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第15話:もう誰も愛さないのOPのY田A作を突然思い出しました
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アマビキテンプルの中・・・俺たちはボロボロになっていた。
あの強いケルベロス、オルトロス兄弟も傷だらけだ。
カジヤマさんに至っては何やら成仏したらしく消えてしまった。
「これか・・・アカギの剣か。」
俺はアカギの剣を突き刺さっていた岩から引き抜いた。
事の顛末はこうだ。
アマビキテンプルに辿り着いた俺を待っていたのはニイザ達のパーティーだった。
「会いたかった・・・会いたかった・・・ユウキ・・・。」
LV102の女戦士ニイザ・コシガヤ。
骨になった俺でも粘着してくる真性ストーカーというか変態だ。
「噂は聞いている。私はクキ・オケガワ。」
この僧侶はLV98。
「・・・やっとだわ。」
LV115の女魔法使いミナノ・ヨコゼ。
「そして俺が勇者ナグリ・アラカワだ。お前たちを倒せば一気に伝説の装備を手に入れて勇者候補ランキング1位に立つことができるのだ。」
いかにも強そうなLV100の勇者候補はそう言うといきなり呪文を唱え始めた。
「くらえ・・・メテオ・ボム!!」
空から隕石が降り注いでくる。
「キャン!?」
ケルベロスとオルトロスがダメージを受けて怯えている。
こんな姿は始めて見る・・・魔神も一飲みにする地獄の番犬兄弟が・・・
俺もかわすので精一杯だ。
しかし、その勇者候補ナグリは突然苦しみだす。
「ふぉ~。」
カジヤマさんが憑りついて生気を奪っているのだ。
「ぐはッ!!」
そのままナグリは血を吐くと絶命した。
「スゲーぜ、カジヤマさん♪」
「ふぉ~(三鷹・・・いや見たか!!)」
勝ち誇るカジヤマさんであったが・・・
「ふぉ・・・ふぉ・・・ふおんん・・・。」
突然、苦しみだすとそのまま消えていなくなった。
「ウタカーソ・・・。」
僧侶のクキが何やら呪文を唱えていたのだ。
そして俺の方を向いてその呪文を唱えるも今度はグンジの鎧が光を放つ。
「魔法反射・・・? クキ・・・逃げて!!」
「ぶへッ!?」
魔法使いミナノの声もむなしくクキはそのまま消えてしまった。
「ユウキ・・・久しぶりね。」
ミナノは突然、俺の名前を口走った。
「ミナノ、てめえ・・・抜け駆けすんなって・・・うおおッ!!」
ニイザは慌てて俺とミナノの間に入ろうとするもケルベロス、オルトロスに阻まれる。
「覚えていなんだね・・・そりゃね・・・あのユウキがただの骨だもんね。」
いじらしい仕草を見せるミナノ。
「ま・・・まさか・・・ミナノって・・・あのミナノちゃん?」
「そうよ・・・会いたかったの。まさか本当に骨だけになっているとは思っていなかったわ。」
そう・・・あれは1年前だったかな。
軽い気持ちで家庭教師募集のバイトに経歴詐称で応募したときのことだ。
俺が家庭教師をしたのが、このミナノ・ヨコゼという女の子だった。
勉強を教えることはできなかったが、その代わりに夜の家庭教師を頑張ったものだ。
「ユウキ・・・あなたを元の姿に戻す方法があるのよ。」
唐突なミナノの言葉に俺は驚く。
「簡単よ。大魔王センバ・ミトーを倒すのよ。そうすれば神様から新しい命を授かり転生することができるわ。」
そう言うとミナノは両手を天にかざす。
その視線の先にはニイザの前に苦戦している地獄の番犬兄弟が・・・
「やめてくれ・・・あれは俺にとっては大切な愛犬・・・」
「究極魔法・・・アキタダ・バーバラ!!」
ミナノの声と共に凄まじい衝撃波がニイザと地獄の番犬兄弟を包み込んだ。
物凄い爆発音・・・爆風が辺り一帯を吹き飛ばす。
煙が消えた後には白目を剥いて絶命しているニイザと固まって怯えている地獄の番犬兄弟がいた。
「伝説の装備を揃えて大魔王を倒したら、ヒ沼に行くのよ・・・神が現れるわ。」
ミナノちゃん。なんで?霞ヶ浦や北浦じゃなくて涸沼?
「私も一緒に行くから・・・ぐはッ!?」
そう言いかけたミナノは吐血するとそのまま倒れ伏した。
背中には剣が刺さっていた。
「タダじゃ・・・死なないよ・・・。」
最後の力を振り絞ったニイザの一撃だった。
「ユウキ・・・絶対に・・・転生するの・・・よ・・・。」
ミナノはそう言い残すと事切れた。
「ウオォォォォォォォ!!」
俺はただ叫んだ。
「もう・・・誰も愛さない・・・。」
こうして俺はアカギの剣を手にした。
身体中から力がみなぎってくるようだ。
「グルルル・・・(おお・・・まさしく新たなる王の誕生に相応しい・・・)」
「ギャルルル・・・(我らがここまでお供をしてきた甲斐があったということだな。)」
ケルベロスとオルトロスは俺の前に座る。
「ユウキ様、遂に地獄の大帝として御力に目覚められたのですね。」
「我ら兄弟、心より祝福申し上げます。」
え・・・ケルベロスちゃん、オルトロスちゃんが普通にしゃべっているし・・・
「では・・・我らも・・・」
「真の姿を見せましょうぞ。」
地獄の番犬二匹は光に包まれるとどんどん巨大化していく。
そのまばゆい光に俺は思わず目が眩んでしまった。
光が消え去った後には・・・
「わんわんわん♪」「キャンキャン♪」
二匹のフレンチブルドッグがいた。
「じゃあ・・・散歩でもしよっか♪」
こうして俺は二匹のフレンチブルドッグを連れて散歩に出かけた。
大魔王退治という名の散歩に・・・
あの強いケルベロス、オルトロス兄弟も傷だらけだ。
カジヤマさんに至っては何やら成仏したらしく消えてしまった。
「これか・・・アカギの剣か。」
俺はアカギの剣を突き刺さっていた岩から引き抜いた。
事の顛末はこうだ。
アマビキテンプルに辿り着いた俺を待っていたのはニイザ達のパーティーだった。
「会いたかった・・・会いたかった・・・ユウキ・・・。」
LV102の女戦士ニイザ・コシガヤ。
骨になった俺でも粘着してくる真性ストーカーというか変態だ。
「噂は聞いている。私はクキ・オケガワ。」
この僧侶はLV98。
「・・・やっとだわ。」
LV115の女魔法使いミナノ・ヨコゼ。
「そして俺が勇者ナグリ・アラカワだ。お前たちを倒せば一気に伝説の装備を手に入れて勇者候補ランキング1位に立つことができるのだ。」
いかにも強そうなLV100の勇者候補はそう言うといきなり呪文を唱え始めた。
「くらえ・・・メテオ・ボム!!」
空から隕石が降り注いでくる。
「キャン!?」
ケルベロスとオルトロスがダメージを受けて怯えている。
こんな姿は始めて見る・・・魔神も一飲みにする地獄の番犬兄弟が・・・
俺もかわすので精一杯だ。
しかし、その勇者候補ナグリは突然苦しみだす。
「ふぉ~。」
カジヤマさんが憑りついて生気を奪っているのだ。
「ぐはッ!!」
そのままナグリは血を吐くと絶命した。
「スゲーぜ、カジヤマさん♪」
「ふぉ~(三鷹・・・いや見たか!!)」
勝ち誇るカジヤマさんであったが・・・
「ふぉ・・・ふぉ・・・ふおんん・・・。」
突然、苦しみだすとそのまま消えていなくなった。
「ウタカーソ・・・。」
僧侶のクキが何やら呪文を唱えていたのだ。
そして俺の方を向いてその呪文を唱えるも今度はグンジの鎧が光を放つ。
「魔法反射・・・? クキ・・・逃げて!!」
「ぶへッ!?」
魔法使いミナノの声もむなしくクキはそのまま消えてしまった。
「ユウキ・・・久しぶりね。」
ミナノは突然、俺の名前を口走った。
「ミナノ、てめえ・・・抜け駆けすんなって・・・うおおッ!!」
ニイザは慌てて俺とミナノの間に入ろうとするもケルベロス、オルトロスに阻まれる。
「覚えていなんだね・・・そりゃね・・・あのユウキがただの骨だもんね。」
いじらしい仕草を見せるミナノ。
「ま・・・まさか・・・ミナノって・・・あのミナノちゃん?」
「そうよ・・・会いたかったの。まさか本当に骨だけになっているとは思っていなかったわ。」
そう・・・あれは1年前だったかな。
軽い気持ちで家庭教師募集のバイトに経歴詐称で応募したときのことだ。
俺が家庭教師をしたのが、このミナノ・ヨコゼという女の子だった。
勉強を教えることはできなかったが、その代わりに夜の家庭教師を頑張ったものだ。
「ユウキ・・・あなたを元の姿に戻す方法があるのよ。」
唐突なミナノの言葉に俺は驚く。
「簡単よ。大魔王センバ・ミトーを倒すのよ。そうすれば神様から新しい命を授かり転生することができるわ。」
そう言うとミナノは両手を天にかざす。
その視線の先にはニイザの前に苦戦している地獄の番犬兄弟が・・・
「やめてくれ・・・あれは俺にとっては大切な愛犬・・・」
「究極魔法・・・アキタダ・バーバラ!!」
ミナノの声と共に凄まじい衝撃波がニイザと地獄の番犬兄弟を包み込んだ。
物凄い爆発音・・・爆風が辺り一帯を吹き飛ばす。
煙が消えた後には白目を剥いて絶命しているニイザと固まって怯えている地獄の番犬兄弟がいた。
「伝説の装備を揃えて大魔王を倒したら、ヒ沼に行くのよ・・・神が現れるわ。」
ミナノちゃん。なんで?霞ヶ浦や北浦じゃなくて涸沼?
「私も一緒に行くから・・・ぐはッ!?」
そう言いかけたミナノは吐血するとそのまま倒れ伏した。
背中には剣が刺さっていた。
「タダじゃ・・・死なないよ・・・。」
最後の力を振り絞ったニイザの一撃だった。
「ユウキ・・・絶対に・・・転生するの・・・よ・・・。」
ミナノはそう言い残すと事切れた。
「ウオォォォォォォォ!!」
俺はただ叫んだ。
「もう・・・誰も愛さない・・・。」
こうして俺はアカギの剣を手にした。
身体中から力がみなぎってくるようだ。
「グルルル・・・(おお・・・まさしく新たなる王の誕生に相応しい・・・)」
「ギャルルル・・・(我らがここまでお供をしてきた甲斐があったということだな。)」
ケルベロスとオルトロスは俺の前に座る。
「ユウキ様、遂に地獄の大帝として御力に目覚められたのですね。」
「我ら兄弟、心より祝福申し上げます。」
え・・・ケルベロスちゃん、オルトロスちゃんが普通にしゃべっているし・・・
「では・・・我らも・・・」
「真の姿を見せましょうぞ。」
地獄の番犬二匹は光に包まれるとどんどん巨大化していく。
そのまばゆい光に俺は思わず目が眩んでしまった。
光が消え去った後には・・・
「わんわんわん♪」「キャンキャン♪」
二匹のフレンチブルドッグがいた。
「じゃあ・・・散歩でもしよっか♪」
こうして俺は二匹のフレンチブルドッグを連れて散歩に出かけた。
大魔王退治という名の散歩に・・・
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