・・・私の友達”玉藻前”!!」
マジか・・・玉藻前様だとォ・・・
私の声に天狗の顔色が一変した。
黒漆剣が斬り裂いた空間から飛び出してきた美女は、私に抱きついてくる。
「大輔様、御無沙汰ね。それに友達止まりって何?もっと深くわかり合いたいよぉ・・・」
「わかった。キミを呼んだのは他でもない、この天狗野郎が私の言う事を聞かないのだよ。言う事聞かせてくれたら今度一緒に生駒山の夜景を観に行こう。」
「やった!! マジ嬉しい♪」
私の言葉を受けた玉藻前は、笑顔で天狗のもとに歩み寄るとその胸倉を掴んだ。
「ひいッ・・・ガタガタ・・・プルプル・・・」
「大輔様の言う事を聞かねえとな、その鼻をもぎ取ってテメエの●●の穴にぶっ刺す・・・」
「言ってきま~す!!」
そう言うと天狗は物凄い速さで飛び去っていった。
それを見送ると玉藻前は私を押し倒してきた。
「大輔様・・・いや・・・大ちゃん・・・寂しかったよぉ・・・」
私はどうしていいかわかりません。個人的にはもう好きにしてくださっても結構ですけど。
な・・・何が・・・妖怪・・・何なんだよぉ・・・
その光景を戸の陰で見ていた小姓の蒲生鶴千代が震えながら立ち尽くしていた。
それに気づいた私は慌てて身体を起こす。
「あ、鶴千代。紹介するぞ、玉藻前ちゃん。妖怪の中でも一番の別嬪さん。」
「やだぁ・・・照れるじゃん。よろしくね、イケメン坊ちゃん。」
そんなこんなで待つこと数刻。
「何の用だ? 山田大輔。」
相変わらずの黒い装束を身に纏った黒炎がやって来た。
その背後で疲労困憊の天狗がへたり込んでいた。
「あのさ、大陸のことなんだけどね・・・」
「俺は明で育ってはいたが、あくまで日ノ本の生まれだぞ。」
「わかってますってば。だから明国の料理をいわゆる中華料理を日ノ本で広めたいのよね。」
「ほう・・・」
私と黒炎のやり取りを怯えた目で見つめる鶴千代と敵意の眼差しを黒炎に向ける玉藻前。
「だからさあ・・・」
「山田大輔ェ!! 貴様は俺様に明に戻ってその食材やら調理道具やらを揃えて来いと・・・」
「そ・・・そういうわけなんだけどね・・・」
「貴様ァァァ!!」
大声を張り上げた黒炎。
その声は大広間まで届いていた。
「・・・殿ォ!?」
「何があった!!」
清興や重治たちは慌てて私の部屋に向かってくる。
「・・・貴様の願いなら・・・仕方があるまい。何とかしてやろう。感謝しろ!!」
先程の剣幕と裏腹の黒炎の態度。
「おい天狗。次は俺を筑前の博多の港まで連れていけ!!」
「ち・・・筑前ンンン!? 遠過ぎィ!? ご無体な・・・」
天狗は黒炎の言葉に泣きそうな顔を見せるも、
「い・・・行きますよ・・・行きます、黒炎殿ォ!!」
玉藻前の負のオーラを感じ取った天狗は、黒炎を背中に乗せると、物凄い速さで飛び去っていった。
「ねえ、大ちゃん。あの黒い男嫌い。男のツンデレってキモイ。」
「・・・」
玉藻前の言葉に返す言葉がありません。
「殿ォ!! 無事か!!」
そこに部屋の戸を蹴り飛ばして入ってくる清興たち。
「あら、大ちゃんの手下たち。お久しぶりね。」
それを見た玉藻前は笑顔で手を振るが、
「た・・・玉藻前・・・」「ひい・・・!?」
清興と重治は恐怖のあまり腰が抜けてしまった。秀満は失神している。
父上・・・私はここで不条理な日々を繰り返して元服するのでしょうか・・・
蒲生鶴千代は涙を流しながら天を仰ぐ。
父である蒲生賢秀、母のおきりの姿を思い浮かべながら。
「ああ~・・・玉藻前ちゃんってば・・・やめてェェェ!?」
その背後で私が玉藻前に襲われている声が本丸内に響き渡るのだった。
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