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第2話:いきなり4人がかりはやめてください。
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元村人のモンスターたちはそれぞれ思い思いに移動を始めた。
「エイミー!!」
私はゾンビになったエイミーに駆け寄った。
彼女はいぶかしげな顔でこちらを見ている。
「誰ですか?」
「俺だよ、俺!! ユウキだって。」
そんな俺に対しエイミーはブンブンと首を振り始める。
「違う、ユウキ・コガくんじゃない・・・そんな顔していない。」
そりゃね・・・スケルトンですから・・・骨格のみですから!!
「顔がないユウキくんはユウキくんじゃないデスカラ。」
なんで最後の方だけ棒読み? それよりも俺と付き合ってたの顔目当て?
エイミーは更に私の下半身を見て毒を吐き続ける。
「もうないんだね、まあ全然気持ち良くなかったんだけどね♪」
え・・・演技ですか? 今までの演技ですか? あんなことやそんなことも?
「もういいわ・・・あたしはこの人と付き合うわ♪」
エイミーが言うと姿を現した男のゾンビ。
「ユウキ・・・ざまあ!!!」
ゾンビは舌をペロペロ出して挑発してきた。
こいつはホコタ・・・こいつはホコタ・オガワ19歳、ずっと俺と同級生だった。
2人でよく遊んだもんだ・・・親友とも呼べる存在だと思っていたのに・・・
「・・・ゾンビはゾンビ同士で仲よくすればいいじゃねえか!!」
俺は捨て台詞を吐いて走り去った。
死にたいと思ったが、もう既に俺は死んでいる。
だから逃げ出すしかなかった。
そんな俺の後ろ姿を見てエイミーとホコタが笑っているような気がした。
しかし真実は違っていたことを後で知ることになるのだが・・・。
村を出て、もうどれぐらい走ったのだろうか・・・気がつけば森の奥深くだった。
こういうところで旅の勇者が歩いてきたらどうしよう。
チャンスだが・・・勝てるのか?
ケンカもろくにしたことないし、武器も持っていない。
「おいおい、スケルトンさんよ?」
誰かが声をかけてきた。
茂みから小男のモンスターが現れた・・・ゴブリンだ。
ブサイクだと思ったが、骨だけの俺よりはマシだよな・・・。
「勇者候補がこの辺りを通るらしいぞ、やっちまおうぜ。」
ゴブリンも勇者候補の命を狙っているらしい。
「今は無理、武器ねえし。」
俺は断った。
「いくらスケルトンとはいえ、オマエはLV1だしな。」
ゴブリンは言うと去っていった。
そうか、俺はスケルトンLV1なのか。
・・・それならばさっきのゴブリンは・・・あれ、わかるぞ。
ゴブリンの頭上に浮かんで見えるLV6の文字。
なるほど、ゴブリンLV6か。
俺はゴブリンの後をつけていった。
するとゴブリンは1人の若者に遭遇した。
気品溢れる顔と佇まい・・・まぎれもなく勇者候補だ。
俺は大木の陰に隠れた。
「私の名は勇者タマリの末裔である勇者タケオだ!!」
その勇者タケオは剣を抜いた。
しかし・・・なんともショボそうな剣である。
勇者タケオの頭の上に数字が浮かんで見えてきた。
LV2・・・勇者候補様はLV2ですか!?
ゴブリンの先制攻撃で勇者タケオは吹っ飛ばされた。
「コ、コイツ・・・このゴブリンLV6かよ。」
勇者タケオは立ち上がる。
「弱~♪ 弱すぎだぞ、勇者サマよ!!」
ゴブリンが小踊りしている。
ここで加勢しようかな♪
俺が大木の陰から姿を現そうとしたときだった。
「タケオ、待たせたな!!」
戦士と僧侶と魔法使いがやってきた。
3人共にLV3だ。
「!?」
俺は慌てて身を隠す。
「ギャアアアアアアッ!!」
ゴブリンの悲鳴が森の中に響き渡る。
俺が大木の陰からチラ見すると、ゴブリンは勇者と戦士に斬られまくりの上に
魔法使いの火の魔法で時折燃やされているではないか。
ゴブリンの反撃も僧侶が回復呪文で回復させるため成す術なし・・・。
「ガハァッ・・・」
4人がかりでフルボッコの末にゴブリンは倒れた、倒れると金貨に変わった。
更に勇者がLV3に戦士はLV4にそれぞれレベルアップしてしまった。
戦慄が走った・・・。
俺もやられたら金貨になってしまうのか!?
勇者候補御一行は金貨を拾うとこちらの方を見ている。
「出てこいモンスター・・・隠れてもムダだ!!」
LV4になった戦士が大声で叫ぶ。
気付かれた・・・
もうダメだ・・・やるしかないのか!!
俺は大木の陰から姿を現した。
短い人生だったな・・・。
あ、そうだった・・・俺って死んでいるんだよな。
だったらもういいか。
「ウオォォォン」
俺はモンスターっぽい叫び声をあげて勇者候補御一行を威嚇した。
「ス・・・スケルトン!?」
「おかしいぞ、攻略サイトには載っていなかったぜ。」
「聞いてねえし。」
あれ? なんか明らかに勇者候補御一行は動揺しているんですが?
よし、今がチャンスだ!!
スケルトンは逃げ出した!
俺は全力で逃げた・・・逃げて逃げて逃げて・・・逃げ続けた。
気が付けば湖の畔に来ていた。
水面に映る自分の顔を見ていると涙が止まらない。
実際には涙は出ていないのだが、俺はただ大声で泣き続けた・・・。
「エイミー!!」
私はゾンビになったエイミーに駆け寄った。
彼女はいぶかしげな顔でこちらを見ている。
「誰ですか?」
「俺だよ、俺!! ユウキだって。」
そんな俺に対しエイミーはブンブンと首を振り始める。
「違う、ユウキ・コガくんじゃない・・・そんな顔していない。」
そりゃね・・・スケルトンですから・・・骨格のみですから!!
「顔がないユウキくんはユウキくんじゃないデスカラ。」
なんで最後の方だけ棒読み? それよりも俺と付き合ってたの顔目当て?
エイミーは更に私の下半身を見て毒を吐き続ける。
「もうないんだね、まあ全然気持ち良くなかったんだけどね♪」
え・・・演技ですか? 今までの演技ですか? あんなことやそんなことも?
「もういいわ・・・あたしはこの人と付き合うわ♪」
エイミーが言うと姿を現した男のゾンビ。
「ユウキ・・・ざまあ!!!」
ゾンビは舌をペロペロ出して挑発してきた。
こいつはホコタ・・・こいつはホコタ・オガワ19歳、ずっと俺と同級生だった。
2人でよく遊んだもんだ・・・親友とも呼べる存在だと思っていたのに・・・
「・・・ゾンビはゾンビ同士で仲よくすればいいじゃねえか!!」
俺は捨て台詞を吐いて走り去った。
死にたいと思ったが、もう既に俺は死んでいる。
だから逃げ出すしかなかった。
そんな俺の後ろ姿を見てエイミーとホコタが笑っているような気がした。
しかし真実は違っていたことを後で知ることになるのだが・・・。
村を出て、もうどれぐらい走ったのだろうか・・・気がつけば森の奥深くだった。
こういうところで旅の勇者が歩いてきたらどうしよう。
チャンスだが・・・勝てるのか?
ケンカもろくにしたことないし、武器も持っていない。
「おいおい、スケルトンさんよ?」
誰かが声をかけてきた。
茂みから小男のモンスターが現れた・・・ゴブリンだ。
ブサイクだと思ったが、骨だけの俺よりはマシだよな・・・。
「勇者候補がこの辺りを通るらしいぞ、やっちまおうぜ。」
ゴブリンも勇者候補の命を狙っているらしい。
「今は無理、武器ねえし。」
俺は断った。
「いくらスケルトンとはいえ、オマエはLV1だしな。」
ゴブリンは言うと去っていった。
そうか、俺はスケルトンLV1なのか。
・・・それならばさっきのゴブリンは・・・あれ、わかるぞ。
ゴブリンの頭上に浮かんで見えるLV6の文字。
なるほど、ゴブリンLV6か。
俺はゴブリンの後をつけていった。
するとゴブリンは1人の若者に遭遇した。
気品溢れる顔と佇まい・・・まぎれもなく勇者候補だ。
俺は大木の陰に隠れた。
「私の名は勇者タマリの末裔である勇者タケオだ!!」
その勇者タケオは剣を抜いた。
しかし・・・なんともショボそうな剣である。
勇者タケオの頭の上に数字が浮かんで見えてきた。
LV2・・・勇者候補様はLV2ですか!?
ゴブリンの先制攻撃で勇者タケオは吹っ飛ばされた。
「コ、コイツ・・・このゴブリンLV6かよ。」
勇者タケオは立ち上がる。
「弱~♪ 弱すぎだぞ、勇者サマよ!!」
ゴブリンが小踊りしている。
ここで加勢しようかな♪
俺が大木の陰から姿を現そうとしたときだった。
「タケオ、待たせたな!!」
戦士と僧侶と魔法使いがやってきた。
3人共にLV3だ。
「!?」
俺は慌てて身を隠す。
「ギャアアアアアアッ!!」
ゴブリンの悲鳴が森の中に響き渡る。
俺が大木の陰からチラ見すると、ゴブリンは勇者と戦士に斬られまくりの上に
魔法使いの火の魔法で時折燃やされているではないか。
ゴブリンの反撃も僧侶が回復呪文で回復させるため成す術なし・・・。
「ガハァッ・・・」
4人がかりでフルボッコの末にゴブリンは倒れた、倒れると金貨に変わった。
更に勇者がLV3に戦士はLV4にそれぞれレベルアップしてしまった。
戦慄が走った・・・。
俺もやられたら金貨になってしまうのか!?
勇者候補御一行は金貨を拾うとこちらの方を見ている。
「出てこいモンスター・・・隠れてもムダだ!!」
LV4になった戦士が大声で叫ぶ。
気付かれた・・・
もうダメだ・・・やるしかないのか!!
俺は大木の陰から姿を現した。
短い人生だったな・・・。
あ、そうだった・・・俺って死んでいるんだよな。
だったらもういいか。
「ウオォォォン」
俺はモンスターっぽい叫び声をあげて勇者候補御一行を威嚇した。
「ス・・・スケルトン!?」
「おかしいぞ、攻略サイトには載っていなかったぜ。」
「聞いてねえし。」
あれ? なんか明らかに勇者候補御一行は動揺しているんですが?
よし、今がチャンスだ!!
スケルトンは逃げ出した!
俺は全力で逃げた・・・逃げて逃げて逃げて・・・逃げ続けた。
気が付けば湖の畔に来ていた。
水面に映る自分の顔を見ていると涙が止まらない。
実際には涙は出ていないのだが、俺はただ大声で泣き続けた・・・。
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