不死身の魔女との妖しい契り～そして俺は魔女の剣となる～

魔女達の肉弾戦

　カタリーナはカサンドラが剣を出現させたのを見て最初は驚いていたが、すぐに笑みを浮かべていた。


「きゃはっ！ あははっ！！ 武器を使って肉弾戦を挑むのね！」


　彼女の言葉に対してカサンドラは冷笑を浮かべて彼女に答えたのである。


「魔法が効かないなら直接、攻撃するしかないわ……。逃げたりしないわよね？」


　そして、彼女は剣をカタリーナに向けながら言い放った。


「直接、剣で切り刻んであげるわ！」


　カタリーナは笑みを浮かべながらカサンドラを挑発したのである。


「あはっ！ あははっ！！ もう勝った気でいるの～？」


　彼女も右手に黒色で無数の鋭利な突起が付いた鉄鞭を出現させたのである。

　そして、彼女はその鉄鞭をカサンドラに向けて構えて言ったのだ。


「剣術を齧ったことはあるのかな～？」


　カタリーナが挑発するとカサンドラは冷笑を浮かべたままであった。


「いいえ。剣術を習った事は一度もないわ……。でも、この剣が私に教えてくれる！」


　彼女は自信に満ちた表情でカタリーナを見据えていた。そして、彼女は一気にカタリーナとの間合いを詰めたのである。

　カサンドラは一瞬でカタリーナとの距離を詰めて彼女の首を切り落とそうと剣を振り下ろしたのだ。だが、カタリーナは難なくその攻撃を避けて見せたのである。


「あははっ！ 危ないなぁ～……」


　そして、カサンドラは間髪入れずに斬撃を放ったのだが、それも彼女は見切って躱していたのだ。そして、鉄鞭をカサンドラに向けて振るって反撃したのである。


「あはっ！ 当たれっ！！」


　彼女の振るった鉄鞭を剣で防いで弾き返すと、再びカサンドラがカタリーナに向かって斬撃を放った。


「無駄っ！！」


　カタリーナは余裕の笑みを浮かべてカサンドラの斬撃を躱して反撃したのである。しかし、彼女はカサンドラがニヤリと笑っている様子を見て顔を顰めていたのだ。


（あれっ？ こいつ……）


　カタリーナが疑問を抱いていると、カサンドラは笑みを浮かべたまま彼女の胴体に向けて剣を振り抜いたのである。その攻撃を間一髪で躱したカタリーナだったのだが、刃にはべっとりと血が付着していたのだった。


（私の血！？）


　彼女は痛みで腹部に目を向けると。そこには切り傷があり、血が溢れ出ていたのだ。彼女はカサンドラの攻撃を受けて激しく動揺していたのだ。

　カタリーナは目の前にいる女が剣の素人ではない事を確信していたのである。


（こいつ……）


　彼女は冷や汗を流しながら険しい表情を浮かべて彼女を見ていたのだった。一方、カサンドラは自信に満ちた笑みを浮かべていた。


（今なら勝てるっ！！）


　カサンドラは勝利を確信していた。カタリーナが彼女の攻撃で負傷しており、左手で傷を押さえていたのだ。


「畜生っ！！」


　カタリーナも慌てて反撃しようとしたのだが、突然目の前にいたはずのカサンドラの姿が消えたのである。そして、背後から気配を感じたので振り返ると背後にいたのだった。


「これで終わりよ！」


　カサンドラはそう言って剣を彼女の首に振り抜いたのである。しかし、カタリーナも反応して間一髪の所で躱して距離を取っていた。


「あははっ！ あはっ！！ 惜しかったねぇ～……」


　カタリーナは笑いながら言っていたが、内心は動揺していたのだ。


（こいつ……。いつの間に背後に回ったの！？）


　彼女は自分の攻撃を完全に見切っていたカサンドラに対して危機感を感じていたのである。そして、彼女は後退りながら鉄鞭を振り上げて攻撃したのだが、それもカサンドラに防がれてしまったのだ。


（何て奴なのっ！）


　カタリーナは心の中で悪態を吐きながら焦っていたのである。一方、カサンドラは余裕の笑みを浮かべてカタリーナを見下していたのだ。


（今なら勝てるっ！！）


　彼女は勝利を確信して剣を振り下ろそうとしていたのだが、カタリーナは笑みを浮かべると右手に持っていた鉄鞭をカサンドラの眼前に差し出したのだ。そして、彼女は笑みを浮かべながら言ったのである。


「あははっ！ あはっ！！ 鞭よ当たれぇぇ――っ！！」


　カタリーナが不敵な笑みを見せて言い放った直後、カサンドラの目前に突き出されていた鉄鞭が突然、意志を持ったかのように動いたのだ。そして、彼女の体に巻き付いて身動きが取れなくなってしまったのである。


「ぐっ！」

（何なの！？）


　カサンドラは突起の付いた鉄鞭に巻き付けられて体中から血が滴り落ち呻いていた。そして、カタリーナは笑みを浮かべていたのである。


「あはっ！ あははっ！！ 残念だったねぇ～！」


　カタリーナは笑みを浮かべて鉄鞭を引っ張ったのだ。すると、カサンドラの体が引き寄せられて彼女の目の前まで接近したのだ。

　そして鞭で彼女の体を更に締め付けようとしたのである。体からはどんどん血が滴り落ちていたのである。


「あははっ！ 私の勝ちだねぇ～！」


　彼女が笑みを浮かべていると、カサンドラが苦痛で顔を歪めた状態で口を開いたのだ。


「まだ……終わってないわ……」

「えっ！？」


　彼女は目の前にいるカサンドラの言葉を聞いて唖然としていた。しかし、カタリーナはその言葉を聞いても信じていなかったのだ。

　なぜなら、彼女はカサンドラに巻き付けてある鉄鞭を更に締め付けようとしたのである。だが、次の瞬間、締め付けられている彼女の姿が光り輝いていた。


「ぐはっ！？」


　カタリーナが驚愕の表情で呻き声を上げたのである。なぜなら、先程まで拘束していた筈の鞭が消滅しカサンドラが彼女の目の前で剣を振り下ろしたのだ。

　そして、次の瞬間に反応が遅れた彼女の体が切り裂かれていたのである。彼女は信じられない様子で自分の胸を見ると胸元から血が噴き出していたのだった。


（何故っ！？）


　カタリーナは地面に倒れ込んで、激痛で呻く彼女の視界に映っていたのは血で真っ赤に染まった剣を持って見下ろしているカサンドラだったのである。


「一体……何が起きたのよ！？」


　カタリーナは苦悶の表情を浮かべながらカサンドラに問いかけた。すると、彼女は笑みを浮かべて答えたのである。


「剣のお陰よ……」

「嘘……でしょ？」


　彼女は愕然としていた。何故ならカサンドラが手にしている剣は普通の剣にしか見えなかった筈だからだ。しかし、彼女は自分の身に起きた事が信じられずに動揺していたのである。


「この剣には悪しき物を浄化する聖なる力が込められているのよ……。だから、貴女の鞭を浄化したのよ……」


　カタリーナはカサンドラの言葉を聞いて動揺していたのだ。そんな筈はない……。自分は魔女の力を授かっているのに……。

　彼女は信じられないといった表情を浮かべていたのである。



　一方、シェール、ノバ、ロシェルの３人は、この町で最初に会った親子の母親に弱っていたサロメの介抱を求めて応じてくれたのである。

　しかし、カサンドラから言われて避難してきたが、どうしても彼女のことが気掛かりであったのである。


「やっぱり……カサンドラ様のことが気になるわ」


　シェールが不安げな表情を浮かべてノバに問いかけると、彼女も不安な顔で答えた。


「そうね……。私も気掛かりだわ……」

「私達２人でカサンドラ様の様子を見に行きましょう……」


　シェールが真剣な表情で2人に言ったのだ。すると、ノバとロシェルは頷いて答えたのである。


「そうね……サロメのことも心配だからロシェルはここで待っていて」


　ノバはロシェルに言うと彼女は頷いた。そして、シェールとノバはカサンドラのいる場所へと戻って行ったのであった。