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狸のハロウィン2

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 タチノー狸のハロウィン、ラグビー部の失態はすでにお話したとおりなんやけど、他の部でも、行った先々であっさり狸とバレてこんなふうなったりしよるみたいです。

バレー部などは詰めが甘く、人に化けて仮装したまではよかったものの、お尻の例のフサフサしたものをうっかり隠し忘れておった。
家の扉をトントンとノックして、家人が顔を出すや
「トリック・オア・トリート」
と合唱して一斉に手のひらをつき出す。

顔を出した婆さんは、連中の後ろにゆらゆらしているものを見るや、その手のひらをピシャリと叩いて 

「狸にやる菓子やかしあるかいだ」

とにべもない。台所からはお新造はんが出てきて

「うちんくの台所やったら、ゴキ取り放題や」

と冷やかす。

それを聞いたらバレー部、ほんまですか!と大喜びでずかずか上がり込む。
目を点にするお新造はんを尻目に、スパイカーが飛んでるGやらカナブンやらをはっしとはたき落とすと、リベロが右へ左へコロコロ回転しながら次々に捕まえるいう絶妙な連携プレー。

袋いっぱいGやらカナブンやらカマドウマやら捕まえて、意気揚々帰ってきた、なんて話も。毛玉の塊がコロコロしてくれたお陰で台所の床もすっかりキレイに、なんて余禄まで。

虫退治してもろた家も、好物の虫を思うまま捕まえさしてもろた狸どもも、Win-Winいう何ともハッピーハロウィンな話。
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